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メトロエンジン×凸版印刷 Wantedly 特別対談:前編 〜スタートアップと大企業がビジネスを共創〜

2021年にリリースされた飲食店向けマルチプラットフォームマネジメントシステム「デリくる」。大企業とスタートアップ企業の共同プロジェクトで生まれたデリくるとはどのようなプロダクトなのか。また凸版印刷株式会社(https://www.toppan.co.jp/)とメトロエンジン株式会社が共同プロジェクトを通して感じた、これから必要とされる人材とは?

凸版印刷株式会社のプロジェクト責任者である吉田さんをゲストにお迎えしてオンライン対談で語って頂きました。会社選びに悩む20代の若手や更なる成長を目指す人にとってはここでしか読めない有意義な内容になっております。ぜひ、最後までお楽しみください

目次

ー前編

  • プロフィール
  • 凸版印刷がベンチャーに出資?
  • 新規事業「デリくる」とは

ー後編

  • 大企業とスタートアップに共通して求められる能力
  • これからの世の中に必要とされる人材
  • 企業選びの大切な「軸」

プロフィール

凸版印刷株式会社 事業開発本部戦略投資センター  吉田 光志

新卒で凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)に入社。その後転職し、スタートアップフェーズのベンチャーを2社経験。広告プランナーとしてのキャリアを重ねた後、上場推進の責任者へ就任。キャリアアップのためベンチャーキャピタルへの転職を検討してた時に、新卒時代の先輩に声をかけられ凸版印刷へ再度入社する。再入社後は事業開発本部戦略投資センターでCVC事業に従事。


メトロエンジン株式会社 取締役COO / 統括責任者 小阪 翔

新卒で昭和電工株式会社に入社。新規事業の立ち上げなどに携わった後退職し、MBA取得のため渡米。留学中にデータサイエンスを学び、帰国後は株式会社野村総合研究所にコンサルタント兼データサイエンティストとして入社。2019年に、当時創業3年目のメトロエンジン株式会社(以下、メトロエンジン)へ転職。現在は取締役COOとして新規事業の立ち上げ等に携わる。


凸版印刷がベンチャー企業に出資?

凸版印刷さんがベンチャー企業に出資をしているということを意外に思われる方が多いのではないかと思います。吉田さんのいる事業開発本部戦略投資センターとはどのようなことをされている部署なんでしょうか?

吉田|凸版印刷には部署が数百とあるのですが、一見すると印刷とは関連性のなさそうな事業分野もあります。これらは、弊社が印刷業で培った印刷テクノロジーを多様な分野に応用し、社会の課題解決に向けてソリューションを提供する、という理念のもとで立ち上がった事業です。事業開発本部戦略投資センターが立ち上がってCVC事業をスタートさせたのは2016年です。

「凸版印刷におけるオープンイノベーションは何かを考える」というお題のもと、当時経営企画にいた3人のメンバーがVCやコンサルティング会社、新規事業に積極的な事業会社など何社も話を聞きに行き、最終的にCVC事業をやっていこうということになりました。現在はIT企業を中心に50社ほどのベンチャー企業に出資をしています。メトロエンジンさんに最初に投資をしたのは2019年です。

メトロエンジンに出資を決めた理由はなんですか?

吉田|もともと凸版印刷は小売業との強い繋がりがあります。私達が小売業の方にプロモーションをする際のソリューションの1つに、電子棚札があります。条件によって商品の名前や価格を変えることができるものなのですが、これがメトロエンジンさんが手掛けているダイナミックプライシングのソリューションと非常に相性がいい。凸版印刷の持っているインフラと、メトロエンジンさんのダイナミックプライシングの技術を掛け合わせて新しいものを世の中に提案していこう、という想いで出資をさせて頂きました。

新規事業「デリくる」とは

共同開発した「デリくる」とはどのようなプロダクトなのでしょうか?

小阪|飲食店が使用するフードデリバリーサービスの管理ツールです。フードデリバリーサービスは2020年の初頭、つまり新型コロナウイルス感染症が流行し始めたタイミングで急激に需要が高まりました。どの飲食店もUver Eatsや出前館などの色んなサービスを利用し始めたんですよね。

ただ、フードデリバリーのサービスを複数利用すると、飲食店はサービス毎に違うタブレットを使って注文の確認や管理をしなければいけないんです。いざ導入してみると店舗のオペレーションが非常に大変、という課題がみえてきました。先んじてメトロエンジンではレンタカー業界で同様の課題を見つけていて、各サイトの管理画面を一括管理できるシステムを作っていました。この技術をフードデリバリーサービスに応用したものが「デリくる」です。

2020年から開発していたものがついにリリースされたんですね。まだ開発は続いているとのことですが、これからの「デリくる」はどんなビジョンを描いているんでしょうか?

