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【役員対談】メディフォンの成長を支える二人のCFO



伊藤 光茂(いとう みつしげ)
メディフォン社外取締役。早稲田大学大学院経済学研究科修了 経済学修士。ドリームインキュベータ、ファーストリテイリング、Gunosy等を経て、現在、ミラティブ取締役副社長兼CFO。ドリームインキュベータでは、経営管理本部長としてコーポレート部門の統括や投資先のIPO支援を行う。ファーストリテイリングでは、主にUNIQLO海外現地法人(東南アジア)の予算統制や事業計画策定に従事。Gunosyでは、創業直後に参画し、取締役CFOとして事業計画/資本政策の策定と実行、内部管理体制の構築と運用をし、創業5年で東証一部上場を果たす。また、ITサービスを中心としたスタートアップ企業や経営者に対するMBO支援やIPO支援をし、豊富な実績を有する。グロービス経営大学院MBAプログラム非常勤講師(~2016年)。主な著書に「ストック・オプションの再考と発行時の留意点(中央経済社)」、「株主総会の早期開催とその意義(中央経済社)」等
坂本隆宣(さかもと たかのぶ)
メディフォン執行役員CFO。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、大和証券 SMBC・ドイツ証券・Greenhill・三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングにて一貫してクロスボーダー案件含むM&A アドバイザリー業務に従事。Greenhill においては日本法人、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングにおいては財務アドバイザリーチームの立ち上げを主導。その後、フィンテックスタートアップであるクラウドクレジットにおいて CFO を務め、資金調達等の資本政策・コーポレート部門立ち上げ等の経営管理・アライアンス等の経営企画業務を牽引。2021年9月よりメディフォンにCFOとして参画、コーポレート本部を率いる。Twitterはこちら

目次

・メディフォンへの参画理由
・メディフォンの強み、魅力とは?
・CFOの役割とは?
・今後のメディフォンに関して



メディフォンへの参画理由

>どのような経緯でメディフォンに参画されたのですか?

【伊藤】 CEOの澤田さんとは元々知り合いで、声をかけられました。時期は被っていないのですが、同じ会社にいましたので、澤田さんが転職されてからもよく飲みにいく仲で。私が当時CFOをしていたGunosyが上場した時に澤田さんから連絡があり、「伊藤さん、手伝ってください!」と言われ、関わることになりました。メディフォンの前身である一般社団法人JIGHから事業を切り出し株式会社化するタイミングでもありました。

逆に坂本さんがメディフォンへの参画を決めた理由はなぜでしょうか?

【坂本】 私がメディフォンに参画した理由は主に3つあります。

① 医療分野で事業を立ち上げるということは非常に難しいはずなのに、社会的意義が高い医療インフラとしての医療通訳サービスであるmy mediPhoneが軌道に乗っていること。

② my mediPhoneで得たアセットを活かして、健康管理SaaSであるyour mediPhoneを立ち上げており、1つの企業に違うステージの事業が2つ存在しているため、資本政策上のチャレンジもありそう。

③ 最後に、Google営業出身の澤田さんだけでなく、証券会社出身の方が多いこともあり営業力が強く、これだったらなんでも売れそうだなと思ったということ。この3つですかね。

メディフォンの強み・魅力は?

>伊藤さんはメディフォンの会社立ち上げから関わられてきていますよね。当然行き詰っている時もあったと思うのですが、伊藤さんから見てこの会社の本源的な強み、ここが優れているというところは何かありますか?

