ディレクターからも施工管理からも「チームメンバーとして一番安心できるデザイナー」と認識される菅原 沙絵。
現場の職人さんや取引業者にまで「一番仕事がしやすい」と言われるほど。
クジラとの出会いやデザインの事例、自身のこだわりなどについて代表の矢野、施工管理の西山がインタビューしました。
デザイナーとしてのルーツ
矢野:今日はりゅう(西山)と一緒に、寡黙なデザイナーさえちゃん(菅原)の人気の秘密に迫ろう。施工現場でのエピソードも聞きたいし。
Profile
矢野浩一
代表取締役/プロデューサー
調理師学校を卒業後、起業という夢を叶えるため不動産業界へ。 20年近い不動産・建築業界での経験から、空き家を利活用した新しい形のホテル「SEKAI HOTEL」などの事業も手がける。
西山:とにかくさえちゃんの図面は“見やすい“と評判ですね。施工管理メンバーも職人さんもみんな言ってます。
Profile
西山竜平
施工管理
新築の施工管理を経験したのちにクジラにジョイン。 昨年には一級施工管理技士の資格も取得。 社内外から絶大な信頼を得る、クジラが誇る男前。
矢野:それいつも聞くんやけどさ、具体的には何が見やすいの?
西山:うまく説明するの難しいんですけど、現場サイドからすると「必要なことが必要なところに書いてる図面」なんですよ。
矢野:施工図面が現場サイドにとって“優しい図面“ってことやね!
大学生のころからさえちゃんっておとなしい印象やけど、ダンスサークルを続けながらインターンもがんばったり、人が嫌がるタスクも地味にこなしてたり、芯がある一面を持ってるよね。
西山:「ブレない」とか「安定してる」っていう印象ですよね。
リノベーションって膨大な量の情報をやりとりするので、現場サイドからもディレクターやデザイナーに質問や催促することがあるんですけど、僕からさえちゃんに「あの部分ってどうなった?」って聞いたことほぼ無いんですよね。常に回答が用意されてる安定ぶりです。
矢野:デザイナーとしての安定感って、さえちゃんの性格的な「丁寧」「おとなしい」とかで隠れがちやから、今日はちゃんと“デザイナーとしてのスタンス“まで聞き出そう。
西山:そもそもいつくらいからデザインの道とか考え出したんかな?
菅原:高校生〜大学入学くらいまではアパレル系に興味ありましたね。
Profile
菅原沙絵
デザイナー
2017年に新卒入社以来、住宅だけではなく店舗や宿泊施設のデザインも担当してきた。 お客様の理想を正確に捉え、ヒアリングを中心にデザインしていくことを得意としているデザイナー。
菅原:進学のタイミングで親と相談したうえで、武庫川女子大学の生活環境学部を選びました。自分の身の回りのことやアパレルに興味があったことから生活環境学部を選んだのですが、大学2年に進級する際のコース選択で
①アパレルコース
②生活デザインコース
③建築デザインコース
の3つから生活デザインコースを選択しました。
西山:生活デザインって…?笑
菅原:勉強内容としては、アパレルと建築の中間という感じで、住環境やインテリア、内装デザインを勉強するコースですね。
3つのコースから選択するタイミングで自分が興味あるのは生活環境だってことがわかったんです。
矢野:その自分が興味を持つきっかけとなった経験とかってあるの?
菅原:父親が転勤族だったので、いろんな街や家に住みました。
兵庫県相生市で生まれて、金沢(石川)、浜松(静岡)、山科(京都)、大阪と引っ越してます。
矢野:子どもの頃の親の転勤って辛い印象やけど、結果的に若いうちに“いろんな暮らし“を経験したことになるね。
菅原:結局、生活環境学科ってアパレル分野も建築分野も勉強する学科だったので、服を作ったり、建築模型作ったりして楽しかったです。
西山:クジラにインターン応募した時の話も聞きたいな。
菅原:周りがインターンし始めて焦ったんですけど、ダンスサークルが忙しかったのでそもそも参加が難しいインターンばかりでした。
1DAYインターンとかはあまり意味無いなって思っていたので悩んでました。
そんな時にインターン支援会社主催の相談会に参加したら、3つくらい会社を薦められてその中の一つがクジラでした。
矢野:クジラを薦めてくれた相談会の担当者、ファインプレーやなぁ。
菅原:いざ面接に行ってみると、代表の矢野さんが出てきて「社会に貢献する会社を目指そう」って言ってたのを聞いて、すごいなって思いました。
ダンスサークルのことを正直に話したら「インターンには来れる時に来たら良いよ」と言われて、「そんな会社あるんだ」とびっくりしました。
矢野:そこからもう7年経つね。今日はデザイナー菅原としての話をたくさん聞かせてもらおう。
Works|Designer 菅原 沙絵
民泊施設
矢野:ここの民泊施設はデザインが人気!
