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新年度スタート 4本新記事連続アップ~第2弾~


新記事連続アップ第二弾は、代表がセキュアの立ち上げから、社会においてセキュアが果たす役割などをインタビュー形式で語ったIRTVの動画を記事化したものをアップいたします。

この記事はIRTVの動画内容を元にしています。(出典:IRTV for YouTube)


AI×監視カメラの進化と成長戦略~なぜセキュリティ業界か?

▶セキュリティに興味を持ったきっかけを教えてください。

セキュア代表取締役社長・谷口辰成(以下、答えは全て谷口):

元々、私自身は事業をやる上で、「直接的に社会性のある事業を行いたい」と考えていました。2000年頃に監視カメラシステムに初めて触れました。2000年より前では、カメラから同軸ケーブル(昔のファミリーコンピュータをつなげていたケーブル)で、VHSのテープレコーダーに記録していたのが元々の監視カメラシステム記録媒体になります。

2000年前後には、カメラのケーブルを直接Windowsに差し込み、Windows上でアナログの画像をデジタル化してハードディスクに保存し、インターネットを経由して遠隔で見るなど、監視カメラのデジタル化が初めておこなわれました。それを見たときに「人工知能(AI)やIoTといった世界がいずれくるだろう」、また「監視カメラに頭脳が搭載されると、いろいろな可能性があるのではないか」と想像していました。

一方でセキュリティ業界は、セコム様が数十年前に、いわゆる「機械警備」を発明して以来、さほど大きなイノベーションが起きていなかった領域です。しかし、画像認識技術や画像のデジタル化という大きなトレンドの中で、これから大きなイノベーションが起きる領域になると考えました。事業の社会性と技術の先端性を見て、私自身にとってやりがいがあり、可能性のある事業だと見込みセキュリティに着目しました。

拡大する日本の市場規模

▶現状のセキュリティの市場環境について教えてください。

谷口:

今の日本には監視カメラが日本全国に約600万台設置されていると言われており、これは人口20人あたりに1台の計算になります(2024年1月時点)。海外に目を向けると、1人あたりのカメラ設置台数が最も多いのがロンドンです。

ロンドンは昔、とてもテロが多い地域でもあったため、多くの監視カメラシステムがいろいろなところに設置されています。ロンドンでは人口3.5人に1台まで監視カメラが網羅されており、どこに行っても安心安全、セキュリティの傘の下でカメラに見守られているような状況で、これが飽和市場と言われる理由です。

日本は、人口1人あたりの犯罪認知件数で見ると、世界の中でもとても低水準で治安の良い国になります。データによると、今は全国に600万台(2024年1月時点)、つまり20人に1台になりますが、将来的には10人に1台、1,200万台までは設置されると言われています。さらに、カメラセキュリティだけなく、AIと組み合わせることでいろいろな応用が生まれ、とても大きな成長の可能性を秘めているマーケットと言えるのではないでしょうか。

最近では犯罪捜査に監視カメラが使われるようになってきています。以前の犯罪と最近の犯罪の傾向で大きく違うのは、以前は縁故の関係で犯罪が起きていましたが、最近は憎悪の対象が例えば社会や特定の組織となり、無差別的、突発的に犯罪が起きています。関係性を特定するのに多くの時間を要するため、犯罪捜査へのカメラの利活用が進んでいる状況です。

いろいろなところで生命と財産を守るだけでなく、最近は企業では内部不正対策としても利用されています。SNS上で風評被害にさらされ、とても大きな経済的ダメージを受けるため、自己防衛のためにも安心安全な環境を作っていくことが今とても重視されています。そのような観点においても、カメラの需要は今後も大きく広がっていくと考えています。


海外の先進的な事例

▶海外の先進的な事例も教えてください。

谷口:

日本にはなくて海外にある大きなマーケットとして「パブリックセーフティ」というマーケットがあります。日本でもいずれこの市場が大きくなると見ています。

パブリックセーフティとは、街中にカメラを設置し、治安維持のために警察や自治体が運用していく仕組みです。先ほどのロンドンの事例のように、先進国の主要都市には人口に応じて一定数のカメラが設置されています。現在は警察官も人手不足が深刻のため、カメラを運用することで治安維持をおこなっている状況です。

