Right Brothersに対して「最初は不信感しか抱いてなかった」という淺野さんが、なぜ業務委託として2年以上も関係を続けることになったのか、お話を伺いました。
– Right Brothersとの出会いについて教えてください
2020年の12月、フリーランスで悠悠自適な生活を送っていた時に、Wantedlyでスカウトメッセージを送ってくださったのが、Right Brothersの代表の高野さんでした。正直、聞いたことのない会社だし、高野さんの存在も初めて知ったので不信感しか抱けなかったのですが(笑)、時間に余裕があったのでオンラインで話を聞いてみることにしました。
僕がもともとIT業界で営業を経験していた人間だったからか、最初は「Webに強い転職エージェント」として正社員での入社をオファーしてくださったのですが、僕が会社員に戻る意思が無いことや、スキルやモチベーション的にコンテンツマーケティング関連の仕事であれば価値を提供できる可能性があることなどを伝えたところ、僕のために機会を設けてくれました。
とはいえ、その時点でもRight Brothersのことを信用できておらず、当時は「なんだかんだで、3ヶ月かそこらでRight Brothersさんとの仕事は完遂するだろう」と思っていたので、まさかそこから2年以上も関係が続くなんて全く想像していませんでした。
– なぜそれほどの期間、関わることに?
高野さん自身が、ライティングの価値や重要性を熟知していたことが非常に大きかったです。
テキストコンテンツというものは、一人歩きして会社に価値を生み出し続ける資産となり得ますが、その成果は数値化されにくく、さらに短期的に結果が現れるようなものでもありません。そのため、さまざまな面で余裕の無い組織・経営者の場合は、目先の収益を上げることを最優先事項に掲げるため、コンテンツ施策に関しては後手後手の対応になったり、そもそもライティングの重要性や可能性に目を向けてすらいなかったりします。もしくは、せっかくコンテンツを運用し始めても、「やっぱり売り上げに繋がりそうにないから」とすぐに打ち切る判断をされる経営者も少なくありません。
会社によって判断基準や経営方針、置かれている状況は異なるため、それが「悪い」と言いたいのではなく、高野さんの場合は「ライティングの価値を理解した上で、そこに投資できる余裕も持ち合わせている経営者だった」ということです。そういった意味では、テキストコンテンツを介して課題解決に取り組んでいるフリーランスの僕にとって、高野さんは稀有な存在でした。少ない情報から一瞬で想像を膨らませて即断即決できる能力の高さも、本当に尊敬できます。
– 確かに、判断はものすごく速い印象があります。
今までこのような経営者になかなか出会えず苦労していた僕は、直感的に「この人の役に立ちたい」と思うようになっていきました。学年が1つしか違わず、もともと営業経験もあった2人なので、個人的には話のテンポも合うような気がしています。
といっても、高野さんと直接会う機会は年に数回程度で、初めて会ったのも、たしか2021年の初夏だった記憶があります。それでも僕にさまざまな機会を与えて仕事を任せてくださっている懐の深さ、器の大きさにはいつも感心しています。
– 具体的に、なにかエピソードはありますか?
僕が今携わっているプロジェクトが立ち上がってすぐの頃、僕が取り仕切っている案件で、お客様にご迷惑をおかけしてしまったことがありました。その時も、高野さんは「謝罪するのが僕の仕事なので!」と数時間かけて自らお客様のもとへ足を運んでくれたのですが、それはまさに僕が抱いていた理想のリーダー像そのままでした。この高野さんの計らいを無下にできるはずがありませんし、これが今の仕事の最大のモチベーションになっています。
– 淺野さんの仕事内容を教えてください。
僕がRight Brothersと関わり始めて半年ほどが経過した時、高野さんから「新しく立ち上げる予定の事業について相談したい」と連絡を受けました。高野さんと直接会ったのは、この時が初めてです。
そこから数ヶ月の準備期間を経て、現在は日本M&Aセンターと幻冬舎との共同プロジェクト『KANPAI』のコンテンツプロデューサーとして、『THE WAY』というコンテンツ制作全般を統括しています。人生をかけて会社を経営してきたオーナー様の半生を冊子にまとめ、「経営者としての生き様や想い、人生哲学」といった目に見えない価値を形に残す、大変意義のある取り組みだと考えています。
この制作にあたって、譲渡側としてM&Aを実施されたオーナー様と時間をかけて打ち合わせをおこない、自伝のようなコンテンツをまとめ上げるのが僕の仕事です。
全国のオーナー様が対象なので、このプロジェクトが始まってから現在までの約1年半で、東北から九州まで数十の地域に足を運ぶこととなりました。今だから言えるのですが、それまで出張とは無縁の超インドアな社会人生活を送っていた僕にとって、プロジェクトが立ち上がった頃は長距離の移動を伴う仕事にかなりの抵抗がありました。しかし、それも何度か経験しているうちに慣れてしまうもので、自分の成長を実感すると共に、このような機会を与えてくださったことに感謝しています。
– プロジェクトの立ち上げから参画されてるんですね。
『THE WAY』の制作に協力してくださるライターさんやデザイナーさん、印刷会社さんなどは僕自身が探し出し、面談を経てアサインしていますが、これについても高野さんから意見を出されたことはありません。Wantedlyの募集も業務委託である僕が独断で出して、面談と採用、そしてマネジメントまで対応しています。とにかく僕に(良い意味で)丸投げしてくれるところは、プレッシャーでもありますが、それだけ信頼してくれている証拠だとも考えています。この期待に応えることが、目先の僕のミッションです。
– 仕事の現場で心掛けていることはありますか?