【伊藤】 メディフォンが4~5人という小さな組織の頃から何度も困難に直面したんですけど、澤田さんって、心が折れないんですよね。いや、さすがに折れていることもあったと思うんですけど、表情や態度にあらわれなく、どんどん前に進むんですよね。「ブルドーザー」っぽいな、と思いました。目の前にあるあらゆるものをなぎ倒して森を一人で切り開いていく。そんな澤田さん自身がメディフォンの強みの一つだと思います。

一方で、切り開いたところは結構荒れてて、そのままだと社員が歩けない。それを綺麗に舗装する人も必要です。そんな中で、今回、坂本さん(CFO)が新たに経営チームに加わってくれたわけですが、澤田さんを中心としたその経営チームがメディフォンのもう一つの強みだと思っています。

【坂本】 澤田さん、爆進していますよね。(笑)あの突破力はどこから来るのかなと思っています。your mediPhoneも最初話を聞いた時に「本当に売れるのかな?」と思ったのですが、「売れる!」ってずっと言い張っていて、実際に結果も出ているため、そこが凄いなと思うのと、澤田さんの経歴もみても普通の人のマインドセットと違っていますよね。大学卒業していきなり中国で起業されるとかも、ちょっともうおかしいじゃないですか。(笑)

医療スタートアップに対して持っていたイメージとかなりギャップがありました。澤田さんと直接お話した初日には「うちに来てくれますよね?」というトーンなんですよ(笑)
「圧強いな…!」みたいな。ただ、話している中で、メディフォンはチームワークも良く、COOの佐藤さん中心にエグゼキューション力が高い方がいて、きちんと結果も出ているというところが最終的に入社を決めた理由です。



【伊藤】 経営チームで言うと、CTOの田畑さんユニークで重要な存在だと思います。業務の特性上だと思うんですけど、エンジニアは論理的に物事を考え、論理的に行動します。ですから、仕事の進め方がどうしてもドライになりがちなんですよね。だけど、田畑さんは、ちょっと違うんですよ。なんか、こう「ウェット」なんですよね。「論理」とともに「情緒」をとても大切にしている人なんだろうなと思います。澤田さんの新しい想いや発想やアイデアにも田畑さんは上手く対応してくれて、だからこそ、メディフォンに新しい事業が生まれるんだと思います。時々、「文化が違うっぽい」と田畑さんがぶつぶつ言っているの聞こえてくるから本人は大変だと思いますけどね(笑)。

【坂本】 割と思い付きで澤田さんが「こういう機能を入れたい!」みたいなことを強く言うため、田畑さんもその場では最初反対しますよね。しかし、最後には「なんとかするわ」とおっしゃるので、器量が大きいと思います。もう一個田畑さんが優れている部分は、チームビルディングができるCTOはそこまで多くないと思っているのですが、田畑さんはできるんですよね。彼のチームでは皆さん非常に快適に働いていて、田畑さんはすごい人だなと思っています。

CFOの役割

>CFOというポジションについては近年、投資銀行やプライベートエクイティ出身者も増え、スタートアップ界隈においては特に話題になりつつありますが、CFOの理想像や、こうあるべきというイメージがありましたら教えてください。

【坂本】 結局ファイナンスのバックグラウンドがあってもCFOになってしまえば、8割~9割くらいは、「やったことがないことをなんとかする」ことになるので、アンラーニング/ラーニング能力が大事だと感じています。

また、スタートアップにおいては、組織を強く大きくしていく過程で「何でもやるよ!」というスタンスは基本ですが、それだとパンクしてしまうので業務をルーティン化して、組織に落としてチームビルディングしていくことが必須。コーポレートチームを構築しながら、事業成長をレバレッジして企業価値を最大化できるような資本政策を立案・執行できるのがCFOとしてのバリューだと思っています。


【伊藤】 僕もCFOを何社もやっていますが、ファイナンスの仕事は実際には1割くらいです。なので、CFOにとって、ファイナンスの知識は必要条件でしかない。「ファイナンスのトップ」というよりも「ファイナンスに詳しい経営者」だと意識して仕事をしています。

違う表現をすると、CFOは、いろんな言語を扱う人同士のコミュニケーションを通訳している「通訳者」に似ているとも思っています。良い通訳者って、それぞれが語っていることの全てを直訳していないですよね?参加している各当事者の文化的背景や興味関心、専門性や目的等を把握したうえで、本当に伝えたいこと、相手が知るべきことや知りたいことを、最も相手に伝わる表現方法や言葉を選んで伝えていると思うんです。この「通訳者」とCFOの役割は似ていると思っています。経営メンバー、社員、顧客、株主、監査法人や証券会社、その他のステークホルダーたちの興味関心や目的、どういうインセンティブ構造を持っていて何を求めているか等を正しく把握する。自分自身も当事者であるからメタ認知も必要です。それらを正しく把握したうえで、全員の共通言語として「数値」を駆使してコミュニケーションをしていく。これがCFOの仕事なのではないかと思っています。

>CFOとしてコーポレート部門を率いる際のポイントや気を付けていることはございますか?

