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治験を変革するMiROHAとは:前編

治験プロセスのデジタル化を推進する「MiROHA(ミロハ)」というプロダクトの責任者をしている草間です。
「治験」という領域は、業界の外の人からみると、あまり馴染みのない事業領域だと思います。

「そもそも治験とは何か?」
「どんな課題があるのか?」
「なぜMICINがこの領域で事業を行っているのか?」

について、インタビュー形式&前後編の2部構成でできるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
では早速、前編をお届けしていきます。

目次

  1. そもそも治験って何?
  2. 治験の課題は?

そもそも治験って何?

「治験っていうと、学生のときに治験バイトをしていた友達がいましたね。結局のところ、何をするプロセスなんですか?」

わたしたちが新しいお薬を使うとき「本当に効くのか」や「副作用が怖くないのか」が気になりますよね。「薬も過ぎれば毒となる」ということわざがあるように、新しいお薬を開発するときには様々な検証が必要になります。実際に患者さん等にお薬の「候補」を使ってもらい、効き目や安全性を検証するプロセスが「治験」といわれています。

「治験って、危ないものなんですね。気軽にバイトしていた友達が心配になりました。」

治験への参加には、もちろんリスクがあります。一方で、治験を経て新しいお薬が世の中に届けられることを、心待ちにしている患者さんがいることも事実です。

私自身が治験のことを初めて知ったのは、MICINを創業する前のことでした。新卒でMcKinseyというコンサルティングファームに入って1年目、あるプロジェクトに関わったことがきっかけでした。今までにない画期的なお薬を、どうやって患者さんに届けるのか検討をしている過程で、何人かの患者さんにインタビューをさせていただく機会がありました。

ある難病の患者さんは、身体の調子が悪くなってから病気の原因がわかるまで20年以上かかったそうです。その間、いろんな病院を転々とし、ときには病院の先生から診察を拒否されてしまうような辛い経験もされたそうです。

ところが、やっと病気の原因が分かっても、治療薬はなく、徐々に悪くなっていく自分の身体と向き合って生きていくしか無い。そこに追い打ちをかけたのが、遺伝性の疾患である、ということでした。親として、子どもに遺伝子検査を受けさせるべきか、とても悩まれたそうです。もし遺伝していたら、子どもたちは誰か好きな人と結婚して家庭を持つ、という当たり前の生活も送らなくなってしまうのではないか。一方で、親の責務を考えると、検査を受けさせないという選択肢はあるのか。。。

そんな時代から考えると、お薬がある、ということは、私たちの人生を大きく変えることなんです。お薬がある、ということは決して当たり前のことではありません。

ときには目に涙を浮かべながら、当時の心境を教えてくださった患者さん方の表情は、今でも鮮明に覚えています。

病気に苦しんでいる人に、一分一秒でも早く新しいお薬を届けたい。そのための重要なプロセスが治験です。

治験の課題は?

「治験が大事なのは、よくわかりました。では、今の治験プロセスって、何が課題なんでしょうか?」

新しいお薬を早く世の中に届けたいという想いを、一番強く持っているのが、治験に関わっている医療現場の方々です。一方で、医療現場の方々は、アナログで複雑なプロセスや、使いにくいシステムに苦しまれてもいます。医療機関にインタビューして業務プロセスマップを作成することもあるのですが、とても煩雑で、複雑なものになることが多いです。

日本で治験を行う場合、治験を専門とする医師がいるわけではありません。忙しい診療の合間をぬって、先生方や医療スタッフの方々が治験を実施しています。分刻みで通常業務をこなす傍ら、治験に必要なたくさんのデータを集めていくプロセスはまさに職人芸です。

職人芸と聞いてピンときた方もいらっしゃるかもしれません。別の側面からみると、属人的かつアナログな業務がたくさん残ってしまっていることを意味します。海外では治験プロセスのデジタル化が進み、様々な業務支援ツールが登場しています。ときには「海外製の使いにくいツール」が部分的に治験現場に導入され、業務の負荷をさらに上げてしまっていることもあるようです。

「医療現場の課題はよくわかりました。でも治験の主役は患者さんですよね?」

治験をするためには、患者さんの協力が不可欠です。ですが、そもそも治験の存在自体を知らない患者さんが多いんです。

今まで試した治療法が効かず、最後の選択肢として治験への参加を考えられる癌の患者さんもいらっしゃいます。中東から、画期的な乳がんの治療薬を求めて、日本まで治験を受けに来た方もいた、みたいな噂話も聞いたことがあります。

治験は、新しいお薬を世の中に届けるためという側面だけではなく、そこに参加する一人ひとりの患者さんの視点で考えることも重要です。

もし家族が癌になり、どの治療法も効かなかったとき、治験という選択肢を考えるでしょうか。治験に参加する患者さんの大半は、たまたま主治医から紹介されたからだそうです。残念ながら、患者さんにとって治験は身近なものではないのが現状です。

後編の記事では、治験の課題をMiROHAはどう解決するのか、という観点やVertical SaaS市場としてみたときの治験領域の面白さなど、事業視点でご紹介していきます。お楽しみに!

少しでもご興味をお持ちいただけた方には、気軽にお話させていただければと思います!

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