(2020年に執筆された記事です)
今回のテーマは、ズバリ「AR」そして「PretiaがAR業界で目指すポジション」。以前、ミッション、バリューの記事で、ビジョナリーな部分をお伝えしました。
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本記事ではもう少しビジネス寄りの話もお届けできたらと思います!
ARについての一般的な話に始まり、最終的にはPretiaの今後の展望について踏み込んだ話も。ご一読ください!
【こんな人に読んでほしい】
・XR領域について知りたい
・XR(特にAR)領域のビジネス的な面に興味がある!
・Pretiaがどこを目指しているのか気になる!
・PretiaへのJoinを考えている!
【Agenda】
- AR業界はアツい【AR初心者向け】
- ARによって生活はどう変わるのか
- 5GとARがもたらす技術的な可能性
- AR業界でのPretiaが目指すポジション
1.AR業界はアツい【AR初心者向け】
この記事の読者は、AR業界に関する知識が豊富な方からARって聞いたことはあるけど…な方まで幅広いということを想定して、まずは簡単にARおよびAR業界について話していきたいと思います。詳しい方はこの辺はすっ飛ばして大丈夫です。
そもそもARとは
ご存知かもしれませんが、ARとはAugmented Realityの略です。
日本語にすると「拡張現実」と訳されることが多いです。
その名の通り、拡張された現実、言い換えれば、現実世界をベースに他の情報が付加された状態だと考えてください。
ここでの追加情報とは、ハチ公の前に現れるモンスターや、歩道に付される道案内のナビゲーションのような視覚的なオブジェクトだったり、位置情報に基づいた音声データやテキストデータなど様々な形式のものを含んでいます。
VRとARの違いってなんじゃい
ARと共に語られるVR。VRとはVirtual Realityの略。
「両者の違いを簡単に説明してみて!」と言われても難しいですよね。
VRとARの違いを語る上で核になってくるキーワードは「現実世界」です。
ARは、前述の通り、現実世界に新たな情報が付け加えられた状態。
ベースは現実世界で、主に視覚情報を中心とした何らかの情報が付加されていると考えてください。
(ゾウの遊具は現実世界に存在する何の変哲もないものですが、ARによって強そうなオーラを纏っています。)
対してVRは、様々な形で作られた「現実のような世界」に、「ユーザ自身が飛び込む」という性質を持っています。VRのデバイスを通じて見る世界は、現実世界とは別の空間で、基本的に現実世界は関与しません。
(ドラゴンは現実世界にはいません。ヘッドセット着用時に橋本環奈がぷっちょをあーんしてくれても、ヘッドセットを外した現実世界に橋本環奈はいません。残念。)
蛇足ですが、MR(=Mixed Reality:複合現実)という概念もあります。
一般的には、CGなどで人工的に作られた仮想世界と現実世界の情報を組み合わせて、仮想世界と現実世界を融合させる技術と定義されます。
具体例としては、3DCGなどで作られた仮想世界や物体を現実世界に投影し、投影された物体に近づく、触れるといった操作を行うことができたり、投影された仮想情報を他のMRユーザーと共有する事もできる、といったこと。
VR/ARの上位版と考えてもらっても良いかもしれません。
(仮想の臓器などに触ることができたり、複数人で見ることができたりするイメージです)
この定義に則ると、以前ARクラウドについての記事で紹介した、「ハチ公の前にドラゴンが現れて、4人で共通の字義通りの”仮想敵”を倒す」といった事例はMR体験にあたります。
はい、混乱してきましたね〜!笑
MRは広義ARであり、「これはAR,あれはMR」ときっぱり線引きすることは難しいです。XRtechの進化は著しく、まさに発展途上だからです。
結論としては、VRとARは現実世界がベースになっているか否かという点で大きく異なります。今日はこれだけ覚えてもらえれば大丈夫です。
ARで何ができるのか-身近なAR体験-
最も頻繁に見られるAR体験として、現実の上に視覚的な付加情報を表示することが挙げられます。
現実世界にポケモンを表示し、ポケモンをGETするゲーム、ポケモンGO(2016年リリース)はおなじみかと思いますが、写真加工アプリSNOWなどに見られる、「顔を認識し、くまやうさぎの耳を画面上に表示する」という技術もARの技術を用いています。
最近ですと、
- AmazonのARビューが日本でも導入
- 現実空間に家具を置いたり、リップの試し塗りが画面上でできる
- GoogleマップでのAR案内機能のPixelスマートフォンへのロールアウト(参考記事はこちら)
- 画面越しに見た現実世界に道案内の矢印が示されている
など、ゲームを中心としたエンタメ領域以外でもARを用いた体験がより身近なものになりつつあります。
この一般への普及に関しては、iOS向けのARKitや,Android向けにGoogleが提供しているARCoreの普及に伴い、一般の消費者向けのスマホを用いたAR体験が可能になりつつあるということが背景にあります。
(執筆しながらAmazonのARビューでオフィスに椅子を置いてみた。結構リアル。)
AR市場ってどんな感じなん