菅原:入社3年目に入ったくらいのタイミングで、「コンセプトをしっかり空間デザインで表現する」というチャレンジが結構大変でした。
矢野さんから「お茶」「茶室」というキーワードはもらったものの、抽象度の高いコンセプトを理解するところがまず難しくて…
矢野:具体的に苦労した部分覚えてる?
菅原:小上がり部分に机を置こうっていう話になったの覚えてます?
矢野:覚えてる。最終的には「置かない」という判断になったよね。
菅原:小上がりでも布団を使うオペレーションに決まって、机は不要ということになったんですけど…
西山:…?
菅原:矢野さんからの「小上がりに設置する机とは」という説明が『ドラゴンボールでいうところのクリリンみたいな立ち位置ね!よろしく!』だったんですよね…
西山:爆笑!
矢野:めっちゃ恥ずかしい!笑
西山:それはむずいっす。笑
矢野:多分、「空間に絶対外せないけど、主役級には主張しない」って意味やと思う。笑
西山:僕も使えるタイミングあれば、クリリン使っていきます。笑
矢野:苦労した部分は聞けたので、デザイナーとしてのこだわった部分を聞こう!
菅原:小上がりを茶室に見立てる発想だったので、ニッチを掛け軸のようなイメージでデザインしてます。
菅原:あと、天井が下がってくると圧迫感が出るので、抜け感を出すために格子を天井付近のデザインに取り入れてます。
矢野:照明計画もすごいこだわってたよね。
菅原:はい。玄関が人感センサーで自動的に照明が点くようになってるんですけど、同時に小上がり部分も照明が点いて、暗いリビングに小上がりが浮かび上がってくるようなイメージに計画しました。
菅原:その他にも室内に“なるべく長い壁面”を作ることで空間の上品さを演出しています。
菅原:玄関部分や窓の位置は変えられない中で、あえて長い動線部分を作るために、いろんな間取りのパターンを試しました。
矢野:本当にここは「上品」とか「洗練」された印象を受けるよね。色の組み合わせも素敵。
最終的に「デザインパターンとして確立して、空室に困っているビルオーナーに使ってもらえる民泊ブランドにしよう」という意図もしっかり体現できたので、ビルオーナーの皆様からも喜ばれたよね。
マンションリノベーション
菅原:マンションリノベーションでは、この案件が「お客様と一緒に細かいところまで作り上げた」という点で印象的です。
西山:どこが印象的な部分?
菅原:動線と収納の組み合わせですね。
お客様から「今の住まいの動線と収納がマッチしていないので、使いづらい」というお話を聞いていたので、新居では動線上に必要な収納が、必要な分だけあるように打ち合わせを重ねました。
リビング部分に書斎スペースを計画した際は、ご主人の持っている本のサイズを全部把握して本棚を設計しました。
キッチン前のカウンターテーブルは収納にもなっています。
菅原:奥様が設置する予定のゴミ箱のサイズや食器などのサイズを把握して設計しました。引き渡し後に新居にお邪魔した時も、カウンター下にすっきり収まっていて良かったです。
菅原:他には、こちらからの提案でルンバ(お掃除ロボット)や掃除機に合わせた収納設計を提案して採用して頂きました。
矢野:本当にお客様と一緒に作った動線と収納って感じやね!
菅原:クジラって元々お客様との打ち合わせが多いと思うんですけど、このお客様はさらにたくさん打ち合わせのお時間を頂きました。
菅原:解体工事後の現地打ち合わせはもちろんのこと、他にもたくさんお会いして話しました。「子どもたちがクジラや現場に行くのを楽しみにしてる」とおっしゃって頂けたのはすごく嬉しかったです。
クジラで変わった価値観
矢野:入社前後でデザインとか働くってことについて変わった部分ある?
菅原:一年目はとにかく先輩に教えてもらうばかりで、二年目からクジラが推奨する主体的な働き方になったと思います。
大学で学んだことだけでは全然足らなくて、とにかく現場に行って職人さんに聞きました。
二年目の途中からお客さんの要望やディレクターの指示を鵜呑みにせずに「なぜそうなのか」ってことを考えるようになりました。
矢野:WHYから考えられるようになったってことやね。
西山:その「WHYから考える」ってめちゃめちゃ難しかったです 笑
矢野:りゅうも入社したころ苦しんだ?