吉田|既に基本機能は備わっているので、機能を深めるという縦軸、つながりを作るという横軸をそれぞれに発展させていきます。例えば機能面では、フードデリバリーだけではなく、今流行りのゴーストレストランの管理もデリくる一つでカバーできるようにしています。あとは、デリくるで一括管理できるサービスが増えてきていたり、キッチンプリンターとも連携ができるようになったり、プラットフォームもどんどん横に広がっています。

小阪|フードデリバリーにも需要の高い日や低い日、高い時間や低い時間があります。メトロエンジンは元々ダイナミックプライシングを得意としている会社なので、需要に応じて自動でメニューの値段を変動させて飲食店の利益を最大化させる仕組みを開発しようと考えています。メトロエンジンが今まで手掛けてきたホテルやレンタカーの業界では、元々需要に合わせて価格を変えることは一般的に行われてきたのですが、これまで我々がやってきたのはいかにAIで価格を最適化するかというところです。

一方で飲食業界はメニューの価格を頻繁に変えるということはあまりしてこなかったので、業界としてもチャレンジングな取り組みだと思います。需要が高いときに材料がなくなってしまい注文が受け付けられなくなる、といった課題を解決していきたいです。

吉田|あと、ウィズコロナを想定すると、今後店内の売上だけに依存する飲食店は減ってくると思います。店内と店外の売上を両軸で伸ばしていかないといけない。店外の売り上げを効率的に伸ばすためには「デリくる」を使わないといけないよね、という世界観を作っていきたいと思っています。

ありがとうございます。一緒に事業を進める中で、お互いの会社についてどんな印象を持たれましたか?

小阪|凸版印刷さんとはもう2年半ほどお付き合いをさせて頂いています。少なくとも毎月、さらに「デリくる」チームは毎週ミーティングをしているのですが、みなさんすごいスピード感があると感じます。勿論スタートアップ企業やベンチャー企業が持っているスピード感とはまた別のものだとは思いますが、新しいことをやるにあたって必要なお金を使い、必要な人を巻き込みながら進めていく…という展開が大企業では珍しいほど速いです。

あとは…印刷会社だって感じたことが一回もないです。凸版印刷さんが意識的に押し出しているイメージ戦略もあるとは思うんですけど、実際にみなさんと話していてもすごく思いますね。世の中でデジタルトランスフォーメーションの話が広まる前からよくDXの話をしていましたし、既存事業をどう伸ばしていくかというよりは、新しい技術を使って世の中に向けて何かできるのかとか、新しいことにチャレンジしていかないと、みたいなマインドで社員の皆さんが仕事されているのかなと。

吉田|小阪さんはスピードが速いと言ってくれましたが、スタートアップから見ると大企業はやはり遅いんですよね。ですがメトロエンジンさんは大企業の内情を理解してくれているし、キチンとリスペクトしてくれていていると感じます。なかなか開発を進められない時はメトロエンジンサイドにうまくストップをかけてくれていたし、逆に進めるときのアクセルのかけ方もすごく上手かったです。だからこそ私たちもメトロエンジンさんを尊敬しています。あとは、なんか国際色が豊かですよね。海外のエンジニアの方が現地からリモートで参画していたり。そんな国際色豊かななかで色んな強みを持った方々が楽しそうに働いているのは素晴らしい組織力だなと思っていつも拝見してました。

共同事業とはいえ、開発中はフルオンラインでコミュニケーションをとっていたと伺ったのですが、オンラインだからこそ上手くいったと感じることはありますか?

吉田|週1でMTGができているところでしょうか。勿論オフラインでもできるんですけど、移動工数など考えると大変なので、それをリスナブルに毎週1時間続けられたのはオンラインのメリットではないかと思います。

小阪|もしかしたらオフラインで進めていたらスキップされてたことが多かったかもしれないですね。移動時間考えると間に合いません、みたいなことでMTGの回数がぐっと減ってた可能性があるかなという気はします。

▼写真:デリくるオンライン定例会の様子

今後チャレンジしていきたいことについて教えてください。

吉田|まずはデリくるを成功させることです。サイトコントローラーのマルチチャネルを一元管理するサービスは、フードデリバリー以外の業界にもニーズがあるはずなので、デリくるで成功体験を作ったあとは第二、第三のデリくるを作っていけたらと考えています。

それに限らず、新しいチャレンジがあったらまたメトロエンジンさんとご一緒したいと思います。

小阪|大企業とスタートアップ企業で一緒にプロダクト開発する例はあまり聞いたことがなく、かなり画期的だと思っています。投資家と投資を受けているスタートアップ企業…という関係性は特殊かもしれませんが、リリースまでこぎつけているのは私たちのやり方がうまくいった証拠だと思います。これからプロダクトをグロースして行くにあたって、組織のマネジメントを大企業とスタートアップの二社でやっていくっていうのはこれまた全然事例がないところだと思うんですよね。

まだあまりイメージはついていないもののやっていける自信はあるので、そうした世の中にない新しい事例を作っていくのはとても楽しみです。

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