東証プライム上場企業のM&A仲介会社である株式会社ストライク。1997年の創業以来、中堅・中小企業を支え、約2000件以上(2022年12月末時点)のM&Aを成約に導いてきました。後継者不足などの問題から、M&Aのニーズは高まり続けています。
今回紹介するのは、2012年に新卒でストライクに入社した篠原 佑太朗さんです。M&Aコンサルタントとして10年以上活躍する篠原さんに、仕事のやりがい、若手の頃にぶつかった壁をどう乗り越えたか、ストライクに新卒で入社するメリットについて聞きました。
篠原 佑太朗
株式会社ストライク
コンサルティング部 第二チーム
アドバイザー
大学卒業後、2012年に新卒でストライクに入社。ストライクに入社した理由は「経営者の課題解決に携わるダイナミックで責任のある仕事だ」と感じたから。現在はコンサルティング部で、税理士や公認会計士と関係構築をはかり、M&Aのニーズをもった企業に対する支援を行っている。
ダイナミックで責任のあるM&Aという仕事
──篠原さんは、どのような軸で就職活動をしましたか?
大学で経済学を学び、会社組織があることで雇用が生まれ、社会貢献につながると知り「経営」に関心をもちました。経営者と近い立ち位置で仕事がしたいと考え、銀行や証券会社など金融業界を中心に就職活動をしていました。
──ストライクに入社した決め手を教えてください。
ストライクを知ったのは、就活サイトで見かけたことがきっかけです。M&Aは大学の会社法の授業でも取り上げられていた内容で、どんな仕事なのか興味がわき会社説明会に参加。M&Aコンサルタントは経営者の重要な局面での課題解決に携わると知り、ダイナミックで責任のある仕事だと思いました。銀行や証券会社などからも内定をいただきましたが、M&Aの仲介業務に強い関心を持ち、ストライクに入社しました。
──入社してから、入社前とギャップを感じたことはありましたか?
意外に泥臭い仕事だと感じました。経営者という一人の人間を相手にし、その心境の変化に真摯に向き合い、言いにくいことを伝えて調整しなくてはならない場面もあります。
初めて担当したお客様のことは今でも覚えています。老舗企業で、後継者不在により事業承継問題の解決を目的に譲渡を希望されている売り手でした。思い入れのある会社を譲ることは経営者にとって重大なことで、その買い手を探すというのは、会社の将来を左右する大事な仕事です。私が新人であるかどうかは関係なく責任をもってやり遂げる必要があります。手探りの状態で、上司の指導を受けながら、自分なりに考え調べて、必死に食らいついていくような状況の中で進めていきました。
──どんな点に苦労しましたか?
まず、どんな企業が買い手になるのかという見当がつきませんでした。売り手は海外製の設備を輸入し、日本で販売・メンテナンスを行う企業。学生だった頃の私には接する機会のなかった業種でした。
当時の上司には、「どんな企業がいいのか、答えを誰かから教えてもらう前に自分で考えてみろ」と言われました。新人であってもまず考えさせるのは、ストライクらしい教育方針です。
私なりに業界分析をして買い手の候補となりうる企業を選定し、上司と共に進めていきました。幸い、関心をもった買い手企業がすぐに見つかり、譲渡条件のすり合わせを経て、M&Aを成約させることができました。
壁にぶつかったことは何度もある。その度に、自ら考え前向きな気持ちで乗り越えてきた
──現在はどのような仕事をしていますか?
税理士や公認会計士の先生と関係構築をはかるコンサルティング部に所属しています。先生方が関与しているM&Aのニーズがある企業を紹介いただき、ニーズに合ったM&Aの支援をしています。
──今まで手がけた中で、印象に残っている仕事について教えてください。
さまざまありますが、最近の事例では建設会社のM&Aを成約させたことが印象深かったです。売り手の経営者は70代後半と高齢の方で、コロナの影響で会社の業績が落ち込み、財務状況もいい状態ではありませんでした。譲渡先が見つからなかったら廃業も視野に入れなくてはいけない、切羽詰まった状態でご依頼をいただきました。
このように財務状況が芳しくない場合、買い手から見たメリットや相乗効果がないと、M&Aはなかなか成立しにくいです。
最終的に買い手となったのは、設備工事業を営む会社でした。買い手が譲り受けを決めた理由は、売り手の事業エリアが隣接していて、新たな事業の柱として建築工事部門を持ちたかったからです。相乗効果を発揮できるM&Aとして無事に成約でき、安心しました。
──買い手を見つけるまでの期間は、企業によって違うのでしょうか?
