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【デザイン史】欧文書体の歴史を学ぶ

こんにちはハマーです!

デザイナーとして入社して、早くも半年が経ちました。早すぎです。

憧れの職業に就き、様々な仕事を経験させていただくうちに、段々、ものの見方が変わってきました。

駅の案内表示やサイネージや吊り革広告、本やパンフレット、WEBサイトやアプリなど、私たちの身の回りは、設計されたもので溢れています。

これまでは「全体的に洒落てる」「書体がかっこいい」「この表現はどうやって作ってるんだろう」など、その物を全体で捉えていたのですが、最近は

「この大きさの写真をいれる時は、この配置もアリなんだ」

「こういうあしらいを使う時は、こんな見出しも使えるんだ」

「この帯に使われている黒、黒すぎずグレーにもなり過ぎずちょうど良いな。かっこいいな」

などなどなどなど・・・細かい所が気になるようになりました。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、原則を守り、細かい部分を整える、立たせる大切さを、日々痛感しています。


その中でも今、特に気になるのが、書体です。

今や歴史あるものからフリーのフォントまで、書体は実に様々なものがあります。同じ言葉でも書体が違えば、雰囲気が全く異なります。

私は書体選びが苦手で、このデザインに似合う書体、何か無いかな…と探していたら、あっという間に時間が過ぎていきます。

それはもう、あっという間です。

この書体達のことをもっと知るために、色々調べてみることにしました。

今回は欧文書体たちの歴史について、簡単にご紹介したいと思います。



アルファベットの歴史

文字の歴史は約5000年にわたり、象形文字や楔形文字が起源とされています。ヒエログリフ、漢字、ラテンアルファベットなど、何に書くか、何で書くかで形態が変化してきました。

特にアルファベットは最初小文字がなく、必要に応じて追加され、今の文字数になりました。

今から2000年前、ローマ皇帝のトラヤヌスは、戦勝記念柱の土台に碑文を刻みます。

その碑文を参考に作られた「trajan(トレイジャン)」は、今も使用されています。



「タイタニック」「ハムナプトラ」のタイトルに使用されています。


その昔、印刷技術がない時代は写本がなされていました。

聖書の写本をする写字生は、ただ文字を写すだけでなく、何か目立たせるための工夫を始めます。

  • 文中を模様で埋めてみる(8世紀頃)
  • 文頭にある大文字に装飾をつけてみる(12世紀頃)

この「埋める」「飾る」表現は、狩の時代からされていたと言われ、洞窟画や壁画、ヒエログリフなどに残っています。

ちなみに、アルファベットのJは、「Iesus」のIを装飾したことから生まれたと言われています。Jesus!

日本では9世紀に漢字を崩したひらがな・カタカナが生まれます。

半紙の端っこにささっと和歌を散らし書きするなど、紙全体を埋めるのとはまた別の表現がされていました。いとをかし。


15世紀. 活版印刷開始、書体登場

1450年にグーテンベルクが活版印刷技術を開発します。

このとき改めて、「紙の節約と効率化のために、なんの書体にしようかな?」という考えが生まれます。

写本時代にもその問題はありましたが、何しろ手で書くために、解決できなかったと言われています。

その時は、手書きの風味を残したブラックレター体が用いられました。これが最初の書体(タイプフェイス)です。


中世の世界観が感じられるフォントです。


ブラックレター体が用いられたグーテンベルクの聖書です。文字がぎっしり埋められており、文字の装飾も見られます。

高価な紙をうまく使うために、ヨーロッパではこの時、1ページにどのように文字や要素を収めるかの考えが生まれました。レイアウトの始まりです。

しかし、ブラックレター体ではどうしても文字が潰れてしまうことから、この後セリフ体が登場します。



Centaur(セントール)は1470年に制作された伝統的なセリフ体です。線のメリハリが少なく、斜めに傾いているのが特徴です。


jenson(ジェンソン)は、ピクサーのロゴの一部に使われています。



Garamond(ギャラモン)(1431)は、ヨーロッパ中に流行し、フランスの公書体になりました。

これらセリフ体は、今後18世紀から19世紀にかけて、様々なスタイルを確立していきます。


19世紀. 産業革命、サンセリフの登場

18世紀半ばから始まった産業革命は、書体を取り巻く環境を大きく変えました。

  • ベルトコンベア・システムにより労働が単純化され、「時は金なり」という言葉も生まれる
  • 技術開発が進み、これまで職人が作ってきたものが機械で作られた単純なものに変わる
  • これに対し、ウィリアム・モリスらが「アーツ・アンド・クラフツ運動」を提唱。(ものづくりの考えをもう一度見直そうよ!というこの運動から、デザインの考えが生まれました。


