わたしたち一般財団法人島前ふるさと魅力化財団は、2014年3月の設立以来、隠岐島前地域の教育と地域の魅力化を推進してきました。
その中でも、当財団の設立以前より取り組んできた島根県立隠岐島前高校の「魅力化」事業では、様々な施策により生徒数が増加し、豊かな学びの環境をつくることができました。そして「隠岐島前教育魅力化プロジェクト」として全国から挑戦事例の1つとして注目されるようになりました。
2022年度春には、隠岐島前高校に『地域共創学科』が設置され、高校生たちが「仲間と共に、大人と共に、地域と共に、意志ある未来を創る」をスローガンに地域をフィールドにして色んな力を磨いていくという、新たな挑戦が加わりました。
魅力的で持続可能な地域づくりのためには、未来の担い手の「教育」と「還流」が不可欠!
一方、島前3町村では相変わらず人手不足、未来の担い手不足が課題になっており、魅力的で持続可能な地域をつくるためには、隠岐島前高校の卒業生をはじめとする若手人材を地域に「還流」させることが不可欠になっています。
そこで2021年度からスタートしたのが、「大人の島留学」です。大学生〜20代の若者が、島に暮らしながら地域のさまざまな事業所で働くという就労型お試し移住制度で、初年度は約70名が参加。
隠岐島前高校の卒業生も多数含まれます。地域にどっぷりと浸かり、島の暮らしや島の人々の価値観を肌で感じる経験は、都会で生まれ育った若者たちにとって、海外留学のカルチャーショックに匹敵するような越境体験となっています。
人材の還流を目的とした「大人の島留学」ですが、私たちが実現したいのは、「島留学に来た若者に移住してもらう」というあり方に限りません。一時期を島で暮らして、都会に出て、また島に戻ってくる…とい人がいてもいいし、島とどこかで2拠点生活をする人や、都会に暮らしてリモートワークで島の仕事をする人がいてもいい。島を出たら二度と戻って来られない、島に戻ってきたらずっと島で暮らさなきゃいけない…という旧来の固定概念にとらわれず、「還流」にはいろんなかたちがあってもいいんだと、若い人たちに感じてもらいたいと思っています。
海士町役場が中心になって担っていた「大人の島留学」は、2022年度からは当財団が事業を引き継ぎ、西ノ島町や知夫村とも連携して島前3町村で展開しています。2022年度春には、約60名の若者が新たに来島し、それぞれのフィールドで活躍しています。
財団の描く未来
当財団では、これからの10年間を通して、「隠岐島前高校の卒業生を中心とした若者が積極的に島前3町村に還流し、産業、行政、教育、観光、福祉などの各分野の担い手になる」という未来を実現したいと思っています。
このビジョンを確かなものにするためにも、島内外の多様な人々と協働・共創し、教育と地域の魅力化のさらなる推進、新たにスタートした「大人の島留学」の拡充に取り組んでいきたいと考えています。