アメリカでは犯罪が起きたことをAIが発見するのではなく、犯罪が起きそうな地域をAIで予測する新たな取り組みもおこなわれています。「この地域で犯罪が起きるかもしれない」という予測において、AIを活用した研究や実証実験も進んでいますね。


市場におけるセキュアの役割

▶セキュリティ業界の中で、セキュアはどのような位置にいるのでしょうか。

私たちは監視カメラを運用してより効果を発揮すると共に、セキュリティを含む多様なニーズに対し、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせて運用ニーズに確実に応えられるようなポジションをとっています。

先ほど、日本では監視カメラが約600万台ついているとお話させていただきました。そのほとんどは何か問題が生じたときに証拠映像として残しておくか、カメラがついていることによる抑止効果を期待されていて、普段はそれほど使われていません。

しかし、普段からカメラを使うと、犯罪をすぐに発見することで2次被害を防げます。お店に設置しておけば、カメラはリアル空間で起きていることをすべてデータとして記録しており、それを解析することによって店内で来店客の行動分析として活用できます。そのような形で運用していきたい顧客に対し、的確なシステムを提供しているのが我々の事業です。


セキュアの販売戦略

▶どのような販売の仕組みを構築しているのでしょうか。

谷口:

9割はパートナー様を経由してのご依頼になります。最近では、スタートアップの界隈でも顧客獲得に向けてマーケティングに力を入れている企業が多くなっていますが、我々は一番手に声がかかるというよりも、二番手に声がかかる状況です。

AIに対する期待値が高くなりすぎたり、価格感が合わない中での要望もあったりする中で、まずは他社様でいろいろとトライアルしていただきます。そして、ユーザー様が技術と価格の相場感を把握し、ユーザーが抱える課題を最も効率的に解決できるところを探していただくと、弊社にたどり着く形になっています。

戦略としては、一番手として声がかかるというよりは、二番手候補の中から最初に声がかかるようなポジションを取っています。最近は規模が拡大したこともあり、マーケティングも強化していますが、業界のニーズや技術的なボトルネックの解決を強みとしてお伝えすることで顧客から引き合いをいただいています。


ソフト×ハードを提供できる強み

▶ソフトとハードを組み合わせて提供できることが強みですね。

谷口:

この部分の良さはサービスを1回利用するだけでは、なかなかわからないかもしれません。例えば、ソフトウェアとハードウェアを1対1で組み合わせるわけではなく、中堅・中小企業から大手企業にいたる我々の顧客は、カメラ台数が1,000台、多いところでは10万台、20万台になります。

膨大なカメラを運用していくときの課題は、一度使ってみないとわかりません。そのような中、我々は顧客が実際に使っていただく過程で、使いにくさや技術的な課題を顧客にお伝えしています。




AIによるソリューション事例

▶AIを用いたソリューションとして、どのような事例があるのでしょうか。

谷口:

オフィス関連では、顔認証の引き合いが増えてきています。これまではカードを使ってオフィスの出入りをしていました。基本的には物理的に誰が何を持っているか管理しなければなりません。カード化してしまえば、成りすましもできてしまうため、セキュリティとしては課題がありました。

そこでAIを活用することで、確実に本人であることを確認でき、オフィスの出入りで顔の表情から体調を分析したり、勤怠と組み合わせたりしたソリューションを提供できます。また、最近はコロナによってテレワークやフリーアドレスが進む中、オフィスの混雑度やオフィスの中の滞在者も把握できるでしょう。ワンタイムパスを発行することもできます。

最近では24時間営業のフィットネスジムがとても増えてきていますが、ジムは半無人化で運営されていますよね。ICタグやカードでは成りすましをしたり、会員でない友達を連れていってしまったりします。既存の会員様にとっては混雑することで不満足を与え、店舗運営する側には機会損失が生まれてしまうでしょう。

AIを活用すれば、本人でないと入れず、ユーザー様は手ぶらで行けるため利便性が高まります。また、1人しか認証してないのに2人が入室した場合、AIでそれを認識してアラームを鳴らすこともできます。さらに、地域や会員属性によって好まれるマシンが多少異なるため、カメラを使って各マシンの稼働状況を分析することもできます。


