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エンジニアにとって「いい会社」の条件

この記事はSilbird Advent Calendar最終日の記事です。
アドカレって31日までだと思ってたらクリスマスまででした。遅れたけど無事完走できてよかった。アドカレ担当してくれたみんなお疲れ!

改めまして、Silbirdの金子といいます。
簡単に略歴を書くと、普通科高卒で斡旋がきていたSIerへプログラマとして入社、その後10年間SI業界で3回転職し、Web業界へ。Webエンジニアになって半年もしないうちにディレクターになっていて、気付いたら起業していました。
いまや元エンジニアといっても、ラムダ式もLINQも知らないし、先日久しぶりにEC2立てて遊ぼうとしたらssh接続すら詰んでたようなレベルです。

元エンジニアと名乗るのも恥ずかしくなってきた私がいまやっているのは

  • 採用。職種を問わず、これから一緒に仕事を創っていく仲間を探す、見つける、招き入れる。
  • 文化。会社が大切にしていく文化を醸成し、行く先を示す羅針盤となる。
  • 広報。行く先に向かうために、採用を成功させるために、会社の情報を外部へ発信する。

他にもあるのですが、概ねこのあたりです。
創業5年目となる今年、Advent Calendarに初挑戦したのは、広報活動として私がCTO以下エンジニアチームに猛プッシュしたからでした。

エンジニアを採用したいけど難しい。ならば発信できることをしていくのみ。

転職を考えているエンジニアな方に興味をもってもらいたいので、自分のエンジニア半生を振り返ってみることにします。

高卒で入社した一族経営のブラック企業

私が最初に入った会社は一族経営で、会長の息子が社長で、社長の姉が専務で、会長の妻が役員で、みたいなヤバイ会社でした。社長のリアル暴力など独裁が横行していて、新卒同期15人いたのに私が辞めた年末のタイミングで残り3人程度。社長が若手社員を並べて端から順に殴っていくという世界で、さすがにおかしいだろうと考え、新卒勤務7ヶ月で退職しました。

19歳になりたてで、この時点でのスキルは、JDK1.1あたりのswingとか、汎用機の専用言語のみ。
後に知ることですが、この会社は数年後に倒産したようでした。

19歳に29万払うという自称ベンチャーなブラック企業

この頃、世間では2000年問題が落ち着いたころでした。まだWebで求人を探すどころか、一般家庭のパソコン普及率も低い時代だったので、コンビニで売ってる転職情報誌で探すことにしました。そこで見つけたのは、当時あまり耳にしなかった「ベンチャー」を名乗る会社で、職務歴1年もない19歳の小僧に月給29万も出すという。何をやるのか一切不明でしたが、そんなにもらえるなら多少ヤバくてもやれるだけやってみるか、と入社すると、普通の常駐型SIerでした。

初めての客先常駐現場に出て、ろくに何もできない小僧は、おそらく会社は随分な単価を吹っ掛けていたのでしょう、10も20も歳上の他社先輩方にしごかれる日々に突入しました。

そして初プロジェクトは加入1ヶ月で無事に終了、解散。明日から新しい現場か、がんばるぞ!と思った矢先、営業担当から

営業「次の現場きまってないので自宅で待機してください。」
金子「はあ。自宅で何していればいいんですか?」
営業「何していてもいいですが、待機中は給料発生しないので、スキル磨いておくといいですね」
金子「え?正社員っていいましたよね?雇用契約書にも正社員ってありますよね?」
営業「うちはそういう決まりなんです(^^)」

会社都合で無給期間が出るのでは生きていけないので、1ヶ月で退職となりました。
給料は提示額通りきちんともらえましたが、交通費は支給されませんでした。

20歳くらい歳上のおじさんに拾ってもらったSIer

次はきちんと選ぼうと決意して会社探しをはじめましたが、今度は世の中すべてが怪しく見えてきて、選べなくなりました。

これは困ったぞ、というところで、1ヶ月同じ現場でかわいがってくれていた20歳くらい歳上のおじさんが

「おまえ、若いし、仕事もできてたし、うちもそこまでいい会社とはいえないけど、よかったらくるか?」

と誘ってくれて、おじさんたちが所属する50人規模のSIerに入社します。10代の社員は自分のみ、どころか20代もいなくて、みんな30代以上のおじさんカンパニー。

3年ほどいろいろな現場にいって、NEC富士通IBM日立といった大手メーカー系の仕事を盛りだくさん経験しました。はじめて会社や現場のひとたちと飲んだり、プライベートで遊びに行ったりして、仕事づきあいってのもいいもんだなって思いました。給料もちゃんと払ってもらえて、22歳で月給22万程度、普通科高卒だし年齢✕1万円あれば悪くないだろう、と満足していました。技術的にはVB6をしこたま触り続けた3年でした。

