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目指すのは、“存在を感じさせないUI”。プロダクトの可能性に挑むデザイナーの流儀

住宅販売の3Dコミュニケーションプラットフォーム『ROOV』のUI・UXデザイナーを務める上田 恭兵。サービスラインナップのデザインすべてを統括する重要な役割を果たしつつ、フレックスタイム制度なども活用し、ふたりの子どもを育てる父親としても奮闘しています。ストレスのないUIは、いかにして生み出されるのか。デザイナーとしてのこだわりを語ります。

『ROOV』ブランドすべてのUIを担当。今後はチームでデザインする事業フェーズへ

PCやスマートフォンなどでアプリを使用することなく、未竣工物件の室内を歩くように内覧できるクラウド型VR内覧システム『ROOV walk』をはじめ、住宅販売の変革をサポートする『ROOV』。上田は、『ROOV』のすべてのサービスラインナップのUI・UXデザインを担当しています。

上田「当社にはまず『ROOV』というブランドがあり、マンション販売事業者の課題を解決するためのアプローチとして、『ROOV walk』や『ROOV compass』、戸建ての新事業の『ROOV housing』を展開しています。私はそれら全般のUI・UXデザインと、『ROOV compass』のプロジェクトマネージャーを務めています」

『ROOV compass』は2020年2月にローンチされた、ROOVブランドの中核をなす重要なサービスです。

上田「『ROOV compass』は、クラウド型の住宅販売支援システム。住戸表や間取り図、眺望ツール、パンフレットなどさまざまな資料を格納でき、商談ツールとして利用することができます。『ROOV walk』と連携が可能で、たとえば物件購入を検討しているお客様に対し、『ROOV walk』で間取りを確認してもらいながら、『ROOV compass』に格納したさまざまな資料を案内できるので、スムーズな商談を実現できます。また、お客様に最適化した情報をQRコードやURLでシェアできるので、お客様の自宅でスマホから検討を進めてもらうなど、商談後の成約までフォローすることができます」

これまで、すべてのプロダクトのデザインを一手に引き受けてきた上田。いよいよチームで動くべきフェーズに入ったといいます。

上田「サービスが多様化してきたことで、ひとりですべてをカバーすることが物理的に難しくなってきました。デザインチームとして連携を重視しながら、一貫性のあるUIを提供していくことがこれからの課題。これまでは自分の頭の中にだけあったものを、どうやってアウトプットしていくか。それが問われると思っています」


スタイルポートのオリジナルTシャツも上田がデザイン

チームの“橋渡し役”として存在感を発揮。視覚的なコミュニケーションで齟齬をなくす

デザイナーとして、ユーザーにできるだけストレスを与えないことを目指しているという上田。デザインのこだわりについてこう話します。

上田「特に『ROOV walk』におけるUIは、ユーザーにとって3DCGを操作するための、いわば“手”のようなもの。人が手で何かをするとき、自分の手のことを意識しませんよね。それと同じで、3DCG空間上ではUIの存在を意識させないことが大事だと思っています。
3DCGを操作していてストレスを感じると、UIを意識してしまうものなんです。やりたいタスクに集中できるのが、良いUI。たとえば、『ROOVのUIはどうでしたか?』と聞いたとき、『どんなUIだったっけ?』と返されるくらい、印象に残らないのが正解だと思っています。とはいえ、UIをなくすのは現実的に難しいので、できるだけ3DCGを邪魔しないUIを目標に取り組んでいるところです」

また『ROOV compass』のUIでは、直感的に操作ができるよう工夫を凝らしているといいます。

上田「『ここを触ったら、こうなる』ということが、事前に説明しなくてもユーザー側が理解できるようなデザインを目標にしました。たとえば、『ROOV compass』には、ユーザーが自分でプレゼンツールを設定できる画面があります。どんなUIであればレクチャーなしでタスクを完了できるか、徹底的に考え抜きました。
目指したのは、言葉数が少なく、次の動きへの予測が立てやすいUI。今はアカウントサポートチームが設定をサポートしていますが、ユーザー側で自由に設定していただけるようになれば、私としては目標達成だと思っています」

また、社内のさまざまなチームとやりとりする機会も多いという上田。心がけているのは、メンバー間のコミュニケーションを円滑にする、“橋渡し役”のような役割を果たすことだといいます。

上田「他の部署のメンバーとやりとりするときは、視覚的な表現を多用するようにしています。エンジニアとセールスなど、いわば異なる言語を使うメンバー同士の意思の疎通を助ける、仲介者として立ち回ることもデザイナーの役目だと思っているんです。たとえば、開発後になって『思っていたのと違う』というような認識の齟齬を極力減らすために、開発に入る前にプロトタイプを作ってボードメンバーに共有することもありますね」


