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(後編)「スタディサプリをもう1度定義したい」 新組織"コンテンツマネジメント部"部長の棚橋が語る、デジタル教材づくりの「今だ」感。

良質な教育の従来のセオリーは、高価/対面でのリアルな講義でした。所得差・地域差による教育環境格差を解決する為に、リクルートグループの新規事業起案制度で生まれたのがスタディサプリです。

2020年現在、学生向けの「小学講座」「中学講座」「高校講座」「大学受験講座」、そして社会人向けの「スタディサプリENGLISH」など、複数のサービスラインナップがあります。

ユーザーの学習効果を高めるには、コンテンツの質と量が欠かせません。今回は、2020年4月に初めて組織化されたコンテンツマネジメント部の部長である棚橋さんに、スタディサプリの今とコンテンツづくりの重要性について聞きました。



棚橋 広明(タナハシ ヒロアキ)

大学では経営システム工学について学び、新卒で外資系戦略コンサルティングファームに入社。
事業戦略の策定から業務改革・システム導入までさまざまなプロジェクトを経験。

2015年、リクルートに中途入社。
入社後は教育事業の開発基盤刷新のプロジェクトマネージャー、進路事業の商品企画・新サービス企画のマネージャーを経て、2020年4月より現職。


前編はこちら

(前編)「スタディサプリをもう1度定義したい」 新組織"コンテンツマネジメント部"部長の棚橋が語る、デジタル教材づくりの「今だ」感。

教育業界での唯一無二感とは?

――ここまではスタディサプリから見た教育業界という視点でお伺いしてきました。逆に、教育業界から見たスタディサプリはどんな特徴があると思われますか?

そうですね。教育業界の中でもスタディサプリが珍しいのは元々紙媒体を主としていたIT企業が教育事業をやり始め、140万ユーザーを超えるサービスに成長したという点です。

元々リクルートは、社会の不を解消する事業を行う企業だと考えています。

その中で教育格差が国内外で顕著になっていて、例えば日本人の英語力の低さなどの社会の不に挑戦していますが、解決する手段は1つではないと思っています。

今は、IT企業としてノウハウやナレッジを最大限活用して、教育のデジタル化を推し進めています
ただ、今後ITを超える何かが出てきたら、また解決手段を変えていく必要があると思います。

その点、リクルートは紙からデジタルへ代えてきた歴史があり、アセットが豊富で、何より意思決定が早い企業です。

そのため、僕たちが目的さえ見失わなければ、本質的な解決手段を選択することができます。

例えば、「スタディサプリENGLISH ビジネス英語コース」には、ドラマ式レッスンというものをご用意しています。

ビジネスの現場で実践できるリアルなビジネスシーンを、楽しく継続的に学習していただきたいという想いから、ストーリー構成は大ヒットドラマの「下町ロケット」の脚本家の方にお願いしていたりします。

本質的な学びのために必要な解決手段であれば、何でも挑戦したいと考えています。

他にも、カリスマ講師への出演依頼もそうですし、テクノロジーを活用した最先端の教材づくりもそうです。

良い意味で歴史がない分、新たな発想で教育業界を変えていきたいと考えています。これは僕たちのやりがいでもあります。



――本質的な解決方法にシフトする、意思決定の早さなどはリクルートの強みですよね。やりがいについて、もう少しお話を聞いてもよろしいでしょうか?

やりがいという観点では、スタディサプリを使って志望校に合格した高校生を対象に、毎年「合格祝賀会」をやっていて、これは年に1度の嬉しい時間なんです。

その合格祝賀会では、我々スタッフとともにカリスマ講師陣にも参加していただきます。

高校生からしたら、今まで画面越しに観ていた先生にリアルで会える機会なので、それはもう物凄い盛り上がりで。写真撮影のために大行列になり、泣き出してしまう方もいます。

もちろん、普段からアンケートを取る、アクセスログを見るということはしているので、定性定量の声やデータは日常的に得ていて、それを教材づくりにも生かしています。

ただし、やはりリアルな声を聞くのは別次元ですね。

「自分の家は裕福ではなくて塾に通えなかったけど、スタディサプリは自分のお小遣いの中で勉強ができて志望校に受かりました!」 

この言葉を実際に目の前で聞くと、「おめでとう!!」と同時に、スタディサプリをやっていて本当に良かったな、また頑張ろうと強く感じます。個人的には、これも唯一無二感の良さがありますね。

――公開されているYouTubeも拝見しましたが、凄い盛り上がりで観ているこちらが泣きそうになってしまいました。素敵なお話をありがとうございました!

公開されているYouTube

【スタディサプリ大学受験講座】合格祝賀会2019

今後とメッセージ

――スタディサプリの今後について教えていただけますか?

まず高校講座・大学講座ですが、引き続き廉価で高品質な教材をカリスマ講師陣と一緒に作って、全国の教育格差を是正していきたいです。

僕は岐阜県出身で、高校時代に予備校に通っていました。

岐阜にいながら、東京で活躍している予備校講師の授業を映像で観ていたのですが、「東京の人は同じ値段でこの授業を目の前で観られるのか・・」と羨ましさと切ない感じを覚えたことがありました。

その点、スタディサプリは全てがオンラインの映像授業で、しかも自分のタイミングで学ぶことができます。
更に良質で学習効果にこだわった教材を高速で生み出していきたいです。

そして、2022年度に学習指導要領が改訂になります。

社会の変化に応じた、生き抜くために必要な資質と能力を育むことが言われていますが、改訂に合わせ、スタディサプリ始まって以来最も大きな刷新プロジェクトが走っていくので、とてもワクワクしています。

加えて、「合格特訓コース」と伴走していく動きをしたいと考えています。
このコースは、生徒一人ひとりにコーチがつき、学習のサポートを受けることができるサービスです。

コンテンツマネジメント部としては、ただ単に作って終わりということではなく、一緒に最良のものを作っていきたいと考えています。



――ありがとうございます。小学校講座・中学校講座はどうでしょうか?

