少子高齢化や産業構造の変化などを背景に日本でも企業間のM&A(合併と買収)のニーズが急拡大しています。株式会社ストライクは、1997年に中堅・中小企業を対象としたM&Aの仲介業者として創業。これまで1,700件以上(2022年3月現在)のM&Aを成立させた東証プライム上場企業です。
今回はストライクの創業者であり代表取締役を務める荒井邦彦が、さまざまな業界で活躍中のセールスパーソンに向け、M&Aの魅力や仕事の醍醐味、求める人材像をお伝えします。
荒井 邦彦
株式会社ストライク
代表取締役社長
1970年、千葉県生まれ。一橋大学商学部卒業後、太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入社。
財務デューディリジェンス、株式公開の支援などの業務を経験し、1997年、株式会社ストライクを設立。2016年6月に株式を東証マザーズに上場し、翌年6月に東証一部(現東証プライム市場)へ市場変更。一般社団法人M&A仲介協会の代表理事。
M&Aは企業を変え、社会を変えるダイナミックな取り組み
——なぜ、監査法人を辞めてM&Aの仲介業を手掛けるようになったのですか?
はじめてM&Aの実務に触れたのは、監査法人に勤めていた頃のことでした。当時、担当していたクライアントのなかに、M&Aを事業戦略の中核に据えている企業があったんです。当時はまだ、表立って会社を売り買いすることが当たり前ではなかった時代でしたから、最初の頃はもの珍しさも手伝って取引額の大きさに目を奪われたのですが、徐々に見方が変わりました。M&Aをきっかけに会社が見違えるように変わっていく姿を何度も目撃したからです。それに気付いてからは、起業するならM&A仲介で、と心に決めました。
——以前から起業志向があったのですか?
そうですね。小学6年生の時に卒業文集に「いつか社長になる」と書いていたくらいだったので、子どもの頃から独立心は強かったように思います。そもそも公認会計士になろうと思ったのも、将来どんな分野で起業するにしても、お金の流れを理解したらきっと経営の役に立つという思いがあったからです。公認会計士として働くなかでM&Aに出会い目標が定まりました。
売り手には次の展開、買い手には事業機会を提供する
——ご自身にとって、M&A仲介とはどんな仕事ですか?
私たちは事業を売りたい企業と、その事業を買ってさらなる成長を目指す企業の間に立って取引を成約に導く立場です。売り手には、背負っているご負担を減らすことで、次なる展開を考える余裕を持っていただき、買い手には、新たな事業機会を得ることによって、さらなる飛躍のチャンスを手にしていただく。それがM&A仲介の役割であり、仲介手数料はその対価だと考えています。
——M&Aでどのようなことが実現できるでしょう。例を挙げてもらえますか?
私はよく、M&Aを「仲間づくり」と表現するのですが、1社では不可能でも2社の力を合わせれば、実現できることはたくさんあります。たとえば業績は好調にもかかわらず、後継者不在で事業の存続を危ぶまれている企業と、優れた製品を開発する能力はあるのに経営資源が足りず成長機会に恵まれないベンチャーを掛け合わせれば、画期的なサービスやプロダクトを社会に実装できるかも知れません。M&Aは多様な人たちを結びつけ、協力しあうための仲間づくりそのもの。M&Aコンサルタントはさしずめ「仲人」や「伴走者」のような存在だと思います。
M&Aには、コミュニティを活性化させる効果も
——印象に残る案件を教えてください
以前、プロバスケットボールチームを運営する地方企業と、東京の大手企業とのM&Aを取り持ったことがあります。チームを強化しファンを増やしたいが、自分たちの資本力では限界があるということで、チーム運営会社から、私どもにご相談がありご支援することになりました。チームのポテンシャルやファンの熱意、地元経済への効果などを伝えながら粘り強く交渉を重ねた結果、最終的に東京に本社を置く大手アミューズメント企業が手を挙げてくれたのですが、その後の展開が実にすばらしかったんです。チームは新たに得た資金で、優秀な選手や監督、コーチを招聘するだけでなく、練習環境やホームアリーナの整備を進め、いまでは地区優勝を争うほどの実力と人気を兼ね備えたチームになったんです。M&Aは企業価値を高めるために行われるものですが、良いM&Aは、そこで働く人々やその家族、友人、そして地域社会に活力を与えることもできるんだなと、改めて感じました。
——M&A仲介で大切なことは何だと思いますか?
