クリエイティブな仕事をするには、クリエイティブへの情熱が欠かせません。しかし、情熱だけで素晴らしいものが作れるわけではありません。誰かを笑顔にするためのクリエイティブに必要なことって何でしょうか?今回は、デザインチームのマネージャーとして奮闘するりっくんの成長ストーリーから、その答えを探ります。
【人物紹介】
りっくん
デザイナーチームマネージャー。入社5年目。 ライオンハートでは10年ぶりの新卒入社。デザイナーとしてお客様の制作物を担当しながら、チームマネジメントにも奮闘中。 趣味はゲームとサッカー、そして猫。自分で染めているヘアカラーがトレードマーク。
クリエイティブに触れた原点はゲーム。コンプリートしても何度もやり直し
ーーー幼少期はどんな子どもだったんですか?
ゲームが大好きな少年でした。年の離れた兄が2人の影響で、物心つく前からゲームに触れてるうちに、ハマっちゃって。幼稚園にもほとんど行かなかったし、家族で動物園に行くことになっても「ゲームしたいから行かない!」って聞かなくて、母親とお留守番して。(笑)
ゲーム内でトロフィーを獲得するまで極めたり、コンプリートしたゲームも何度もやり直したり。単純作業のゲームというより、やり込み要素が多い攻略しがいがあるゲームが好きでした。今もそれは変わってないですね。(笑)
ーーーそんなゲームっ子が、デザイナーの道に進んだ経緯が気になります。
幼少期の経験もあり、将来はゲーム制作に携わる仕事がしたいと思ってました。中学3年生で進路を決める時に、工業高校の情報科への進学を決めました。初めはプログラミングをメインに学んでいたんですけど、Webのプログラミングの授業を受けてみると、すごく楽しかったんです。
プログラミングって、エラーが出るともう何も動かないんですけど、WEBコーディングは自分の書いたコードがすぐに画面に反映されるんです。それが分かりやすくて面白さを感じました。
その経験をきっかけに、高校卒業後はWEBの専門学校に進学し、WEBデザインを専門に学びました。毎回違う技術を使って色々なものを表現する楽しさに惹かれましたね。
当時の僕は「プログラミングは機械的な仕事」「デザインは心を使える仕事」だと思っていて。機械的な仕事より、頭も心も使って、感情を動かしながらできる仕事をしていきたいなと思ったんです。
実際にライオンハートに入社し、プログラマーの方と協力してクリエイティブを仕上げている今となっては、どちらも心を使う仕事だと知っているんですけどね。
「ここが惜しいな〜!」面接中に愛のあるフィードバック
ーーーライオンハートに出会うまでのお話を聞かせてください。
実は、専門学校時代に80名規模くらいのweb制作会社でアシスタントとしてアルバイトをしていました。
愛知県内でも実績のある会社でしたし、アルバイトからそのまま正社員として入社する人も多かったですが、働いている中で自分には合っていないなと感じたことがあって。
規模が大きかったからなのか、業務が作業的で社内のコミュニケーションは多くない環境でした。良い意味で仕事が仕組み化されていましたが、心を使って仕事していきたいと思っていた僕には合わなかったので、別の会社探そうかなって思いました。
就職活動中、同級生のほとんどは学校に届いた求人に応募していたのですが、僕は「絶対、学校に届いた求人には応募しないぞ」と決めていました。
「自分で考えて探して、心が動いたところで働きたい」と思っていましたし、「流れに乗ってみんなと同じ事をするってかっこ悪いな」って感じてしまって。人と違うことをするのがかっこいいと思っていたのですが、今振り返ると少し恥ずかしい気もします。
ーーー自分で探していた中で、ライオンハートを見つけ出したんですね。
そうですね。家から通える名古屋の会社を自分で調べて、何社か面接を受けました。
慣れないスーツもバシッと決めて臨んだんですけど、面接の「選考されてる感」がすごく苦手で。形式的な質問をただ作業的にやりとりされている気がしてしまったんです。
気がついたら、手をグーにして膝の上に置きながらいつも通りじゃない自分がいました。
上手くデザインへの想いや働きたい理由を話せなかったんですよね。
そんな中で唯一心に残ったのが、ライオンハートの面接でした。
カジュアルな雰囲気だったので、自然と話せたんです。最初に面接を担当してくれたのがりっちゃん(現在の常務取締役、当時の戦略人事兼デザイナー)でした。
選考でポートフォリオを提出するのですが、りっちゃんは僕のポートフォリオを見て一方的に評価するわけではなく、アドバイスをしてくれて。「ここが惜しいな〜!こうしたらもっと良くなるよ!」って。面接でそんなこと言ってもらえたのは初めてだったので、「温度感があって良い会社だな」って思いました。後日談ですが、りっちゃんは僕のポートフォリオから「いかに自分で考えて楽しく作っているか」を感じ取ってくれたからこそ、アドバイスをしてくれたみたいです。
ライオンハートを選んだ理由はもう1つあって、自分の可能性が広がると思ったからです。ライオンハートはWEB制作以外の案件もたくさん受けていて、SNSなどを見てみるとブランディングを手がけたお客様と飲みに行ったりしている様子も上がっていて、WEB制作だけの会社じゃないなと感じたんです。
当時の僕は専門学校を卒業してまだ20歳でしたし、デザインを通して将来様々なことに関わっていける可能性を感じたことも大きな理由でした。
入社4年目、ライオンハートで最年少のマネージャーに昇格
ーーー入社してから今に至るまでどんなことを経験してきましたか?
