ニジボックスが運営するエンジニア向けのキュレーションメディア『POSTD』のスピンオフイベントである『POST Dev』の2回目が2024年10月19日に行われました。
今回のテーマは「テクノロジーの進化がサービスを加速する」。テクノロジー、サービス、ソフトウェアを進化させ続ける「人」とその「仕事」に焦点が当てられ、各領域の最前線で培われた知見が公開されました。株式会社ニジボックス 開発統括本部 本部長 データエンジニアリング室 室長の遠峯 康夫からはニジボックスとリクルートの共創で生み出されているデータエンジニアリングの最新事例について紹介しました。
―Profile
遠峯 康夫| 株式会社リクルート / 株式会社ニジボックス 開発統括本部 本部長 データエンジニアリング室 室長
2010 年 ヤフー株式会社(現LINEヤフー株式会社)に入社。データ部門のエンジニアおよびマネージャとして、大規模 Hadoop クラスタの構築・運営やデータ マネジメント組織の立ち上げに参画。2018 年 株式会社リクルート入社。2021 年より現職として、リクルート各事業のデータ利活用を横断的に支える基盤・ツール群の企画運営組織を担当。
リクルート・ニジボックス共創によるデータエンジニアリングの最新事例
ニジボックスとリクルートの共創の中でも、特にデータエンジニアリング関連の最新事例を遠峯さんにはプレゼンテーションしてもらいました。
リクルートのデータ利活用の概観
「リクルートではさまざまな領域でデータの利活用が実施されている状況です。今日は、そのバックボーンとなるデータ基盤に関して皆さんにお話してできればと思っています」
「ニジボックスのミッションは『Grow All』。親会社であるリクルートとの共創も通じて、『全ての企業を成長させる』ということを掲げています」
ニジボックス×リクルート共創
リクルートには多種多様なサービスがあり、それぞれデータの利活用を行っていますが、そのデータ基盤の構築や運営をどのように企画、開発、整備していくのかは非常に重要です。
「データエンジニアリング領域でのニジボックスとリクルートの共創を通じて専門集団としての能力を磨いていこうということですね」
「専門家集団としての能力」を上げていくために、ニジボックスでは育成にかなり力を入れています。
「人材市場そのものにデータの専門家がまだまだ足りていない状況ですので、IT・エンジニア経験のある方が弊社にきて、データの専門家として早期に活躍いただけるようにあらゆる角度からサポートする体制を用意している次第です」
具体的な共創事例
ニジボックスとリクルートの具体的な共創事例を3つ紹介します。
「データ基盤の話がメインとなりますので派手さはありませんが、データ利活用の『屋台骨』的な事例として聞いていただければと思います」
1つ目は『Sugar』という、ユーザーリストを抽出できる社内ツール運営への参画です。
「Webブラウザから操作できる、リクルート各領域のマーケティング活動に不可欠なものでして。マーケターがカスタマーにサービス利用をメールで促す際のユーザーリストを抽出してくれるものになります」
Sugar運営において、ニジボックスとリクルートの共創という文脈で直近行った施策は2つあり、1つ目はリスト抽出速度の改善です。
「リスト抽出は繁忙期に稼働が集中することが多く、そうなると予定の時刻までに処理が完了しないということも発生します。そこで、前段の処理を並列化できるよう改善しました。あとはAPIへのリクエスト回数を削減したりですとか、愚直にチューニングを行ってきました」
もう1つは抽出対象項目の追加開発です。
「これはマーケターの要望に従い定常的に行っているものになります。たとえば『じゃらん』のケースを例に挙げると、リストを抽出する際の条件に「子ども」がいるか否か、いる場合は何名いるのかなどを足していくわけです。そうすることで家族向け商品のキャンペーンを打ちたい時のリストがより磨き込まれていくわけです」
共創参画事例の2つめは『Crois』という、リクルートにおける各種データ利活用施策実行管理基盤運営・開発への参画です。
「こちらのプロダクトはエンジニアの皆さんに分かりやすく説明するといわゆるジョブ管理ツールですね。リクルートのデータ利活用の半数近くで利用される屋台骨といえる存在です」
『Crois』の運用・開発に参画する中でニジボックスが行ったのはジョブ実行数の増加施策でした。
「近年を振り返るとジョブの実行数はおおよそ毎年3倍ずつ増えている計算になりますね。そうなるとスケーラビリティ確保のための運営体制が大変になってくるので、ネットワークの設定や権限付与設定などをニジボックスが自動化したと。また、問い合わせ内容を分析して新規開発企画や運用プロセスの改善なども推進しました」
3つめは「データマネジメント担当」としてリクルートの各事業でのデータによる意思決定を支援するための各種企画・開発・運営をニジボックスが行う事例です。
「たとえば営業のヨミですとか、サイトの動向ですとか、各領域でデータを使って意思決定をするわけですね。その時に使用するデータの数字をより見やすく提示できるようにしたりなど、さまざまな技術を用いて支援しているという事例です」
現在ニジボックスのデータマネジメント担当が行っている業務は主に3点です。
1点目はアクセス解析に関する問い合わせ対応になります。
「リクルートグループ内の各事業領域からアクセス解析に関する技術的な問い合わせがくるわけですが、それに対して各ツールベンダーの専門家とも連携しながら回答したり、場合によっては既存のデータ解析システムに対して修正・改善をするケースもあります」
2点目はダッシュボードの企画・開発・運営です。
「意思決定をする上で、データを分かりやすく可視化していくことが重要となりますので、さまざまな領域向けのダッシュボードを企画から運営までニジボックスで行っています。ただダッシュボードをつくるだけでなく、業務プロセスの負を特定し、そのシューティングも同時に実現していくこともあるというのがポイントですね」
3点目として、データ分析基盤の開発・運用保守もニジボックスが行っています。
「リクルートの各領域が管理しているデータがデータ分析基盤に載っているわけですが、そのままでは使えないのでデータを使える状態にします。外部ソースから連携して、集約・加工してデータを置いておく、もしくはそれをダッシュボード化したり、集計してレポート化したりというケースもあります」
登壇内容を動画で視聴したい方は以下も見てみてください!
ニジボックス公式YouTubeチャンネル
【遠峯 康夫 氏】 リクルート・ニジボックス共創によるデータエンジニアリングの最新事例 | POST Dev 2024 | ニジボックス主催