なにをやっているのか
史上初!?の食べ物つき情報誌「東北食べる通信」
産地からとどく食材と情報誌をセットでたのしみます
・食べ物つき情報誌「食べる通信」の発行
食べる通信とは?
「食べる通信」は、食のつくり手を特集した情報誌と、彼らが収穫した食べものがセットで定期的に届く“食べもの付き情報誌”です。さらに特集されたつくり手と直接つながる様々なしかけも。つくり手のライフストーリーと共に、食べものをいただく。ごちそうさまを伝える。そんな新たな食体験をお楽しみいただくサービスです。
食べる通信の特徴は、通販など、食材にそえてパンフレットがついてくることがありますが、これを逆転。生産の裏側のドラマをつたえる「情報誌」がメインの食べ物つき情報誌であることです。自然にはたらきかけ、命の糧をえる農家、漁師の生き様を深く知りながら彼らが育てた食べ物を味わう体験が大きな共感をよんでいます。また読者限定SNSなど顔と顔が見える関係で読者同士・読者と生産者が交流する「コミュニティサービス」であることも特徴となっています。
・食べる通信の全国展開
2013年7月に創刊した「東北食べる通信」このコンセプトは大きな反響をよび、全国から創刊希望の声が続出。2014年より創刊支援団体として「日本食べる通信リーグ」を設立。いまや26地域から創刊、全国での読者は6000人に達しました。「日本食べる通信リーグ」は、新規開拓、創刊チームのサポート、プラットフォームの構築など全国へ「食べる通信」を広げる取組をおこなっています。
・「CSA(Community Supported Agriculture)」
規格にそった作物を、大量生産することを求められてきた農村漁村。ですが農産物も水産物も年々買取価格が下落し極端な高齢化・担い手不足にも出口はみえません。生産者と消費者が直接つながり、価値をみとめた食べ物を直接流通する仕組みを構築することで、こだわりの生産を続ける生産者が生き残る道を切り拓く。2016年は新規事業として新しいweb販売プラットフォームを構築します。
なぜやるのか
生産現場での取材は、つねに真剣勝負
いのち育む「食」の現場と食べる人をつなぎます
食べる通信創刊の思い
消費とは、費やして消す、と書きます。
私たちの暮らしは、他人がつくったものを貨幣と交換して手に入れることで成り立っています。効率もよく、楽ですが、そこには、自分たちの暮らしを、自らの知恵、創意工夫でつくりあげる喜び、感動がありません。私たちの暮らしは、私たちの手の届かないところに遠のいてしまいました。
暮らしには、衣食住が欠かせません。そして、一人の力で解決できない大きな課題はみんなで力を合わせて解決し、暮らしやすい地域をつくっていかなければなりません。
私たちはこれまで、衣食住、地域づくりを他人の手にゆだね、観客席の上から高見の見物をしてきたと言えます。誰かがつくってくれるだろう、誰かがやってくれるだろう、と。暮らしをつくる主人公(当事者)ではなく、お客様(他人事)でした。当事者を失った社会から活力などうまれようがありません。
わたしたちは考えました。
世なおしは、食なおし。
自分の暮らしを取り巻く環境に主体的に”参画”する。まずは、基本の“食”から。自分の命を支える食をつくる“ふるさと”を、一人ひとりがみつけてほしい。できるなら、その食をつくる人や海や土と、関わってほしい。自分たちの暮らしを手の届くところに取り戻すことで、自ら暮らしをつくりあげる喜びを思い出し、自然災害や経済的リスク、生活習慣病などを抱える脆弱な社会に備える。
わたしたちは、そんな思いをもって、
食べる通信を立ち上げました
日本には古くから、人も、海も、土も、支えあって生きる社会がありました。ほころんでいたとはいえ、まだ残っていたその支え合いの精神が、震災直後の被災地で生きる人々の命綱となりました。日本食べる通信リーグはここから出発し、もう一度、人も、海も、土も、支えあって生きる社会を力強くめざします。
そのためにわたしたちが果たすべき使命は、食に”参画”する回路を開くことです。海や土からつくられる食が食卓へ届くまでのプロセスを共有し、生産者の思いや哲学に触れ、様々なかたちで”参画”していく。そのかたちには、知る、購入する、体験する、学ぶ、交流する、コミュニケーションをはかるなどがあります。
