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世の中の想像を「超える」サービス開発を。ベイン出身の経営戦略 兼 新規事業責任者が描く事業と企業の成長曲線

「社長の言うとおりに動いても意味がない。“社長を超える気概”で取り組まないと、さらなる成長は生まれないと思っています」

力強い口調でこう話すのは、経営戦略 兼 新規事業責任者を務める桐山 卓也です。

大手証券会社、ベイン・アンド・カンパニー、MedTechベンチャーの取締役を経て、カンムに桐山が入社したのは2023年10月。新事業の創出とM&Aに向けて会社をリードしています。

今回は、経営戦略 兼 新規事業責任者として今取り組んでいること、描く未来について桐山に語ってもらいました。

国際機関で挫折を味わい、MBAを取得。「世界基準」でキャリアを磨く

──まず、桐山さんのこれまでの経歴について教えてもらえますか?

桐山:ファーストキャリアは大手証券会社です。M&Aアドバイザリー業務に従事したあと、国際機関出向のため20代でインドネシアへ。ASEAN域内におけるインフラ開発プロジェクトを複数リードしたのですが、実はこのとき、大きな挫折を味わいました。

一言でいうと、多国籍メンバーをうまくまとめることができなかったんです。言葉の壁だけではなく、それぞれの働き方や文化を進んで理解しようとしなかったことも大きな原因だったと思います。「このままの自分では世界に通用しない」と危機感を覚え、任期満了後、アメリカの大学院に留学してMBAを取得しました。

その後、ベイン・アンド・カンパニーへ転職し、コンサルタントとして6年従事。前職の医療系スタートアップでは海外事業本部長を務め、アジア8カ国の事業立ち上げと運営を行いました。

変革を続けるフィンテック業界に注目。もっとも共感できる企業がカンムだった

──国内外で活躍された桐山さんが、新たなステージとしてカンムを選んだのはなぜですか?

桐山:理由は主に2つあります。

1つめは「“いち当事者”として新たなフィンテック事業を生み出したい」と心から思えたからです。業界について調べていくうちにビジネスとしての可能性や面白味がわかり、最終的には決済事業者に絞って転職活動をしていました。

私自身もともと現金に対しては「必要ないし、不便」とネガティブな考えを持っていて、かなり前からカードやQRコード決済のみで生活していたんです。同じように感じている人は少なくないでしょうし、不必要なもの・プロセスはやがて自然に淘汰されていく。ということは、現金に代わる新たなサービスは今後さらに増える余地があることは明白です。

2つめは、代表の八巻と私の目指す方向性が合致していたからです。

新ミッションとして「新しいお金の選択肢をつくる」と掲げているように、私自身も“新しい仕掛けをどんどんつくって、会社として意義のあるプレゼンスを世の中に確立したい”と考えています。

また、八巻と話してみると「広い世界を見ている」と率直に感じましたし、彼の志向や考え方には共鳴できる点がいくつもありました。何度か面談を繰り返すうちに自然と一緒に働きたいと思うようになっていきましたね。

──これまでの転職活動でも同じような経験をしたことはありましたか?

桐山:前職のMedTechベンチャーがそうでした。長期的に見て根本的に世の中の仕組みを変えるプロダクトをつくれる。そう思ってジョインしたんです。アジア諸国で製販オペレーションを確立し、第1段階の役目を終えたことでカンムに籍を移すことを決めたものの、このとき「事業への共感はやりがいに直結する」と実感しました。

「バンドルカード」や「Pool」などカンムの既存サービスは間違いなく暮らしに役立っていますし、これから私たちが作り出す新規事業もそうありたいと思っています。

社会の根幹にかかわる課題への“解”を出す

──経営戦略 兼 新規事業責任者としてスタートを切って、3カ月が経ちました。具体的にはどんなことに取り組んでいますか。

桐山:「カンムならではの強みや資産は何か」、「2030年の金融業界はどんな構造になっているのか」など、現状把握と少し先の未来を予測しながら、新たな事業をひたすら模索している段階です。

カンムはこれまでの「バンドルカード」と「Pool」の運営を通じてさまざまな強みを獲得してきました。例えば、若年層を中心とする1000万ダウンロードという顧客基盤、多くの顧客に愛されるUI/UXの優れたソフトウェア開発力、オルタナティブデータ(※)を含むビッグデータを活用した、金融機関が取引判断に活用する水準の独自スコアリングモデル・改善力などです。また、MUFGという力強い株主のバックアップを得ることもできました。

これらの資産を活かしつつ、新たな価値を提供できるサービスは何なのか。5年後、10年後の未来予測から逆算しつつ、多角的な視点から検証を続けています。

新規事業開発として掲げるミッションは、「2~3年後に、会社の利益の大きな割合を担える事業をつくること」。株主や経営陣、社員といったステークホルダーに認められるような事業の垂直立ち上げを目指します。

