わたしたちクェスタ株式会社は建設業許可を持つスタートアップ企業であり、大規模建設作業現場向けにデジタルサイネージを提案するベンダー集団です。日々、IoT技術を利用したシステム・サービス開発で建設現場におけるDX化に挑戦しています。
今回は、常務取締役の末武さんにインタビューを実施。クェスタの事業の優位性や今後のビジョンなどを語ってもらいました。
【プロフィール】
末武 陽平(すえたけ ようへい):常務取締役。2020年7月よりクェスタにジョイン。現在はIPOを目指し、営業・戦略マーケティング・クリエイティブ・現場など、各事業を統括するポジションに携わっている。
新たな取り組みへの挑戦が、苦しさから「楽しさ」に変わった瞬間
――末武さんのこれまでのキャリアを教えてください。
大学卒業後は、専門商社で16年ほど営業職に従事しました。安定した会社ではあったものの、新たな事業提案をしてもなかなか受け入れられづらい環境だったんです。「もっと自分の志向に近いところで力を発揮したい」という思いでベンチャーへの転職を決意しました。
クェスタを知ったきっかけは、Wantedlyの採用ページです。前職で広告媒体としてのデジタルサイネージに関連する業務を行っていたこともあり、同技術を扱う会社をいろいろと調べていたのですが、「建設現場に特化した」デジタルサイネージという事業がとても斬新で。特にブルーオーシャンの市場で成長を目指す会社の方向性に魅力を感じ、応募をすることに決めました。
――クェスタへの入社を決意した一番の理由は?
代表の大石と初めて話をした際に、「夢を追い続けることに価値がある」といった言葉をかけていただいたことが入社の決め手でしたね。
前職時代はどちらかというと、新しいことを始めること=関係各所の承認を得たり根回しをしたりなど、時間のかかる苦しい作業である、というイメージを持っていました。ただ、クェスタは違ったんです。新しい事柄にも楽しみながらどんどんチャレンジをしていく。大石の言葉に共感し、私もそんなメンバーの一員になりたいなという想いを強く抱きました。
――実際にクェスタに入社してみて、どのようなことが印象的でしたか?
まずは仕事の進め方が非常にスピーディである点です。必要があれば、即時に会議を組んで検討の場を設け、やるべきことが即決で決まっていくなど、意思決定のスピード感がかなり新鮮でした。
また、年功序列の組織ではなく、成果がきちんと評価される風土があることも印象的でした。私自身も一般社員で入社し、入社1年後には役員のポジションを任せてもらえたのですが、自らの努力が役割という形で返ってくる点も当社の特徴だと思います。
――末武さんは現在常務および事業部長の役職を兼任されていますが、社内での具体的な役割を教えてください。
営業、戦略マーケティング、クリエイティブなど各現場を統括しながら、それぞれの部門のボトルネックに対し打ち手を施すのが私の仕事です。
最近ですと、建設DXの流れに乗じて、建設会社やゼネコン本社への営業活動を行う機会が増えているのですが、そうした営業スキームづくりの指揮を執ったりもしていますね。
現場の課題感を開発に反映できる仕組みがクェスタの強み
――クェスタの事業における優位性を教えてください。
大きく2つあります。
1つ目は、作業現場のタッチパネルなど、知財関連の特許を多く取得していますので、自社として権利を主張できる分野がある点ですね。
2つ目が、ゼネコン様と併走できる企業体質がある点です。なぜゼネコン様と併走できるのか。その背景には、自社で製品を開発し、ワンストップでお客様にご提案できるビジネスモデルがあげられます。すなわち、お客様のご要望やお悩みを、すぐに機能改善に反映させられるメリットがあるんです。実際の営業現場でも、モニター自体の提案というよりも、「お客様の課題を解決するためのソリューション」を提案しているイメージです。
――なるほど、ゼネコン様に近い立場ですぐに課題を吸い上げることができる点が特徴なんですね。一方で、今後の解決課題やもっと強化していきたいポイントはありますか?
より多くのお客様に安心してお使いいただける体制や製品を作っていくことが、今後の課題です。
これまでに当社の製品を導入いただいた現場の数は、約1,500か所です。製品の使いやすさや現場に寄り添った機能をご支持いただき、口コミでこれだけの導入数を実現できたことは、メンバーたちの日々の活動の成果だと捉えています。
一方で、建設現場全体を見てみると、1年間で250,000棟の建物が着工されているというデータがあります。まだ出会えていないお客様にも、もっとアプローチをしていく必要がある。現在はそんな段階ですね。
さらに、当社内での業務の効率化も改善が必要なポイントです。たとえば現場で不具合が生じたときなど、どうしても現場に行く必要性が出てきてしまい、さまざまな人的コストが生じてしまいます。そうした問題に対し、遠隔操作や自動化の技術を用いて対応できる体制を整えているところです。
情報のプラットフォームを提供し、地域と建設現場をつなぐ架け橋となる
――競合他社と比較した際、差別化できるクェスタの特徴は?
