当社が創業以来ずっと100%フルリモートを実現できている理由
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新型コロナの影響で、リモートワークできる企業が一気に増えました。
ところが新型コロナが5類になると、今度は急激にリモートワークできる企業が減りました。
企業側としても、出社の必要のないフルリモートで業務ができるとすると、全国から優秀な人が採用応募してくれるなどメリットはありました。にもかかわらず、そのメリットを捨ててまで「出社前提」「週1回在宅勤務」などに戻す企業が増えています。これはなぜでしょうか。
リモートワークできない企業が増える理由
理由をかんたんに言うと、このタイミングでリモートワークを止める・減らすという企業は、そもそもリモートワークはしたくなかったわけです。またはリモートワークをやってみたらデメリットがメリットを上回ったからです。課題を大きく3点挙げてみます。
1.業務も業務外も、社内手続きがペーパーベースが残っている
例えば、見積書や請求書、内外とやり取りする議事録や設計書等がペーパーレスになっていない。ハンコ(実物)を押さなければならないとか、手続き上の原本が必要であるなどして、紙の管理や郵送などが必要なことがまだまだ残っている企業ですね。経営層や管理職、顧問の社労士などが十分に理解して協力し合えば大幅なペーパーレス化が実現可能なはずなのですが、なるべく従来通りの業務フローでやりたい派の抵抗があったりしてなかなかできないんですよね。
社会保険手続きなどを行う総務等の間接業務なら未だしも、システム開発やスマホとパソコンがあれば仕事はできるはずの営業職やエンジニア職がなぜ出社しなければならないかはここが大きいと思います。
もし営業が出社前提となると、営業が技術的な案件相談をスピーディーに行うために社内エンジニアも出社せざるを得なくなる。こんな連鎖もあるのではないでしょうか。
2.社風的に、そもそも対面コミュニケーションが馴染んでいた
たしかに対面で話した方がいいことはあります。文字ベースだけのやり取りでは冷たく感じてしまったり、杓子定規になることもあります。未経験者の教育なども基本的には対面が好ましいでしょう。
また、忙しい人にちょっとだけ確認を取りたい、などという場合、Slackなどでは既読スルーされることだってあります。ほかに一緒に御飯を食べに行ったりするのも、従業員同士の人柄を理解して仕事にもつなげるのに便利なこともあります。
でも、従業員同士が信頼し合い、適切にテレビ会議をするなどすれば、相応のコミュニケーションはできるはずです。また可能であれば月に1回でも食事をしたり、距離が離れていればオンライン飲み会をするのもいいでしょう。こうしたオンラインでの交流が馴染んでいない企業は、この機会にリアルコミュニケーションへ戻したいと考えているのだと思います。
3.リモートワークだと生産性が思ったより上がらないし評価が難しい(と思い込んでいる)
従業員の業務成果やプロセスを遠隔で理解できない場合、うまくいかないことがあると「こいつサボってるんじゃないか」と疑ってしまう心情はあると思います。その理由が本人が怠慢なわけでなく別にあるとしても、同僚や管理者側は監視カメラで見ているわけではありませんから、ある程度は仕方ないでしょう。
でも全員が出社前提なら、管理職側が「彼、困った顔をしているな」「彼女、頑張ってるな」と良くも悪くも雰囲気で把握できる(つもりになれる)わけです。まあ雰囲気で仕事の出来不出来を判断するのもどうかと思いますが。。
企業もある程度の人数規模になると、管理職一人あたりがかかえる部下は増えてくるし、業務進捗管理だけでなく人事評価制度によって何らかの採点をしなければならなくなります。こうしたときに他の課題が原因であるにもかかわらず、「リモートだから見えないし分からないしフルパワー出せてないんだ」→「生産性が上がらないのは、そして管理者である私が管理しきれないのは、リモート業務のせいだ」と責任転嫁混じりで考えてしまうフシがあるようですね。
当社、スプリングボードが100%フルリモートし続けられる理由
では、創業以来ずっと100%フルリモートで、売上もずっと右肩上がりの当社はどうでしょうか。
当社は、関東(8名)、愛知(1名)、大阪(2名)、島根(4名)、福岡(1名)に従業員が点在しています。※人数は執筆時点(2023/8)
「1.業務も業務外も、社内手続きがペーパーベースが残っている」について。
