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【リノベーション課インタビュー】福岡で黎明期から賃貸リノベに取り組む会社が考える、不動産経営が主役のリノベーションとは?

スペースRデザインといえば「リノベーションの会社」だよね、と言っていただけることが多いのですが、そのリノベーションや工事を担う3人は、どんな考え方のもと工事業務やデザインに向き合っているのでしょう?ベールに包まれたその仕事について、聞いてみました!

新野:リノベーション課が生まれたきっかけは何でしょうか?

本田:2006年、7人のデザイナーが山王マンションの13室をリノベーションした「山王Rプロジェクト」がきっかけです。
リノベーションという言葉が一般的ではなかった2003年頃より「デザイナーズ賃貸」と名付けてリノベーションを始めたのですが、当時吉原住宅(※)では社外のデザイナーさんや家具職人さんなどにリノベーションをお願いしていました。(※2008年、吉原住宅よりスペースRデザインが分社化)
そんな中、「山王Rプロジェクト」にて社員も一室リノベーションをやってみようかということになり、山王マンション404号室にてはじめて自社スタッフがリノベーションを行いました。それをきっかけに社内でデザインする流れが生まれ、今のリノベーション課につながっています。

山王マンション404号室「オルタナティブルーム」(2007年リノベーション完成)

新野:実験を繰り返しながら仕事を広げていく、私たちらしい流れですね。現在のリノベーション課には、どのような仕事がありますか?

本田:大きく2つに分類されます。
1つ目は、管理会社としての業務です。賃貸物件の入退去に係る原状回復工事や、建物全体の修繕工事のご提案など。退去立ち会いや保守点検など、業務は他にも数多くあります。

吉村:中でも特徴的なのは、入居者さんからの「サービスリクエスト対応」です。お部屋に関する不具合やお困りごとのご相談をサービスリクエストと呼んでいて、すぐに対応するよう心がけています。
お部屋に伺った際に、不具合で伺ったにも関わらず差し入れをいただいたり、顔が見えて安心だと言ってもらえたりすることがあり、大変驚きました。
管理会社と入居者という関係性ではなく、人と人の関係性が生まれる感じがして、とても大切なことだと思っています。

伊藤:サービスリクエストを通して入居者さんと関係性ができるのと同時に、自分達の目で確かめているので建物の状態もよく理解できます。建物のオーナーさんへの修繕提案の際には、優先的に修繕を行うべき箇所はどこかなど、精度の高い内容につながっていると思います。

冷泉荘屋上防水工事。当時築62年をこえた冷泉荘の屋上全面にウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)を実施(2020年)。

本田:2つ目は、不動産コンサルティング会社としての業務です。
具体的には、建物インスペクションやリノベーションの設計工事監理などです。

伊藤:私たちのリノベーションは、不動産企画の中でのリノベーションです。つくることが目的ではなく、入居者を決めて建物の価値を向上させていくことが目的です。

新野:「不動産企画の中でのリノベーション」という考え方とは、具体的にはどういうことでしょうか。

伊藤:私たちが行うリノベーションデザインは、その建物オリジナルのストーリーや不動産的な理由に紐づいたデザインとなっています。既存の要素を使えるものはできるだけ残したり、入居者像に合わせた素材を用いたり、DIYを取り入れたり。デザイナーとしての自己表現ではなく、不動産経営の枠の中でハード面のあらゆる要素を整える、そんな感覚です。

本田:2000年代前半、リノベーションをはじめた頃は、既存の古いものを全て解体して構造体の状態にし、まるごと新しいものへと刷新するフルリノベーションも行っていました。建物の状態によってはブランディングのために必要かつ有効な手段ですが、その分大きな投資費用が必要となります。
それが自社でリノベーションができるようになると、予算的な制限・立地・用途などいろんな要素を考慮しながらリノベーションを行い、そのやり方と結果が蓄積されていくようになりました。
それらを整理していく中で、自分たちが行うリノベーションとは、あくまでも不動産経営を向上させるための手段として行っている、という本質的なことに辿り着いたのだと思います。

カメリア小笹101号室「inst one」(2020年リノベーション完成)

新野:不動産目線でのリノベーションを行っていくうえで、日頃どんなインプットを行っていますか?

伊藤:私は実は不動産の仕組みづくりが好きで、売り出されている築古物件を見ては、こんな風にリノベしてこんな風に貸し出せば新たな価値を生み出せるかも!みたいな企画を妄想することが好きですね。実際にそこからお仕事につながることも何度かあり、大変貴重な経験をさせていただきました。

本田:いろんな人や、ものごとに会うようにしています。先日は住所非公開の珈琲屋さんに問い合わせて山奥まで行ってきました。その人のこだわりが垣間見えると、わざわざ会いに行きたくなるんです。ユニークさとか、唯一無二のものやストーリーに魅力を感じるのかもしれません。

吉村:私はまちで気になる建物を見るのが好きです。仕事のために意識している訳では無かったのですが、もともと古くて可愛い建物を見るのが好きなんです。SNSでも好きな建物やインテリアを見ることが多いです。この会社に入社してから、いろんな特徴的な建物に仕事として出入りすることができるのは本当に嬉しいです。

福岡のデザインファーム gaz design さんのオフィス内装デザイン工事。人工芝のワークスぺースやバーカウンターの設置など、ワークスタイルに合わせ、枠に捉われないオフィス空間づくりを行った。

リノベーション歴20年の会社が辿り着いた、主役は不動産経営のリノベーション

私たちのリノベーションは、あくまでも不動産経営のためにハード的な要素をあらゆる角度から整えること。使い手の心に響き、建物を長く心地良く使ってもらえることを大切にしていることがあらためてよく分かりました。

スペースRデザインのリノベーション事例はこちらからご覧いただけます!
https://www.space-r.net/renovation_case

以上、新野がお届けしました!

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