今回は、以前、クライアント向けのコラム『ラルズマガジン』に掲載された、弊社代表取締役社長・鈴木のインタビュー記事をお届けします。
途中で当社の若手エンジニアやベテランエンジニアも登場し、ざっくばらんに語り合っています。
気楽に読める内容なので、ぜひ読んでみてください。
各企業の経営者や人事担当者の方からの反響が大きかった内容ですが、学生や就活中の方から見ても、いつもとは違った発見があると思います。
今の20代、30代、40代の価値感
── 鈴木さんが生まれたころというのはどんな時代でしたか?世代感が伝わる話があれば、ぜひ。
鈴木:私は1982年生まれなので、物心ついたときにはファミコンがあった世代ですね。もう、とにかくファミコンにハマりました。
周りの男子は、ファミコンかドラゴンボールか、そんな感じでした。親に「ゲームは30分までにしなさい!」など怒られた世代でもありますね。
自分からすると、「このRPGゲームのラスボスは30分で攻略できるわけないよ、お母さん!できるならやってみてよ!」と真剣に訴えていました(笑)
── 子供には子供の事情がありますもんね・・。わかります。他に何か印象に残っていることはありますか?
鈴木:あとは、小学校2年生のころゲームボーイを初めてやったときの衝撃は今でも覚えていますね。
外でゲームができるということが当時は革新的で、公園のブランコに乗りながらマリオやテトリスができるなんて、自分にとっては信じられないことでした。
下を見るとマリオ、上を見ると青空。このときの驚きというか不思議な感覚は、ずっと忘れないと思います。
あと、小学校3年生のとき、スーパーファミコンを買ってもらったときは嬉しかったですね。人生で一番嬉しかったことかも(笑)
その後、ポケベルやPHSなどいろいろ出ましたが、ゲームボーイやスーパーファミコンのインパクトにはかないませんね。
ちなみに、この話を最近の学生に伝えても、まったく理解されません(笑)
世代というのは、上も下も10年違うと共有できる思い出話もガラっと変わりますよね・・。
── そうでしょうね。鈴木さんが30代ということは、20代の人と、40代の人がいればまた話が面白くなりそうです。札幌オフィスの佐藤さん(ベテラン40代)と近藤さん(新人20代)をスカイプで呼んでみましょうか?
鈴木:いいですね!呼んでみてください。なんか、もう、ほんとに自由な感じのインタビューですね(笑)
── (スカイプ呼び出し音 ♫♪♬♫♪♬♫♪♬・・)
近藤・佐藤:お疲れ様です。どうしました?
── お疲れ様です!突然ですが、世代感の話をしていまして、ちょうど20代、30代、40代の人が集まって話し合うと面白いんじゃないかなぁと思って呼びました!仕事中でしょうけど、今、大丈夫ですか?
近藤・佐藤:めっちゃ忙しいんですけど、5分くらいなら大丈夫です(笑)
── ありがとうございます。今、自分が生まれた年代で流行ったものなどを話していたのですが、近藤さんの年代ではどんなものが流行ってましたか?アニメとかゲームとか。
近藤:僕は1995年生まれですが、ゲームだと、ニンテンドーDSですかね。小学校3年生のころのクリスマスプレゼントでした。
鈴木:DSって、自分の感覚的には、ついこの前発売した感じです・・。近藤さんが小学校3年生のときだったんですね・・。マンガとか、あとアイドルグループとかはどんなの出てました?
近藤:マンガだと、子供のころは、ワンピースとか、NARUTOとか、テニスの王子様とか。アイドルは、うーん、嵐とか、KAT-TUNとかですね。
鈴木:へぇー。自分はマンガといえば、やっぱりドラゴンボールとかスラムダンクかなぁ。アイドルは、SMAPとか。昔、年配の人が「アイドルの顔はみんな同じに見えるよ」って言ってたけど、最近その気持ちがわかってきました(笑)
佐藤さん、KAT-TUNってわかります?