【伊藤】 これは、コーポレート部門だけに限った話ではないのですが、僕が気を付けているのは「自分が作業に没頭しない」ということです。リーダーの仕事は「思考」であって「作業」ではない。リーダーが「思考」をさぼって「作業」をやりすぎると、組織が強くならないんです。短期的には課題解決するかもしれないけど、中長期的にはそのリーダー個人に依存した組織が出来上がってしまう。そして当たり前ですけど、その組織はそのリーダー個人の能力以上にはならない。メンバーに任せて、考えさせて、失敗させて、でも失敗した際にはいつでもリカバリーできるように思考をめぐらせておく。そうすると、メンバーは勝手に成長するんですよね。そして、その中から次のリーダーが生まれたりもする。そうやって組織は成長していくのだと思うし、組織の強さだと思っています。「manage」って、日本語だと「管理する」ですけど、本来の英語の意味には「なんとかする」というニュアンスが含まれてますよね?「なんとかするために、必要なら管理する」というのが正しい「manage」の姿だと思っています。


坂本さんがメディフォンのコーポレート部門を立ち上げていくうえでポリシーや理想などありますか?

【坂本】 私はフィナンシャル・アドバイザリーを10年以上やりましたが、お客様は上場企業が多く、上場企業のガバナンスのレベルや、意思決定のプロセスに関しては肌感としては理解しているつもりです。その感覚をベンチマークに、前職ではCFOとしてコーポレート部門を立ち上げ、同部門が立ち上がると会社が強くなるということを経験できたため、メディフォンでも再現性を持ってできるのかどうかがまずはポイントだと思います。

コーポレート部門をゼロから立ち上げることにおいては、土木作業に近い感覚ですが、そこで手を抜くと後に大変になるため、手作り感満載でもやりきりたいと思います。メディフォンの場合は特に、命に関わる医療インフラを提供しているため、短期的な利得に惑わされず中長期的な観点で将来をきちんと考えて、体制作りに取り組んでいきたいと思います。そのために、コーポレートミッションやビジョンに共感し、汗を一緒にかいてくれる仲間を本気で集めていきたいと思います!


今後のメディフォンに関して

>my mediPhoneの事業が安定してきておりyour mediPhoneに挑戦しているところですが、今後の事業展開についての考え方は?

【伊藤】 my mediPhone事業に関しては着実に成長し、やっと新しいことで勝負できる環境になったと思っています。利益が出ていて安定しているからといって、このままでよい、組織も拡大しなくてもよい、等のように守りに入らないと良いなと思っています。

【坂本】 これからはmy mediPhoneもそうですが、よりyour mediPhoneに力をいれようとしているので、守りに入っている感じは全くしないですけどね。メディフォンが解決しようとしている社会課題は、すごく素晴らしいものだと思うため、ブレずに事業を進めていきたいですね。そして、そこにどれだけ私自身がコーポレートチームと共に貢献できるか。という部分をしっかり追っていきたいと思っています。

【伊藤】 資本政策とからめて、うまく他社と提携しながら事業を伸ばせるのではと思っています。それは、まさに坂本さんの得意な領域ですから存分に力を発揮できると思いますし、僕も坂本さんから学びたいと思っています。

【坂本】 有難うございます。経験豊富な伊藤さんが社外取締役にいてくれて本当に心強いです!頑張りますので是非よろしくご指導ご鞭撻ください。


伊藤さん、坂本さん、ありがとうございました!

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