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「教育を“たまたま”や“ラッキー”で終わらせてはいけない」 子どもの貧困問題に人生をかける彼女がカタリバを選んだわけ

ーカタリバへの入職のきっかけとなった“原体験”について詳しく教えてください。

早くに父を亡くしてひとり親家庭で育ちました。

生活に余裕はなく、小中学生の頃から「好きなものが買えないな」と思っていましたが、明確に周囲との違いを実感したのは高校生のとき。部活に入っても、費用の面で遠征に行けなかったり、部活に必要な用具を買い続けられなかったり……。結局部活を辞めてアルバイトを始めることにしました。

進路の話題でもみんなは「県外の大学」とか「私立の大学」の学校名を普通に出していましたが、私は入学金や授業料の額にビックリしてしまって……。「自分でお金を貯めなければ自分の未来は切り拓いていけない」と感じました

決定的だったのが、修学旅行へ行かない決断をしたことです。進学資金をアルバイトで貯めつつ、家庭にも入れていたのですが、貯めたお金を修学旅行費に充てることは、自分のなかでは絶対ありえなかった。周囲は当たり前のように行っていたので、悔しかったし、憤りもありました。でも、私は「行かない」という選択をしました。

ーどのようなことを考えながら、高校生活を送っていたのでしょうか?

精神論で片付けてはいけない問題ということは理解しつつも、「いつか見返してやろう」という気持ちを持ち続けていました。就職も考えましたが、やっぱり大学へ行きたかったし海外留学もしたかったので、「今は頑張るしかない」と。

幸いなことに、修学旅行に行かなくても友達と疎遠になることはなかったし、先生たちからのサポートもありました。何より母親が応援してくれていたので、くじけずに前を向いて進めたように思います。

そんな中で転機となったのが、母が新聞で見つけてきた県主宰の無料塾の情報でした。藁にもすがる想いで飛び込み、無事大学へ進学することができました。

ー大学時代、インターンや留学にチャレンジするなど、自分を高めることに時間を費やすことができた原動力は何だったのでしょうか?

高校時代に抱いていた悔しさや憤りが使命感になっていったような気がします。当時、テレビなどでも「子どもの貧困」が話題になっていたタイミングで、自分も当事者だったことに気づくと同時に、「これが自分の人生をかけるべきテーマかもしれない」と感じるようになりました。

ー就職活動はどのようにしたのでしょう?

「子どもの貧困問題に関わりたい」という軸を持ちつつ、教育・福祉などを視野に入れながら就職活動をしました。

当時はNPOが新卒で職員を採用することは少なかったので、就職先に悩んでいたところ、AI教材を活用してコストを下げつつよりよい教育を届けていくことにビジョンを置いている会社と出会いました。ビジョンにも共感できたし、子どもの貧困問題に関わりたい気持ちは強いものの教育の現場を知らなかったので、「“現場観”を養えるかもしれない」と感じて入社を決めました。

ー実際に働いてみていかがでしたか?

想いの強い先生が多いことに驚かされました。AI教材を使うと人件費を削減できるため、授業料を安くして、ひとり親世帯で教育にお金をかけられない子どもを抱えることができるわけです。ひとりで多くの子どもたちを指導する先生の姿に感銘を受け、「私ももっと頑張ろう」と思うこともよくありました。

ーやり甲斐のある仕事だったようですが……なぜカタリバへ?

3年半ほど勤めたところで、自分のキャリアを見つめ直したことがありました。今後の人生を考えたときに「より直接的に貧困問題に直面する子どもたちを支援していきたい」という気持ちが強くなり、元々知っていたカタリバ、それもアダチベースに応募しました。決め打ちというか、カタリバ以外は検討していなかったですね。

ー選考で印象に残っていることはありますか?

私の原体験を棚卸しながら、そのうえで私がアダチベースでできること、やりたいことを深掘りしながら一緒に今後のキャリアを考えていくような選考でした。

職務経歴書をなぞるようなものではなく、「崎山さんが入ったらアダチベースがどんな未来を描けるのかを一緒に考えていきたい」と。緊張しながらも「すごい。こういうことを聞かれるんだ」とワクワクしたのを覚えています。

ーカタリバ入職後の印象を教えてください。

意思決定やPDCAのスピードが速くて、いい意味でギャップがあり驚きました。一方で、自治体と連携するような事業については戦略的に練り上げてブラッシュアップしている。臨機応変に優先順位、対応スピードなどを決められる点が、カタリバの強みの1つかもしれません。

ー現在の仕事内容を教えてください。

「アダチベースCentral」で子どもたちと日々接しています。同時に、拠点責任者として足立区との報告会やスクールソーシャルワーカーさんとの連絡会など、外部のステークホルダーとも関わりながら、子どもたちを見守っています。

—入職から1年も満たないタイミングで拠点責任者になりました。不安はありませんでしたか?

不安だらけです(笑)。慣れないことも多いので、一つひとつ丁寧に対応しているところです。

ただ、入職間もない私に「拠点責任者に興味ある?」と声をかけてくれて、「マネジメントや外部のステークホルダーとの関わりなどを経験することは、崎山さんのキャリアにとってキーポイントになる」と意味づけをしてくれるのは本当にありがたいです。チャレンジを応援してくれる組織だと感じました。

ー仕事でやり甲斐を感じるのはどのようなときですか?

子どもたちの言語化を支援できたときですね。アダチベースに通う子どもたちのなかには「嫌だ」という言葉に「疲れた」という意味がある子がいたり、逆に「楽しい」という意味がある子もいます。

だから、私たちはユースワークを通じて言語化の手伝いやリフレーミングをしているのですが、徐々に「あのとき自分はこういう感情だった」と整理して言えるようになってくることがあって。「言語化」という社会に出て役立つような大きな変化を促せたときはやり甲斐を感じます

ー将来のキャリアビジョンについても教えてください。

将来的には故郷の沖縄に、貧困問題に直面する子どもたちのための居場所をつくりたいと思っています。カタリバでの経験がすべて直結していくはずなので、今後目の前の業務により一層力を注いでいきたい。

私は“たまたま”“幸運なことに”無料塾と出会えて、進学という道を選ぶことができました。でも、このような機会を“たまたま”や“ラッキー”で終わらせたくありません。誰もがチャレンジの機会を得られるような状況をつくっていきたいんです。



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