オーナー様は、それまでの経営者人生において多くの悩みを抱えて、複雑に絡み合ったさまざまな事情を総合的に見極めた上で、M&Aという大きな決断をされています。そこで動く金額も決して少なくありませんし、M&Aによって生活や人間関係にも大きな変化が生じることもあります。
まずは、その気持ちを理解することが重要です。その上で、「M&Aをして良かった」とご本人にあらためて実感していただき、さらにオーナー様のご家族やご友人など身近な方々にもその想いが伝わる冊子を制作することで、結果的にM&Aの正しいイメージを世の中に広めていければと考えています。
– どんな時にやりがいを感じますか?
オーナー様との打ち合わせ時に、その方の過去の体験が現在にどのような影響を与えているのか、その点と点が繋がって線のイメージを描くことができた瞬間は「これは良い冊子に仕上がるかもしれない」と独特な快感が得られます。また、経営の第一線でご活躍されてきた方のお話を直接伺うことで、個人事業主である僕自身も学びが得られますし、日常のトークの引き出しを増やすこともできます。
ただ、やはりそれ以上に、『THE WAY』を制作させていただいたオーナー様から「完成品が無事に届いた。こんなに素晴らしいものを作ってくれてありがとう」と直接連絡をいただけたり、増刷を依頼してくださったりした時は、普段は冷静な僕でもガッツポーズをしてしまうほど喜びが高まります。
– どんな人と一緒に働きたいでしょうか。
仕事で関わる方々との立場は対等なので、僕が「こんな人と働きたい」と一方的に考えるのはエゴのような気がしなくもないのですが、あえて答えるとするならば「ロジカルに考えられる人」です。経験上、スキルや実績、まして資格なんてものについてはそれほど重要ではないと思っています。
『THE WAY』の制作にあたって、複数のライターさんやデザイナーさんに協力していただいていますが、僕にとってはライティングもデザインもただの手段であって、その本質は「課題解決」です。つまり、「自分が解決しなければならない課題はなんなのか。そのために自分はプロのライターやデザイナーとしてどのように価値を提供できるのか。その課題を解決することで誰にどのような未来が訪れるのか」ということを論理的に捉えられる思考力・想像力こそが、このプロジェクトを一緒に進めていただく上で欠かせない要素ではないかと考えています。
コンテンツは、こちらが差し出すだけでは無価値です。それを受け取る相手がいて、そして行動変容を促すことができたり、感情を動かすことができたりして初めて価値が生まれます。だからこそ、普段のコミュニケーションから習慣的に受け手目線で考えられるような方でなければ、この仕事は務まらない気がしています。
– 淺野さん自身が仕事で意識していることはありますか?
僕がチームとして仕事をする上で個人的に掲げているテーマは「相互理解とリスペクト」です。完璧な人間なんているわけがありませんし、強みと弱みがあるからこそお互いに補完し合って、その相乗効果で大きな価値を提供できる関係が構築されるものだと考えています。僕も多少はライターとしての経験がありますが、僕よりも優秀なライターさんなんて山ほどいますし、デザインに関しても僕は素人なのでプロのデザイナーさんを頼るしかありません。
その方々と一緒に良い仕事をするためには、お互いの強みと弱みを理解することと、そして仲間の存在があって初めて自分も価値を発揮できているのだというリスペクトの気持ちを忘れないことが大切だと思います。
仕事は信頼関係で成り立っていると思うので、どうすれば相手から信頼を得られるかを自分の頭で考え、そして自発的に行動できる方がいれば、ぜひ声をかけていただきたいです。