スーパーエンジニアが語る、ゲーム業界から不動産業界への転身と新たな挑戦
子どもの頃からWebや3Dの技術に親しみ、ゲーム開発会社を経てDeNAへ入社。スタイルポートではプレイングマネージャーとして3D開発やフロントエンド周りの旗振り役を務めるYU氏。VR内覧システム『ROOV walk(ルーブ ウォーク)https://roov.jp/』の基幹部分の開発を担い、3Dエンジニアとして高い技術をもつ彼女がスタイルポートに転職を決意した決め手は何だったのか、ゲーム開発から不動産テックの領域へ飛び込んだ「いま」をどう感じているのか。じっくり話を聞きました。
※YU氏から「顔写真はちょっと……」と要望があったため、後ろ姿&手元の写真を掲載しています
中学生の頃からプログラミングに親しみ、専門学校卒業後はエンタメの道へ
——スタイルポートに入社するまでの経歴について教えてください。
プログラミングに出会ったのは中学生の頃です。独学で始めて、当時はホームページビルダーで自分のホームページを作ったりして遊んでいました。そのうちWebゲームのツールを作るようになって、高校生の頃には、ゲームのツール作りがきっかけで縁があり、Web開発やWebデザインの業務委託をするようになったんです。
中学の頃からエンターテイメントや表現に関わりたいと考えるようになり、進学校の高校に入学しましたが進学にはあまり興味がなくて。 美術部に入って絵を描いたり、個人的にWeb開発をやっていました。
それで大学には行かずに専門学校に入学して、本格的に3Dの技術を学んだあと、新卒で当時8人ほどしかいない名古屋のスタートアップに新卒入社しました。その後、その会社の仲間と3人で制作スタジオを立ち上げ、ゲームを作っていたんですが、方向性の違いからスタジオを脱退。
そうした活動を経てDeNAに入社しました。ゲームのエフェクトアーティストとしてゲーム内の3D演出制作やフロントエンド開発の仕事をしたりしましたが、3年ほど経って転職を考え始めました。
もう少し規模が小さな会社で、自分が関われる範囲の大きい環境に行きたいと考え、スタイルポートに転職しました。
転職の軸は「スキルを身につける」よりも、能力を発揮して「いかにアウトプットできるか」
——スタイルポートに入社した決め手はなんだったんですか?
ほかにも数社比較したところはあったんですが、ゲーム技術や3Dといった自分の能力が発揮できそうな会社に絞ったときに、一番合っていそうなのがスタイルポートでした。扱う領域は「不動産」ですが、バリバリに3D技術を使っている──Webと3Dといった自分の能力が発揮できそうな点が、転職において一番大きな決め手になりました。
若手エンジニアは「自分がスキルアップできるかどうか」を転職の軸にする方が多いと思いますが、私自身子どもの頃から3D技術を扱ってきましたし、知識と技術についてはDeNAの3年間で鍛えられたと思っていて。
だから純粋なスキルアップというよりも、自分がどうアウトプットするか、何を作るかに比重を置きたいと思ったんです。もちろん、仕事を通じて日々勉強することは変わりませんが、学んだことをアウトプットしていきたいなと。
もう1つ決め手となったのは、吉田さん(吉田 巧/プロダクトマネージャー)との出会いです。面接に来たときに偶然吉田さんがオフィスにいて、いろいろお話したら意気投合して。
不動産テックという響きから、固そう、泥臭い業界だというイメージがあったんですが、吉田さんの人柄がスタートアップらしいというか、役員のみなさんも「新しいことをどんどん取り入れていこう」という気概を感じたので、不動産テック業界に飛び込む心配はあまりなかったですね。
プレイングマネージャーとしてフロントエンド周りの旗振り役を担う
——ROOVの基幹を作るキーパーソンとして、ふだんどんな業務をおこなっていますか?
3D開発全般とフロントエンド周りの旗振り役ですね。フロントエンドの設計や機能開発の方向性を決めたり、モデリンググループが作ったデータをROOVのシステムにどう投入して表示するか検討したり。データの保存から変換、表示といった、バックエンドからフロントエンドまでの全体の流れメインで担当しています。
そうしたこともあり、会議に時間が取られることも増えました。時には集中する時間がないほど埋まっている週もあります。機能開発も多いので、新しい機能をやるとなったら決めなければいけない事項が多いんです。
チームの規模は大きくはなく、正社員1〜2人と業務委託の方々をマネジメントしています。大企業だとリーダーは会議や管理業務に時間を費やすことが多いと思うんですが、私自身は引き続きゴリゴリと手を動かしてもいます。
——前職は原則出社だったそうですが、スタイルポートでリモートワークになって働き方はどう変わりましたか?
何か相談したいとき、その人の隣に立って同じ画面を見ながら話すといった密度の高いコミュニケーションができないので、特にレビューなどは難しく感じることはありますね。 リモートワークはどうしても、相手の「受け取る力」に強く依存してしまう部分があるので、コミュニケーションに気をつけるようにしています。
一方で、リモートだからこそ効率化されているとも言えます。また、コアタイムが無いので、会議と会議の間に買い物に行ったりもしています(笑)。
「やりたいこと」を否定しない、自分のアイデアの実現に挑戦できる環境がある
——YUさんはROOVのエンジンを新しく作り直すべきだと経営陣に提案したそうですが、どういう思考プロセスがあって提案に至ったんですか?