佐藤:わかるわけないですよ(笑)少年隊とかチェッカーズなら大丈夫です。マンガだと、キャプテン翼とか、筋肉マンとか、北斗の拳とか。ゲームだと、ロードランナーとかですね。
ファミコンも、初期のやつはコントローラーのボタンが丸じゃなく四角だったんですよ。
鈴木・近藤:・・へぇー。
── 佐藤さんと近藤さんは、お二人ともプログラマーですが、最初にパソコンを触ったのは、いつ、どんなものになりますか?
佐藤:はじめて買ったパソコンがNECのPC98シリーズというやつですね。Windowsですらないやつです。BASICという言語で、ゲームや音楽をつくったりしていましたね。
あとは、大学1年生のころ、WEBブラウザの始まりである「Mosaic(モザイク)」を触って、驚きましたね。「あ、これはすごい。世の中が変わるな」と思ったのを覚えています。
画面に何か書いたらイタリア人から返信が来たんです。「世界中とつながってる・・!」っていうあの感覚といったら、もうびっくりしました。今では当たり前のことなんですけどね。
近藤:インターネットが誕生したばかりのときに立ち会ったというのはすごいですね。ちなみに、そのころ僕もこの世に誕生したわけですが・・(笑)
あと、私が最初に触ったパソコンのOSはWindowsXPですね。小学校低学年のときです。
鈴木・佐藤:ほぇー。若いなぁ・・(笑)
── 価値観についても世代によって差があるのか聞きたいです。上の世代ほど物があまりなかった時代に生まれたため、物に価値を感じると言われています。逆に、下の世代はすでに物が有り余る時代に生まれているため、物よりも精神的な充足を求めると言われています。このへんは、やはり自分の実感として当てはまるものでしょうか?
鈴木:これは面白い質問ですね。というのも、私は30代半ばですが、ちょうど真ん中くらいの世代なので、どっちの感覚もわかるんです。
簡単にいうと、「豪邸に住んで、高級車に乗って、高い時計をつけて、VIPルームで高いお酒を飲んで・・。これが成功者だ!」みたいな気持ちもわかりますし、「自分や友達との時間が一番大事だ」「やりがいこそが大事だ」みたいな気持ちもわかるんです。30代だと、きっと半々くらいなんじゃないかな。
私の場合は、「いかに物を持たないか」「いかに経験に投資するか」を重視しているので、少なくとも物ではないのですが、でも、どちらの感覚もわかります。
佐藤さんや近藤さんはわかりますか?いわゆる「ベンツ・ロレックス・高級住宅」みたいな価値観。
佐藤:もちろんわかりますよ。私は個人的にはあまり興味ないのですが、周りには多いかもしれません。
近藤:僕はまったくわからないです・・。周りにもそういう友達は全然いないですね・・。仕事だと、やりたいことがある程度やりたいようにできたり、それをやってる時間が楽しいって思えるのが大事ですね。そういうことに幸せを感じます。
── 参考になりました。お二人はそろそろ時間ですね。ご協力ありがとうございました。
近藤・佐藤:いえいえ。また呼んでください!では仕事に戻ります。
「お金を払ってまで仕事をする」という形態
── やっぱり世代によって価値観もほんとに違うんですね。
鈴木:そうですね。そういえば、先日、マッサージ屋さんに行ったとき、20代の店員さんが施術後に「自分、人にマッサージしてあげるのがすごく好きなんですよ。こんなに楽しいことやらせてもらってるのに、さらにお金までいただいていいんだろうかっていつも思います・・」って真顔で言ってたんですよ。
こっちにしてみれば当然、「いやいや、マッサージしてもらったのこっちなんだから、そりゃあ、お金払いますよ!」ってなるじゃないですか。
でも、このとき、新しい価値観を見た気がしました。
このままいくとどうなるか考えてみたんですが、もしかしたら、将来、「お金をもらって仕事をする」のではなく、「お金を払ってまで仕事をする」という形態ができるかもしれないなと思いました。
その企業のメンバーでなければ持てない人脈や、スキルや、体験や、達成感などを買いに行くというイメージです。収入源=仕事という今の構図ではないので、もはや、それを「仕事」と呼ぶのかはわかりませんが・・。
もちろん、個々が今より自由に動ける・収入源が多様化するという社会があっての話ですが。
── 「仕事」と「仕事以外」の境界線が曖昧になるということでしょうか?
