PhD取得後マッキンゼーへ: 理系の経験はコンサルにどう役立つ?
フィラデルフィアを拠点とするマネージャーのソフィア。ヨーロッパ、アフリカ、北米の製薬会社や医療機器会社を主なクライアントとしています。ペルー出身の彼女は、生物化学と生物物理学の博士号を取得するためアメリカへ留学。理系バックグラウンドを持つ彼女にマッキンゼーでの経験や、コンサルティングとサイエンスとの関わりについて話を聞きました。
PhD取得後マッキンゼーへ: 理系の経験はコンサルにどう役立つ?
フィラデルフィアを拠点とするマネージャーのソフィア。ヨーロッパ、アフリカ、北米の製薬会社や医療機器メーカーを主なクライアントとしています。ペルー出身の彼女は、生物化学と生物物理学の博士号を取得するためアメリカへ留学。理系バックグラウンドを持つ彼女にマッキンゼーでの経験や、コンサルティングとサイエンスとの関わりについて話を聞きました。
まずは自己紹介をお願いします
ソフィア: 出身はペルーのリマです。ペルーの大学を卒業後、分子生物物理学と生物化学のPhDを取得するためイェール大学に留学しました。博士課程在籍中は、細胞運動性を可能にする生物化学的パスウェーについて研究していました。卒業後コンサルティングの道へ進みたいと思ったきっかけは、面接を通じて問題解決という知的チャレンジの楽しさを実感したから。仕事について現職のコンサルタントと話をして、マッキンゼーでの仕事にどれほどやりがいを感じているかを聞けば聞くほど、マッキンゼーについての関心が深まっていきました。
どうしてコンサルティング会社の中でもマッキンゼーを?
ソフィア: 時が経つにつれ、入社した当時から今でもマッキンゼーにいる理由は変わってきました。いくつかありますが、主な理由は2つですね。1つ目は、仕事を通じて変化をもたらすことができること。調達改革を通じて多国籍企業をサポートしたり、世界的企業の統合のお手伝いをしたり、個人用防護具と人工呼吸器の製造数を増やしてアメリカのある州の新型コロナウイルス感染への対応をサポートするなどしてきました。プロジェクトの多くは、一生に一度あるかないかの貴重な体験でした。
2つ目は人材と企業風土(カルチャー)だと思います。勤勉で優秀な人々との出会いに恵まれ、誠実な、思いやりをもったメンターシップとは何かを学びました。これまであまり出会う機会のなかった女性も含め、心から尊敬でき、周囲にインスピレーションを与えるリーダーにも多く出会いました。フィードバックを受け入れ仕事に取り入れることも学んだと思います。
関心のある領域の課題解決に意欲の高いチームメンバーと取り組むことができるのは活力にもなりますし、何よりベストを尽くそうというモチベーションになりますね。
どんなプロジェクトに取り組むか、どの程度柔軟に選べますか?
ソフィア: 私の場合は入社に際して、意識的にできるだけ多くの分野に触れてみようと決心しました。様々な業界、部門、地域にわたって仕事をしてみたいと思ったんです。マッキンゼーでの最初の年は、大学院生の1年目のローテーションのような感じでした。そのプロセスを経て自分の興味、強み、心地よいと思える働き方に気づいたことが、現在の製薬と医療機器業界への注力につながっています。マッキンゼーがこの分野で解決しようとしている課題には私の経歴も活かせるし、やりがいを感じますね。新たな分野の挑戦は終わった訳ではなく、今も製薬業界の中での新領域の開拓を続けています。マッキンゼーがサポートするプロジェクトは多種多様なんです。
グローバルな企業だからこそ海外で働く柔軟性もあります。実際私の場合は、マッキンゼーへの入社以降3つの大陸で暮らしました。またある時は類似分野のプロジェクトを4つの異なる国で行う経験をしたのですが、そのおかげで一見似ている企業でも事業展開の方法は世界中で全く異なることに気づきました。こうした知識を活かすことで、コンサルタントとして成長したと思います。
コロナウイルスが広まる前は出張も頻繁でしたので、理解がある夫に恵まれて感謝しています。夫の仕事は融通が利くので、私の海外出張に夫が同行することもあります。マッキンゼーの社員のキャリアの道筋はそれぞれ異なっていて、新しい優先事項が出てくれば私のキャリアの道筋も変わるかもしれません。例えば今後子供のために働き方を調整したいと思ったらキャリア開発チームや製薬領域のリーダーと相談して、国内でのプロジェクト参加に重点を置くことなどが可能です。
サイエンス領域から離れることは不安でしたか?
ソフィア: コンサルタントとしてのキャリアを望んだことは確かですが、サイエンスから完全に離れてしまうことが少し怖かったのも事実です。サイエンスを学んでいたおかげで、予想もしなかった素晴らしい景色が見れたと思っているので。
入社しばらくして、マッキンゼーにいてもサイエンスへの関わりを持ち続けられることに気づきました。例えば私の場合、週末やプロジェクトの合間にマイノリティによるサイエンスへの関与拡大を目指すため、ペルー人学部生のためのリサーチ経験プログラムと、サイエンスクラブ・インターナショナルと呼ばれる2つのアウトリーチプログラムをサポートしています。
こうした活動をしているのは私だけではありません。打ち込むものがサイエンスだろうと、ボランティアや新たなスキルであろうと、プロジェクトの合間に自分の時間を確保してワークライフバランスに役立つプログラムに参加することが奨励されています。同僚の中には、2ヵ月休暇を取って世界各地を旅行したり、家族と過ごす時間を増やしたり、エベレスト山に登った人だっていますよ。
これまでのキャリアを振り返ってみると、理系分野での経験がコンサルタントとしての仕事をする上で役立ち非常に幸運だったと思います。仮説を元に考えること、細部に目を配ること、複雑な概念をシンプルな言葉で表現することなど、理系分野で身につけた考え方やスキルがコンサルティングで活きた場面は数えきれません。マッキンゼーに入社して、会社の内外で役に立つ貴重なスキルを身に着けることができました。指導する側としても成長し、聞き上手になったと感じています。