私が入社したのは、旧エンジンを開発した方が退職されるタイミングでした。そこで私がエンジンの開発を引き継ぐことになったんですが、引き継いで修正していくにしても作らなければいけないものがたくさんあって。
たとえば、当時はJavaScriptのバージョンが古く、その状態を維持したままエンジンを最新化するのは難しそうでしたし、それをわざわざ再現するくらいなら新しく置き換えて、ROOV walkのコードを書き換えた方が、より効果的なのではないかと考えたんです。最新化した環境のほうが、ほかにもいろいろ新しいことができそうだなと。
当時のチーム内ではCTOのような機能を持った合議制のミーティングを月1回ほど開いていて、経営の判断に関わりそうな技術的な大きな判断はその場でしていました。今回の新エンジン開発はそこで提案しました。
CTOが着任した現在でも、大小関わらずメンバーが何らかの提案をしたい場合はそれぞれチャットツールに書き込んだり、ランダムチャットで直接提案したり、分科会を開くなどして方向性を決めていくこともあります。
少数精鋭で業務は詰まってはいますが、よい提案は柔軟に拾い上げていく姿勢がありますね。提案をプロダクトとして世に出すとなるとビジネス側との調整が必要になりますが、やりたいことがあって、かつプロダクト化の可能性があるならば、挑戦できる環境があります。
プロセスはゲーム開発と同じ。不動産は決して「カタい」だけの業界ではない
——スタイルポートの未来について、どう考えていますか?
不動産テックにもいろいろありますが、スタイルポートはさまざまな領域に積極的に挑んで形にしています。その勢いをもって、不動産サービスにおける「使いにくい」と言われる部分をデジタル化して、不動産を購入するお客様の暮らしがよくなるよう技術開発を進めていきたいと思っています。
同じ不動産でもマンション購入だけでなく、たとえば、演劇のチケットを取る際に、コンサートホールや劇場の席の見え方を可視化できたらいいですよね。それも3D x Webという組み合わせで開発を進めることで実現できるのではないかと思っています。
テクノロジーが不動産業界を変えていける余地は、まだまだたくさんありますね。私自身はそこに向けて、今ある技術を高めるというよりは、先ほども少し話しましたが、その技術を使って何をするか、アウトプットに力を入れたいと思っています。
大きな方向性としては、「技術と想像力で実現する」こと。アートやプロダクトなどいろんな可能性を含めて表現していきたいですね。そのために、ROOVの中でまだまだやりたいことも、やるべきこともあると思っています。
——いま思い描く未来を実現するためには、どんな仲間が必要ですか?
ひと言でいえば、好奇心が強く、技術と表現を楽しめるタイプです。
具体的には、特にゲーム業界で3D技術を扱っている人たちにはぜひ参画していただきたいですね。ゲームの世界からWebの世界に行くというイメージは持ちづらいかもしれませんが、3D技術を使ってどんなものが作れるか、特にグラフィカルなものを作ることに興味のある人は向いていると思っています。
たとえば、先月現職ゲーム会社に勤めている方に業務委託でヘルプをお願いしていたんですが、グラフィックの表現を突き詰めることができておもしろいと話してくれました。現在のゲーム開発シーンに比べて、より専門的で、技術的チャレンジの大きい部分を突き詰められるのもWeb業界における3D関連の仕事のよさのひとつです。
ROOVはBtoBtoCのプロダクトなので、最終的にそれを利用するのは不動産を購入する方なんです。そうなると、ビジネスとして使えるものが前提ではあるんですが、それだけ追究しても使い心地のいい製品にはなりません。
製品としての使い心地を求めながら、かといって遊び心を出し過ぎないようバランスを取る。プロダクトデザイン的な文脈のおもしろさがあると思います。
3D技術というとゲーム制作という印象が強いんですが、スタイルポートは3D開発とプロダクト開発を両立できる希少な場所だと思っています。持っている技術で、実生活に役立つプロダクトを作ることができます。
不動産と聞くとカタいイメージを持たれるかもしれません。字面だけ見ると入りづらそうな領域であったり、楽しいかどうかも見えづらいと感じる人は多いのではないかと思います。
でも、やっていることは実際のゲーム開発とそう変わりません。たとえば家具を配置するツールを作ったり、モデリンググループが作ったアセットを流し込んで配置したりするのも同じです。仕事のサイクルは違いますが、テクノロジーやコミュニケーションの在り方は変わりません。ゲーム業界から不動産テック業界に入り、見え方はまったく違う両者ですが、どちらも同じくらいおもしろい仕事だと思っています。
スタイルポートについて
スタイルポートは「空間の選択に伴う後悔をゼロにする。」をMissionに、「グローバルで利用される3Dコミュニケーションプラットフォーム」をVisionに掲げ、住宅販売の変革を目指し唯一無二の空間コミュニケーションプラットフォーム『ROOV(https://styleport.co.jp/roov/)』を開発、提供しています。