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私たちだからこそ考える「介護・ケア」#3「介護を通じて行政や専門職、地域の人と連携し、法制度やマーケティングも学べる」 ~量から質、論理から直観。これからの時代に求められる価値観が大切にできる仕事~
【はじめに】
前回の記事では、歌舞伎町という地域で多角的な事業を展開してきたSmappa!Groupの社員がなぜ楽しく働いているのか、うちだからこそ学べることや経験できること、ベースとなる考え方をお伝えしました。今回は、私たちが「介護」というフィールドを選んだ理由や、私たちだからこそ考える「介護・ケア」についてご紹介します。
【私たちが、なぜ介護というフィールドを選んだか?】
私たちは、ケアの仕事を超魅力的な仕事だと思っています。詳しくは後述するのですが、だからと言って、「これからの時代に超重要だからやろう」という考え方では始めていません。ましてや、「深く崇高な心を持って、利用者様のために」という想いもあまりないです。(もちろん、単に売り上げが上がれば良い、という考えでもありません)。
私たちは、たまたま介護というフィールドでやるだけです。もっと丁寧に伝えると、私たちが目指す方向に合致するため、始めました。
1つ目の合致は、主客一体のサービスを体現できること。
私たちは、ホストクラブに来るお客さんも、レストランに食事に来る方も、デイサービスに来るお年寄りも、1人の「Aさん」として接しています。そして私たちも1人の「Aさん」です。2人以上の「Aさん」が集まる中で、お客さん・サービス提供者という関係を超えて、主客一体の心地よい時間をいかに作っていくかに集中しています。これまで大切に築いてきた、この無形の主客一体のサービスを別の形で体現したい。介護はそれに打ってつけだと思い、始めました。
2つ目は、私たちが目指している「この街を文化で醸成させる」という考えに近しいから。
介護・福祉は、地域とのつながりを創り、そして地域の課題を解決する仕事。介護の仕事をする上で、地域に根付く独特の文化を知ることや、地域にコミットすることが必要となりますが、それを重要で面白い仕事だと思っています。(*vol.1参照)地域に長く住んでいる人たちは、その地域性が染みついている人であり、文化とも捉えることができますよね。介護は地域・文化に寄り添える仕事で、私たちがやりたいことに近いんですよ。
【ほろ酔いくらいの感覚でしゃべっても、笑ってくださいます(笑)】
うちのデイサービスで管理者として働く山崎にも、介護・ケアについて聞いてみました。彼は、介護を通じて「価値観が変わった」と言っていますね。
山崎「私たちは、どうしても利用者さんを“おじいちゃん”・“おばあちゃん”をカテゴライズして見てしまいがちです。でも人生の先輩で、僕らが通る人生を一歩・二歩と先を歩んでいる方々。何気ない利用者さんの一言がぐっと心に響くこともあります。そうなると、『弱くてケアが必要な人』という一般的な見方から変わってきますよね。
また、80歳や90歳の人と、毎日話せる仕事ってなかなかありません。長い人生を通じて経験した、普段では聞けないような話を本人から直接教えていただけるのは凄いことだと思います。これまでに聞いた話では、『土地の買収』の話が面白かったですね(笑)。
そして皆さん、素晴らしい心持ちの方が多く、僕の話を素直に受け入れてくださり、気が楽ですね。ほろ酔いでお酒を飲んでいるくらいの感覚でしゃべっても、笑ってくださいます(笑)。
人と深く関わり、その人のやりたいことに寄り添えるということも、魅力ですね。うちのデイサービスでは、利用者さんの情報を引き出す『旅ノート』を作っています。浅い会話ではなく、深くその方に対して突っ込んで聞くからこそ、裏側にある想いの部分まで知ることができます。利用者さんから聞き出した情報は、この『旅ノート』に記して、その方がやりたいことの実現につなげています」
【これから時代に求められるのは、価値観の違う人の思考を面白いと思えること】
「旅ノート」を作るにあたり、利用者さんから情報を聞き出す必要がありますが、人への興味・関心を寄せて楽しむことができないと、情報を上手く引き出すことは難しいかもしれません。相手の方もそれを感じ取るからです。また、この介護現場には本当に様々な方がいらっしゃいますが、そのような方々の存在や価値観、思考等を魅力的だと思えることも必要です。
