こんにちは。Quipper採用担当の鈴木です。今回の記事は、@ohbarye による「カジュアル面談への扉」です!是非、ご覧ください!
Wantedly内での企画『#私たちのカジュアル面談』に参加させていただいております!
こんにちは、本記事では弊社のカジュアル面談についてライトに書いてみました。文字数は5800字程度ですので読了には5~10分ほどを要すると思われます。
対象読者
- Quipperのカジュアル面談に来てみようと思っている方
- 他社のカジュアル面談がどのような感じか知りたい方
言うまでもないかもしれませんが弊社のやり方が唯一の正解ではありませんし、完成形でもありません。とはいえ現時点で獲得しえたカジュアル面談のノウハウを世に出すことで業界全体の採用活動のレベルの底上げに寄与していきたい気持ちがあります!
<カジュアル【casual】[形動]格式ばらず、くつろいでいるさま。>
カジュアル面談とは?
初めに言葉の定義を合わせていきます。
弊社 Quipper は面接・面談をより良いものにするために東京オフィス採用面接ガイドというものを公開しています。(同ガイドに関しての詳細はより良い面接を実現するために "Quipper採用面接ガイド" を公開しましたをご参照ください)
同ガイドにおいてはカジュアル面談を以下のように説明しています。
カジュアル面談は選考を伴う通常の"面接"ではなく、Quipperについてより深く知りたいという方に向けてご案内しているカジュアルな形式の面談です。
通常の"面接"ではない、とはどういうことでしょうか?
採用活動を分解する
面接とカジュアル面談の差異を説明するため、Wantedly社が公開する「リクルートメント・マーケティング入門:あたらしい採用の常識 / Recruitment Marketing 101」より採用のフェーズを表現する図を引用します。*1
合否を伴う採用面接、いわゆる選考は上図でいう Recruiting フェーズの「本選考」に該当します。
一方、弊社のカジュアル面談は Lead Nurturing フェーズの「興味」「検討」あたりに位置づけられます。採用活動の一環ではあるが本選考とは別物で、カジュアル面談応募者(以下、応募者と略します)に詳細情報を提供し、Quipperに対する興味・関心をより強く形成していく活動の一つです。
世に聞く失敗事例
「カジュアル面談に行ったら志望動機を聞かれた」「後日に合否判定が送られてきた」なんていうがっかりエピソードを聞いたことがありますが、その事例における面談担当者は「選考」と位置づけていたのかもしれません。
ここから得られる教訓は、応募者と面談担当者がカジュアル面談をこの図のどこに位置づけているのか認識を合わせるのが肝要ということです。(一般的には応募者は「興味」「検討」あたりのステップだと期待する事が多いと思います)
また、企業内でも面談担当者によって認識差異があるのは望ましくありません。もしこの記事を読んで不安に思われた方は「弊社のカジュアル面談ってこのあたりだよな?」と担当者同士で改めて確認すると良いかもしれません。
Quipper のカジュアル面談
上述の通り Quipper ではカジュアル面談を Lead Nurturing に位置づけています。(余談ですが、このブログは認知してもらう活動なので Lead Generation に該当します)
Nurturing(育成)の言葉が示唆するように、短期的に成果(採用)につなげることが主目的ではありません。応募者の中で一度形成された興味・関心が数カ月後・数年後に萌芽して応募・採用に至るケースも少なからずあります。
また、カジュアル面談に来られた方が本選考に応募しなかったとしても、満足度の高い面談を終えた候補者が知人・友人に「あの会社の面談良かった」と伝えてくれることもあります。そこまでいけばブランディングとしても十分な成果があるといえます。*2
具体的には何をする?
面接ガイドには以下のように記載しています。
通常1時間ほどの時間をとって行いますが、お互いの期待値を調整するため時間の使い方・面談に期待することを最初にお伺いします。お伺いした内容から、担当が柔軟に対応します。
また、カジュアル面談後に10分程度のオフィスツアーをご案内しております。
ガイドに記載していない情報を補足していきます。
参加者について
エンジニアの場合は興味を持っていただいたポジションのエンジニアまたはエンジニアリングマネジャーが出席します。デザイナーポジションの場合はデザイナーが出席します。非エンジニアの採用担当人事が会議室までご案内しますが、人事のメンバーがカジュアル面談に出ることはありません。
複数ポジションに興味がある場合は同時に複数ポジションの担当者が同時に参加したり、1時間の面談を2回実施することも可能です。
どのような話をするのか?
