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社長百景 2

 私は美大志望だったので、高校3年の夏休みは、 デッサンの塾へ行ってみました。
 「行ってみた」と、わざわざ書いたのは、 行ったほうがいいのかなぁ~的な空気感や、 いや、これでいいんだ!という確信が、 当時の私には、まだなかったからだと思います。

塾へは行ったものの、何か馴染めず、 やはりサボって遊んでばかり、 でも、ひとつだけよく覚えている出来事がありました。  夏休みの終わりに、生徒も先生も一堂に会して、 それぞれの成果を総評する機会があるのですが、 その中で、ある生徒が質問をしたのです。 私が、絵を描いていると、 A先生が来て、「もう少しバックを強調するといい」と。 そうかと思いバックを強調しら、 翌週B先生が「バックより対象自体をもっと強調して」と。 対象自体を修正すると、 翌週C先生に「もっと全体を観て」と・・・。 「私は、一体どの先生の言葉を信じればよいのでしょうか?」という質問でした。

 その質問に共感する生徒も多く(私もその一人でした)、 先生たちは、みな黙り、会場は静まり、みな固唾をのんでいました。 すると、一人の先生が答えたのです。 「どの先生のアドバイスも正解だ。 その上で、君が将来なりたいと思う道を、 先駆けて歩んでいる人のアドバイスを聞けばよい。 ピカソもゴッホもルノアールも、みな正解。 全くスタイルは違うが、みな基本は出来ていて、 その上で、個性が花開いている事は君にも理解できるだろ?・・・と。

 「私が馴染めなかった何か」の正体が、わかったような気がした出来事でした、 それ以来、私は人生の節目、進学、就職、転職、結婚もそうかも知れません。 30年以上それを活用してきました。 そして50代になった頃、 お世話になった70代のアメリカ人コンサルタントが、 別の表現で、私に同じことを教えてくれました。 「幸せのコツはね、 自分にとって正しいと思える人を、選ぶ勇気だよ」と。

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