鈴木:それは、YouTuberをはじめ一部の人はもうなってると思いますが、その先の話ですね。
今は、「仕事をしてお金を稼ぐ」という構図が成り立っていますが、これが、「自己活動でお金を集め、それを使って仕事(企業効果)を買う」というような新しい生き方も出てくるかもしれません。
実際、個人が自己活動を換金化する方法は、数年前とは比べものにならないくらい出てきてますよね。
たとえば、今、この場で、すぐにでも自分のスキルを売ったり、面白そうな企画を発表してお金を集めることができます。
また、最近では、個人が自分の価値を表すトークンを発行し、それを第三者に売買・流通させ、個人に時価総額がついてしまうというサービスまでありますよね。
多層化する価値観とこれからの企業のあり方
── こうなってくると、企業側の人事や採用についてはどう対応していくのがベストなのでしょうか?
鈴木:「当社はあなたの価値にレバレッジをかけられますよ」と打ち出すことじゃないですかね。
間違っても、「ウチの会社はこんな素晴らしいことをやっています。ぜひ定年までいてください」というスタンスでは、一人も採用できなくなると思います。
「当社は、あなたに人脈やスキルなどを提供できます。あなたは、それを培うための膨大な時間を、当社のメンバーになることで短縮することができます」と伝えるのが大事になってくるのではないでしょうか。
個人の幅広い活動を応援してあげたり、個人の価値を高めてあげることができない企業は、今後苦戦すると思います。
── なるほど。副業を認める企業がたくさん出てきたことも納得です。
鈴木:自然と誰もが複数の仕事やキャリアを持ち始める中で、副業禁止というのはそれを認めないという不自然な行為になるので、近いうちになくなるのではないでしょうか。
採用確率を自ら下げるようなことになりかねません。
また、こういう時代になると人材の流動化が加速するのは明白なので、企業側は、流動性が低い「仕組み」や「ブランド」の構築に再投資するようになると思うんです。
だから、ラルズネットとしては、「仕組み作り」や「ブランド構築」は得意分野なので、このあたりは事業的により力を入れていきたいと考えています。
個人も変われば、企業も変わります。
大規模組織は、複数の小規模ユニットにどんどん形を変え、時間・場所・社内外問わず、必要なときに、必要な人材にアクセスするのが一般的になると思います。社内スタッフは、より少数精鋭になるでしょう。
まとめると、企業側としては、今後は「スタッフ個人の活動の価値を認め、むしろそれに貢献する視点を持つこと」「仕組みやブランドの構築に投資すること」「小さいサイズでいながら、必要に応じて外部リソースにアクセスすること」などが重要になると思います。
── ここ最近で急に価値観が切り替わった気がします。新しいルールのスイッチが押されたというか・・。
鈴木:そうですね。そのスイッチの「カチッ」っていう音に気付くかどうかが、いつの時代も命運を分けると思います。あとは、自分の価値観をフルリセットできるかどうか。
この前、居酒屋で酔った人達が「おまえ、1等ジャンボ宝くじ当たったらどうする?」「そりゃあすぐ仕事辞めるよ」という会話をしていましたが、新しい世代にはその意味がピンと来ないでしょう。
このような価値観のギャップというのは、テクノロジーの進化と比例して広がっていくと思うので、今後はより早く、より細かく世代が分断されていく気がします。
価値観のレイヤーが今とは比べものにならないほど多層になると思いますよ。ミルクレープみたいに(笑)
── なんだか、そのミルクレープの皮が2枚くらい隔てているだけで、もうお互いの喋っている会話の内容すらわからなくなりそうですね・・(笑)これからは、価値観の多層化に対応できる企業と、そうでない企業とにハッキリと分かれていくのかもしれません。本日はありがとうございました。