1
/
5

患者様と医療従事者のために。新しい命を育む手助けをする、リプロライフの「Ready to Use」

株式会社リプロライフは、卵子・胚の凍結融解キットの開発、製造、販売を行っています。徐々に一般に認知されはじめてきた不妊治療領域ですが、リプロライフは実際にどんな製品を提供し、どんな成果を上げているのでしょうか。

今回は、常務取締役の眞野さんにお話をお伺いしました。リプロライフだからこそ発揮できる強みや優位性、不妊治療に対するこだわりについても語っていただいています。

ユーザビリティを高め、成績向上を見据えた不妊治療領域の新製品

―リプロライフの主力製品について、簡単に教えていただけますか?

眞野:リプロライフは設立から12年、一貫してクライオテック法を用いた卵子・胚の凍結融解製品を販売してきました。クライオテック法とは、ヒトの卵子・胚の凍結及び融解を行うために有効なガラス化法を指します。

ガラス化法とは、簡単に言えば「物体を液体窒素内に長期保管しても、水分の結晶化によるダメージを受けないようにする方法」ですね。ガラス化によって、卵子または胚は液体窒素による凍結のダメージを受けることなく、長期保存が可能になります。SF映画に出てくるコールドスリープをイメージするとわかりやすいでしょう。

当時、当社会長の桑山が考案したガラス化法にもまだまだ改善の余地がありました。そこで、ガラス化のプロトコルはそのままに、アップデートを行ったのが当社製品です。不妊治療領域において後発でアップデートされた製品だからこそ、従来よりもユーザビリティに富み、治療成績に直結するような細かいアイデア・工夫が散りばめられています。なおかつ、誰が利用しても同じ成績を得られるような「平準化」をキーワードに開発して参りました。

「クライオテック法」自体も、当社が昨年ローンチした新製品により、今では旧法になりました。現在は「Ready to Useクライオテック法」とよんでいます。

販売種類は主に2品目で、一つは卵子・胚を凍結保存しておくための凍結キット。もう一つは、それらを母体に戻す際に用いる融解キットです。あとは、それらのキットの付属品を販売しております。

―リプロライフの製品開発は、どのようなプロセスで行われているのでしょうか?

眞野:当社は2020年に関連会社として株式会社先端生殖技術研究所(AIRT)を立ち上げ、新製品の開発を行っています。同研究所で研究開発した新製品の第一弾が、Ready to Useです。現在も開発の歩みは止めず、桑山が描く構想のもと、臨床現場で必要な製品を日夜研究開発し続けております。

一例となるのが、がん患者の方に向けた製品です。若くしてがんに罹患された方は、治療の影響による生殖機能へのダメージが懸念されます。せっかくがんが完治してもダメージのために子供を持てない不幸な事象が、全世界で起きているのです。これを防ぐため、がん治療が本格的に始まる前に卵子や卵巣の一部を凍結保存。完治後に挙児を望まれたら、自家移植でもって願いを叶えられるようにする―当社研究所においても高い優先度で開発を進めていきたいと思います。

自社の製品が世界一という自負を持って提供する

―リプロライフの不妊治療製品は、そのほかの医療機器や医薬品とどんな違いがあるのでしょうか?

眞野:第一に、「患者さんの体に直接投与をしたり作用したりするものではない」という点が違います。当社製品は、患者さんの体から貴重な卵子を採卵した後、胚として母体に移植するその日までの期間、大事に預かっておくためのものです。

まだまだ不妊治療領域は歴史が浅いため、「卵子を培養する」と聞くと再生医療のように捉えられがちですが、卵子は細胞でありながら、一つの生命へと成長する尊いものです。卵子は非常に取り扱いがデリケートである点も踏まえると、医療従事者の方に安心して使っていただく「縁の下の力持ち」のようなマインドを持っているのも、一般的な医療機器とは多少異なるかもしれません。

ただし、成績や患者さんのQOLを高めるためのベネフィットが強く求められるという意味では、医療機器、医薬品と何も変わりはありません。だからこそ、今、世の中に出ている製品の中で一番のベネフィットを提供するものでなければ、会社として販売できない。自分たちの製品が世界で一番優れているという自負を持って、ご提供しています。

―リプロライフの製品は、導入前に医療従事者に使い方をワークショップでレクチャーする点も特徴的です。

眞野:ワークショップの実施は、我々のポリシーです。当社の責任として、患者さんの治療に効果のある製品を提供はしていきますが、これは我々の努力だけでは達成できません。「正しいものを、正しく使う」という面があって、初めて患者さんにベネフィットを提供できると考えています。

例えば、施設内で手技担当者が変わり、新担当者がトレーニングを受けずにいた結果、成績が低下するというリスクもございます。だからこそ販売して終わりではなく、当社は施設への導入前に製品の特徴・使い方を正しく理解していただき、誰もが同じ結果を得られるような平準化を目指しています。