(※)投資判断の際に用いる、伝統的に用いられてきた金融関連情報以外のデータ

──可能であれば、新規事業の方向性について教えてください。

桐山:今開示できる情報が少なく、概要のみになりますが。既存領域であるB2Cについては、更に使い勝手の良い決済とそれに付随するサービスの提供を考えています。

あわせて、B2B領域への進出も検討しています。B2B決済サービス市場を見るとその規模は消費者向けの4倍近くあるにもかかわらず、消費者向けサービスや欧米で展開されているサービスと比べて数年単位で遅れている状況です。

業務で支払いに携わる方であれば請求書に基づく手形発行や銀行振込というやり方が不便だなと感じたことがあるのではないでしょうか。決済だけが理由ではありませんが、日本企業は欧米対比でキャッシュ・コンバージョン・サイクル(※)が倍程度あり、それの改善により数十兆円単位のキャッシュがリリースされるというレポートもあります。このような社会の根幹にかかわる課題への解を出していきたいと思っています。 

(※)企業が原材料や商品仕入などでキャッシュアウトしてから最終的に売上がキャッシュインするまでの日数。短いほど資金効率が良い。

選択肢を絞り、意思決定を速くすることがスタートアップには不可欠

──ミッションの実現に向けて、桐山さんのどのような経験・スキルが活かされると思いますか?

桐山:コンサルタント時代に培った「意思決定のスピードを速める力」でしょうか。

例えば訪問先で「今、何が飲みたいですか?」とオープンクエスチョンで聞かれたら、「コーヒーにしようかな……でもミネラルウォーターでもいいな」などと迷いますよね。でも選択肢やおすすめの商品が事前にわかれば、すぐに答えやすくなります。

たとえば「オレンジジュースとミネラルウォーターがあります」「私はミネラルウォーターをお勧めします」「なぜなら、珍しいスペイン産のもので、カロリーゼロでヘルシーだからです」といった感じですね。この例だと簡単そうに聞こえますが、ビジネスにおいて相手の意思決定を促すのって結構難しいんです。

物事を進めるということは結局「やることを決めて実行に移す」というプロセスの繰り返しです。カンムのようなスタートアップは、意思決定のスピードを速め、機会損失を防ぐことが重要だと捉えています。

奇抜なアイデア、大歓迎。多様なメンバーとともに、新しい価値を生み出していきたい

──カンムのメンバーやカルチャーについては、どんな印象を受けましたか?

桐山:合理的で論理的、かつ「聞き上手」な人が多いと思いました。みんな私のことに関心を持ち、質問しながらいろいろ引き出してくれる。すごくやりやすいし、リスペクトしてくれてありがたいです。

一方でせっかくさまざまなバックグラウンドや個性を持った人が集まっていますから、一人ひとりが自らの考えをもっとアウトプットできると思っています。コンサル時代は「自分の価値を出す=意見を言うこと」と教えられてきましたが、実際、意見やアイデアをそれぞれが持ち寄ると、ひとりの能力を超えた集合知が生まれるんですよね。

私自身は、「八巻一人ではできないことをやる」気概で業務に取り組んでいます。そうしないと、会社として、社長のキャパを超えられるような成長が実現しづらくなるからです。だからメンバーにも私の話を聞くだけでなく、どんどん意見をぶつけてもらいたい。そして事業、組織、リーダー層の成長を促してほしいと考えています。

奇抜なアイデアも大歓迎です(笑)。違和感のある発言のほうがリアクションも大きく、多くの人の意見が引き出しやすいですから。


──最後に。今後どんな人に仲間になってもらいたいですか?

桐山:「根性がある人」、そして「私と違うバックグラウンドを歩んできた人」ですね。

新規事業をつくるという部署柄、失敗はつきもの。経営陣からはさんざんダメ出しを受けるでしょうし、お客様には相手にされない場面も多々あるでしょう。逆境にめげず、目標に向かってやり遂げられる、根性のある人が向いていると思います。

次にバックグラウンドについてですが。始動して間もない部署なので、しばらくは少人数で業務に取り組むことになると思います。このようなフェーズで、自分と同じような人が複数人いるよりも、多様な経験、スキルを持ったメンバーでチームをなしたほうがいい。私自身、フィンテック業界も、まっさらな状態から事業をつくるのも初めて。お互いを補完し合える関係性が理想です。

加えて繰り返しになりますが、さまざまな個性がぶつかり合うことが、新しいものを生み出す源泉にもなりますので。

──桐山さん、本日はありがとうございました!


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