1,2ヶ月目は先輩のアシスタント業務がメインでしたが、3ヶ月目以降は自分で案件を担当しました。新人は実案件で経験を積むというのがライオンハートの育成スタイルだったので、右も左もわからないけど必死にやっていましたね。入社して1年目は、りっちゃんが直属の上司としてずっと隣にいてくれて、デザインの考え方も技術面も教わりました。
2年目以降は後輩も入社してきて、後輩と交代しながらそれぞれの案件で困っていることをりっちゃんに聞きに行っていました。社内では、りっちゃんを親として「カルガモの親子」とよく言われていましたね。(笑)
4年目にはマネージャーに昇格し、今年に入って本格的にりっちゃんからチームのマネジメントを引き継ぎました。自分の案件だけ担当していた今までとは違い、チームの目標進捗を管理やメンバーとの面談も行います。毎月のマネージャー会議や勉強会にも参加し、持ち帰った解決策をチームの動きに反映させています。
ーーーりっくんはライオンハートの中でも最年少でマネージャーに昇格しましたよね。本格的にチームを率いる立場になった感想はいかがですか?
正直、毎日ドキドキです。成果が出てない時はすごく不安になりますし、決めた施策を実行してみてすぐに結果が出ないと、「このやり方やめたほうがいいのかな」「目標変えたほうがいいかも」と弱気になってしまうこともあります。
でも、ライオンハートでは期の初めに「今年はこうやっていこう」と目標を定めるのでそれを途中で変えることはしません。これは他のマネージャーも含め、ブラさず決めていることです。
だからこそ、他のチームと目標進捗を共有する上で、「何のためにこの動きをしているのか」目的をブラさないようにフィードバックし合います。
僕はまだまだブレそうになることが多いのですが、「自分を信じてやってみなさい」「間違ってるって一回も言ったことないでしょ!」って先輩たちに鼓舞されながら日々アップデートされています。(笑)
ーーープレイヤーからマネージャーに立場が変わると、デザインだけではなくチームや会社を良くすることなど、視野が広がりますね。
お客様が笑顔になるストーリーを徹底的に想像するからこそ、良いものを創れる
ーーー入社してから今まで、「成長できているな」と感じるポイントはありますか?
物事の伝え方が変わったねとよく言われます。特に意識しているのは※「5W3H」です。
※「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(だれが)」「What(なにを)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」「How Much(価格)」「How Many(規模)」の英単語の頭文字をとった言葉。情報をこの要素で整理することで、正確に伝わりやすくするというフレームワーク
仕事で人に何かを共有する時は、これを伝えることが社会人のコミュニケーションの基本だと教わりました。日々、社内メンバーとのコミュニケーションでも常に意識しています。チャットでやりとりするときも、一度文章を入力してみて分かりにくいなと思ったら、どこが足りないのかを振り返って書き直したりしています。
ーーーライオンハートでは「目的」を問うことも大切にしていますよね。
まさに、入社してから1番仕込まれたのは、「目的意識」ですね。ライオンハートはクリエイティブの「目的」を問うことを徹底しています。新しい案件を担当する度、必ず社内で「目的」をすり合わせる時間をとります。お客様が求めているのは何で、どんな人が使うのか。どんな方向性で、どう表現するのか、それらを制作に関わるメンバーと共有できているか。その思考の整理はライオンハートのデザイナーとして1番大事だと思っています。お客様が笑顔になるストーリーを徹底的に想像するからこそ、良いものを実際に創れると考えてます。
ーーーライオンハートの大切にする価値観に「笑顔創造」がありますね、実際に働く中で、「笑顔創造できた!」と実感できたエピソードはありますか?