私たちの仕事はM&Aコンサルタントと呼ばれます。「コンサルタント」と言うと、スマートな仕事ぶりをイメージされるでしょうが、現実には、経営者の思いに寄り添う「カウンセラー」としての役割が強く求められる、非常に人間くさい仕事です。M&Aは、経営、財務、税務、法務など、さまざまな要素を踏まえた決断の連続である一方、経営者や株主、従業員の思いが詰まった営みでもあります。過去にいくつもの修羅場をかいくぐってきた経営者でも、手塩に掛けた会社を人手に渡すともなれば心が揺れるもの。契約前日になって改めて自分の決断の正しさに不安があると口にされる方も珍しくありません。そうした気持ちに最後まで付き合い、励まし、背中を押す支援をするのが私たちの仕事。経営者の本音と真摯に向き合うのは安易な気持ちではできません。そこがこの仕事の難しいところであり、逆に言うと面白いところでもあるんです。
お客様と真摯に向き合い続ければ、成果は後からついてくる
——異業種出身者も多いと聞きます。金融経験はどの程度求められますか?
専門知識やM&Aの実務経験はあるに越したことはないのですが、中途採用においてはあまり重視していません。簿記検定試験の勉強をすれば、誰でも決算書ぐらいすぐに読めるようになりますし、社内には公認会計士や税理士資格を持つ社員が身近に在籍しています。ですから特に金融の知識や経験は求めていません。
——どんな人が活躍していますか?
異業種の営業職から当社に転じてこられて、優れた実績を残している人はたいてい、明るく、楽しく、前向きに仕事と向き合っていますね。M&Aを成立させるまでには、幾度となく経営者が難しい判断を下す場面や、本音と本音がぶつかり合う現場に居合わせることもあります。多くの人たちの人生がかかった大事な局面なのですから当然です。しかし仲介者であるわれわれが、そのたびに周囲の雰囲気に流されていたら仕事になりません。どんな時にも明るく、楽しく、前向きに目の前の課題に取り組もうと努力できる人は、周りから頼りにされますし、各方面から感謝される機会が多いように思います。
——ストライクの社風は?
M&A業界には、A社とB社をくっつけたら、次はC社とD社と、数を追い求めるM&A仲介業者もありますが、それは私たちのやり方ではありません。ストライクは、当事者をはじめ、関係する人たちと手を携えて1つの作品をつくり上げるような気持ちで一つひとつの案件と向き合っているからです。じっくりとお客様と向き合い、質の高いM&Aを実現しようと最善を尽くす。それがストライクのカルチャーです。
——M&A仲介に興味を持つ読者にメッセージをお願いします。
この業界の給与水準の高さに惹かれて入社を希望する方も多いのですが、M&A仲介は、我欲の強さだけで続けられるほど楽な仕事ではありません。しかし、仕事を通じて社会に良い影響を残したい、このままでは埋もれてしまいかねない価値を社会に届けたい、そんな思いをどこかに持っている方であれば、きっとこの世界で良い成果を残せるでしょう。異業種で積んだ法人営業経験をM&A仲介に活かしてみませんか? ストライクでの経験は、きっとあなたのキャリアを有意義なものにしてくれるはずです。
ストライクでは、現在金融機関や事業会社などで開拓型の法人営業を経験した皆さんを広く募集しています。後継者不足に悩み事業売却を考えているオーナーと事業拡大を狙う伸び盛りの企業をつなぎ、新しい未来を紡ぎ出す仕事がここにあります。成長著しいM&A市場で新しいキャリアを築きませんか。ストライクはそんな皆さんの期待に応える仕事とやりがいを提供します。