お互いの期待値を調整するため時間の使い方・面談に期待することを最初にお伺いします。お伺いした内容から、担当が柔軟に対応します。
ガイドに書いた内容だと完全フリースタイルの即興勝負のように聞こえますが、お馴染みのパターンはあります。
全ポジション共通の内容として会社説明資料にしたがって一通り説明を行い、そののち、各ポジションに特化した説明(利用技術・課題・普段の開発のようす etc.)をすることが多いです。もちろん応募者からの質問は説明の最中でも随時受け付けます。
とてもありきたりで特別なことはしていないですが、私が担当者として常に心がけているのは、ガイドにあるように予め期待値をしっかりと合わせることです。
有意義な時間になるように期待値を合わせる
面談担当として50件近くカジュアル面談を行ってきましたが 、応募者のQuipperに関する知識や応募意欲は本当にまちまちです。画一的な会社や業務の説明を一通り終えたあとに「それより〇〇について聞きたいんですが…」と、自分が期待はずれの説明をしてしまっていたことに後で気づくという失敗もありました。
また、私は他社のカジュアル面談にも何度か応募者の立場で訪れたことがありますが、「期待することを予め伝えたかどうか」が有意義な時間となるかを左右すると強く感じました。
「今日はどんな話が聞きたいですか?」
応募者がもし特に思いつかなければ
「事業の話と技術の話どちらを重点的に聞きたいですか?」
のように質問を変えてリフレーミングしてみることもあります。
応募者がカジュアル面談に期待することがヒアリングできたら「なるほど、〇〇の話を聞きたいのですね」と確認しつつ、説明の中でその箇所を重点的に掘り下げていきます。
熱心な方の場合はすでに会社説明資料を読んでこられていたりもしますが、その際にも一通り会社説明を行います。文章を読んだだけの状態と口頭で説明を受けた状態ではかなり伝わり度合いが変わりますし、資料に書ききれない部分を口頭で補うこともできるためです。
終わる10分ほど前には「今日は〇〇の話を聞いてみたいとのことでしたが、期待を満たせているでしょうか?」と率直に聞くこともあります。不足していれば軌道修正し、残り時間でできる限り説明します。
気をつけていること
カジュアル面談においては上述の通り期待値調整が最も大事だと私は考えていますが、その他の気をつけていることをいくつか記します。
相手から良い質問が良い感じに出ることを期待しすぎない
上述のように応募者の知識レベルはまちまちなので、場合によっては全く質問が出ないということもままあります。
以下は弊社の @ujihisa がまとめた、5段階の「分からないことを表明する力」モデルです。便利なので引用します。
1. 何もわからないし質問もできない
2. 何もわからないし何が分からないか分からないから質問できない (無知の知)
3. 何もわからないけど、わからないことを質問することはできる。ただ、議論の流れをぶったぎってしまう
4. 何もわからないけど、適切な質問をすることはできる。ただ、議論の流れをぶったぎってしまう
5. 何もわからないけど、議論の流れをぶったぎらずに、適切な質問をすることができる
応募者が面談担当者よりも応募先の会社について詳しいことはほぼないので、面談内における応募者の振る舞いはこの中の1~3であることがほとんどです。
4,5のような振る舞いを期待しすぎないようにしましょう。
応募者を評価しようとしない
カジュアル面談は選考とは別であると位置づけているにも関わらず、採用活動の一環として色々な方にお会いしていると無意識のうちにカジュアル面談応募者と本選考応募者を混同して比較・評価してしまうことがあります。
「すごい質問がいっぱい来る、優秀なエンジニアに違いない」 「質問があまりない、弊社に興味ないのかな」
ふいにこうした感想を抱いてしまうのは仕方ないですが、カジュアル面談の目的を忘れないように立ち返りましょう。
わからないことはわからないという
自分が詳しくない技術領域や複雑な人事制度について聞かれるなど、候補者からの質問に答えられないことがあります。
会社の顔としてカジュアル面談に出るとなると「答えられないのは心証がよくない、なにか答えなきゃ」と感じてしまうこともありますが、てきとうに答えた内容が間違っている方が重篤な問題です。
わからないことは素直にわからないと表明して、「必要であれば面談後に確認して回答する」旨を候補者に伝えましょう。
面談担当者の標準化
弊社のカジュアル面談担当者は慣れるまでは2名のペアで面談を数回こなします。他の面談担当からのフォローなしにカジュアル面談を執り行えるようになったあとは1人で臨むことになります。
1人で面談を行うのはなかなか緊張しますが、面談担当者に依存せずに面談の質を担保できるように用意された Google Docs のテンプレートがその不安を少しは緩和してくれます。
テンプレート内でも期待値調整の重要性を強調しています
このフレームワークは大きな逸脱を防ぐことだけでなく、新任の担当がカジュアル面談のやり方を確認するのにも一役買っています。
また、良い振る舞いや面談ベストプラクティスが発見されたらこのテンプレートに追記したりもしています。
おわりに
弊社 Quipper は手探りではありますが、このようにカジュアル面談を行ったり改善したりしています。
書き始めたら筆が"ノ"ってしまい5,000字を超える内容になってしまいました。この長文が発する圧迫感のせいで「Quipper のカジュアル面談はお硬そう…」のような印象を持たれていないかやや心配ですが、実際には人間同士の暖かみのあるコミュニケーションが行われています。
最後に、私が行ったカジュアル面談で最も印象深かったできごとを紹介します。それはカジュアル面談に参加された方に以下のような tweet をしていただけたことです。
MasaruTechさんより tweet の掲載許可をいただきました。ありがとうございます!
自分が行った面談に関するフィードバックを頂く機会はとても少ないのでこのtweet はとっても励みになりました!
もしカジュアル面談を受けてみたいという方がおりましたら以下のリンクから話を聞いてみたいポジションのカジュアル面談に是非応募してみてください。
本記事「カジュアル面談への扉」は Engineering Manager の @ohbarye が執筆しました。なお、アイキャッチの写真は京成立石の猫スポットにて @ohbarye が撮影しました。
*1:なお、この資料は採用活動に携わる方すべての方におすすめめできる素晴らしいものですので是非ご一読ください。これこそ採用に関する知識の底上げという感じがします
*2:マーケティングとブランディングの違いについては https://blog.btrax.com/jp/marketingvsbranding/ をどうぞ