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どんな分野でも外さないトレーニング術とは

トレーニングにおいて、「絶対これ!」という方法はありません。

しかし、「これをやっておけば、まず外さない」というやり方はあります。

どんな分野でもほぼ当てはまる順当な手法……。それは……


繰り返し、たくさんやることです。


「なーんだ」「そんなのわかっとるわい~」という声が聞こえてきそうです。

つまらない方法ですが、意外とできていませんし、その重要度を軽視しがちです。


書店でビジネス書のコーナーへ行ってみてください。

あらゆるビジネススキルの本が並んでいます。
かくいう自分もコンサルティングファームにいるときに、ある解決手法を強調していました。

でも、ここで取り上げられている手法が、どんな分野でも生きるかといったらそうでもありません。


「繰り返し」の普遍的な力

繰り返し、たくさんやることが有効なことは、種類の異なるビジネス領域でも、クリエイティブな分野でも、フィジカルトレーニングでも、子どもへの教育でも、広く当てはまる話です。
(もちろん回数が多すぎることでの身体的ダメージ等の弊害はありますが)

普遍的なことには理由があります。


ほとんどの人間は、一定の学習能力を持っています。
したがって、同じような行動を取り続けると、その行動を学習し、改善を促すことを自ら行います。

特別な教育メソッドを使わなくとも、「繰り返し」という極めて単純な手法によって、多くの人はより価値を生み出せるようになるのです。


経験則上、同じ分野の仕事を5年続ければ、その領域の最前線にいる者としてアレコレと語れるレベルには到達します。

領域の広さ狭さ、その領域の社会的価値、説明できる表現力はともかくとして、ある程度分かるレベルには行きます。

どんなに不器用な方でも、それほど高い頻度ではミスを起こさず、手際よく処理できるようになるのではないでしょうか。

学歴・職歴が違っていても、出自等のバックグラウンドが違ってもです。

これが繰り返しの力です。


この力はバカにできません。

自分の得意なものは何か、ゴールへの近道は何かと右往左往するより、とりあえず同じことを繰り返してみよう……が最適解となることがよくあるのです。

しかもこのメソッドは、色々な場面で使えます。
仕事でも家庭でも。頭脳労働でも肉体労働でも。育児でも介護でも。

幅広い場面でとりあえず「繰り返してやってみる」がよい施策となりうるのです。


マンガづくりにおける「繰り返し」の力

LEGIKAでは若手マンガ家の育成に携わっています。私たち自身もマンガの制作を行い、世に出す取り組みをしています。

(若手マンガ家が多く住む「多摩トキワソウ団地」建物外観)

若手マンガ家として、結果が出ない方の多くは、アウトプット(=作品づくりの繰り返し活動)が少なすぎる点が共通してあります

成果物として出すことを繰り返し、繰り返し続けないと学習は進みません。

マンガの世界において、繰り返しで学習が進む背景には、自らが全身をつかって作品を生み出すことで、細部に至るまで膨大なセルフフィードバックを得られる点があります。

手を動かして、悩み抜いてつくった作品について、改めて考え直すことは多くあります。

意識的であれ、無意識的であれ、習得するものが多くあるのです。


一方で、創作論を戦わせてばかりいる方も世の中にはいます。

多くの作品づくりを経て、自分の痛みとして学習しなければ、実際には何の効能にもなりません。

すなわち、モノをつくらず、口だけを動かす方は、プロにはなれません。これは断言できます。


マンガ家志望者の中には、長時間をかけてスーパーデビュー作を生み出そうと考える人も珍しくありません。

ところがプロの見方は違います。

小学館でプロ編集者として名作を生み出してきた武者正昭(レジカスタジオ編集長)は、短い期間で作品を多く描けるかが、商業作家としての重要なラインと力説します。

読み切り、連載へとステップを進めるために、制作経験を積んで、効率良く描けるようになることを求めているのです。

作品を一定数つくり出さないと、商業作家ラインには達しないのはお分かりかと思います。


SNSが作り出す社会の虚構にだまされないこと

社会を支えるプロは、繰り返しの達人ばかりです。

地味に同じようなトレーニングを続けています。

イチロー選手が、膨大な時間をかけてフィジカルトレーニングをしていたことは知られています。見た目が派手な世界でも、裏にある地道なアクションの繰り返しが、華やかなプレーを支えています。


ところが、達人の裏の姿を知らない素人ほど、表面的なものに幻惑されます

典型的に危険な領域が、SNSです

SNSで派手に話題になるものは、皆にとって当たり前のものであることはありません。

「大谷翔平選手が、3時間かけてルーティンのトレーニングに打ち込みました」

は、ニュースになりませんよね。

新しさがあったり、意外性があったり、印象に落差があったりしなければ、バズりません。

新鮮だと飛びつきたくなるようなものは、「繰り返し、たくさんやる」ことの真逆を行きます。


つまり、SNSで目に飛び込んでくる世界は、虚構の要素が多く含まれています

「繰り返し、たくさんやる」ことを頑張りたい人にとって、心を惑わせる要素がふんだんに含まれています。
虚構の誘惑にだまされないようにしなければなりません。


迷ったら、繰り返しやる

仕事のプロになる過程で、どうしたら良いか迷うことが必ずあります。

色々な解決策があるでしょう。ベストな解決策もあることでしょう。でも何をチョイスしていいのか分からないこともよく起こります。

そういうときは、とりあえず繰り返しやってみることが、多くのケースにおいて良い解決策になるのです。

その中で、プラスアルファを積み増していくことをぜひ考えてみましょう。


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