所属するプロダクトグループのチームメンバーと

3D空間を自由に歩き回れる”walk”と道に迷わないための“compass”。ネーミングへのこだわり

2022年7月に入社4年目を迎える上田。これまでを振り返り、印象に残っている出来事があると話します。

上田「入社当時のプロダクトはまだVR内覧サービスとしての『ROOV』だけ。さまざまなサービスを展開していくためには、サブブランド戦略が欠かせないという話になり、当時の『ROOV』であり現在の『ROOV walk』を、『ROOV viewer』という名称でローンチすることがほぼ決まっていました。
ところが、その名前だと、あくまで“見るためのツール”のように聞こえてならない。つまり、名前がプロダクトの限界を定義してしまっているように思えて、どうも腑に落ちなかったんです。
そこで、目指すプロダクトの姿として、3D空間上を歩いたり、コミュニケーションしたりできるようなサービスになって欲しいとの意味を込め、『ROOV walk』という現在の名前に変更させてもらいました。とても良い判断だったと思っています」

一方、上田がマネージャーを務める『ROOV compass』でも、ユーザー目線に立ったこだわりが随所に散りばめられているといいます。

上田「私が入社する以前、『ROOV compass』の前身となるツールがすでにありました。ただ、利用状況があまり芳しくなかったこともあり、新たに作り直して生まれ変わらせることにしたんです。
それにあたり、まず『ROOV』ブランドのUIのスタイルガイドを定義。スタイルガイドをプロダクトに反映する作業と並行しながら、『ROOV compass』を作っていきました。『ROOV compass』の利用価値を高めるにはどうすればいいのか?前身のツールを提供していた際の課題や要望を吸い上げ、議論を重ねていきました。『ROOV walk』の3D空間上で迷うことがないよう、方位磁針のような機能を果たして欲しいという思いから、『ROOV compass』と名付けたのもその議論の中でのことでした。」

ローンチから2年が経過し、いまや2021年のマンション供給戸数第1位である野村不動産での全件採用が決定するなど、新築マンション販売の変革に存在感を増す「ROOV compass」。上田は、さらなる可能性を模索しています。

上田「『ROOV compass』を軸とし、今後さまざまなサービスを派生させていけると思っているんです。例えば、現状『ROOV compass』は住宅販売事業者向けのサービスですが、実際に物件を購入するエンドユーザーが気軽に利用できるプロダクトを開発したいと考えています。長い人生を共にする住環境にまつわる、あらゆる課題を解決できるようなサービスを構想中です」


社内に浸透するバリューが、良き人間関係と自由な働き方の起点に

現在、フルリモートで働きながら、ふたりの子どもを育てる上田。細切れな時間も有効活用し、仕事と子育てを両立できているといいます。

上田「幼稚園と小学校の息子がいます。習い事を4つやっているので、待ち時間にファミレスで仕事をしていることも多いですね。スタイルポートではスーパーフレックス制(稼働時間:5:00〜22:00)が導入されているので、途中抜けして育児の時間に充てるなど、自由度の高い働き方が実現できています。
時にはクリエイティブな業務に集中するため、ミーティングを入れない曜日を確保したり、逆にリモートワークを補うため、メンバーとのやりとりにクイックミーティングを取り入れるなど、柔軟な対応を心がけています」

有志メンバーでの登山に息子と参加


そのような自由な働き方が実現できているのは、スタイルポートの掲げる3つのバリュー、“Be Innovative”、“All For One”、“Play Fair”が社内に浸透しているからだと上田はいいます。

上田「Valueの精神が社内で共有されているおかげで、とても良い人間関係の中で仕事ができていると感じますね。今のような働き方ができているのは、子どもがいることをメンバーがよく理解してくれているからこそ。本当に助けられています」

また、スタイルポートには雇用形態に関係なく、フェアに働ける環境もあるという上田。次のように続けます。

上田「社員と業務委託の方で仕事内容が明確にわけられている会社も多いですが、当社にそれは当てはまりません。業務委託の方が率先してPMの仕事をすることもあるんです。素晴らしい文化だと思います。メンバーが同じ価値観を持っていれば人間関係のトラブルも起こりにくく、やるべきことにフォーカスできますから」

ROOVの提供によって不動産業界のアップデートのために尽力していきたいと意気込む上田。

上田「ROOVを利用するユーザーへ、優れた体験を提供するためにデザイン設計は重要な役割を担っております。お客様のフィードバックをROOV進化のヒントと捉え、チームと連携してデザイン面で支えていきます。」


『ROOV』シリーズの成長を支え続けてきた上田。今後もデザインチームのトップとして、プロダクトのさらなる可能性を追求していきます。

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