西山:2018年に中途採用されて、年下の方が多い会社なのに、全然話についていけなくて恥ずかしかったです。
西山:途中から「恥ずかしいと思ってる場合じゃない」と思って、聞きやすい年下にどんどん聞きました。
菅原:慣れるまで本当に難しいですよね。笑
私の場合は「WHYから考えよう」と意識するようになって、デザイナーとしてのインプット・アウトプット共に増えました。
建築系の本や雑誌もあまり読まなかったのが、読むようになったし、好きなテレビでもドラマに出てくるようなインテリアや内装デザインにより一層興味を持つようになりました(インプット)。
お客様への提案でも、もう一案必ず持っていく(アウトプット)ようになりましたね。
矢野:確かにさえちゃんからは常に複数の選択肢を提案もらってるイメージ。その辺って何かこだわってるの?
菅原:うーん…
動線パターンですかね。
動線パターンへのこだわり
菅原:ゾーニング段階で、頭の中で自分がその空間を使う想像をたくさんするんですよ。
矢野:頭の中で「住んでみる」ってことやね。
菅原:はい。そうすると「この部分、引っ越してしばらく経ったら、ただの物置スペースになっちゃいそう…」みたいな感情が浮かんできたりするので、チームメンバーの意見ももらいながらまた新しい動線パターンを考えて、想像して…の繰り返しですね。
矢野:いつもどのくらいの数を検証するの?
菅原:最低3〜4パターンは検証しますね。2パターンしか浮かばなかったりすると「自分ちょっとサボってるかな?」と不安になるので。
矢野:それって、お客様からすればものすごく頼りになるデザイナーよね!今まで一番多くの動線パターンを検証した案件って覚えてる?
菅原:多分今いるこの案件か、去年担当したマンションリノベーションですね。柱・梁・配管・窓の位置などで“制限が多い案件”になると、必然的に検証の数は増えていきます。多分10パターンは超えていたと思います。
矢野:そういうデザイナー側の検証作業を経て、お客様への提案時には2〜3パターンのプラン図面に絞られてるってことやね。
菅原:そうですね。
クジラのデザイナーとして
矢野:今後の目標とかある?
菅原:デザイナーとしての強みやキャラクターを持ちたいです…
矢野:え?
西山:いや、十分ありますよね。笑
矢野:本当に。笑
すでに「社内指名率No.1」はさえちゃんじゃない?
西山:間違いないです。安心感がダントツですよね。
図面の修正や、LINE、チャットでの情報共有も完璧、基本的にタスク期限を遅延しないのがさえちゃんです。
矢野:安心感、安定感はぶっちぎりでNo.1。
西山:まさに。
矢野:ほしい強みやキャラクターはそういう安心感とか安定感ではなくて?
菅原:はい。
タスクの期限とかってやろうと思えば誰でもできるじゃないですか?
矢野:…
西山:…
矢野:…すみません。
西山:いや、もう本当に…
僕もすみません。
菅原:いや、全然そういう意味じゃないです!笑
菅原:例えば「収納のデザインなら菅原」とか得意分野を示せるような個性ですかね。たくさんアウトプットしつつ、自分らしいものをしっかり見つけていきます。
矢野:なるほど。
デザイナーじゃなくてもみんなにマネしてほしいくらい安定感があるさえちゃんやけど、何かこだわってることとかある?
菅原:うーん…難しいですね。
矢野:そこをなんとか。
西山:お願いします。
菅原:「当たり前のことをちゃんとやる」ですかね…
矢野:…
西山:…
矢野:…すみません。
西山:いや、もう本当に…
僕もすみません。
菅原:いや、全然そういう意味じゃないです!笑
私、忘れっぽいんでとにかくすぐにチャットで報告したり、事務所で対面で打ち合わせしたりしてタスクを忘れないようにしてるんですよ。
スケジュールも抜けちゃうので、スマホのアラームは必須です。笑
矢野:抜けるイメージ無いなぁ。それは忘れた時が怖いから?
菅原:そうです。
矢野:恐怖心が無い人にいい仕事はできないからね。ちょっと臆病くらいが良いよね。
菅原:昔、個人面談で相談した時にも矢野さんに同じこと言ってもらったのをすごく覚えてます。
『そういう自分がネガティブだと思ってるところ(心配性)は、無理して治さなくていいからね、怖さがある方が良い仕事ができる』って。
矢野:よかったわ、クリリンだけじゃなかった 笑
西山:僕もう、クリリン忘れないです。笑
菅原:忘れっぽさと向き合いながらも、もっと積極的にチャレンジしていきたいですね!