当社では、創業当時からずっと100%フルリモートです。より正確には、「当社代表は出社をして、従業員であるソフトウェアエンジニアは在宅勤務をする」というスタイルで続いてきたことから、あらゆる書類は電子化しています。
・業務に必要な書類は、ほぼ全てをクラウドやメールで取り扱っている
・顧客との契約手続き等は、クラウドサインやDocusignなど電子契約サービス、PDFでの電子印を利用
・経費精算もデータ化した領収書でOK
・社労士や税理士とのやり取りも大部分を電子化
・勤怠管理や年末調整も全てオンラインで実施(※控除証明書等の原本送付は郵送)
当社代表の「ソフトウェアエンジニアには、開発以外のことをしてもらいたくない」という一貫した姿勢から、ごく一部のペーパー管理・作業を当社代表ともう一人の従業員(つまり私)が対応することで、当社の大半を占めるソフトウェアエンジニアは書類のために出社しなければならない、ということを回避しています。
「2.社風的に、そもそも対面コミュニケーションが馴染んでいた」について
当社では、創業以来ずっと100%フルリモートなので、そもそも「対面コミュニケーションが馴染む」隙がありませんでした。ではどうやって正当な評価を行っているかというと、普段から一人の従業員(ソフトウェアエンジニア)が複数の管理者と接しているため、自然とクロス評価が可能となっているのです。こうして偏った判断評価が行われることを避けています。
・基本的に開発チームは2~5名構成で、1名は管理者かベテランエンジニアが入る体制でやっている。
・所属するソフトウェアエンジニアは、一つまたは二つの開発チームに所属することが多い。
・所属するソフトウェアエンジニアは、管理者に紐付いているわけではなく、案件に紐付いている。
・管理者はいくつかの開発チームの管理を担当している。
・管理者同士で隔週でテレビ会議を行い、案件や要員の情報交換を行っている。
当社でも対面コミュニケーションも否定的ではなく、むしろなるべく本人の意思で行ってもらいたいと考えています。例えば、フルリモートOKの会社はほかにもありますが、逆に「出社ができない」パターンが往々にしてあります。
ところが当社はリモートワーク前提とは言え、本人の気分と状況に応じて出社することができます。例えば「気分転換に職場で仕事したい」「新しく中途採用の方が入社したから対面で作業したい」「会社帰りに飲みに行きたい」などの理由で、それぞれが不定期的に出社可能としています。
・東京本社には当社代表が毎日出社していますので、出社する度に御飯をご馳走になっている。もちろん断ることもできる。
・島根には4名の従業員がおり、月に1回、業務時間中にランチ会を行ってもらっている。これももちろん会社負担。
・年に1~2回、東京本社や島根へ集合するなどしている。金曜に食事会をして土日に観光して帰る、ということもしている。旅費は会社負担(延泊分はご自分でw)です。
その他、交流を目的とした食事会はたいてい経費精算できるので「会いたいときに会える」ような環境を用意しています。
また、業務中に雑談することもOKです。むしろ推奨しています。当社は、こうしてオンラインとリアルのコミュニケーションがバランスよく整っています。
「3.リモートワークだと生産性が思ったより上がらないし評価が難しい(と思い込んでいる)」について
もう上で説明してしまいましたね。「リモートワークは生産性が上がらない、評価ができない」なんて考えている人は当社にはいません。
ただし、実務未経験者の教育は今後の課題としています。現在引く手あまたで案件を断っているような状況を改善してから、教育するリソースを確保したいと考えています。
でも経験者なら自分で調べてみて、それでも分からないことは聞き合う文化が当社には馴染んでいますからご安心ください。自由に技術書やサブスク等を購入できるスキルアップ制度もご活用ください。
まとめ
新型コロナの影響で、経営面からやむなくフルリモート可の企業が増えましたが、やはり社内の文化や運用が慣れていないと色々無理があるようです。
一方で、当社スプリングボードは積み重ねてきた実績と経験から、だいぶ理想に近いフルリモート業務ができる環境があります。
むしろ全国に従業員が点在しているので、今さら「出勤しなきゃダメ」とは言えない状況でもあります。
ただ、東京本社や島根事務所に近い方は、なんとなくでいいから出社してもらって、帰りに御飯を食べて帰って頂けるといいですね。ちなみに大阪にも小さい事務所を借りる予定です。