こんにちは、ビジネスストラクチャリングチームの笹田です。
「Ridge-iは一体何をしている会社なのか」
私がRidge-iに入社してからの一年間で何度この質問を頂いたことでしょう。そしてこの質問を頂く度に「AIの開発をしている」という旨を(実際はもう少し詳細に)伝えるのですが、プロダクトなど目に見えるものがない為、説明が行き詰まってしまうことがほとんどでした。
クライアントとのプロジェクトは守秘義務の関係で伝えることができず、結局は「その会話が終わるまで無言で微笑み続ける」という私が編み出した必殺技を繰り出し強制終了させることがほとんどで、とても心苦しい想いがありました。
しかし今回、お米の計量にうるさい(参考:お揃いのエプロンを身に着けて)エンジニアのアナーが、Ridge-iの仕事を説明するのにうってつけのAIを開発してくれたので、ご紹介したいと思います。
Ridge-iで手がける多くのAI開発プロジェクトは大きく以下のような流れで進みます。
1. クライアントの課題やニーズを的確に汲み取り、見える化
2. 課題解決に向け最適なAIを設計、開発
3. 実際のクライアントの環境へのインテグレート
こちらの流れについて、アナーが R&Dの一環としてプロトタイプ開発してくれてた 「歩行可能なフロア部分を検出するAI」で説明をさせて頂きます。
1. クライアントの課題やニーズを的確に汲み取り、見える化
今回は社内R&Dの一環としてのトライアル開発の為、クライアントは存在しません。ただ、「将来こういった技術が必要になるだろう」という社内の声から、アナー自身が「本技術はこういった状況で活用することができるのではないか」という仮説設計を行い、さらに低予算、短期間といった他の条件も踏まえた上で、開発するAIの概要図をまとめてくれました。概念的アイデアを、具体的な活用をイメージできる状態まで落とし込み、提案。これはまさにRidge-iのコンサルタントが普段行っている業務そのものです。
2. 課題解決に向け最適なAIを設計、開発
このステップで最も大切なのは、課題を解決する為に「最適」なAIを設計することです。AIという広義の意味を持つものを、さらにそれを課題解決向け最適に設計する。どのプロジェクトにおいても、最も難しい部分となります。Ridge-iの考えるAIとは、機械学習やディープラーニングといった最先端の技術だけではなく、時には単純なルールを組み込み、クライアントの課題を最も適切な方法で解決する仕組みです。今回アナーが開発したAIは、「歩行可能」なフロア部分を見つける必要があるので、単純にフロアを見つけるだけでは意味がありません。フロアを歩いている他の人や障害物の検出も必要で、さらにその情報からどのエリアは歩行不可なのか、ということを認識する必要があります。そういった条件を踏まえて、使用するモデルやデータセット、さらにはルールを設計していきます。
設計が完了した後は、その思想をコードに落としていきます。この辺りの詳細説明については、アナーから説明を受けましたが、文章に落とせる気がしないので華麗にスキップします。アナ-のエンジニアリングブログに期待しましょう。
(Update: アナーがブログを書いてくれました。本文は英語となります)
3. 実際のクライアントの環境へのインテグレート
最後のステップは、クライアントの実環境へのインテグレートです。AI開発の面白いところは、開発して、納入して、「はい、おしまい」とはならないところです。実際のクライアント環境に合わせて、AIを育てていく、ということが作業が必要になります。
今回のケースで言うと、撮影した大手町ビルは壁とフロアの色や質感が似ており、AIが壁をフロアと認識してしまう問題が発生しました。このままでは、AIが壁に激突してしまう恐れがある為、絶対に避けなければいけません。今回どういった工夫を行ったかの詳細を開示することはできませんが、データセットの追加や比率の調整、モデル内のパラメータ変更、さらにはルールを組み込むことで、この問題を解決することができました。
クライアントがAIを活用する環境に合わせて、こまめな調整を行い、AIを最適な姿に育てていくこともRidge-iの大切な役割となります。
AI開発と言えば聞こえはオシャレ感が溢れ出ている感じですが、実際に行っている作業は、精度を担保する為に外注せずに何百枚もの画像にラベル付けをしたり、精度向上に向けたパラメータ調整をひたすらに繰り返すといった地道なものがほとんどになります。ただすべての作業はクライアントへのインパクト、さらには社会へのインパクトに直に繋がるものだと信じているので、全員が努力を惜しまず日々取り組んでいます。
長文かつ駄文の為、ご理解頂けたか非常に不安ではありますが、少しでもRidge-iの普段行っている業務についてイメージを持って頂けたなら嬉しいです。
「自分もこんな仕事をしてみたい!」という方、いつでもご連絡をお待ちしております。