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20代で事業立上げ、年商20億円を実現させた3年間の軌跡と苦悩

マーケットエンタープライズ初の子会社として設立した株式会社MEモバイル。業界最安級のWiMAXサービスを提供する『カシモWiMAX』やMVNOサービスを提供する『カシモ』などを展開し、3期目にて年商20億円を突破。

そんな同社の代表取締役社長を務めるのは、20代でMEモバイル立ち上げを任された中村健太氏だ。数字だけ見れば順風満帆な成長のように見えるが、立ち上げ当初はサービス停止に追いやられ、ともに夢を語り合ってきた仲間を人員整理せざるを得ない状況になるなど、非常に悔しい思いをしたという。

そこで今回、中村氏にMEモバイル立ち上げから今までを振り返っていただき、いかに年商20億円達成まで至ったのか、その裏側に迫る。

グループ初の子会社を失敗させることはできない中、内部要因で赤字に。全社の前で謝罪するしかなかった

―― まずは、中村さんがMEモバイルの代表に就任するまでのキャリア遍歴を教えていただけますか?

2012年にマーケットエンタープライズに新卒入社し、はじめは自ら志望してフリーマーケット事業部に所属となりました。フリマ事業部では、フリマを行う商業施設への営業から来場者の集客施策、また各種手配含め、幅広く行っていました。

当時、マーケットエンタープライズではリユース事業とフリマ事業があり、リユース事業のほうが成長していたんです。ただ、もともと「若くして活躍したい」「将来は起業したい」といったマインドを持っていたので、リユース事業も多くのマネジメント経験が得られるとは感じたものの、どうせなら人数が少なく、法人営業含め業務領域の幅が広いフリマ事業部に所属したほうが、裁量権の大きい仕事ができるなと。

将来的に自分で事業をつくり、推進していくために必要なノウハウや経験を積もうと思っての選択でした。

とてもいいサービスを提供していましたが、事業一本化の流れから、途中でフリマ事業部の事業譲渡が決定したんですね。私としては、フリマ事業をもっと拡大させていくぞ! というタイミングだったので、「自分がもっとやりきれていれば、会社は事業を残すという選択ができたのでは?」と、とても悔しい思いをしました

そこから次に経営戦略室に配属になり、企業アライアンスであったり、新規事業の立ち上げを行ったりしました。入社2年目ながら、大きなプロジェクトに関わることができ、たくさん失敗もしましたが、学びも多く、非常にやりがいの大きいことをやらせていただいたなと感じています。

そして入社4年目の2016年にMEモバイルの立ち上げ担当となり、事業責任者を経て2018年にMEモバイルの代表取締役社長に就任という経緯になります。

―― マーケットエンタープライズとしてはグループ初の子会社にあたるわけですが、その事業責任者を務めるというのは相当なプレッシャーだったのではないでしょうか?

日々プレッシャーとの闘いではありましたが、もともと「自分で事業をやりたい」という気持ちでこれまで準備を進めてきたため、どちらかと言うと「やるぞ!」という前向きな気持ちのほうが大きかったですね。

ただ、立ち上げから社長就任までの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。サービスに欠陥が見つかり、初年度は赤字になってしまったんです。

マーケットエンタープライズ全体としては、これから最適化商社として成長していこうとしているのに、一番最初の子会社が失敗してしまったら、最適化商社への道のりが遠のいてしまう、自分のせいでみんなの足を引っ張ってしまっている状況が申し訳なく、全社員が集まるキックオフの場で通期赤字であることを謝罪しました。

それにも関わらず、「それくらいオレたちがすぐ取り戻すから気にするな」と励ましてくださったり、激励の言葉をかけてくれるグループ会社のメンバーがいて。「ここで諦めずに、絶対挽回する」と気持ちで推し進め、最終的には2期目で黒字化、3期目で年商20億円という成長をすることができました。

共に夢を語り合った仲間を人員整理せざるを得ない状況に。赤字から3期目に年商20億円を達成するまでの道のり

―― 起業マインドがもともとあってのスタートということでしたが、いざ新規サービスの立ち上げを任されて感じた難しさや、大変だったことはありますか?

サービスリリース時は、日経新聞やテレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)など様々なメディアにも取り上げていただき、鳴り物入りでスタートできたんです。しかし、すぐにサービスの設計に欠陥があることが見つかり、サービス停止に至りました

リリースするまでに相当サービスを練り込んだので細かいところまで網羅していた “つもり” だったのですが、実際は想定ができていない抜け落ちがあり……ビジネスの難しさはもちろん、自分の甘さを痛感しました。

しかもリリース前まではメンバーと夢を語り合いながら、必死に進めてきたにも関わらず、サービス停止によってどんどん赤字が広がり、最終的には、人員整理をしなければいけない状況にもなりました。「自分のせいで……」と自責の念に駆られ、本当に悔しかったです。

―― そんな状況を中村さんはどう乗り越えていったのでしょうか?

サービス停止の最中、まだ私は代表取締役ではなかったのですが、マーケットエンタープライズのある取締役に「お前がMEモバイルの社長になれ」と言われたんですね。この状況を挽回して、お前らしい会社にしろ、と。

責任者としての苦悩、事業立ち上げの難しさなど諸々の状況を理解してくださっていた上での言葉だったため、とても心に響いて……いま思い出しても、目頭が熱くなります。

サービス停止のタイミングは本当にツラかったのですが、マーケットエンタープライズが掲げる「賢い消費の選択肢を提供する」というテーマを実現するためには、立ち止まってはいられない

社会からも「この会社があってよかった」「このサービスがあってよかった」と思ってもらえるようにするために、もっと自分自身が成長しなければと思い、サービスの再開発を進めていきました。

―― そして2期目に黒字化、3期目には年商20億円を達成しますが、成長のキッカケはなんだったのでしょうか?

