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“採用が事業成長のカギ”ラクスルCFOが語る、成長期のスタートアップが取り組むべきこと【medicalforceトークイベント第1弾】
メディカルフォースは、2022年8月にシリーズAラウンドにおいて総額6億円の資金調達を行いました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000075856.html
今回の調達を記念して、弊社メディカルフォースの株主であり、またラクスルの成長を支え現在同社CFOでもある永見氏に、ラクスルの事業拡大の裏で直面した課題など、メディカルフォースの今後を見据えてお話を伺いました!
ラクスルの始まり
ラクスルは創業からどのように現在のような業態になったのでしょうか?
永見氏(以下永見):ラクスルはもともと印刷業界向けの事業をメインにやってきた会社で、現在はその他に物流の「ハコベル」、テレビCM関係の「ノバセル」の計3つの事業を展開しています。
基本的には大きいBtoBの業界にテクノロジーを持ち込んで、その業界の負を解消し、お客様とサプライヤー様に付加価値を提供しています。
ラクスル創業のキッカケとなった印刷業界で言うと、印刷工場はたくさんあるのに非稼働の機械や工場が多く、それらを上手く活用できないかということを考え、シェアリング形式でサプライの基盤を創り、お客さまに安価で簡単に印刷物を発注するというのを始めました。
僕が入社した当初は社員が20人ほどでしたが、今ではハコベルもノバセルも展開して、500人を超える規模まで成長しました。
「ハコベル」や「ノバセル」といった色々な業界へ挑戦していますが、これらを始めたキッカケは何ですか?
永見:ハコべルの始まりは、香港の物流のスタートアップの起業家に日本でJVをやらないかと誘われたことでした。物流業界も印刷と同様に、日本では非稼働なドライバーやトラックがあり活用できないかというものでした。社内でも印刷以外の領域で何かできないかという議論があったので、いっそのこと自分たちで始めてしまおうというのがキッカケです。
最初はCEO含め3人のメンバーで始まりましたが、この時大事にしていたのは、拙速に事業判断をしないということです。そこにはCEOとの信頼もありましたし、この時期は調達によって資金もあって、既存のオペレーションや組織が出来始めていたタイミングだったので、時間やリソースに余裕を持って事業作りに専念することができました。
ノバセルに関しては、元々ラクスルが広告主としてテレビCMを使っていてノウハウがかなりあったので、それを事業化しようということで始めました。自社のニーズをサービス化したという感じです。最初は印刷のお客様向けにテレビCMをやり始め、そこから拡大していきました。
新しい事業を始める際の業界選定はどのようにしていますか?
永見:市場規模が大きい、印刷事業のビジネスモデルやアセットが活用できる、そして既存領域との隣接性、この3つを軸に選定しています。
市場構造の話でいうと、サプライヤーが多く存在し、EC側の進展余地があるというところも見ています。
これまでは需要と供給を繋げるECやマーケットプレイス中心の事業でしたが、最近では業務コストを下げるためのSaaSを提供したり、決済やBPOみたいな付加価値サービスを提供したりと、バーティカルにその業界の課題を解決するために色々なビジネスモデルをアドオンしています。
事業成長に組織化が間に合っていなかった過去
ラクスルが成長していく中で、どのように事業や組織を作っていきましたか?
永見:初期は大きい市場でインターネットが入る余地をリサーチしていくことから始めています。BtoBの間接材の領域で強いアスクルさんやモノタロウさんのビジネスモデルを参考にしながら作っていきました。
ただこの時期に苦労したのが、組織の構築です。
事業はうまく軌道に乗って行ったのですが、そうして会社が大きくなっていく中で、オペレーションや組織がそれについていけない状態になっていました。
特にカスタマーサポートの拡大に一時期苦労していて、その時期の顧客のリピート率は低かったです。
トップラインだけを拡大しても、裏側のオペレーションや顧客対応がちゃんとスケールできるフェーズになっていないと、顧客満足度が下がり、グロースしてもリピートされないという状況になるので、カスタマーサポートや品質の担保といった裏側のオペレーションを過小評価してはいけないと思います。
カスタマーサポートの失敗の原因はどこにありましたか?