たくさんあるので選ぶのが難しいです...
最近のエピソードなんですけど、シートベルトのロック部分に使う「ハンドルロック」という部品を製造しているお客様の採用ページをリニューアルしたプロジェクトがありました。
自動車業界は進化が早く、製造技術も日々アップデートされていく中で、お客様も次のステージに進むフェーズでした。事業だけでなく、求職者に向けたアピールも変化させるために採用サイトを制作したいというのが当初のご依頼でした。
デザインに入る前、採用サイトのコンセプト考案を担当するディレクターのコリッキーがお客様に具体的なヒアリングを実施し、採用サイト制作の背景を深堀り。すると、先方の社長には「どんどん新しい挑戦をしていきたい」という明確な想いがある一方で、社員と「何を目指すべきなのか共通認識が取れていない」という悩みを持っていることがわかりました。まずは社内のメンバーが同じ方向を向き、変化していく姿勢を共有する必要があったんですね。
コリッキーから共有を受け、会社が新しい挑戦をしていくことを表現するためのデザインにする必要を感じましたが、最初は僕も「振り切った案」が出せませんでした。コリッキーと話し合い、アイデアを出す中で、お客様の目指す方向性には「※アバンギャルドなデザインが合っている」という結論に至りました。
※「アート、音楽、ファッション、ビジネスなどの各業界で、前衛的な人やもののことを指す用語」
提案したのは「アンロックンロール」というキャッチコピーのもと、ロックのハンドサインをモチーフにした採用サイト。「ここから道を開けて行こう!」という意味を込めました。実はこのハンドサインの形は、お客様の作る「ハンドルロック」の形とも似ているんです。ハンドサイン以外の案も含め3案提案しましたが、ライオンハート内でも一押しだったこの案が採用されました。
お客様も最初は「やりすぎかな?」と不安を感じていたのですが、私たちの方から「ビジョン達成のために、このくらい変えていくことが必要です。」と採用サイトリニューアルの目的を伝え続けました。そしてサイトに載せるために、ハンドサインのポーズで写真撮影させていただきました。社員の皆様も楽しんで撮影協力いただき、無事に採用サイトはオープン。ご自身が載ってるページって、一度は見たくなるじゃないですか。社員の皆様の意識を揃えるインナーブランディングの効果もある採用サイトを公開できたと思っています。
ーーーお客様以上に、目的への意識をブラさなかった結果、楽しみながら目指す方向に向かえるサイト制作、これぞ笑顔創造ですね。
誰が見ても納得できるように説明できるのが、ライオンハートのデザイナー
ーーー最後に、今後ライオンハートで笑顔創造していくための意気込みを教えてください。
まずはデザイナーチームの教育体制を確立し、ライオンハートに入社してくれたメンバーが活躍できる基盤を作っていきたいと考えています。
「笑顔創造」という理念の通り、デザイナーチームのメンバーはみんな「誰かを喜ばせたい」「笑顔にしたい」という気持ちが強いです。みんなクリエイティブが大好きで、その気持ちが作品にも現れています。この仕事ってやっぱり「好き」という気持ちがないとやっていけないんですよね。
一方で、感覚や好みだけで作ったものは本質的なデザインとは言えません。デザイン1つ1つに課題を解決するための目的があり、誰が見ても納得できるようにデザインを説明することが大切だと思っています。
説明できるということは、ライオンハートが大切にする「目的意識」をブラさずに制作できているということなので。
ライオンハートにはデザインを作る上で大切なことを教えられる体制は整っているのですが、りっちゃん含め役員陣が直接現場に関わり、細かいフィードバックなど実施してくれているのが現状です。
「組織が拡大して新しいメンバーが一気に増える」となったときに、今の体制では教えきれないと感じています。そこで、これまでは「秘伝のタレ」化して伝わりづらかったライオンハートのノウハウを誰にでも伝えられるように、「考え方から技術面まで」を改めてマニュアル化しているところです。
お客様の笑顔も、社内のメンバーの笑顔をも「創造」できるように「ライオンハートのデザイナーとは?」を問い続けていきたいです。