探り探りで進めていく中で、まず “Web販売のノウハウを持っている” というのがマーケットエンタープライズの強みでした。そのため販売店舗を持つ競合他社が多い中、MEモバイルではWebのみで展開することでコスト削減ができた分を、お客様に還元しようと。

またWeb販路のみとなると、お客様に対して「カスタマーサポートが心もとないのでは?」と不安にさせてしまいかねません。そのため、チャットボットや24時間音声ガイダンスなどを用意し、お客様のニーズに応えられるカスタマーサポートを実現していきました。

結果的に「安い」「わかりやすい」「使いやすい」、また上場企業のグループ会社が運営しているという「安心のサービス」として認知していただけるようになったことが成長のキッカケです。

―― サービス設計で心がけていたことは何かありますか?

いろいろありますが、マーケットエンタープライズの企業理念にもある「WinWinの関係が築ける商売」ということは非常に意識していました。

ユーザーがどういうサービスであれば使いたくなるか、様々なペルソナを立てて、我々が売りたいものではなく、ユーザーが選びたくなる商品を軸にサービス設計を行いました。みなさんも過去に経験をされているかもしれませんが、通信サービスの中には、表示は安いと見せかけて、実は加入必須の有料オプションがあり、トータルで考えると割高だったり、条件を満たさないとキャッシュバックがもらえないなど、結果としてユーザーに不利益が生じているケースもあります。

我々は、マーケットエンタープライズの考える「賢い消費の選択肢」を提供するためにも、またWinWinの関係を築くためにも、そういったわかりにくい煩雑なオプションなどをなくし、はじめからユーザー全員が月額利用料が安くなるシンプルなサービス設計を心がけたことがポイントの1つですね。

「自分たちはネット回線を売る会社ではない」この会社があってよかった、と思ってもらえるために

―― WinWinな関係が築ける商売とのことで、実際にお客様からはどういった反応がありますか?

「ここを選んでよかったです」といったお言葉はたくさん集まっています。インターネットって何に使うかと言ったら、好きな動画を見たり、ネットショッピングをしたり、旅行のための調べ物をしたりと、みなさん人生をより良くするために使っているわけです。

そのため、私たちは単にネット回線を提供する会社だとは思っておらず、お客様の人生をより豊かにするサービスを提供する会社だと思っていて。だからこそ、Wi-Fi端末は1日でも早くお客様の手元に届くようにしたいですし、困っていることがあれば即座に対応・サポートができるオペレーションを整えたいと思うんですよね。

メンバーにも「お客様の人生を豊かにするサービスを提供している会社」であること「WinWinの関係が築ける商売を展開する」ことをしっかりと伝えていて、それらの指針から「MEモバイルで働けてよかった」とメンバーが言ってくれるのは私としても非常に嬉しいことだなと。

またマーケットエンタープライズが掲げる行動指針(ME10箇条)に「摩擦を恐れるな!」という項目があるのですが、MEモバイルのメンバーもみなサービスに対して真正面から向き合っているメンバーばかりで馴れ合いや迎合なく、「サービスをよくするためにはどうすればいいか」という考えから、行動が自然と生まれているため、そういった文化がお客様にも還元されているなと感じています。

―― あらためて、これまでを振り返ってみていかがですか? また、これからの展望もあわせて教えて下さい。

「起業したい」という思いを胸にキャリアを歩んできて、実際にMEモバイルの社長に就任したから満足、という感覚はなくて。

それよりも、「この会社があってよかった」と思っていただけるような会社にしていきたいという次なる欲がどんどん強くなってきていて、それを実現できる経営者になるまで満足はできないなと思っています。

マーケットエンタープライズの企業理念にある “WinWin” というのが、自分の中では本当に大事なキーワードになっていて、フリマ事業をやっていたときも、出店者、来場者、商業施設すべてがWinな状態で、誰からも「ありがとう」と言われる環境だったことが非常に大きな経験となりました。だからこそ、MEモバイルもWinWinの関係を築けるサービス、会社を目指していきたいと考えています。

今後のMEモバイルにご期待ください。


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私たちマーケットエンタープライズは「Webマーケティング」「IT」「オペレーション」の3つを高いレベルで融合させた「ネット型リユース事業」を展開し、シェアリングエコノミー業界で成長性の高いビジネスを展開するベンチャー企業です。 2006年の設立以来、13期連続で増収を達成し、2015年には東証マザーズ上場も果たしました。 また、事業拡大に伴い2012年に大阪、2013年に名古屋、横浜、2014年に福岡、2015年に埼玉、神戸、2016年に仙台、2017年には東京で2拠点目となる西東京(府中市)、札幌と物流の拠点を次々と展開しています。 ビジネス面においては、2015年に価値ある商品とともに「安心」と「真心」のお届けを実現させるリユース品の買取・販売サービス「ReRe」をスタート。 そして、2017年には「所有」と「シェア」に続く第3の選択肢としてWebで完結する総合宅配レンタルサービス「ReReレンタル」をリリースしました。 ここ数年、メディア事業や通信事業への投資も加速させており、ネット型リユースを中心としたコングロマリットグループの形成に向け歩みを進めています。 今後益々発展するシェアリングエコノミー業界において、私たちはリユース先進国である日本の物を大切にするリユース文化を大切にしながら、この選択肢の多い時代にあらゆる商品の最適化、及び、価値の再定義化を提案する企業として、日本全国へ、世界へとフィールドを広げ、「業界を牽引する企業」から、「業界を代表する企業」へと大きく成長していきます。
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