長い場合は1年以上かかるケースもあります。買い手となる企業が現れるまでアプローチを続けていくので、累計で100社ほどに打診することもあります。買い手の候補となる企業には、それぞれに響く売り手側の強みを伝えていきます。
買い手を探すのに時間がかかると、売り手は「相手が見つからないのではないか」と不安になり、心境の変化も起きます。そのため、買い手はなるべく短期間で見つけることが望ましいです。
──若手の頃、壁にぶつかったことはありましたか?
何度もあります。M&Aの成約までのプロセスは、そう簡単に進むものばかりではありません。お手伝いする企業によって、成約までの手段やゴールが異なるので、常に初めての仕事を行う感覚になります。大学で学んだことは通用しないなと感じ、壁にぶつかったという気持ちになりました。
ただ、落ち込んでいても何も変わりません。周囲のサポートを受けながら自ら考え、前向きな気持ちで臨むしかないわけです。自らの考えが正しかったかどうかは、最終的な結果でしかわからない。もし、結果が伴わなかった場合は反省して次に生かせばいいと思い、諦めずがむしゃらに仕事に取り組みました。
──壁をいくつも乗り越えて、ご自身で変わったと思う部分はありますか?
物事に動じなくなりましたね。想定通りにいかず困難に直面すると、若手の頃はあたふたしていた時期もありました。今は心が動じていたとしても、まず状況を受け入れるという姿勢が身につき、どう解決していこうかと考えるようになったと思います。
大事にしているのは、相手に関心をもって本質を理解し、自分なりに考察すること
──どんな学生がM&Aコンサルタントに向いていると思いますか?
困難に直面することが多い仕事なので、そんな時に落ち込みすぎず、前向きな姿勢で強い意志をもって仕事に臨める人が向いています。
──新卒でストライクに入社するメリットや良さを教えてください。
新卒から、経営者と向き合って寄り添う仕事は、ほかにあまりないと思います。経験豊富な経営者とお会いすることは貴重な経験で、仕事だけでなく人生経験として非常にプラスになりました。
M&Aの仕事は成約に至るまでのプロセスで、長い期間売り手の経営者と向き合いながら仕事をします。これまで経営されてきたドラマを聞くことで、自分の考え方も成長し、経験値が上がりました。また、業務を通じてさまざまな業種・エリア・規模の企業と仕事をするため、仮に違うキャリアに進んだとしても活かせるような価値ある経験ができます。
ストライクは「新人だから」とアプローチ先を制限されたり、仕事の範囲を限定されたりすることがなく、自ら考えて行動できる会社です。その結果、自ら責任をもってやり抜くマインドをもつことができました。
──「経営者と仕事がしたい」と入社されました。実際に多くの経営者と会われていかがですか?
これまでお会いした経営者は500人以上になります。意外に思ったことは、人生経験豊富で百戦錬磨の経営者でも、M&Aが成立するまでのプロセスにおいては不安や譲渡に対する葛藤で悩まれることです。経営者は意思決定が早いというイメージをもっていたため、驚きました。
売り手の経営者は、これまで育ててきた我が子を託すような気持ちで譲渡先を探しています。そんな姿を見て、経営者に寄り添って成約まで支援するという、自分のプロ意識も芽生えていきました。
──経営者とは、どんなコミュニケーションを心がけていますか?
相手を理解するために、常に関心と疑問をもつようにしています。「なぜ会社を譲渡したいのだろうか」「どんな譲渡先なら喜んでもらえるだろうか」「なぜ買いたいと思っているのか」「どんな経営課題があるのか」
挙げたらキリがないですが、相手の本質を理解して自分なりに考察してかみ砕くことがコンサルタントとして大事な考えだと思っています。
売り手と買い手にそれぞれ10個の望みがあるとして、そのすべてを叶えようとしたら交渉は成立しません。そのため、「10の望みのうち、本質的に譲れないものは3つだな」などと譲れない部分を把握し、落としどころを見つけていくことがM&Aを進める上で重要です。
──今後の展望を教えてください。
1社でも多くのM&Aに関わることが、社会貢献につながると考えています。今後も経営課題を抱える経営者に寄り添って仕事をしていきたいです。