大きくは2つで、家庭教育への更なる染み込みと、公教育を民間の立場から支えることです。

大前提として、高校と違うポイントが小中学校にはあります。

1つは進学するとなったら基本的に地場の中学・高校に進学すること、もう1つは義務教育であることです。

地場の高校への進学が基本なので、全国規模の大学受験と違ってカリスマ講師はその地域に存在していますが、全国規模ではないがゆえに地元の個別塾に通う人が多いです。

そこにどう染み出していくかを突き詰めて考えたいですが、キーになってくるのが、「デジタルネイティブ世代」であるということです。

この世代は、YouTubeやTik Tokが当たり前に生活に溶け込んでいます。

もっと言うと、YouTubeは10分少々の動画ですし、Tik Tokは数秒で情報を得ることができるのが当たり前なので、彼・彼女たちに、45分の映像授業を観て学んでもらうのは相当なパワーと工夫が必要です。

なので、今の小中学生にとって本当に合ったオンラインの学習方法って何だろうということは常に考えています。

それと公教育を支えるという点ですが、公立の小中学校は地方自治体の単位で方針が決定していきます。
今回のコロナ禍で、有事に備えたICT化を地方ごとに進めていく流れがあります。

ただし、ICT化はタブレットやパソコンなどのハードウェアの話が先行しがちですが、重要なのはソフトウェアだと考えています

例えば高校生だと、ある程度自分の得意分野・不得意分野を認識できると思います。

英文法1つとっても、右隣の友達は普通のレベル、自分はハイレベル、だけど左隣の子は既に文章読解がハイレベル、など。

仮に教室で自己学習を進めるとなった場合も、個別に必要な学習を進めることが成り立つと考えています。

しかし、これが小中学校になると話が変わってきます

自分のレベル感の理解はもとより、集中力が続かなくなって隣の友達にちょっかいを出してしまう子どももいるでしょう。

義務教育で一斉授業が前提の中で、どんなソフトウェアがあるべきかをこれから考えていく必要があり、そこを一から作り上げていくことは大変だけどやりがいがある点ですね



――高校とはまた違った思考が必要なのですね。奥が深いです・・。最後に、ENGLISHはどうでしょうか?

ENGLISHは、スタディサプリの中でも後発のプロダクトでありながら、お陰様で順調にユーザー数が増えています。

ENGLISHは、小・中・高・大学受験講座と少し毛色が違い、ターゲットは社会人、語学特化、そしてアプリ内で全て完結するサービスです。

加えて、ターゲットの広さがあり、小学校から高校までの12年間のターゲットと比べると、ビジネスマンだけでなく、主婦や学生、さらには乳幼児からお年寄りまで、英語を学びたいと考えている人の全てがターゲットになり得ます

そのためニーズは無限大で、その中でスタディサプリENGLISHならではの価値を提供し続けたいと考えています。

ただ、障壁はいくつもあります。代表的なのは、英語に少なからず苦手意識を持っている人が一定数存在すること、そして挫折経験があり継続して続けることが難しい点です。

TOEICであれば目標があってまだ分かりやすいですが、ビジネス英語や、特に日常英会話は如何に楽しく続けられるかが鍵になります。

そのため、先ほどのドラマ式レッスンもそうですし、いつでもどこでも学べる気軽さ、学ぶことが楽しいと感じるコンテンツを作っていきたい

語学は生き物なので刻一刻と変わっていくし、覚えたくても1時間やっただけでは定着しない。毎日続けることで学習成果が上がっていきます。

スタディサプリは良い意味で歴史がないので、昔からのしがらみというか、「教材たるものこうあるべき」という考えが少ないです。

本当にユーザーが求めていて、成果が上がるのであれば何が最適か、と前提を取り払って考え続けたいです。


――ありがとうございました。最後に記事を読んでいる方へメッセージをお願いします!

スタディサプリが生まれてから7,8年が経過して、第二創成期のイメージを持っています

これまではとにかく作る・大きくする、というフェーズでしたが、小学校・中学校・高校の学習指導要領の改訂、オリンピックや万博などの英語需要の高まりなど、これまでのコンテンツを刷新するタイミングでもあります。

加えて外的要因も相まって、「学習効果にこだわった」「デジタルコンテンツ」の重要度が増しています

ある意味で0-1のコンテンツ作りができ、不をもう一度解消できるタイミングであり、本気で教育マーケットを変えるチャレンジをする非常に面白いタイミングだと考えています。

未だ感」と「今だ感」の両方が体感できるスタディサプリの仲間になっていただき、共にワクワクしながら教育を変えていきましょう!



あとがき

後編では、教育業界から見たスタディサプリ、コンテンツ部で感じるやりがいなどについてお聞きしましたが、いかがだったでしょうか?

今後もスタディサプリやコンテンツマネジメント部に関するインタビューや情報提供を続けていきますので、楽しみにしていてください!(海老名)


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