クラシコムが提供するライフカルチャープラットフォーム「北欧、暮らしの道具店」のスマホアプリ(iOS・Android)が約2年で200万ダウンロードを突破しました。
これを記念して2022年6月28日(火)に開催した、クラシコム初の開発担当者によるトークイベント「Kurashicom Tech Talk(クラシコム テック トーク)」のレポートをお届けします。
イベント概要
「北欧、暮らしの道具店」アプリ200万DL突破!2年経った今だからこそわかる、開発課題の答え合わせ
開催日時:2022年6月28日(火)19:00-20:30
合計視聴者数:100名
登壇者
開発チームマネージャーの村田(左)とシニアエンジニアの廣瀬(右)
株式会社クラシコム システムプラットフォーム部 廣瀬 健
1985年生まれ。
学生時代に所属していた劇団のHP制作をきっかけに、制作会社へ入社。
その後友人と起業した受託開発の会社を経て、株式会社クラウドワークスでエンジニアとして開発を行いながらデザイン組織立ち上げにも参画。
2017年にクラシコムに入社後は、「北欧、暮らしの道具店」のスマホアプリ新規開発プロジェクト、カートアプリケーションのリプレイス、アーキテクチャの方針策定等に従事している。
株式会社クラシコム 執行役員 システムプラットフォーム部部長 村田 省吾
1985年生まれ。
大学在学中にフリーランスを経てWeb制作会社を立ち上げ後、リクルート・SaaSスタートアップにてグロースやプロダクトマネジメントを担当。
2019年、クラシコムに入社。現在は、システムプラットフォーム部部長として、クラシコムを支えるシステム全体を管轄する。
イベントサマリー
2007年のサービス開始から、開発当時で既に12年の歴史ある「北欧、暮らしの道具店」をアプリ化するプロジェクトは、2019年からスタートしました。
いかにして、Webサイトの成長を維持しつつ、顧客に利用されるアプリを作ったのか。
アプリの開発で当初抱えていた課題や、開発を進める中で特にこだわった部分、2年経った今だから語れる失敗体験など、開発エンジニア、デザイナー目線でアプリ開発の裏側をZOOMで解説しました。
開発期間
iOS:2019年3月開発スタート、2019年11月28日リリース(約8ヶ月)
Android:2019年12月開発スタート、2020年4月2日リリース(約5ヶ月)
アプリは新たな体験を提供できるか、仮説検証としてスタート!
2019年春、「いつ開いても『北欧、暮らしの道具店』の世界に戻ってこれるアプリ」をステートメントに掲げてスタートしたアプリ開発。
Webサイトでは実現できないアプリならではの体験と、継続的なアップデートで、「北欧、暮らしの道具店」の変化に追従するだけでなく、変化を先導していくような存在を目指しました。
ただし、今回の開発は「北欧、暮らしの道具店」らしいアプリがあれば、新しい場所としてお客様に喜んでもらえるのではないか? というあくまでも「仮説の検証」としての開始でした。
そのため、社内の体制や業務を大きく変えるような負荷を避けて、開発を進めることが条件となりました。
リスクが少ないWebViewか、アプリならではの体験を検証できるネイティブか
画面設計の初期段階では、既存のWebサイトのデザインやコンテンツが活かせること、リリース後に変更を加えやすい点を踏まえ、WebViewを検討していました。
しかしその一方で、WebViewを採用することで「北欧、暮らしの道具店」のWebサイトとほとんど同じ体験を提供することになってしまうのではないか? という懸念もありました。
最終的には、本プロジェクトはあくまで、アプリ独自の魅力でお客様に喜んでいただけるのではないか、という仮説を検証するために行うべきであり、ネイティブならではの高い操作性が必要であると考え、ネイティブ主体+部分的にWebViewを採用することになりました。
データソースはElasticsearchに一元化
商品・コンテンツの一覧画面などをネイティブで作るために、APIの開発を行いましたが、既存のWebサイトは、アプリケーション・データベースが分散しており、社内業務に影響を与えないかたちで、更新を維持することが困難でした。
そこで、全文検索機能で使う想定だったElasticsearchを利用し、そこに全てのデータを集約することで、APIのデータソースとして利用することにしました。
分類の再設計やデータ更新のタイムラグなど、課題もありましたが、当初の狙い通り、API側の修正をほとんど行うことなくアプリの細かな改善を行うことができるようになり、Webサイトのフロント側のアプリケーションの統合を進めることができました。
Webとアプリを共存させるため、新たなCMSを開発
既存のWebサイトと、それを支える社内業務の中で、新しいアイデアを検証することには、困難も伴いました。
例えば、アプリ開発以前は、Webサイトのトップページを、内製のCMSを使って更新していました。
そこにアプリ専用のCMSが新たに加わると、その分の更新作業が増えてしまいます。
そこで、開発工数は増えますが、業務負担の維持を優先するために、Webとアプリ、両方に対応する新しいCMSを開発しました。
アプリ制作を振り返って
アプリの開発により「北欧、暮らしの道具店」がWebというプラットフォームを通して提供してきた体験を、よりスムーズなものへとアップデートすることができました。
全ての施策が最適だったのかを測ることは難しいですが、お客様にとって心地よい体験を提供できているかという仮説検証においては、顧客インタビューなどの定性的フィードバックと、200万DLで売上げの6割がアプリ経由になっているという数値的なデータにより、良い結果が現れていると言えます。
これからのチャレンジ
アプリをリリースしてからの2年で、動画コンテンツのバリエーション・本数は増加、Podcastやプレイリストなど音声メディア経由のファンの定着など、これまでにないアイデアや体験が創出されています。
これからも、それらの外部プラットフォームでの検証結果を組み込むことで、「北欧、暮らしの道具店」のアプリにおいてより良い体験をご提供するとともに、それがお客様の暮らしにどのように反映されているのかを検証し続けたいと考えています。
参加者からの反響
初のイベントにも関わらず、100名もの視聴者にご覧いただいた本イベント。
参加対象はエンジニアを中心に、Webデザイナー、UI/UXデザイナー、マーケター、経営者の方など、幅広い職種の方にご参加いただきました。
感想としては、具体的なノウハウはもちろん、クラシコムがプロジェクト進行において、数値的目標以上に、あくまで実験的な思考で行った判断の数々や、アプリという場を通じてどのように顧客とのコミュニケーションや信頼関係を築けるかを重視した点に多くの共感をいただきました。
アプリ、Webでよりよい体験を一緒に検証・提供していってくれるエンジニアを募集しております。
イベントでは聞けなかった裏側や、アプリ以外についても是非カジュアル面談でご質問ください。
株式会社クラシコムでは一緒に働く仲間を募集しています