食に関わるおもしろさ、社会にコミットするおもしろさを実感できる独自のサービスを開発、提供します。食をつくるプロセスの一部に自ら”参画”した食材が、数ヶ月後に食卓に届くことで、断絶していた「つくる」と「たべる」をつなぎます。これまでの消費社会には、このつながりが欠落していました。そこにあるのは、単なる食とお金のやりとりだけ。
生活とは、活かして生きる、と書きます。
このつながりを回復することで、「消費者」を「生活者」に変えたい。そのためには、単に生産者がつくった食べ物だけでなく、人間の力が及ばない自然に働きかけて命の糧をうみだす生産者の生きざまそのものに価値を見出だしていく必要があります。その価値を伝える情報を生活者に届け、その価値を共有する「生産者=郷人(さとびと)」と「生活者=都人(まちびと)」で新しいふるさとを創造するプラットフォームをつくります。
断たれていた郷人と都人のつながりが回復されたとき、都市と地方はしなやかに結び合っていきます。そうして、両者が一緒になって新しいコミュニティとしての「命を支えるふるさと」、「心の拠り所となるふるさと」を創造する喜びと感動を分かち合っていく。
都市の背後に立派な地方(農山漁村)がなければ、やがて共倒れします。今、郷人も、都人も、消費社会に飲み込まれ、疲弊しています。元気を取り戻すには、「つくる」で両者がつながることです。郷人にはつくる力がなくなり、都人にはつくる喜びがない。わたしたちは、食を通じて両者を混ぜ合わせ、一人ひとりの暮らしにつくる力と感動を回復していきたい。
これまで相容れないとされてきた「競争を避ける内に閉じた『地方の共同体を重視する社会』」と「競争を促進する外に開いた『都市の個人を重視する社会』」が、食を介して混ざり合った先に、活力に満ちた新たなコミュニティ、新たなふるさとを創出し、心躍るフロンティアを開墾していきます。
どうやっているのか
リーグ設立から約2年で、全国30地域へ展開!
情報誌のデザイン、そして情報とコミュニケーションで生産者をむすびつけコミュニティを生む、というコンセプトが評価され、2014年グッドデザイン賞金賞受賞
「食べる通信」は、地方の生産者と都市の消費者を情報とコミュニケーションでつなぎ、生産者とユーザーである生活者が価値を交換するためのコミュニティサービスです。この、都市(消費者)と地方(生産者)を結びつけるコミュニティこそが、地方につくる力を,都市に生きる喜びを取り戻すものとなるとビジョンをかかげ、都市と地方をかきまぜることで双方に活力をもたらします。
「日本食べる通信リーグ」は、全国展開にあたり、各地域の独自性を自由に活かせる「リーグ制」を採用しています。本部組織が意思決定を行う通常のフランチャイズ方式と異なり、各地で食べる通信を展開する加盟団体の代表者で構成される「リーグ運営会議」が全体的な規定や運用方針を決定するもので、新規参画の可否もリーグ運営会議にて審議を行います。各地域がそれぞれのコンセプトで「食べる通信」を発行し、地域や生産者・食材の魅力を発信し、競いあう中で「食べる通信」の全体的な底上げをおこなっています。
このリーグ制のもと、「日本食べる通信リーグ」にはビジョンに共鳴するさらに多様な団体が参画しています。非営利団体や地域に根ざした企業や個人だけでなく、全国ネットテレビ局子会社の社内ベンチャー(築地食べる通信)、漁業組合の新事業(綾里漁協食べる通信)、地方自治体副町長による創刊(長島大陸食べる通信)と、官民をこえ参画が拡大しています。
取材と食べる通信展開で東北と全国をとびまわる、代表高橋の行動力と発信力が団体の原動力。それに共鳴する生産者や食べる通信創刊希望者と日々熱い(熱苦しい)議論が展開される一方、会員サービス運営のため事務局はあくまでクールにマネジメントに徹しており、2つの世界が共存しています。事業規模はまだまだ小さな団体ですが、ビジョンに共鳴する日本中の企業・団体・プロフェッショナルが集い協働していることが私達の強みです。
壮大なビジョンと、こまやかなサービス運営。毎日が課題と工夫の連続です。ときに生産現場を訪れリフレッシュ。
漁船の上から都心の会議室、さらにはアメリカでの事業展開まで、広いフィールドで「走りながら考える」をつづける組織です。