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CEO柳内インタビュー (前半) ―foro CRMの目指す世界

ITコンサルタントやベンチャー・キャピタルを経て、MedUp(メダップ)を起業した弊社CEO柳内。「医療におけるSDGsの達成に貢献する」というミッションを掲げ、現在foro CRM(フォロ シーアールエム)事業を拡大中です。そんな柳内に行ったインタビューの内容を、前半と後半の2回に分けてお届けします。

前半である本記事では、創業までの経緯と、ミッション、foro CRMについてまとめています。「日本の問題でもSDGs?」「MedUpが取り組んでいる課題って?」といった疑問が明らかになること請け合いです。

| 最初に、MedUp創業までの経歴を教えてください。

大学院は農学生命科学研究科で、アサリの生態を研究していたんです。でも世の中にインパクトを残すには研究では時間がかかるなと考えて、将来的に起業する方向に舵を切りました。起業や世の中へインパクトを出したいと思っている原動力は、もっと世の中を効率化したい・意味のあることを人がやるべきという想いです。子どものころに阪神大震災や友人・家族の死を目の当たりにしました。その結果、いつ死ぬかわからないならば、より自分や社会にとって意味があると感じられることにリソースを投下するのがよいと思うようになりました。

卒業後はまず、2008年からエイムネクスト(株)でITコンサルタントとして、製造業向けのコンサルティングやプログラミングに従事しました。もう少し具体的には、ERPの導入・データ分析、データ移行・分析のためのツールのスクラッチ開発、企業の業務改善への理解、プログラミングスキル、データ分析スキルなどです。起業前提で考えると、プログラミングが一定できることや現場に近い経験は重要だと思っていました。

ベンチャーマネジメントスキルを獲得するべく、2010年にはモバイル・インターネットキャピタル(株)に転職しました。前職での業務システム開発の経験を生かして、SaaSスタートアップへの投資・実行支援などを行いました。後半は自社のマネジメントもしていました。

その頃にREAPRA代表の諸藤周平さんと出会い、MedUp起業を決心しました。MedUpは創業時にREAPRAから投資をうけており、現在も支援をうけています。REAPRAは当社にとって、スタートアップ経営について多くの示唆や気づきをもらえる大変ありがたい存在です。

|なぜ病院業界をフィールドに起業したのですか?

「自分の事業で社会にインパクトを与えたい」という思いの方が先にあったので、それをどんなフィールドで実現するのか、前職では考え続けていました。そんななか、クリニック向け電子カルテスタートアップへの投資業務を複数件担当する機会に恵まれました。特に、そのうちの1社だった株式会社クリプラのCEOで、もともと聖路加国際病院 経営企画室 マネージャーだった鐘ヶ江さんとの出会いががきっかけで、病院業界に関わりができたんです。鐘ヶ江さんのお話を聞いたり、知人から病院の事務職の方々の勉強会に呼んでもらったりするうちに、病院業界にたくさんの課題があることが分かってきました。それらの解決に、VCで見聞きした幅広い分野のSaaSやテックの知識、会社マネジメント経験などを活かせるのでは、と考えたのが病院業界をフィールドに選んだ理由です。

|MedUpのミッションにある「医療におけるSDGs」とは何ですか?

持続可能な、よりよい日本の医療を実現するための目標で、医療従事者の無理な働き方をなくすこと、医療費の増加をくいとめること、イノベーションや改善により医療の質が向上することの3つだと思っています。

SDGs(持続可能な開発目標)というと「途上国のための目標」というイメージがありますが、必ずしもそうではないと考えて、敢えてSDGsという言葉を使っています。日本は先進国として高い医療水準を誇っていますが、だからといって現状維持でいいという考えでは、日本の医療は良くなっていきません。医師や医療従事者の働き方や、高騰する医療・社会保障費など、改善すべき点はたくさんあるんです。



|それらの達成に、MedUpはどう貢献しているのですか?

特に着目しているのが、古いシステムや慣習が残っているせいで業務効率が悪いという点です。イメージしやすい例だと、必要以上にFAXや紙媒体を使用している、といったことですね。

そこで、世界中で市場への浸透が進んでいるテクノロジーである、SaaSを医療業界向けにアレンジして提供することで、上流の病院経営から下流の医療従事者の日常業務に至る幅広い問題を解決していきます。

Medup最初のプロダクトは 「foro CRM」ですね。

foro CRMは「すべての患者さんに適切な医療が届く世界を実現する」ための事業です。具体的には、地域のクリニックが患者さんを紹介する際に、適切な医療機関を選択することを助けます。現状では、地域のクリニックは紹介先(主に大病院)に関する情報をあまり持っていないことが多く、「今までここに紹介してきたから今回もここで」といった理由で紹介先を選択しているケースがほとんどです。

一方で、紹介を受け入れる病院側にも課題はあります。例えば、日本の4割の病院は赤字であるというデータもある通り、経営に苦しんでいる病院が数多く存在します。安定した売上を確保する手段として、訪問活動や勉強会などを通じてクリニックとの繋がりを強めて患者さんを多く紹介してもらうことが有効であると言われていて、このような地域連携を実践する病院は実際に増えてきてはいます。しかし、初めての試みのため手探りでやっているケースが大半で、効果的な施策を打ち出していくことに頭を悩ませています。

そこでMedUpは、高度医療を提供しているDPC対象病院に対してforo CRMを提供することによって、ユーザー病院が適切なマーケティング・営業活動を通じて紹介数を安定的に増やすことにコミットしています。ユーザー病院がマーケティング・営業活動を活発に行うことで、クリニック側も紹介先についての情報を得るきっかけとなり、最終的に患者が適切な医療機関に紹介される世界の実現を可能にできる、という仕組みです。

ちなみに、サービス名になっている”foro”はイタリア語で広場という意味です。多様な施設で多様な業務に携わる、すべての医療関係者の方々が情報共有を進めるための広場になるようにと名付けました。多対多で双方向な情報の広場になれば、と思っています。

前半はここまでです。お読みいただき、ありがとうございました。

後半は、MedUpの今後の展望や組織作りについてお届けします。どうぞお楽しみに!

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