世のため人のためは偽善かも？OSAJI代表が「自分たちが楽しい」にこだわる理由とは？

みなさんは、「仕事を楽しむ」という感覚についてどのようにお考えでしょうか？日々の膨大な業務の中で、 自分の「楽しい」を優先することは難しく、自己犠牲的にお客様やクライアントのために淡々と仕事をするのが当たり前と思っている方も少なくないのではないでしょうか？

コロナ禍で苦戦する小売のプレイヤーも多いなか、急速な成長を遂げているOSAJIの代表を務める日東電化工業ヘルスケア事業部CEO・茂田は「“世のため人のため”を優先して”楽しい”を犠牲にするのは、どこか偽善的な感じがするんだよね」といいます。

“一人ひとりの「楽しい」が先にあって、後から世のため人のためがついてくるのが丁度よい”

「日本人はどこまで仕事を楽しんでいいのか？という迷いがある」と茂田は語ります。確かに、仕事は楽しむものではなく義務的にこなすものという考え方は、日本人であれば馴染み深いものかもしれません。しかし、「今の時代、人はそういう環境を選ばなくなっている」と考えているのです。

今の時代にどんな環境があれば、魅力的な人が集まってくるのか。それに対する茂田の答えは「楽しさ」。仕事を楽しんでいる人が集まる会社にこそ、魅力的な人が集まってくると考えています。そのため、OSAJIのスタイルは、会社はシンプルにゴールだけを設定して、どう管理するかは個人に任せるやり方。細かいディテールまで会社が指示してしまうと急に仕事がつまらなくなると考えているからです。

「楽しく働いてもらうために、個性を尊重する」という茂田の言葉は、綺麗ごとの台詞ではありません。実際、本社メンバーや店舗スタッフの多くと話しても、「仕事が楽しい」という言葉が返ってきます。もちろん人によって「何が楽しいか」は異なります。それぞれの楽しさを大切にしながら、野生の草花が咲く庭のような環境がOSAJIにはあります。

“仕組み化によって自分の頭で考えなくなるなら、常に余白があるほうがよい”

ブランドが発足してから現在まで、「ルールをがっちり決めてオペレーションを固める方向にはどうしても向かえなかった自分がいる」と茂田は語ります。

たとえばコロナ禍の初期、OSAJIはすばやい対応で手指のハンドリフレシャーを発売しました。そのときはみんながOSAJIのことを考えて、倉庫での発送などを含め、能動的に手を上げてくれました。これがもしルールをがっちり決めてオペレーションする風土だったとしたら、商品の発売はもっと遅れていたかもしれません。柔軟な対応が求められるコロナ禍において、立ち止まることなくOSAJI独自の動きができたのは、常日ごろから主体的に動くことを大切にする価値観があったからこそです。

“やりたいことがある人と働きたい”

OSAJI（日東電化工業ヘルスケア事業部）で活躍できるのはどんな人か？ その問いに対する茂田の答えは、「やりたいことがある人かどうか」。

やりたいことがある個人が集まって会社ができているという考え方。それは、OSAJIには唯一絶対的なベクトルがあるわけではないことを意味します。茂田の考え方は、「会社の方向性は、社員一人ひとりの個性が合わさって決まっていく、“ゲル”のように柔軟なもの」。だからこそ、やりたいことを持っていて欲しい。一人ひとり「楽しい」と思うことは違う、それが合わさることで価値が生まれる」と考えているのです。もしいま明確な「やりたいこと」がなくても、やりたいことを見つけたい人と仕事をしたいと私たちは考えています。

偏食という言葉がありますが、「楽しい」や「好き」にこだわると偏りが生まれます。会社のなかで偏りを全面に出すことは、一般的にはハードルが高いと思われるかもしれませんが、OSAJIではむしろそれが推奨されています。「ちゃんと偏る」ことが求められているのです。誰にでも受け入れられるようなものは、誰かを強く惹きつけることもないと考えています。

“自分は社員の「飲み友達」のようでいたい”

社員にとってどんな存在でありたいか？ そんな問いに対して、茂田は少し考えたあと、「飲み友達かな」と答えました。自分を開示して、信頼関係を作ることを大切にしているのです。

例えば、飲み会でメンバーが熱い思いを語っても、それが会社のなかで真剣に検討されることは少ないのではないでしょうか。

「お互い夢を語って、『そんな夢があるんだったら明日から会社でやれることを試してみようよ！』と言いたい。言われた通りにだけやってくれればよいというコミュニケーションは取りたくないし、一緒に考えていきたい。なぜならそのほうが僕も楽しいからね」と茂田は語ります。

もしかすると非効率かもしれないけど、「やってから考えようよ」という考え方。それは、OSAJIらしさがよく伝わる言葉だと思います。