これからの時代、自分とは価値観や世界観が異なる人の考えを聞き、想像力を働かすことを面白いと感じられることが求められると思うんです。前回、ディテールの話(*vol.2参照)をしましたが、誰かが何かを成し遂げた話よりも、「今日という日の、その人の一言」のような、瞬間のディテールに魅力を感じ、日々積み重ねていく能力が、これからの時代で大事になるのではないかと思うんです。量から質、論理から直観、という考え方に時代が変化してきている中で、様々な人との付き合いを丁寧にしてきた人が、結果的に喜べるような社会になっていくんではないでしょうか。
介護の仕事は、人生のピークである利用者さんと関わり、ディテールを大切にもできる仕事だと捉えています。人間には、それぞれ時間配分が決められていますが、介護の仕事では、一気にたくさんの人たちと出会いつつも、ひとりひとりと深く向き合える。深い関係を作る癖付けができるこの仕事は、より深い人生を歩むベースにつながるのではないでしょうか。
【「お風呂がない」。うちのデイサービスだからこそ経験できること】
介護の仕事は1つの能力や知識だけで推進することは難しいです。法律にも強くなる必要があるし、知識も学ばなければならない。そして、行政の人や地域の人、一回り以上上の年齢の利用者さんなど、多様な関係者とともに進める仕事です。だからこそ、相当なコミュニケーション力が鍛えられますね。それぞれの言語で話せるようになる必要があるため、幅広い対象の人とのやり取りができるようになると思います。
さらに、うちのデイサービスだからこそ経験できることも紹介します。うちには、お風呂がないんですが、逆に売りだと思っています。というのも、「ケアとは何をすればいいか」を熟考し、集中することができるから。それに、介護を経験したいけど、ガッツリはやりたくない、でもボランティアでは稼げない。そんな人にとっては、とてもいい環境だと思っています。ほかにもうちだからこその強みがあります。
① 小規模であること:小さな店を1店舗やるのと一緒で、経営を実践的に学ぶには丁度いい場所だと思います。大規模な施設の場合は、ある程度の年数をかけて現場で働く必要があり、時間がかかる。
うちでは、管理者の山崎と距離が近いですし、すぐにでもマーケティングやマネジメント、経営、経理、広報活動等、事業運営を実践的に学ぶことができます。
② 難しいことにチャレンジできること:飲食店であれば、商品を映してSNSに上げれば、それだけでお客さんが来るかもしれない。でもこの業界だとそうはいきません。マーケティングの視点で考えると、おじいちゃんやおばあちゃんが集まるような集会場に行って、宣伝をすることが良いのかもしれない。
そして新宿区という介護人材の確保が難しい地域で、採用活動を成功させるにはどうしたらいいかにも、思考を巡らせる。この業界、この新宿という地域だからこその難易度の高いことにチャレンジできる機会が得られます。
【こんな人と介護を楽しみ、創造していきたい】
ここまでの話をまとめると、こんな人にとっては楽しく働けるのではないでしょうか。
・利用者さんがこれまで過ごしてきた地域や文化、当事者に対する想像力を持ち、その機微が面白いと思える人。
・目の前で起きることがユニークであり、心地いいと思える人も楽しいかもしれません。一方で、介護の仕事を単なる肉体労働的な業務だと思ってしまう人にとっては、この仕事は面白くないかもしれません。
・介護という、まだまだ変化や難しいことが多く存在するこの業界でチャレンジすることを、楽しめる人。お風呂が「ない」ことに注目するのではなくて、「ない」ことをポジティブに転換するなど、強みを引き出し紡げる人にとって、楽しい場だと思います。
うちのデイサービスは、始まって数年ほど。まだまだ伸び代(のびしろ)がある状態です。これから入社してくれる人たちには、さまざまな関係者とともに、介護というフィールドを楽しみながら、主客一体の空間を一緒に作っていけたら嬉しいですね。
【おわりに】
介護という仕事を通じてワクワク楽しく働くことができる。それは主客一体のサービスを提供しているからこそ。今後は、私たちだからこそ伝えられる、介護の現場で日々語られる「ほろ酔い気分」の対話をお伝えしていきたいと思います。