株式会社ストリートスマートの中核事業のひとつであるEducation事業部。
2020年現在、日本全国の小中学校は「GIGAスクール構想」による1人1台端末の整備を実現させ、本格的にICT教育へ切り替える大きな変革期です。Education事業部では、ICT教育を推進する学校常駐型のICT総合支援員を行っています。
今回は、事業内容を知っていただくため、ICT支援員として活躍中の平川 泰輔さんと佐藤 佳苗さんに、ICT総合支援員に関するお話を聞かせていただきました。前編では実際の支援内容や学校現場の状況などを聞かせていただきました。ぜひご覧ください。
(左:平川 泰輔さん / 右:佐藤 佳苗さん)
プロフィール:
平川 泰輔さん / Web Marketing グループ 兼 ICT支援員
佐藤 佳苗さん / Education事業部 講師
目標設定から授業の帯同まで──ICTと先生を繋ぐICT総合支援員
ーストリートスマートのICT支援員とは、どういったことをされているのでしょうか?
平川:Google 社が提供している、教育機関を対象としたICT教育を実現するためのクラウド学習ツール「Google Workspace for Education」や、パソコン端末である「Chromebook」 を導入された自治体様や学校様が、スムーズに導入から活用まで推進できるよう、学校常駐型の支援を行っています。
具体的には、自治体様のお話を伺わせていただき計画を立てるところから始まります。支援してほしい内容がある程度決まっている場合は、自治体様のゴールに向けた計画をご提案し合意を頂き進めていきます。そうでない場合は、ヒアリングしながらご予算に合わせて、期間や実現できる効果、目標設定などご提案させていただきます。
ーその後は実際に学校へ行き支援されるのでしょうか?
平川:はい、実際に学校現場へ行くと見えてくる現状や課題もあるので、支援内容を臨機応変に修正して進めていきます。
▲ICTと先生を繋ぐICT支援員
ー学校ではどういう支援をされるのでしょうか?
平川:先生全体に向けた Google for Education(Chromebook と Google Workspace for Education の総称) の基礎や実践に関する研修や、授業の帯同、個別質問の対応などです。また、お忙しい先生方が隙間時間でも活用を進めていただけるように、学習支援サイト「Master Learning」や、書籍「できる Google for Education クラウド学習ツール実践ガイド」などもご提供しています。
佐藤:授業に帯同させていただき、いざというときに聞ける人がいる、というのはとてもご好評頂いています。
▲授業サポートの様子
単なる“ハードの使用”を、本質的な“ICTの活用”へ変換していく
ー学校でパソコン端末を活用される度合いはいかがですか?
平川:特定の自治体に限らず今(2020年11月現在)、日本全国どこの学校でも一律に言えるのは、活用している先生とそうでない先生の差があり、活用している先生はどこも少数である、ということです。苦手意識や知識レベルなど複合的な要因がありますが、活用する先生はどんどん使いこなしていき、何もしない先生はそのままというのが現状かなと思います。
ーそうなると、どんどんその差が広がっていきそうですね。
平川:仲の良い先生同士や職員室での席の近さ、学年や教科が一緒など、関係が近い先生同士では情報共有がされやすい傾向にあります。ですが、学校全体で情報共有ができているかといったらそうではありません。そうなると、情報の格差が生まれ、活用度合いにも個人差が生じます。そういった面でも、私たちのような役割は大切だと実感しています。
ースキルだけでなく情報共有の面でも差がひらきやすいのですね。
平川:今まで使用していた端末から Chromebook になり、単なる“ハードの代替え”として使っている場合、本質的に Chromebook ならではの機能やアプリを使いこなせているケースは少ないです。
Chromebook や Google Workspace for Education は、いままで学校で使用されてきたICT環境とは本質的に異なるものを提供しています。使い方よりも先にその違いや特徴をご理解いただくことが、結果としてICT活用の促進に繋がります。
そのため、Chromebook や Google Workspace for Education の特徴や概要を掴むための「基礎研修」は必ず最初の段階で行わせていただきます。
▲先生方への研修の様子
ー授業での活用度合いはいかがですか?
佐藤:Google Workspace for Education の便利さを理解された先生方は、意欲的に授業に取り入れようとしています。
ーどのアプリが積極的に使われているのでしょうか?
佐藤:一番多いのは Google フォームです。先生方はテストや課題などを「配布・回収・採点・集計」することが多いんです。Google フォームだと一連の流れをペーパーレスで自動でできるので活用されることが多いです。それ以外にも、徐々に Google Workspace for Education の様々なアプリを授業だけではなく、校務にも活用をいただけるようになってきました。
ICT教育が推進されるためには1人1台の端末は必須
ー「GIGAスクール構想*」で、1人1台端末の整備を2020年度中に実現させることが掲げられていますが、配布状況はいかがですか?
平川:2020年11月現在で、少しずつ1人1台分の端末が届き始めている状況です。そのため、学校内で共有の Chromebook として、予約制のように使っている学校様がまだまだ多いですね。
ー共有だと、使いたくても使えないことが発生しそうですね。
平川:とにかく使ってみることが活用する第一歩になるのですが、気軽に使えるほどの台数がまだ整備されていない状況です。そうなると、授業においても使う先生と使わない先生の差が開いていってしまいます。
*)GIGAスクール構想
義務教育を受ける児童生徒に対して1人1台端末と、高速通信ネットワークを一体的に整備し、公正に個別最適化された創造性を育む教育を全国の学校現場で持続的に実現させる構想
支援期間は最低1年。重要なのは信頼関係を構築すること
ーストリートスマートがICT総合支援員として関わることでの成果はいかがでしょうか?
平川:私たちは画一した支援ではなく、学校の活用状況に合わせた支援を行なっています。ある学校では保護者に対し Google フォームによる欠席連絡の運用を開始したり、オンライン配信による体育祭を実行したりしています。また、全体的に活用が進んだ学校には、活用傾向を分析してより高度な活用法をお伝えし、教材の作成や研修発表の支援なども行っています。
▲運動会にICTを活用されている様子
ー支援期間はどれくらいが適切だと思いますか?
平川:最低でも1年は必要だと考えています。
ICT支援員は単発で研修して終わりではなく、現場に入り込んで先生に寄り添い支援していくことが大切です。それには信頼関係の構築が何よりも重要で、その構築に時間が必要です。
ー信頼関係が最も大切なんですね。
平川:はい。例えば3ヶ月や半年の支援だと単発な質問になりがちですが、1年以上だと「こんな風に変えていきたいのだけど」と、根本的な相談や質問をしていただけるようになるんです。また、回数を重ねて顔馴染みになっていくと、より気軽に細かい質問もしていただけるようになります。
初期からみんなが使い出すまでに1年は必要であり、長ければ長いほど倍々で活用度合いが増すと思います。
佐藤:私の前職は小学校の教員だったのですが、教員目線からしても1年は居て欲しいと思います。一年を通し全ての行事を支援員と過ごすことで、先生自身もICTのいろんな活用方法が経験できると思っています。
いかがでしたでしょうか。ICT支援員とは、子供たちの未来に関わる社会性の高い、非常に重要な役割だということが分かりました。
後編では、ストリートスマートが考えるICT支援員の在り方や、ICT教育は学校に必要なのか?など、切り込んだお話を伺いました。ぜひ後編もご覧ください。
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