永見:この失敗の原因はいくつかあって、一つ目はノウハウやオペレーションが属人化していたこと。マニュアル化や仕組みが徹底されていなかった側面はあります。
二つ目は拡張の仕方です。オペレーションが追いついていなかったためにカスタマーサポートの外部拠点を立ち上げたのですが、スムーズにはいきませんでした。外部拠点ゆえ違うカルチャーの方々と立ち上げていく中で、クオリティーや業務量の立ち上がりに遅れが出てしまいました。
お客様に近いカスタマーサポートのようなポジションは、できるだけ内製でやり続けることが大事だと思います。
組織の失敗をどのようにカバーしていきましたか?
永見:僕が入社した当時、社内は経営トップ依存症のような状態になっていました。もっと機動的に考えて動いてほしいのに、社長がマネージしないと仕事が回らない、意思決定が遅くなる、事業が進まないという状況でした。
この時期はかなり苦労していて、当時の離職率は42%という驚くべき状況でした。
そんなこともあって最初はひたすら採用をやっていました、特にリファラルですね。
離職率が高かった当時は、良く言えば組織がとてもオープンだったので、自分で信頼できる仲間をたくさん連れてきました。
採用はとても大事です、僕は目に映る人が全員採用対象に見えてます(笑)
離職率が高く、事業は伸びているがそれに追いついていないという状況を、リファラル採用を通して組織づくりにコミットすることにより、組織面も順調にスケールさせていったという感じです。
離職率がそこまで高かったのはなぜですか?
永見:組織を見ている人が誰もいなかったんです。
事業は伸びていたんですけど、その前提として組織をケアする人が誰もいなかったので。
当時はビジョンやミッションへの共感より、肩書きや前職などを重視した採用をしていて、それでカルチャーフィットしない人が多くて辞めていきました。
そこからビジョンやミッションに共感できる人を重視した採用をするようになりました。
その点でもリファラル採用は良かったですね。
採用に強いカルチャーの作り方
ラクスルは経営陣を始め全社で積極的に採用にコミットしていたと思うのですが、そういった風土はどのように作ったのでしょう?
永見:一番は採用活動を賞賛することですね。
特にリファラル採用の場合は自分で組織を作っているわけですから、めちゃくちゃ賞賛していました。リファラルに対して評価制度を設けたり報酬を支払ったりもしていましたが、それ以上に賞賛の文化が大事だと思います。
あと大事なのが、採用は人事がすることではなく、経営者がすることだというのを肝に銘じることですね。経営者が採用していないスタートアップは伸びないです。なので採用活動に自分がどれだけコミットしたかは振り返った方がいいと思います。
組織的な面で言うと、常に半年後の組織図を書いていくことも大事です。
こういう事業をやるからこのポジションが足りなくなるというのを組織図で事前に作っておき、それに向けて採用を進める、そしてこれを定期的にアップデートしていく。
でないと短絡的にダラダラ人を採るだけで、長期的に見てよくわからない組織になってしまいます。採用の計画はとても大事です。
会社の規模が大きくなると、一体感が薄れてしまったりしませんか?
永見:たしかに色々な人が入ってくる分、初期の濃密な時期に比べるとビジョンへの共感は薄まってくると思います。特に業務委託などで関わる外部の方が多いと、一般的にはビジョンは浸透しにくいです。
なので定期的なディスカッションを行い、ビジョンの落とし込みや理念の共有をすることがとても大事だと思います。これによってその後のコミュニケーションが円滑に進みますし、意思決定のプライオリティが現場と経営で一致していきます。
そういう工夫をし続けないと一体感は無くなっていくので、常に意識し続けることが大事ですね。
最後に、経営陣としての必要な意識はありますか?
永見:僕らは経営陣の信頼関係を大切にしています。
会社を拡大していく中で、お互いに役割分担して背中を任せられるような信頼関係はすごく大事で、今のラクスルの強みはそこにあると思います。
あとは、お互いの欠けているところを補完し合うことも忘れずに。
経営チーム内で信頼関係があれば会社の雰囲気も良くなりますし、シンプルなことですがとても重要だと思います。
本日は以上となります。ありがとうございました。
メディカルフォースでは、定期的に社外のゲストを招いてトークイベント を開催し、その模様を発信していく予定です。