カメラの進化と今後

▶運用されていないカメラや運用できないカメラは、今後どのようになるとみていますか。

谷口:

きれいなだけ、安いだけのカメラはレッドオーシャン、つまり競争がきびしくなっていくでしょう。一方でカメラの進化については今、生成AIがとても話題になっていますが、カメラ動画像を使った部分のAIの進化は黎明期です。ロケーションがバラバラで、光と影といったノイズがたくさんあるため、動画をAIで解析するのは難易度が高いものになります。

現時点でAIは「人がいます」「人がナイフを持っています」といった物体の認識はできますが、状況の判断まではできません。しかし、今後はそのような状況判断もできるようになるでしょう。具体的に言うと、例えば「厨房で刃物を持っている人」は正常な一方、「教室で刃物を持っている」のはとても異常な行動であり、そのような状況を判断します。大切なのは認識をするだけでなく、認識をした後、どういうアクションを取るかです。

今後はカメラシステム、自動ドア、エスカレーター、エレベーター、他の制御機器と連携して自動で動作を止める、あるいは扉を開く、アラーム鳴らすことができるような形に進化していくのではないでしょうか。各社、地域によって求められるAIは異なります。地域、用途、業種に特化した形でAIを進化させていくことが必要でしょう。

▶どのような要望が多いでしょうか。

谷口:

今はどの会社も人手不足になってきています。例えば、今まで店舗に3人の店員を配置していたところが1人だけになってしまうと、万引きが増えるなどの問題が起きるため、人手が減ることによる「セキュリティ強化」が挙げられます。それ以外にも、例えばデータセンターなど、「遠隔運用」や「半無人化運用」、「省人化運用」が増えており、そのような分野でのニーズがとても高まっている状況です。


海外展開について

▶海外展開については、現在進行形で取り組まれているのでしょうか。

谷口:

すでに東南アジアの一部地域で商業施設にセキュリティのカメラ、AIを用いた混雑度の把握、フロアごとの人の滞留チェックなどのサービスを導入しています。今後、東南アジア・中東・南米・アフリカ地域で大都市の開発が進んでいくときに、電気・ガス・水道と同じように、安心安全のインフラとしてのセキュリティが大規模に設置されるプロジェクトが展開されるでしょう。それらの市場に対し、中長期的に着実に取り組んでいく方針です。


セキュリティ業界の未来

▶今後はどのようにセキュリティ技術を使って展開していく考えでしょうか。

谷口:

複数の選択肢があります。今、私たちが注力しているのはリテールDXです。店舗系の顧客に対するカメラの利活用を進めていきたいと考えています。今は人手不足のため、小売店は人が集められず、お店はできているもののオープンできない状態です。コンビニも24時間営業していましたが、なかなか人が集められないため、深夜営業をやめるといったことが起きてきています。

人手不足のところに対して我々は「無人店舗」「AI STORE」という形で新しい取り組みを行っており、無人化、省人化のための新しいソリューションを提供できます。また、リテールメディアと連携させることで、1対1のターゲティング広告や、来店客が買い物をするサポートとしてのサイネージの利活用などにもつなげられます。今後はそれらの分野に力を入れていく方針です。



今後の成長戦略

▶最後に、今後の成長戦略をお聞かせください。

谷口:

私たちは成長戦略として3つ掲げています。1つは既存ビジネスです。セキュリティの需要が今後も高まる見込みである中、我々は堅実に運用をして効果を発揮し、多目的に使うためのソフトとハードを組み合わせたソリューションを得意としています。この部分は伸び代が大きいと見ており、まず1つ目はここの部分で着実に成長させていく方針です。

2つ目は、先ほどお話したリテールDXになります。今、AI STOREのPoCを行っていますが、こちらを軸にしたリテールDXのソリューションを、セキュリティと掛け合わせて提供していく意向です。

そして3つ目は、東南アジアを中心とした海外展開に中長期的に取り組み、今後も大きく成長させていこうと考えています。

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