AR業界全体の話に移っていきます。2018年12月21日に発表されたIDC Japan 株式会社による市場予測によると、世界のAR/VRのハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスを合計した支出額は2019年は203.8億ドル、2022年には1223.7億ドルに達する見通しで、2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は69.6%と高い成長が見込まれてます。
出典:Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide 2018H1
ユースケース別で見ると、2019年時点では消費者向けの3ケースがAR/VR関連支出の上位を独占しており、VRゲーム、ビデオ等のコンテンツ視聴に続き、ARゲームは6.2億ドルを占めます。
Pretiaのプロダクトである「サラと謎のハッカークラブ」シリーズは、急成長しているARゲーム市場と体験型ゲーム市場が重なる市場をターゲットとしています。
2.ARによって生活はどう変わるのか
10年ほど前に、「電脳コイル」という漫画やアニメがありましたが、ARが生活に浸透することにより、そういう世界が実現され得ます(正確にいうと電脳コイルの電脳メガネはMRですが…)
連載当時は、私は小学2年生で「本当にこんな世界来るんか?」と思ってましたが、本当に来るんですね。しかもストーリーの設定は202X年だったので、まさにぴったりなんですね。ちょっと怖いくらいです。
ARの世界イメージするのに「ソードアート・オンライン」というアニメもおすすめです。
今回はARに接する場として、以下をご紹介したいと思います。
①特定のアプリなどを使ったモバイル端末の画面を通しての体験
②ARグラス(スマートグラス)を使った体験
③その他
①特定のアプリなどを使ったモバイル端末の画面を通しての体験
これが一番イメージしやすいと思います。
周囲をカメラで写せば、地図アプリを開かなくても道案内が出る、検索しなくても、その場所についての解説やSNS投稿、口コミが一覧できるなどなど。
ゲームやエンタメの話をすると、ソシャゲ内の仮想空間で行われていた、ギルドを組んで、ボスを倒しに行く、ということも現実世界でできるようになるわけです。サバゲー的なものが現実環境の中でできるようになるかもしれませんね。
②ARグラス(スマートグラス)を使った体験
(スマートグラスとARグラスも本来であれば分けられるべきなのですが割愛)
ARグラス、と聞くと第1世代の「Google glass」が2015年1月に販売中止になったことを想起する方もいらっしゃるのではないでしょうか…?
「Google glassはGoogleの黒歴史だ」などという声もあり、しばらく日の目を見なかったGoogle glassですが、開発は着々と進められ、2017年には企業向けの「Glass Enterprise Edition」が発表されました。
スマホを通じたAR体験とARグラス違いの特質すべき点としては、ウェアラブル端末というところで、
ハンズフリーの状態でAR体験ができるということです。
企業向けに開発が進められていることからわかるように、医療や建築、製造業などの現場作業の補助ツールとして既に導入が始まっています。
例えば、工場の中でどこで何をすればいいかがARグラスを付けているだけで分かり、作業スタッフの教育コストが激減するといったユースケース(=活用例)があります。
2018年ごろから、各社が続々とARグラスの販売/生産を開始し、話題を集めていますし、大手のApple、Google、Microsoft、Facebookもこの領域にこぞって参入しています。
先月Googleは新モデル「Glass Enterprise Edition2」を発表。(参考記事はこちら)
Microsoftの「HoloLens2」は有名ですね。デモテープがかっこいいです。
FacebookもARのハードウェアプロダクトを開発中だと明言しています。(参考記事はこちら)
噂の域にすぎませんが、Appleが「Apple Glass」を開発中で、2020年中に販売を開始するのでは!?という記事も。
個人向けのARグラスが普及したとして、具体的なユースケースをあげると、
- ARグラスをかけると料理のレシピをいちいちスマホで開かなくていい、人参を見るとレシピ情報から最適な人参の切り方のガイドラインを表示してくれる
- ギターで曲を弾く時に、どのコードを押さえればいいか、手の動きに合わせて押さえ方を示してくれる
- 3Dメガネをかけて映画を見るような、ARメガネをかけて見る映画や舞台やライブ
挙げ始めるとキリがありません。。。
個人的に、ARは企業にとっても個人にとっても、「経験」「学習」「教育」のコストカット、効率UPを大きく促進するものだと思っています。だから、ARはこれらが障壁になっているあらゆる物事にとってプラスになる可能性を秘めていると思います。
そして検索いらずの世の中が来るんちゃうかなと思ってます。ARメガネをかけたら知りたいことは全部わかる。「ググれ」じゃなくて「グラれ」とか言われるんでしょうか。
③その他
ここまで紹介した2つの他にも、ARを体験できる場は増えていくはずです。
例えば、「ARコンテンツ×自動走行車」。
自動運転機能を備えた自動車のフロントガラスがARグラスの役割を持つようになるのもそう遠くないでしょう。(既にポルシェとGoogleは共同研究を進めているそう!)
