新型コロナウイルス感染症の流行によるBCP対策として全社的にテレワークへ移行した当社。その後テレワークスタンダード化プロジェクトを立ち上げ、現在、テレワークは多様な勤務体制の選択肢の一つとなっています。
テレワーク移行時の取り組みについて担当部門へのインタビュー企画第二弾となる今回は、BCPにかかわる各種対応を行い、テレワークスタンダード化プロジェクトでも主要な役割を担ったBCP委員会・工藤志敏さんに、当時の対応と今後の取組みについて聞いてみました。
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災害対策としてテレワーク勤務を開始。事前の想定からさらに踏み込んだ対応に。
―BCP委員会の活動内容と新型コロナウイルスの感染拡大をうけてどのような対応をされたのか教えてください。
BCP委員会は災害などの緊急事態が発生した場合の事業継続計画をとりまとめる組織です。当社では首都直下地震や火災などと同様、パンデミックも以前から想定しており、普段から、マスクや消毒用アルコールなど衛生用品のチェックをおこなっていました。
2020年1月末頃から新型コロナウイルス感染症の国内の感染者について報告がされたため、追加でマスクなどの用品を確保しはじめ、2月からはこれまでの計画に加えて新たな行動指針の作成にとりかかり、翌3月から運用を開始しました。
また、BCP担当役員と人事部を交えて対応を話しあい、まずは従業員に正しい情報配信や注意喚起を促すなど、感染対策としてできることから取り組んでいくことにしました。
行動指針は厚生労働省の情報を基に、当社の環境を踏まえて対応を6段階に分けています。現在(2021年3月)はこれに準じてフェーズ4として対策本部を立て、社長を本部長として全社的、組織的に動いています。
健康・安全確保を最優先するよう、従業員に理解を求める。
―部署によりテレワーク移行への対応は様々だったと思いますが、働きかけなどはされましたか?
環境や業務の違いなどもあるため、全部署一斉にテレワークへ移行できたわけではありませんが、テレワークへ切り替えるために業務の見直しを各部門積極的に行ってくれたと思います。
開発系の部署は業務面や環境面のハードルが少なかったので、いち早くリモートを開始しました。経理やサポートオフィス※1など物理的に出社が必要な業務がある部門は、出社日数を減らせるように業務の見直しを行っています。また、部門長と部員との間でテレワークへの意識の差があった部署には、BCPから部門長に、従業員の健康・安全確保を最優先し、業務調整をお願いしました。
結果的に、昨年4月初旬には出社率は10%程度となり、会社全体としてスピード感をもって対応できたのではないかと思っています。
―オフィス出社率が約1割となっていますが、スピード感をもって対応し、スムーズに移行できた要因と、継続できている理由はなんだと思いますか?
機動的に動けたのは前多社長のリーダーシップと、BCP担当役員の武井副社長が現場に寄り添い、一つ一つの課題に対して細かく判断していただいたことが大きかったと思います。「人事面やセキュリティ面などは従業員を信じて、実行し、問題点は走りながら解決しよう」という方針で、素早い判断・意思決定をしていただき、災害時において、それらがとても重要であるということは教訓になりました。
また、それらをまとめていくプロジェクトチームが非常に頑張ってくれたこと、そして、従業員の理解と協力があって、スムーズな移行がすすんだと考えています。
個別の要因としては、まず、従業員の健康・安全を最優先にし、自宅待機としたことです。その上で、自宅で業務をするための環境整備と支援について検討しました。環境面では通信環境や、子育てや介護、あるいは仕事のための部屋がない、といったことも含まれます。これに対し人事部やICT室※2がきめ細かく対応し環境整備に必要な補助金の支給や、テレワーク移行によりフロアを削減することで必要がなくなった椅子やモニターも譲渡することにしました。
また、テレワークに移行するにあたり、従業員一人ひとりが、問題なくテレワーク下で自分の仕事をまわすにはどのような対策が必要かを、経営陣をはじめ各部門でより具体的に真剣に考えてきたことも、大きかったのではないでしょうか。
これからはテレワークがスタンダードに…!BCPで得た知見を参考に、制度の整備へ。
―テレワークスタンダード化プロジェクトについて、プロジェクト化した理由やメンバー構成を教えてください。
これを機に「社会の働き方はテレワークが標準になるだろう」という、経営陣や現場の総意があり、緊急時ではなかなか整備できなかったITインフラや文書・決裁管理、業務マネジメントなど各分野の規定やセキュリティ、システム面をまとめていくためにプロジェクトが発足しました。
非常時から平時へと移行するにあたり、緊急時の問題・課題、情報をスタンダード化の際に生かせるよう、メンバーはITインフラを担当するICT室、人事部、オフィス環境整備にかかわる総務部・サポートオフィスなど、BCP委員会の対策本部がそのままテレワークスタンダード化プロジェクトに移行しています。
―テレワークスタンダード化プロジェクトを推進するにあたり苦労したことはありますか?
テレワークの整備を進めていくに従い、オフィスフロアを減らしてレイアウト変更をするなど、対応する範囲がどんどん増えていきました。一方で通常の業務もあるため、整備しながら運用し、また問題があればそれを解決し…。作りながら問題を解決し、もっと品質をあげていく、さらにスピード感を含めて求められる、という点は大変でした。
スタンダード化のその先。出社のメリットとテレワークの課題改善を考える。
―テレワークスタンダード化になり、今後の課題などはありますか?
テレワークスタンダード化、と言ってもオフィスの出社がないわけではありません。ですから、オフィスに出社する場合は、そのメリットをより感じられるオフィス環境や、会社の方針、福利厚生などを整えていきたいと考えています。
―今後も継続してテレワークをするにはどのようなことが必要だと思いますか?
業務の効率やコミュニケーションなど、テレワークにおいての課題や要望を継続的に吸い上げて、さらに整備していくことが大切だと思います。
また、緊急時だけではなく、現在と将来を見据えて、「本当に必要な事か?」としっかりと状況を把握し、身のある整備をしていくことが重要ではないかと考えています。不定期であっても、プロジェクトのメンバーで集まる機会を設け、新たな課題などについて考えていく必要があると思います。
※1 全社の事務的なサポートやファシリティ管理を行う部門
※2 サーバおよびネットワーク・基幹システム(テレワーク環境など)の管理、パソコンの貸与、セキュリティ対策などを行う部門
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