社会人1年目を終えた社員たちへのインタビュー連載。仕事を通じて模索し続けた彼らは、社会人として、ひとりの人間として、どんな成長を遂げたのでしょうか。スパイスボックス2016年入社の2年目社員に、自身の1年間を振り返ってもらう連載です。今回は、入社初年度から新規開拓チームをけん引し続けている佐藤香菜をご紹介します。半年に渡る粘りの営業の末、晴れて月間MVPを受賞した彼女。華々しい結果を手にするまでには、数多くの壁がありました。
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得意のコミュニケーション力を武器に。テレアポから人を巻き込む力を養う。
社内でのあだ名は「パリピ」。友達が多く人と会うことが好きな佐藤は、得意とする人とのコミュニケーションを通じて自分がやりたいことを実現したいという期待を持って、広告業界をメインに就職活動を進めていた。そこで、「コミュニケーションの変革」を掲げてデジタルを使った広告コミュニケーション事業を行うスパイスボックスの方針に共感を覚え、自身の強みを活かしたいと考えて、入社を決めた。
入社早々、佐藤を含めた新入社員に課された初の仕事は、新規開拓営業。彼女は、「テレアポは初めてで不安だったけれど、新規開拓は楽しかった」と、笑顔で振り返る。
「電話で顔が見えないなかで、どうやってコミュニケーションを広げていくか。一方的に説明するだけでなく、どうやって相手の声を引き出すか。自分の頭で考えながら実践を通じて学んでいきました。もともと人と話すことは好きだったので、コミュニケーション力を武器に、どんどん開拓していきました」
不動産業界からはじまり、主にこれからデジタル広告に力を入れていく中小企業へ電話をかけ続ける日々。その数は月に1,000件にも及んだ。自身の積極的な性格ともうまく合致して、新規開拓チームのなかでもトップを走る存在となっていった。
上司からも一目置かれるようになったものの、しかし彼女は焦っていた。電話を通じてアポイントはとれるが、受注へ結びつかない状況が続いていたからだ。その壁を乗り越えたのも、やはり彼女の武器であるコミュニケーション力だった。
「私、めちゃくちゃ負けず嫌いなんですよ(笑)。自分だけなかなか受注できないなか、隣の同期が受注していくのを見ていてすごく悔しくて。ある日、もう少しで受注できそうなお客様へのクロージング方法がわからなかったから、上司を巻き込んで訪問に同行してもらったんです。上司の営業トークから、どうすれば受注へ結びつく話しができるのか、同行を重ねながら盗んでいき、自分のものにしていきました」
“いいなり営業”が、お客様の本当の課題解決になるとは限らない。
こうして社内巻き込み力を発揮した結果、受注件数が順調に増加しはじめた。佐藤が所属していた新規開拓チームは、お互いに協力しつつも切磋琢磨し、ライバル意識を持ちながら取り組む少数精鋭チーム。比べられる状況にあるゆえ、帰り道に悔し涙を流したときもあったが、持ち前の明るさでその悔しさを前向きな闘争心に変え、新規開拓を進めていった。
そんななかつかんだのは、海外から日本へ進出してきたアニメキャラクターの認知拡大施策。スパイスボックスのインフルエンサー・マーケティング(※)支援サービス「TELLER」(インフルエンサーを活用した口コミ生成プラットフォーム)を活用した、SNS上での口コミ施策をやりたいという依頼が舞い込んできた。
(※)インフルエンサー・マーケティング
「PR表記」をつけた上で、TwitterやInstagramなどSNS上で影響力を持つ人物(=インフルエンサー)の投稿を介して情報を広めるマーケティング手法。
投稿してもらうインフルエンサーのキャスティングや予算という壁を乗り越えながら、同期の新人プランナーと2人で企画から動画制作のディレクション、インフルエンサーによるPR投稿運用まですべて自ら進めた。お客様が希望されていた施策が無事形となり、お客様からは評価をいただけたものの、彼女のなかには納得しきれない思いがあった。デジタルでの施策だからこそ、動画の再生回数やエンゲージメント率(※)など、施策の結果は数値としてリアルに反映される。その数値が、自らが目標としていた数字に遠く及ばなかったからだ。
「ただお客様からいわれた通りにインフルエンサー施策をやれば認知拡大につながると思い込んでいた当時の自分は、今振り返ると考えが甘かったと思います。私たちが提案している施策は、課題解決のための手段でしかなくて。お客様が本質的に課題としていることは何なのか? その課題を解決するために、最適な手段は何なのか? 受注したいという自分本位な考えが先行して、お客様の意向からずれない提案しかしていなかった自分に気がついたんです」
