今回は、インフォメーションテクノロジー本部(以下 IT部)をまとめる立場にあり、執行役員でもあるTさんにインタビュー。
2021年4月新たに新卒メンバーを迎える予定のIT部、そんなピアラのIT部がどんな壁を乗り越え、これからどんな組織を目指していくのかについて語っていただきました。ぜひ、御覧ください!
■ IT部 執行役員 Tさん■
大学を卒業後、yahooやリクルートなどでエンジニアとしての技術を磨き、2018年ピアラへ入社。昨年、執行役員に就任。
『日本検索界の重要なタイミング(イベント)に、当事者として携わることができた。』
ーーピアラに入社するまでの経歴を教えてください
「学生時代にパソコンに興味を持ち、複数の企業でエンジニアとしてのスキルを磨いてきました。
そして2004年に、『Overture』今でいうyahoo広告の画期的なビジネスモデルに惹かれてyahooへジョイン。
『(yahooに掲載されているから)yahooに就職すればOvertureの仕事ができる』と考えていたんですが、yahooとOvertureが別会社だと判明。こうした入社の目的や考えが縁で検索チームに配属となり、自社の検索エンジンに関するシステム開発に携わりました。
その後、(自社の検索エンジンから)Googleの検索エンジンへの切り替えに携わったのがきっかけで、『検索全般で新しくできることってあまりないのかな』と思うようになり、次のステップについて考え始め、2011年にリクルートに転職しました。」
ーーyahoo時代の仕事で印象に残っているものや、自分にとって財産となった経験があれば教えてください
「yahooの検索の中でターニングポイントとされているタイミングに、チームメンバーの一人として(『yahoo検索』や『地図検索』などの)システム開発に携わることができたのは私にとって大きな経験です。いまでこそビックデータとかデータ活用とか当たり前のように言われていますが、yahooでは入社当初からすでにデータ活用が当たり前でした。
yahoo独自の検索エンジンへの切り替えや他社との提携のタイミング、日本検索界の重要なイベントに当事者として携わることができたこと、
そしてその中で、yahooアメリカのエンジニア(世界トップレベルのエンジニア)と一緒に仕事ができたことは自分にとって大きな財産になっています。
この”財産”というのは、自分の中にまだ生きていますし、これからも生きていく状態です。これはすごくありがたいことだと思いますね。」
ーー(yahooの)次のステップの場としてリクルートを選んだ理由はなんですか?
『検索に関して一通りのことをやれたかな』と思った時、『技術を磨くだけではなく、今後は自分に足りていないもの(コミュニケーション力)を身に着けたい』と考えるようになりました。
技術を極めていくことはもちろん大切、けれどこれからはその技術を人に伝える、もっと言うとその技術によって世の中がどう変わっていくのかをうまく伝えられる人間になりたい、そう思ったんです。
そして、当時コミュニケーションといえば『リクルート』というイメージが自分の中にあったので、リクルートにジョインすることを決めました。
(私が見かけたことのあるリクルートやリクルート出身の方って、自分から率先して物事を動かしたり、積極的に前に出て活躍したりするコミュニケーション力が高い人が多かったんですよね。だから『リクルート=コミュニケーション力が高い人』というイメージがあったんです。)」
ーーリクルートではどんな経験を積まれたんですか?
「リクルートでは、グループ内の検索エンジンを手掛ける組織やR&D組織の立ち上げからプロダクトの新規構築まで、一通り携わらせていただきました。
当時のリクルートが提供しているサービスの多くは、検索結果の品質に対して、課題があり、改善次第でできる部分が数多くありました。
だから『カスタマーが求めている情報が素早く見つかるように検索の品質をもっとよくしたい!』と手を挙げたんです。すると共感してくれる仲間が自然に有志で集まるようになり、一つの大きなプロジェクトに成長させることができました。
当時の社内文化あるあるなのですが、手を上げた人がやるという典型的な流れがあったんですよ。
また、R&D組織の立ち上げでは、5年後10年後どんな技術が中心になるか分からない中、これから手掛ける技術のテーマ決めをし、アウトプットを出していきました。
例えば、視線を活用したデバイスや脳波などを活用した新しいセンサー技術の深掘りをしたり、取り組みについて考えたり、プロダクトの活用を探したりしていたんです。
(当時は、脳波で動く『猫耳』などのデバイスが発売され話題になりました。)
ただ『技術を使いました 』ではなく、どうアウトプットをして見せるかというのも考えながらプロダクトの新規構築を進めていきました。
プロダクトをより良くしようとすると、『ユーザーはなぜこんなことを探しているのか』など、人に対する興味や視野がどんどん広がっていきます。
自分がどうしたいのかとか、それはなぜなのか、想いや考えを形にするための“How”がエンジニアリング。
そして、こうした人々の欲求やプロダクトを成長させるために『なぜ』や『どうして』を追求していく力を、今まで“検索”に携わってきた中で身に付けることができたかなと思っています。」
ピアラのIT基盤を整えるためにジョイン!