何よりも、私たちは「情報のプラットフォーム」を提供していることが特徴です。一般的な広告の場合、一方的に情報が流れていくため、必要な人に届かなかったり、または不必要な人に届くことで不快感を与えてしまったりすることがありますよね。
一方で当社の「タッチパネル方式の情報提供」は、建設現場の作業員の方々が、迷わずに指一本で誰でも均等に情報を得ていただけるという点で高い評価をいただいています。
ちなみに、当社のモニターは現場の仮囲いなどに設置することも多いのですが、そうすると近所の子どもたちがパネルを触って落書きをしてくれるんですよ(笑)
とある都内の現場では、半年間でイラストや寄せ書きが300枚ほど集まったことがありました。その現場では、集まったイラストを「絵画展」のような形で仮囲いに掲示したのですが、現場と地域住民の方との間で相互にコミュニケーションが図れるしくみを作ることができるのも、当社ならではの技術かもしれません。
――近隣住民の方との距離が縮まった、とても興味深いお話ですね。
そうですね。建設現場の場合、中の様子が見えないとどうしても騒音トラブルなどにつながりがちなのですが、こうしたコミュニケーションのツールがあることで、近隣住民の方も建物の完成を楽しみに待っていただけるようですね。
あとは、当社のモニターを活用して、近所の商店街のお店の告知などをしていただくこともあります。あくまでも私たちの役割は受け皿を提供することですので、使い方の幅はお客様次第で無限に広がりますね。
――外部環境を踏まえたときに、クェスタにとって追い風となっている情勢にはどのようなことがありますか?
1つ目は、建設現場では、建設業許可票や施工体系図の掲示が義務づけられているのですが、2022年2月にそれらの内容をデジタルサイネージで表示してもよいという許可が国から下りたんです。貼ったりはがしたりという現場の労力を減らすことができるため、業界にとっても非常に大きな変化ですね。
2つ目が、建設DXが進むにつれ、多くのゼネコン様でDX推進部が立ち上げられたり、SDGsとの関連でカーボンアセット事業が進められたりしていることがあげられます。環境負荷を削減しつつデジタル化を進める流れは、当社にとっても追い風となっていますね。
――今後の事業展開についてはどのように考えていますか?
建設現場の生産性向上や安全管理の強化を目的に、IoTを活用したデジタル商品の推進に力を入れています。たとえば当社で開発した「JITAN SWITCH」という製品があるのですが、こちらはスマホやPCで現場の点灯・消灯がリモートで行える機能を備えています。こうした技術を用いながら、建設現場の高齢化やマンパワー不足を解消するためのソリューションをさらに拡大していく予定です。
また、建設業界における課題感は、実は「作業現場」を抱える他の業種にも共通する部分がかなりあるんですよね。そうした理由から、新たに医療・介護業界や物流業界に向けたプロダクトとして、スマートウォッチを活用した製品などを開発し、展開しはじめているところです。
楽しみながら「自ら状況を切り拓ける人」が活躍できる環境
――現在、IPOに向けた準備も末武さんを中心に進めていると伺っています。
はい。現在は資金調達も含め、安定して自走できる組織を目指しながら、助走しているフェーズです。
また、IPOを目指すという社内での共通目標のもとに、組織づくりにも力を入れている最中です。当社はベンチャーといいながら、下は10代から上は70代の方まで活躍する多様性にあふれた会社なんですよ。私自身、人材育成にも携わっているのですが、現在は各世代の価値観を活かしながら“どういう人材を目指していくか”ということを検討している段階ですね。
――クェスタで活躍している人材に共通する特徴はありますか?
「渇きを感じている人」でしょうか。まだまだ小さい組織ですし、足りないものも多々あるなかで、“あれがない、これがない”という考え方の人は疲れてしまうのではないかと思います。
一方で、足りないものに対してわくわくしながら足を踏み出してみようという意識がある人や、楽しみながらチャレンジしたいと思っている人は、高い成果をあげている印象ですね。
――最後に、クェスタに興味をお持ちいただいている求職者の方へメッセージをお願いします!
当社の仕事は、開発も製造も営業もワンストップで行っていますので、ものづくりなどのハード面でのスキルと、ソフトウェアのスキルが一気通貫で身につく環境です。
年齢や学歴に関係なく、新しい世界を自ら切り拓いていきたいと考えている方とお会いできたら嬉しいですね。