窓や鏡そのものがスマートフォンやARグラスのように機能する時代がきます。
3. 5GとARの関係
ARやVRの普及において、5Gは非常に大きな役割を果たします。
5Gというのは次世代のモバイルネットワーク技術のことを指します。
(GはGenerationのG。第5世代、ということですね)
5Gの何がすごいかというと、その速度感。
5Gは4Gの50倍〜100倍の速度を実現できるネットワーク環境なのです。
4Gだと10分かかるHD映画のダウンロードが5Gの場合10秒以内に終わると言われています。
2020-30年にかけて流通するデータ量は莫大に増えることが予想されています。5G環境が整うということは、そのような社会を支えるモバイルネットワークのインフラ整備がなされるということです。
「なんで急に5Gの話に?」となった方もいるかもしれませんが、AR/VR空間を構成するデータは3次元データなので、通常のスマホで見る2次元のコンテンツとは比較にならないほど情報量が多く、ユーザー体験の質を担保するためにより優れた通信環境はマスト。そんなわけで、5GがAR/VRの普及に不可欠だ、という専門家は多くいます。4Gだと通信量面の制約で実用が難しかったものが、5Gによって実用レベルの水準を満たし、普及が進んでいくというわけですね。
4.AR業界でPretiaが目指すポジション
さあ!お待たせしました!Pretiaの目指す場所!やっと本題です。
AR技術というのはまだ完成していません。
正確に言うと、現在スマートフォン向けのアプリケーション開発に使えるAR技術というのは限られたものであり、したがって最終的な体験の自由度も高くないのです。
そこで、AR開発者のみなさんが思い描いた体験を実現可能にすべく、ARの基礎技術「ARクラウド」を開発しているのが私たちです。
👇ARクラウドについての記事はこちらからお読みいただけます
私たちは、ARクラウドを使って、ARに可能性を感じる世界中の開発者が、思う存分創造性を発揮できるサポートをしたいと考えています。
そして、サポートのあり方の一つという意味もあり、自分たちでサラ謎をはじめとしたARエンターテイメントを開発・提供しています。これは任天堂のような思想であり、自分たちで率先して遊びのモデルを切り拓いて、顧客の需要を喚起し、市場を活性化したいという思いがあります。
(現に、自分たちの作り上げたコンテンツのフォーマットに似た事例も出てきており、市場の広がりを感じています…!)
コンテンツ作りの中で、自分たちで「使いたい」と思ったツールを作り上げて届けることで、開発者の皆様の役に立てると考えています。
ゲームをプレイするエンドユーザーに対しても、そのゲームを作る開発者に対しても、「共に達成する喜びを届ける」ことができる、そんなポジションの確立を私たちは目指しています。
【参考記事リンク】
市場について
VR/AR/MRの違い①
VR/AR/MRの違い②
ARグラスについて①
ARグラスについて②
5Gについて
グーグルグラスについて
この記事を読むと、とてもARに可能性を感じるし、Pretiaがアップサイドが非常に大きいところで勝負している会社であると思っていただけたかと思います。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました🙇♀️