ーーピアラへはどんな経緯で入社したんですか?
「リクルートであらゆる経験を積みながら、さらに今後はどんなキャリアを積んでいったらいいのかを考え始めた頃、エージェントを通してピアラを知りました。
その頃のピアラは上場前で、ITの基盤や組織を構築するところから整えていくエンジニアリング(IT)の力が必要なフェーズでした。
そんなフェーズのピアラに魅力を感じ、自分のそれまでの経験を『ここで活かしたい』と思い、ジョインすることを決めたんです。」
IT部の信用はゼロだった!?メンバーの意識を変えるところから組織作りをスタート
ーーピアラへ入社した後は、実際にどんなことをされてきたんですか?
「今は広告系のデータを自動的に集められるようにしたり、集めたデータを集計してレポートしたり、その一歩先の機械学習やAIの判断を最適化するアルゴリズムを作ったり、もっと言うとそれらを分析するためのツールを開発する組織の体制を整えています。
(私がジョインした)当時のIT部には、言われたことを行なう人しかいませんでした。だからイチから組織を作ってきた、体制を整えてきたという感じです。
業務委託だったら言われたことをやるだけでいいのかもしれませんが、社員として会社にいる以上、自分の作ったものが何に使われているのか、自分の作るものにどんなことが求められているのかまでちゃんと考えなくてはいけません。
『言われたからやりました』、『言われたものを作りました』じゃダメなんです。なので、メンバーの意識において、こういう所(根本)を変えることから始めました。
ちょっと激しい表現かもしれませんが、当時のIT部の信用はゼロだったと思います。」
ーーゼロ!?そ、それはなぜですか?
「自分で考えて行動できるエンジニアがいなかったですし、何かアクシデントがあったときに頼りたいと思う人がいなかったからですね。
今いるメンバーは意識もだいぶ変わりましたが、当時はタスクベースで考える人が多かった。だから、『この案件は何を求めているんだっけ?』とか、『自分たちで考えて手を動かせるようにしよう』という意識付けから行なってきました。
技術を磨くことはエンジニアとして当然のこと、その技術をどう活かすのかとか、新しく身に着けた技術を今あるプロダクトにどう当てはめるのかを私たちは考えるべきなんです。
そして、そこから生まれるイノベーションがある。『これ使って』とか『これやって』と指示されている中では、イノベーションは生まれません。
『こういう技術があるから、プロダクトにこうやって適応させよう。そうすれば、こんなふうに貢献できそうだ』というのを考え、自分で説明できるような状態を作ることができれば責任感も生まれる。
この状態を作れたら、自分でやりきってくれると思うんです。こうした考えのもと今日に至るまで組織作りを行なってきました。」
ーーなるほど、実際に『チームメンバーの意識が変わったな』と感じたエピソードはありますか?
「『データ分析がしたい』と言っていた人が、プロダクトのことを考えるようになったときにチームメンバーの中で意識が変わってきているのを感じました。
具体的に言うと、『クライアントが〇〇を求めているから、このデータをこういう分析ができる状態にしておいたほうがいい』とか、『次のステップ(施策)のために、〇〇について考えておこう』という提案を自発的に行なってくれるようになったんです。
メンバーのこうした姿を見て、それまで凝り固まっていたものが、うまくとけてきたのかなと思いましたね。」
「組織をゼロに近い状態から構築し始めて1年ほどで、こうしたメンバーの嬉しい変化を感じられるようになりました。
IT部だけではなくピアラは今、変化の時期にあります。
そんな中、実際に自分の意識や行動を変えられるのってとてもすごいことだと思うし、(変化を受け入れるメンバーの柔軟な姿に)ありがたさを感じています。」
自分自身とピアラの成長について、考えられる人材を育成&組織を作っていく
ーー2021年の4月には、IT部に新卒メンバーもジョインするんですよね?