3年経ったころ、業績が悪くて潰れそう、という噂が流れていて、おじさんたちも暗い雰囲気で、やばいのかなぁ、と思っていたタイミングで、別のSIerで働く友人から「こっちこいよ」と誘われて、はじめてまともな退職と転職を経験しました。未熟なくせに生意気な小僧をとても可愛がってくれていたおじさんたちに、心から感謝しました。

尊敬する経営者が率いる暖かいSIer

30人規模で役員も社員も仲がよく、とても暖かい会社でした。売上を利益にあまり回さず、社員に多く還元してくれていて、毎年家族同伴の社員旅行を振る舞っていたり、昇給幅も大きく28歳で600万円を超える年収をもらっていました。当時のSI業界では考えられないほど相当に優遇してもらえていたのでした。

はじめて仕事でまともにJavaやC++、C#を扱うことになり、インフラの端っこにも触れさせてもらえたり、スキル的に大きく成長させてもらえました。エンドユーザー直請けの仕事も多く、より責任あるイニシアティブが求められ、ビジネスマンとしての基礎応用が養われました。新卒の採用も積極的で、新人教育にも参加させてもらって、一緒にSJCやOracleMasterなどを受験したり、厳しくあたりすぎて新卒社員を辞めさせてしまったり、多くの経験をさせてもらいました。

とてもいい会社というか経営者で、今でもお世話になった皆様には感謝が止みません。働くということ、会社とは何か、お金を得るということはどういうことか、大事なことをたくさん教わりました。

リーマンショックの影響や海外籍の低単価エンジニアの進出などで、SI業界に翳りが差したころ、5年強在籍して28歳でした。残り少ない20代、転職するには重要な局面でしたが、一念発起してソーシャルゲーム開発会社への転職を決断しました。

業界の風雲児と呼ばれたカリスマ創業者のSAP

サンシャイン牧場がmixiで流行っていた頃でした。ガラケーではモバゲータウンで怪盗ロワイヤルが社会現象化していました。課金という言葉がいまほど市民権を得ていない時代で、課金しているのはキャバ嬢とホストだとか言われていて、触ってみると「こんなのゲームって言っていいのか?」と、逆に言えばこれくらいなら簡単に作れるんじゃないか、と高を括っていました。もちろん簡単ではなくて、直後に打ちのめされることになります。

この転職では年収が60%ダウンする代わりに、一発当てればインセンティブでガッポガッポやでウヘヘみたいなウマい話で、住宅ローンと子供2人を持つ身でよく飛び込んだものでした。結局インセンティブが本当に支給されるのは随分あとのことになり、29歳子持ちで手取りが20万ないという、しかしながら目の前の超絶過酷な仕事を攻略していくしかないという、めまいがするような日々でした。

程なくしてこの会社はとんでもない急成長を遂げ、入社時30人強だったのが2年で700人、売上高は300億みたいなスケールになり、カリスマ創業社長はM&AでExit。カリスマを失った会社は内部崩壊していき、私も退職することになりました。

崩壊が進む会社からは優秀なメンバーほど早く見切りをつけて退職・転職していくものです。爆発的成長を担ったメンバーは早々に去り、その後は大手企業で活躍していたり、独立創業して成功を収めていたりします。

労務とか法律とか無視したベンチャースピリット燃え滾る働き方の中で、途中から企画職に転身して開発から遠ざかって久しかったので、この時点でエンジニアとして食っていく人生は断ちました。

