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コミュニティ運営には、余白をつくらなければならない

大人は学生を前にすると教えたがります。良いことなのでしょうか?

教育支援に興味関心のある方は、特に教えたがります。本当に良いことなのでしょうか?

チェルシーハウスを見れば、その疑問に対する一つの答えを感じるかもしれません。


チェルシーハウス寮生に学ぶ運営の視点

学生寮に、入居のシーズンが来ました。

LEGIKAが運営するシェア型学生寮「チェルシーハウス国分寺」(東京都小平市)では、2年ぶりにウェルカムパーティが開催され、対面で互いを知る機会をつくることができました。(その様子↓)

驚きを覚えたのは、ウェルカムパーティ後に行われた出来事についてです。

それは、寮生による住まいの運営改善に関する自発的な提案(他の寮生に対して)が行われたことでした。運営サイドにお願いするものではないです。


例えば、チェルシーハウスでは起きてくる時間帯が違っていたりして、それごとに会うメンバーが固定化してきてしまう傾向があります。そのため、たまに違った時間にリビングに行くと、何となく居心地の悪さを感じてしまうことがあるそうです。そういった居心地の悪さを解消するために、月一度の共通イベント「CHELSEA DAY」をやろうと、複数の寮生から提案があったのです。

さらにこの提案も場当たり的なものではなく、プレゼン資料も準備され、寮生SNSには資料も即座に配信されていました。

会場に集まった寮生達も、手元のスマホで資料を見ながら発言しているなど、非常にスマートな運営がなされていました。

▲ここでスマホを見ているのは、暇つぶしではなく資料を見ているからです。


ここまでのところで、運営サイドはノータッチです。


さらに、流しに残された調理器具・食器問題の改善方法や、調味料の共同購入(値上げ)の提案など様々な意見が上がり、生活の身近な問題でありながらも、とても建設的な内容となっていました。


自律的な判断の余地をつくること

コミュニティの運営サイドが全面に立って、詳細に至るまで指導・監督していたとしたら、果たしてこのような意見が自発的に行われ、寮生同士で検討するという形になったでしょうか?

きっと、寮生としては「運営サイドにお伺いを立てる」という姿勢になったことだろうと思います。

つまり、住まいのコミュニティでの自発的な意思決定と自律的なマネジメントスタイルを促すためには、判断の余地をしっかり確保しておくことが重要なのです。


自律性をスポイルする寮もある

LEGIKAでは自治体や民間企業の寮運営のアドバイザーとしても活動をしています。

▲LEGIKAが参画しているスタイリオネスト駒場東大前(運営:東急株式会社)

そこで改めて気付かされるのは、住まいの運営スタッフが教育者というスタンスで入ってしまうと、かえって寮生自身の潜在的な自律性をスポイルしてしまうという事実です。

特に昭和型のガチガチの管理系スタンスの学生寮では、確実にこの問題が発生しています。

このような寮では、結果として寮生が自分の頭で考えることを止めてしまい、受け身的な指導慣れをしてしまいます。同居者とコラボレーションをしてより楽しい解決策を生むという創意工夫は決して生まれてきません。(管理工数的には絶対に楽です。こういう施策を採っている寮の本音はこれです。)

社会全体に自律的な探求能力を求めている中、社会とは真逆の方向へと進んでいると言えるでしょう。

管理スタンスが強くなくても、運営サイド主体でのイベント開催や教育インプットに熱心すぎる住まいもあります。

寮生自身の自発的な取り組みをサポートしたり、寮生相互での協働性強化をしないまま、なんとなくプログラムを押しつけた形で終わってしまう可能性があるのです。

コミュニティ運営には余白をつくらなくてはならない

長年のコミュニティ運営経験を通じて、結論として言えるのは、コミュニティ運営には、寮生が活動できる余白をつくらなければならないということです。


運営サイド主体のイベントが連発されると、寮生はイベント疲れをしてしまいます。自分から何かを起こそうという意欲は失われてしまいます。

自分で考え、体験することは一番学習効果が高いことだと確信しています。

寮生自身が判断し、悩み、場合によっては寮生同士でぶつかり合うぐらいの余地をつくっておくことが大事なのです。意外とこういうことは、コミュニティ運営者の中では意識されてないように思われます。

もちろん、寮の中で、法に触れたり、尊厳を傷つけたりするようなことがあってはなりません。

重要な規範はしっかり学ばせつつ、身近な問題から考える余地をつくっていくことで、集団内での合意形成という社会生活において極めて重要な要素を学び、自分のものとすることができます。

それは、イベントを通じたインプットよりもずっと重要なものだと感じています。


住まいに余白はつくられているでしょうか。ただの管理型スタンスでの接し方になってないでしょうか。LEGIKAでは、新しい時代の人材育成に沿ったコミュニティ運営を進めていきます。

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