反省から学んだのは、お客様の希望を“いいなり”になってそのまま施策を行うだけが、課題解決にはならないということ。お客様が伝えたかったメッセージが本当に生活者に届いたのか、もう少しできたことがあったのではないか——結果を報告するレポートを作成しながら、悶々とした気持ちを抱えていた。
(※)エンゲージメント
SNSを含むソーシャルメディア上で発生する生活者の能動的なアクション。エンゲージメント率は、SNS上で投稿されたコンテンツのいいね!や シェア、コメント、リツイートなどの総数を計測して算出。
粘り強さと巻き込み力を活かし、半年かけてつかんだ動画案件。
「お客様にとって本当にいいものって何だろう?」以前の反省を踏まえ、お客様の課題を本質的に解決できるような提案を心がけるようになった彼女が迎えた、大手洋菓子メーカーの訪問。最初はやはり、お客様からいわれた通りに、インフルエンサー施策を提案していた。しかし、実際に話して課題を深堀りしていくと、お客様がブランディング動画の制作に興味を持っており、また、周年を記念したプロモーションを実施したいと思っていることがわかったのだ。
そこで、今度こそお客様の課題を本質的に解決する提案がしたいと、周年動画の提案する方針へと切り替えた。お客様にとっても佐藤にとっても、初めてのブランディング動画制作。両者ともにブランドの象徴となる作品を一緒に作り出したいという思いが、企画を詰めていくうちに強くなっていった。
しかし、会社を記念する大切な施策であるため、お客様内での決裁がなかなか進まず、“受注”の二文字がもらえない。ヒアリング、提案、フィードバック、再提案……をひたすら繰り返す日々。電話で何度も進捗を伺うものの、「社内で確認中」という回答が続く。彼女がそこで大切にしたのが、変わらずお客様との良好な関係性をしっかりと保ち続けることだった。
「私自身も入社当時からやってみたいと思っていたブランディング動画案件だし、社内を巻き込んでたくさんの人に協力していただいてブラッシュアップしていった企画だったので、絶対にここで終わらせたくなくて。諦めずに追いかけて、お客様とのコミュニケーションはずっととり続けていました。スパイスボックスから何かプレスリリースを出したら電話してそのことを話したり、ちょっとした用事でも足を運んでお話ししたり……前のめりな姿勢じゃなくなったら、そこで終わってしまうから。営業は、粘り強さが大事ですね」
受注が目前に迫ったある日。スパイスボックス副社長の物延秀が、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの専門家として出演したNHK「クローズアップ現代+」を先方の社長が見た、という話を担当者から聞く機会があった。ここで物延を連れて行けば、先方にさらに当社について理解し、信頼してもらえて受注へと近づけるのではないか——そう考えた彼女はその熱意を物延に伝え、先方との打ち合わせに同席してもらうことにした。そしてその訪問を機に、お客様の期待値がぐんと高まったことを実感したという。
「上司が忙しいからって、遠慮していたら損。いかに説得して巻き込むかが、特に新人にとっては大事です。あの受注目前の場面で物延さんを連れて行ったからこそ、担当者が信頼してくださるようになったと思います」
目指すは活躍する女性社員のロールモデル。誰とでも仲良くなれるからこそ、新規開拓が楽しい。
粘りに粘ること半年。多くの人を巻き込んだ結果がついに実を結び、正式に受注となった。担当者からも全幅の信頼を寄せられ、「この動画で佐藤さんと一緒に広告賞を目指したい!」という言葉までいただけるようになった。彼女の持ち前の巻き込み力と粘り強い営業努力が評価され、この案件で初めて社内の『月間MVP』も受賞。自信も実力もついた彼女のこれからの夢は、チームだけでなく社内を引っ張っていける存在になることだ。
「活躍する女性社員のロールモデルとなれるよう、マネジメントにも挑戦してみたいです。あとは、働くママになることも密かな夢(笑)。私人見知りしないからすぐに誰とでも仲良くなれるんですけど、仲がいい友達は似たようなパリピが多いから、普段会えない人と会う機会ができる新規開拓はすごく楽しいです! 自分からいろんな人とつながろうとする意欲が大事なんじゃないかな」
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