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やってみて、やり抜いて、そこで初めて見えるものがある。

山﨑 祐一郎 / 株式会社メタップス 代表取締役社長

カリフォルニア大学バークレー校在学中、当時史上最年少で公設秘書を経験。大学卒業後にドイツ証券の投資銀行本部に入社し、テクノロジー業界におけるM&A及び資金調達業務を行う。退職後はAI関連の企業を創業し、代表取締役に就任。2011年よりメタップスに取締役CFOとして参画。2016年に取締役副社長、2018年11月より代表取締役社長。

他人とは違う生き方がしたい

ー大学時代には何をされていたんですか?

高校から渡米していたこともあり、大学はアメリカのカリフォルニア大学バークレー校に進学しました。当時から憧れている孫さん(ソフトバンク)の影響もあったと思います。大学2回生の時に休学し、約2年間、衆議院議員の公設秘書を経験しました。その後、大学に戻り、勉強の傍らソーシャルネットワークサービスなどのウェブサービスを立ち上げ、卒業後はドイツ証券の投資銀行本部に入社しました。

ー大学生で公設秘書なんて珍しいですよね?

何かきっかけがあったんですか? そうですね。当時20歳、史上最年少だったようです。たまたま、衆議院議員選挙の出馬を目指していた30歳の若手候補者と出会い、お話する中で意気投合したのがきっかけでした。政治にも興味があったので、「ぜひ手伝いたい」と打診しました。最初はインターンシップから始まったんですが、結局は大学を休学して政治の世界にのめり込んでいましたね。そういう意味で、実は元国家公務員なんですよ。

ーその後、大学に戻ってからサービスを立ち上げたんですね。

はい。丁度FACEBOOKが出てきたばかりの時、他大学のコンピューターサイエンスを学んでいる学生などを集めて学生専用SNSを作っていました。

ー山﨑さんが起業家を目指す原点なのかもしれないですね。

そういう意味で言うと、実は初めてビジネスに挑戦したのは、高校1年生の時でした。この時のほうが原点に近いかもしれないですね。春休みに友達と京都の某デニッシュパンの販売ライセンスを取得し、恵比寿に小さな売店を出しました。毎日行列ができ、お昼一時間でパッと完売していましたね。また、当時流行していたインディアンジュエリーの販売もしていました。業者を介してアメリカからビーズを輸入し、パンを売った後に同じ店舗で販売していました。

ー高校も大学もビジネスを経験してきて、なぜ大学卒業時にそのまま起業せずにドイツ証券に就職したんですか?

当時、投資銀行や戦略コンサルは非常に人気が高く、ごく僅かの人間しか入社できない企業でした。当然、私の周りでも目指している学生も多く、実際にそこで働いている方のお話を大学で聞く機会が数多くありました。本当はそのまま起業家の道を進もうと思っていましたが、色々なバンカーの方とお話している中で、「起業はいつでもできる。まずは狭き門である投資銀行で力をつけて、数年後に起業しても良いんではないか?」と言われ、就職を決意しました。ドイツ証券に決めたのは、当時、ソフトバンクの大型M&Aのアドバイザーをドイツ証券が務めていたので、「孫さんに関われるのではないか?」という淡い期待もあったからですね。

ー実際に起業されたのは何年目のときだったんですか?

ドイツ証券に入社して4年目の時ですね。京都でAI関連の会社を起業しました。

ーAI関連とは具体的に何をされていたんですか?

簡単に言うと、AIを活用したカスタマーサポートです。京都大学の理学部数学科の学生やエンジニア志望の学生を集めて運営していました。今でいうChatbotの原型のようなものを作っていました。

ー時代を先取りしていますね。メタップスとは何がきっかけで接点を持ったんですか?

少し早過ぎたかもしれないですね。(笑)メタップスとの接点は、紹介で社長の佐藤と出会ったのがきっかけでした。当時はお互い経営者でしたね。佐藤の中で既に構想として持っていたアプリ開発者向けプラットフォームの話をして、「これをグローバルでやりたいと思っている。実現するために是非協力して欲しい」と言われました。

ー参画する決め手はなんだったんですか?