前職の仲間たちと創業

前職で死にかけるほどキツかったけど最高に充実していたころをもう一度再現したい。
せっかく作った最高の会社が崩壊していくのは耐えられない。

そんなことを考えていて、私より先に退職して、引き篭もってひたすらネトゲをしていた現CTO、フリーランスでアナリストを始めていた現取締役と合流し、Silbirdを創業することにしました。

以上、私の社会人18年の軌跡をご紹介しました。
翻って、今度は雇用する側に立った私が、Silbirdで実現したい採用の話を書きます。

エンジニアが会社を選ぶときの判断材料

企業の経営資源と同じく、転職で会社を選ぶときにも、ヒト・モノ・カネはまず重要な要素になるはずです。

ヒト

実務は主にコンピュータと付き合う時間が多く配分されますが、ソロプロジェクトでもない限りはチームで仕事をするはずです。信頼・尊敬できる先輩、上司、経営者、同僚がいるということは、働く上で重要なことです。

2017/12時点でSilbirdにはCTO以下、7名のベテランエンジニアと、超ギークな学生アルバイト3名のエンジニアが在籍しています。強み弱みや癖は様々ながら、共通して言えることは「みんないい奴」です。
こんなヒトと働きたい、に応えられる多種多様なメンバーが揃っています。

モノ

SilbirdはC#/ASP.NETをメインにAWSを使った開発をしていて、技術に対して上向きで前向きです。新しい技術、知識、仕組みに貪欲です。いつまでも同じことをしていたくない、飽きっぽい性格のCTOです。

「新しいソリューションを入れてみたい!」とか知的好奇心旺盛な要望を出すと、「わかった、入れてみて?」と返されると思って間違いないでしょう。

その技術で何をするか?の方に重きを置いて考えるひとにとって、近い思考をするメンバーが多いので、居心地がいいはずです。逆に特定の技術を究極的に究めたいひとには、合わないでしょう。

カネ

SI時代は転職と年収UPをセットで考えていました。市場価値を煽るネット広告をクリックしていた時点で、そこ止まりだったということなんですね。自分の価値を理解しているエンジニアは、自身が成し遂げたこと、プロダクトに貢献したことに対して、正当な評価を率直に求めます。

努力や能力が正当に評価されないことほど切ないことはありません。

それに応えていくため評価に力を入れていて、職能とSilbird-Way(企業クレドのようなもの)を別軸で評価しています。出来ることを増やしていくことも重要だし、会社を創っていくHowを集約したWayを体現していくことも重要だからです。

おもしろさ

SIer当時に私が学んだのは、年収UP以上に仕事の本質的な喜びやおもしろさについてでした。
きちんと働き、きちんと稼ぐことの尊さを学びました。
本当にユーザーが求めるものを技術で解決・実現できる事実が、まるで魔法なのかと思うほど面白かったです。

綺麗事をいいたいのではなくて、苦労してがんばった結果が誰かの助けや喜びになるということは、本質的に嬉しいことなのです。

文化

会社文化というものに、正しいも正しくないもありません。
これがいいんだ、という人もいれば、こんなのおかしい!と思う人も絶対にいます。

会社で起きる出来事や決まり、方向性などに対して、不満がゼロというはずがありません。
大事なのは肯定も否定も言える、話し合える、会社自体のPDCAを回せることだと考えています。

文化・会社のカラーと、そこで働く人がマッチすること、これが何よりも一番重要な要素なのではないかと思うのです。

いい会社の条件

まとめます。
転職を検討している会社に、以下の要素は達成できているでしょうか。

  1. いっしょに働きたい人がいること
  2. 技術の使いみちがあること
  3. 正当な評価をする上長、経営陣がいること
  4. ユーザーを喜ばせるおもしろさがあること
  5. 会社文化とマッチすること

もちろん、私が考える条件なので、これが全てではないでしょう。
Silbirdは1.〜4.に自信があります。
残す5.はマッチングなので、ぜひ会いに来て確認してもらいたいです。

著名な企業ではないSilbirdを進んで指名して入社したい!といってくれる絶対数は少ないはずです。
そもそも知らないんだから、興味をもってもらえていなくて当然なんです。

こうして少しでも発信をしていくことが、転職を希望している人の目に届いて、会いに来てくれることを願っています。
入社に至らなくても、お互いにとって価値のある時間に出来ると思います。
ぜひコンタクトを!

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