この頃日本はまだまだ、鎖国中です。

「Time is money!!効率化!!」の考えは書体にも影響を及ぼします。

この時、イタリアでBodoni(ボド二)、フランスでDidot(ディド)が生まれました。


Bodoni(ボド二)は、縦画と横画のコントラストが特徴です。



Didot(ディド)は、VOGUEのタイトルに使われています。


メリハリの聞いた書体は、埋めなくても紙面にインパクトをもたらし、これまでの「埋める」レイアウトから一転、余白の考えが生まれたと言われています。




Clarendon(クラレンドン)は、SONYのロゴに使用されています。

これよりも効率を求めた書体が、サンセリフ体です。

サンセリフ体のはじまりは、1816年にウィリアムス・キャズロン四世によって発表された、“2ラインズ・イングリッシュ・エジプシャン”といわれています。

当時は新しいという意味合いで「グロテスク」と呼ばれていました。(新しい という意味です)

凝った書体が多い中で、サンセリフ体は最初流行らなかったそうですが、後々様々な場面で活躍していきます。

ちなみに、サンセリフ体が日本で使われ始めたのは、明治時代後半の20世紀初め頃。当時はゴチックと呼ばれ、手描きで太く書かれていました。


20世紀〜現代.サンセリフ、デジタルフォントの発達

20世紀になると、デザイナーと言う仕事が独立し始めます。

文字の重要度もさらに増加し、映画ポスターの中などで文字が占める割合が多くなります。今に通じる書体が多く作られます。

ドイツでは、デザイン学校バウハウスの影響で幾何学的な書体が多くつくられました。

1925年頃からサンセリフ体がヨーロッパで主流になります。

1927年にはパウル・レンナーにより、Futura(フーツラ)がデザインされ、同年にはルドルフ・コッホによりKabel(カーベル)が発表されています。

日本では東京オリンピックのポスターデザインなどで、グラフィックデザインが開花し、その後「POPEYE」創刊をきっかけに、アルファベットを表記した誌面が次々創刊されるようになりました。

また、1980年頃からコンピュータでの製作が増え、表現の自由度が高まります。

また、デジタルフォントの流通から、スクリプト体や、バリアブルフォントが生まれました。


Futura(フーツラ)は、アポロ11号の銘板に使用されました。幾何学的な形が特徴です。



DIN(ディン)は、オリンピックのエンブレムにも使われました。


TimesNewRoman(タイムズニューロマン)は、ロンドンのタイムス誌が考案しました。多くのパソコンに標準インストールされています。

1950にはスイススタイルが流行し、Helvetica(ヘルベチカ)が生まれました。


パナソニック・ポストイットなどのロゴ書体に使われています。



バリアブルフォントは、スライダーを動かすことで大きさや太さを変更できます。2016年にオンライン用として発表され、IIlustratorはCC2018から使用できるようになりました。


まとめ

今回、書体の歴史を軸に遡ったところ、レイアウトやロゴ、開発側の意見、文化の変化など、複数の要素が複雑に絡み合っていることを痛感しました。

見た目の美しさ、読みやすさだけでなく、紙は節約できるか、大量生産に適しているか・・・など、開発側の意見が大きく関わったことが印象的です。

今回まとめきれなかったセリフ体、サンセリフ体の詳細や、和文フォントについてなども、勉強していきたいです!!

読んでいただきありがとうございました!

参考とおすすめ本

今回のブログにはこちらの書籍とブログを参考にしました。ぜひ読んでみてください!


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