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ウィジェットをユーザーに定着させるまでの1年間の道のり

こんにちは。最近はキャンプシーズンインを目前に、なぜか新しいキャンプギアが届き続けている村田です。テクノロジーグループのマネージャー兼デザイナーです。

さてクラシコムが運営する「北欧、暮らしの道具店」iOS・Androidアプリのウィジェットは、以前プレスリリースで触れたとおり多くのカスタマーに日々ご利用いただいています。

「北欧、暮らしの道具店」スマホアプリが1年半で150万DL突破。アプリ提供で年間売上1.7倍増の45.3億円、EC売上の6割がアプリ経由 | クラシコム
「北欧、暮らしの道具店」では、SNSからの誘導だけに依存しないリピートユーザーの獲得と、当社が提供する商品ページ・コラム・動画・ポッドキャストなど多様なコンテンツをシームレスに移動が可能な独自プラットフォームを構築するため、2019年11月にiOSアプリを提供開始。そして2020年4月にAndroidアプリを提供開始してから1年で100万DLを突破し、1年半となる2021年10月に150万D...
https://kurashi.com/news/10901


・DAU(1日あたりのアクティブユーザー)の約10%がウィジェット経由でアプリを起動・1人当たり月に15回ウィジェット経由でアプリを起動・半数以上が6ヶ月後も継続してウィジェット経由でアプリを起動

今では当店とカスタマーをつなぐ重要なチャネルになっているウィジェットですが、リリース当初はなかなか使っていただけず、鳴かず飛ばずの状況でした。今回はリリースからの1年間、ウィジェットの利用者数を伸ばすために行ってきたことをご紹介します。

目次

  1. ウィジェット認知度の谷を越える
  2. 最小の開発コストで検証を始める
  3. ウィジェットにフィットするメッセージを見つける
  4. ウィジェットをどうしていきたいか、その先

ウィジェット認知度の谷を越える

皆さんはウィジェット機能を使っていますか?
ウィジェットが実装されたiOS14のリリースからから1年半経ちますが、まだまだユーザーからの認知度は高くないように思えます。「北欧、暮らしの道具店」のカスタマーも同じく、リリース後にウィジェットを紹介する記事を公開しても利用者数はほとんど伸びませんでした。それどころか、社内のスタッフに聞いても「ウィジェット?はて?」という反応。機能の継続可否もカスタマーに使っていただけなければ判断することができません。

そんなスタッフにヒアリングしたところ、得られたフィードバックは「何が嬉しいのかわからないし、設定方法もわからない」でした。ウィジェットを日々便利に使っている開発者にとっては厳しい現実ですが、確かにホーム画面にウィジェットを追加するプロセスは少々わかりにくく、普段スマホを使っているだけでは気づかない場合がほとんどです。

そこで最初に行った試みが、「設定方法を動画で丁寧に説明する」です。社内の動画チームのサポートを得て、iOS・Androidそれぞれでウィジェットを設定するまでのデモ動画を作成しました。さらにこの動画をすべてのアプリユーザーに対してポップアップで訴求した結果、ウィジェットの利用者数を一気に10倍まで拡大し、かつ継続的に利用いただいていることが分かりました。


ウィジェットを設定し、実際に使えば価値を実感してもらえるという学びのもとに、次に試みたことが「利用シーンを動画で説明する」です。こちらの動画も同様にアプリユーザーに訴求することで、さらに2倍以上のユーザーに使っていただけるようになりました。

現在も定期的にクリエイティブを変更しながらアプリ内で訴求したり、当店のPodcast「チャポンと行こう!」でも言及することで、新しい利用者が着実に増えつつあります。