その中で、ワークショップ自体を「ただ使い方を伝えるだけ」のものにはしていません。専門家がガラス化に対するご質問や日々の現場でのお困りごとにお答えするほか、成績に直結するような情報共有をするなど、約2時間にわたるワークショップが充実したものになるよう、さまざまな工夫を凝らしています。

こうしたワークショップは、全世界で毎日のように実施しています。お客様からレクチャーのご要望があれば絶対にお断りしませんし、ときには毎年定期的に行うケースもございます。海外であれば、オンラインで実施する方法も確立しています。また、ワークショップ以外にホットラインという形で対応する窓口を設置し、何かお困りごとがあれば最速で解決するのも、当社のこだわりです。

こうした取り組みはリソースもコストも必要で、サービスとしてはもちろん会社的に利益は生まれません。それでも当社製品で成績を出していただくためには、販売以上に疎かにはできない部分です。

ガラス化の権威である桑山博士とともに日々研究開発を推進

―不妊治療製品を提供する上で、リプロライフが持っている優位性は何なのでしょうか?

眞野:一番のポイントは、「ガラス化の父」と呼ばれる桑山博士が、当社会長と研究開発責任者を務めていることでしょうか。桑山は卵子・胚の凍結融解とガラス化法に関する権威であり、当社製品には桑山が長年培ってきた経験や実績がダイレクトに反映されています。これは、当社ならではの強みであり、自信です。

また、研究開発の歩みを止めないのも優位性の一つでしょうか。まだまだ不妊治療製品には伸びしろがあると確信をして、日々プロフェッショナル集団が研究開発をしております。というのも、私が知る限りガラス化製品は10年間、大型製品がローンチされなかったのです。そういう意味でも「最新の手法で新製品を出せる」ことそのものが、会社として大きな力だと感じます。

これらの強みを裏付けるように、近年当社製品のユーザーは右肩上がりで増え続けています。今後も世界中のシェア獲得に向けて、製品開発を進めていきたいですね。

―実際に、リプロライフの製品を使用したことによって効果が出た事例があれば教えてください。

眞野:私が入社して1年目に担当した施設で、感慨深いお話をお伺いしました。その施設には不幸なことにも頻回流産してしまっている患者さんが、一定数いらっしゃったそうです。そこで当社製品を使っていただいたところ、胚が生存することはもちろん、頻回流産群での妊娠率が有意に高くなったと嬉しいお言葉をいただきました。

また、新製品に関しては現場から「使いやすくなった」「作業時間が削減できた」というお声を頻繁にいただきます。卵子・胚を扱う胚培養士の方々は本当に忙しく、時間と戦いながら業務をしておられますから、当社製品で時間的にも精神的にも余裕を持てるようになったのは喜ばしいです。胚培養士の方々が日々何十件という卵子・胚―生命の源と向き合われていることを考えると、少しでもプレッシャーを削減し、その上で高い成績を保てるようにするのは非常に大切です。患者さんだけではなく、医療従事者へのベネフィットもしっかり考えていく必要があるのだと、強く実感しました。

社会的ニーズの高まりを受け、新分野への参入も検討中

―今後の事業展開について教えてください。

眞野:日本の不妊治療需要の拡大は、女性の社会進出やキャリア形成に伴う晩婚化といった、社会的要素にも一因するものです。例えば欧米では、将来の自分のために若いときから卵子を保存しておき、一定のキャリア形成を終えたら挙児を得るという考え方が広がっています。日本も最近ではフェムテックという言葉を聞くように、一部の会社では、福利厚生として卵子の凍結保存を導入しています。「社会的卵子凍結」なんて言い方をしますね。

このように、しっかりとした技術で長期にわたって卵子を保存するニーズは今後も増えていくでしょうし、我々が寄与できる部分が多いと感じます。基本的にガラス化を応用した製品開発がメインにはなりますが、そのカテゴリから飛び出して、新しい分野にも積極参入していく考えです。そのために、実際に具体的な開発計画もすでに存在します。

計画を実行し、事業の幅を広げるためには、優秀な人材が欠かせません。会社規模も今後間違いなく拡大していくはずですから、事業展開に遅れをとらないよう、積極的な採用計画も順次展開していきたいですね。

―具体的に、どんな方にジョインしていただきたいのでしょうか?

眞野:当社は非常にユニークで、医療系でありながら前職の経験や資格、専門性よりも、マインドを重視する風土があります。もちろんスペシャリストは大歓迎なのですが、未経験者でも我々が取り扱う製品を世に広める社会的責任に対して喜びを感じられる方、それを自分のモチベーションにできる方なら、どなたでも活躍できると考えています。

直接患者さんと接する機会はなかなかありませんが、当社の仕事が誰かの役に立って、新しい命の誕生につながっていることは確かです。ここにやりがいを見いだせる方であれば、経験は入社してからすぐに身に付けていただけますし、大成するはずだと信じています。

株式会社リプロライフでは一緒に働く仲間を募集しています
1 いいね!
1 いいね!

今週のランキング

Fumiaki Shibuiさんにいいねを伝えよう
Fumiaki Shibuiさんや会社があなたに興味を持つかも