「そうです!IT部としては自分がジョインしてから初めて、今年の4月に新卒メンバーを迎えます。
(IT部にジョインする)メンバーは3人とも自分が面接に入り、採用させてもらいました。
面接では今お話したような、組織作りで大切にしていることや、ピアラのエンジニアとして自分で考え行動できる人になってもらいたいということなど、私の考えや想いを伝えさせてもらいました。それに共感してくれたメンバーがジョインしてくれます。
また、これも面接でお伝えしたんですけど、私にできることって成長の機会を与えることだけなんです。
その成長ができないと思ったのであれば、次の場所(キャリア)にいくべき、成長も何も得られない場所にグダグダいても時間がもったいないですよね。
こうした私の考えに共感してくれたメンバーが、これからピアラのIT部へジョインしてくれることはありがたいですし、誇らしくもあります。」
ーーTさん自身の今後の目標や、これからIT部をどんな組織にしていきたいかを教えてください
「メンバーが成長できる場をどれだけ作っていけるかが私にとっての課題ですし、彼ら(メンバー)にとっては乗り越えなければいけない壁だと思っています。
『ピアラにいてよかった』や『ピアラではやりきった』と言われるような状態を作る、これが僕の中では最大の成果であり、目指すべきものなんです。
『退職』というと、どうしてもネガティブな印象があると思うんですけど、『やりきったから次のステップへいく』、『ピアラでこんなことを成し遂げたから卒業して別の場所へいく』と前向きに自分の成長について向き合えるメンバーの育成・組織作りを行なっていきたいですね。」
「また、アウトプットをうまく活かして自分がチャレンジする目標や技術をみつけられるとか、成長できるような機会がしっかりとみつけられる組織を作りたいとも思っています。
自分の成長は組織の成長に繋がる、組織の成長だけをみて自分の成長を犠牲にすることになっては困るし、もっと言うと自分の成長だけをみて組織の成長を考えられないのはダメ。
全てをあわせて100にするのではなく、1000になるような状態・体制が2021年4月以降、整うといいなと考えています。」
『他社のサービスを使う前に、一度相談してほしい…!』
ーーピアラで働くメンバーに伝えておきたいこと、IT部について知ってもらいたいことなどはありますか?
「うーん、そうだな…うちの部署はインフォメーションテクノロジーを扱っている部署なんです。笑」
ーーカタカナにすると、さらに難しそうに聞こえますね…!笑
「ITという技術を扱っている部署なので、『よその技術を使うのであれば、一度私たちに相談してください』とお伝えしたいですかね。
要するに、外部のサービスや新しい技術を使ったりするときに、『そのサービスがどういうものなのか』とか、『なんでピアラの中ではできないんだっけ?』というところを一度相談してもらえると、すごくありがたいなと思います。」
ーー実際に、『〇〇を使うんだったら事前に相談してくれたらよかったのに』と思ったことってありましたか?
「具体的に『〇〇を使ったとき〜』というより、他社のどんなサービス・ツールを使っているのかがよく分かっていなかったり、もっというとECのショッピングカートシステムについて『一度相談してくれてもいいのに…』と思ったりするんですよ。
他社のサービスを否定しているわけではなく、できているものにお金を払って使うのって『自社(ピアラ)に何が残るんだっけ』という部分をもう少し考えてもらえたらいいなと思います。
他社のサービスが使えなくなったら何も残らないですし、その中でしか使えないということは、中にある情報(データ)を最大限活用することができないかもしれないんです。
『動いた』とか『導入した』ということだけがゴールになってしまうのはピアラにとってプラスにはなりません。『そのサービスを使って事業をどう成長させるか』、『どう活用するか』、『どう使いこなすのか』というとことまでを考えて、検討段階でIT部に相談してもらえるとありがたいなと思います。」
ピアラのIT部は『プロダクトを成長させるために、自分の技術を磨き続けられる人』を求めています!
ーー最後に、ピアラのIT部が求める人材について教えてください
「IT部はプロダクトを成長させるために自分の技術を使ってくれる人、もっと言うと自分の技術を磨き込める人を求めています。
やっぱり『プログラミングだけやりたい』とか『モノ作りだけをしていたい』という人もいるじゃないですか。
ですが、モノ作りって作って終わりではなく、モノを販売した後のアフターフォローや、サービスの提供など、行なうべきことはたくさんありますよね?エンジニアも同じで、0を1にするだけじゃなくて、その1を継続的に磨き続けられないといけないと思うんです。
Web領域である以上、完成はありません。みんなが使い始めるところがゴールではなくスタートであり、そこからさらにメンテナンスやアップデートが必要になる。
組織が大きく、役割も細分化されているところでは、0から1を作りだす人と、1を磨き続ける人が別の場合もあるでしょう。
ですが、うちの部のフェーズ的にも、作り出した機能(システム)を、どんどん魅力なものに仕立て上げられる人にジョインしてほしいと思っています。」