                 ウィジェット起動UUの推移

最小の開発コストで検証を始める

リリース後の初期段階においては、ウィジェットがユーザーに受け入れられるのかも未知数であり、なるべく最小の開発コスト・運用コストで検証したいという思いがあります。

アプリのPush通知ではすでに「今日、当店がお客さまにお伝えしたいこと」を1日に2回、サムネイルつきで配信していたため、専用の管理画面は作らずに、まずはPush通知と同じ内容をウィジェットでも表示することにしました。スタッフへのヒアリングでも「他のアプリのPush通知に埋もれて見逃すことが多い」という課題を聞いており、「見逃したPush通知にホーム画面のウィジェットで気付ける」ことを初期のコンセプトとしました。

              Pushと同じ内容をウィジェットに配信する

ただしPush通知と同じ内容に固定してしまうと、ウィジェットだから受け入れられるメッセージは何なのかを検証することができません。配信頻度が限られるPush通知ではどうしても新商品のご案内が多くなってしまいますが、「北欧、暮らしの道具店」は商品だけでなく読みものやビデオ・ラジオといったコンテンツも提供しており、そこからウィジェットというチャネルにフィットしたものを探す必要があります。

幸いなことに、動画による説明によってウィジェットに価値を感じてくれるユーザーが多くいることを確認できたため、改めて開発工数をかけてウィジェット専用の管理画面を作り、どんなメッセージがより受け入れてもらえるのかを、試行錯誤できる状態になりました。

ウィジェットにフィットするメッセージを見つける

AppleのWWDC 2020でのプレゼンテーションにおいても、よいウィジェットを作る原則の1つとして「Contextual」が挙げられています。ユーザーにとって適切なタイミングで適切なコンテンツを表示しましょう、ということです。

前述のウィジェット管理画面によって、任意のタイミングで任意のコンテンツをウィジェットに配信することが可能になったので、時間帯ごとに異なるパターンを配信することでユーザにより受け入れられるメッセージを探していきます。


例えば…・お昼休みに、一息入れられるようなエッセイを配信する・17時の夕食準備中に、料理に関する記事を配信する

クラシコムでの働き方は定時退社を基本としています。私も18時過ぎには仕事を終えることが多いのですが、Macを閉じて自分のiPhoneを開いた時に、ウィジェットの美味しそうな料理の写真につい目が止まり、アプリを開いてしまうことが多々あります(自分が作ってる機能なのに…)。そんな一息ついてスマホを開くタイミングが、ウィジェットにとってのゴールデンタイムなのかもしれません。

時刻ごとのウィジェット起動数

試行錯誤の結果たどりついた、ウィジェットの配信スケジュールはこんな状態になりました。時間帯ごとにユーザーが置かれた状況・気持ちを想像しながら、異なるコンテンツを配信しています。図にしてみると早朝に起動しているユーザーがそれなりに存在するので、この時間帯にユーザーが置かれている状況を想像して、何か配信してみるのもよいトライになりそうです。

ウィジェットをどうしていきたいか、その先

「北欧、暮らしの道具店」はただのECではなく「ライフカルチャープラットフォーム」として、商品以外にも様々なコンテンツを提供しています。プロダクト開発的に言えば、カスタマーの置かれた状況に対して、ちょっとでも居心地のよい暮らしを作るための、様々な体験が盛り込まれたマルチプロダクトなプラットフォームです。

それらの体験を活用いただくために今まで持っていたチャネルは、Push通知のようにカスタマーに届けるものと、アプリやWebサイトのようにカスタマーが能動的に開くものに限られていました。ウィジェットはそのどちらでもなく、スマホを開いたら自然に置かれているお気に入りのオブジェのようなものだと考えています。

日々の暮らしの合間に目を止め「おっ」と思ってもらえる。カスタマーの気持ちを切り替えて、居心地の良い時間を過ごせるような体験を、デジタルなプロダクトの中でも作っていきたいのです。

ちなみに初期のウィジェット開発は、

のスモールチームでさくっと作ることができました。そんな新しいチャレンジを一緒にできる仲間を探しています。興味がある方はぜひカジュアルな雑談からお待ちしてます!

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