もちろん、佐藤と働きたいという想いやVISIONへの共感もあったんですが、やはり面白いことが出来ると思ったからですね。特に日本のインターネット企業がグローバル展開で苦戦することが多い中で、スマホというボーダーレスのプラットフォームが出てきた絶妙なタイミングで、新しいビジネスをグローバルでやって成功させてみたいという純粋な想いですね。

どうせやるなら誰もやったことがない、新しいことをしよう

ー今はどのようなことを行っているんですか?

基本的には会社全体のマネジメントです。社長である佐藤が中長期のVISIONや経営計画を考え、具体的なところをかたちにしていくのが私というイメージですね。既存も新規も経営管理も幅広くみています。

ー最近でいうと、DECO(Debt Equity Composite Order)による50億円の資金調達が話題となっていましたが、あれも山﨑さんが主導されていたんですよね?

そうですね。メタップスらしく、「新しい」資金調達手法を取り入れたいと証券会社と話し合って出来たプロダクトです。事業と同じで、資金調達もクリエイティブにやりたいと思っています。

(参考記事)財務のプロたちが評価したメタップスの資金調達とは?

ー「新しい」ことは日々の仕事の中でも意識されているんですか?

そうですね。私自身、小さい頃から他人と違うことが好きなので、仕事でも「新しい」動きや「新しい」取り組みをずっと考えています。これまでの話を聞いていても、他人と違う生き方を求めていることはなんとなく伝わっていると思います。

ーそういうことだったんですね。他にも何か意識されていることはありますか?

意識というか、投資銀行時代に上司から指摘されてずっと残っている言葉はありますね。確かプレゼンテーションを作っていたときに、「どういうものを作るか最初から具体的に決めても、中途半端でつまらないものしかできない。取り組んでいる中で、自分が作ろうとしているプレゼンテーションではない方向に進んだ時、結果的に想像を超える良いものができる。つまらない仕事をするな。セレンディピティを見つけろ」と言われました。

ーセレンディピティですか?

はい。つまり、何か目標に向かって取り組んでいても、そこにたどり着かないケースが多いと思うんです。ただ、目標に向かって動いてみて、必死にもがいていると「新しい何か」が見えてくる。たとえ当初の目標とは違っていたとしても、その「新しい価値との出会い」こそがGOALだと思っています。

まずはやってみる。 やると決めたら責任をもって必ずやり抜く。 その時に初めて「新しい価値」が見えている。

これがセレンディピティだと思い、今でも常に意識しています。

目指すのは世界一ではなく、世界のメカニズムを変えること

ー孫さんに憧れているのも、似た要素を持っているからかもしれないですね。

そうですね。孫さんも他人と違うことをひたすらし続けていますから。「IT革命」という大きなテーマがあったものの、どのようなアプローチでやるかは当時考えていなかった。色々動いていく中で、今のソフトバンクがあると思います。

ーメタップスもそのようなイメージですか?

はい。「これを作って1番になろう」ではなく、大きなVISIONに向かって突進していく。その中で形成され、生まれてきたものが結果であり、我々が求めてきたGoalです。

目指すのは世界一ではなく、世界のメカニズムを変えることですから。

ーメタップスはどのような人に合っていると思いますか?

「新しい価値創造」をしたい人には合っていると思います。そもそも、「やりたいこと」が明確に決まっている人なんて少ないと思うんです。そういう方は、最初から特定の業種や業界という枠組みの中でキャリアを考える必要はないと思います。メタップスは、ビックデータを活用したこれまでに無いサービスやプロダクトを今後も提供していきたいと考えていて、参入していく領域や業界については常に柔軟です。自分のスキル・能力、経験を活かし、社会に対して、或いは自分自身として「新しい価値創造」を行いたいという人には面白い環境だと思います。

ーそれでは最後の質問です。今後、山﨑さん自身の「ありたい姿」があれば教えて下さい。

これからも常に「新しい」ことに対して貪欲で、意識的に足を踏み入れていきたいですね。年を重ねると、自分の見てきたものや経験の中でしか物事を考えられなくなりますから。考えが固まらないように、それを自らぶち壊しにいく。そのために、とことん動き続けたいと思います。

ー山﨑さん、ありがとうございました!

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