この記事は「これからの日本をつくる100の“働く”をみつけよう『Work Story Award 2021』の受賞ストーリー、一次審査通過ストーリー」の当社掲載記事を転載いたしました。
株式会社ジュニは、アソビゴコロのあるアイデアで世界をハッピーに変えていくという理念のもと、デジタルなものづくりを行う会社です。そんなジュニは社員一人ひとりが働くことを楽しめるように、社内改革を行ってきました。神主とエンジニアという異色の二刀流を実現した橋本 勝と広報の関田 桃江がジュニの取り組みを語ります。
会社が急成長した一方で失われかけたアソビゴコロ
▲アソビゴコロを大事に。普段から職種関わらずコミュニケーション
アソビゴコロあるデジタルクリエイティブを提供するジュニ。
その強みは、プランナー、デザイナー、エンジニアなど職種にかかわらず、企画のアイデアを出すこと。また、プライベート時間にクリエイティブな活動を行い、そこで得た知識やスキルを会社の仕事に還元するという独自の企業文化があります。
しかし、2019年から2021年にかけて会社の急成長により、一人あたりの業務負荷が増え、社員に負担がかかっていることが課題となっていました。
関田 「当時、ある社員から『業務負荷が大きくなって、プライベートのクリエイティブな活動に充てる時間が無い』と相談を受けました。入社前から、プライベートでも積極的にクリエイターとして創作活動を行っている社員だったので、会社としてもこれはまずいなと、直面した課題に向き合うことになりました。
会社が大事にしている『アソビゴコロ』を損なわれ、なによりも仕事のモチベーション低下につながることも懸念されました。そこで、社員が本気で取り組みたいプライべート活動と仕事を両立できる働き方について模索することになりました」
2019年から見ると社員数は2倍になり、会社立ち上げ当初の働き方や案件の進め方では社員のフォローが足りなくなっている状態。会社の成長に合わせた、新たな人事制度を含む、根本的な対応が必要になりました。
関田 「そこでこの取り組みの目標を、“社員一人ひとりが持つキャラクターを、仕事でもプライベートでも最大限に活かし、楽しく働ける制度と社風” と設定し、向き合うこととなりました」
個性を活かす働き方〜就業規則・企業文化・仕事の作り方にメスを入れる〜
▲隔週実施している、業務の棚卸しミーティングの様子
ジュニとして理想の状態を実現するための土台作りとして、3つのことに着手しました。
1つ目は、就業規則と人事制度の策定です。出来上がった制度はフレックスタイム制など、IT企業として一般的なものでしたが、社員数も増え、事業拡大に合わせてブラッシュアップできるベースとなる人事制度ができました。
2つ目は、企業文化の醸成です。これまでもコミュニケーションは活発でしたが、より社員のキャラクターをお互いに理解して、能力を活かすために、風通しの良い企業文化を目指しました。その一環として隔週1回実施する、直属の上司と若手社員たちの業務棚卸しミーティングや、月1回若手・新入社員と外部コンサルと直属の上司との3名の自由なコミュニケーション機会を設けました。
3つ目は、ジュニらしい仕事の作り方とアサインの方法です。社員一人ひとりのキャラクターをよく知った上で、本人がやりたいこと、強みを踏まえた企画を立案します。さらに新しい開発技術を活用したいのであれば、実際に動くところまで開発して、それを顧客の目の前で見せて提案することで受注へとつなげていくという形です。
関田 「過去にはWebGLという技術を活かして、Webアワード受賞するなどの事例がありました。日々のコミュニケーションや面談などで個々の社員のやりたいことや強みを事前に把握できるようになったことで、仕事に合わせて適した社員をアサインするだけでなく社員の興味関心、得意に合わせて仕事を獲得することができるようになりました」
この方法は、会社には、提案に独自性が生まれるというメリットがあり、社員には、自分のクリエイティブを直接業務に活かす機会が生まれるというメリットがあります。その結果、社員がやりたいことを会社で実現し、実際の仕事獲得にもつながるという好循環を生み出すことに成功したのです。
これらの取り組みによって、一人ひとりのキャラクターを活かせる職場環境の土台づくりが完成しました。働くことを楽しめるキャリア形成の土台が整い、社員が本気で取り組みたいプライベートの活動と仕事が両立できる理想の働き方を検討できる状態になりました。
関田 「試行錯誤の結果、定型の制度で『一律副業OKだから自由にしてください』というものではなく、社員のキャラクター性と実現したいことを上司や会社がコミュニケーションを通じて理解し、本人のプライベート活動が実現できる働き方を柔軟に作るカスタムオーダー方式のキャリアが形成できるようにしました」
カスタムオーダー方式のキャリア形成とは、社員が仕事として取り組みたいこと、プライベートで取り組みたいこと、叶えたい夢、チャレンジしたいこと、家庭とのバランスなど、カスタムオーダーのように一人ひとりの状況に合わせて完全にオリジナルで制度や設備を整えたり、働き方やキャリアを提供することを表現しています。
フルリモートワークで実現する「神主×エンジニア」の二刀流の働き方
▲カスタムオーダー式キャリアでフルリモート勤務をするエンジニアの橋本
カスタムオーダー方式のキャリア形成で、仕事もプライベートも本気で取り組む一人、ベテランエンジニアの橋本の事例を紹介します。
橋本 「私は、『平安時代から続く家業の神社の神主として地域貢献をすること』『エンジニアの仕事』の2つの実現を望んでいました。しかし、転職時期がコロナ禍前だったので、その当時のジュニではフルリモート勤務の前例がありませんでした。自分がやりたいプライベート活動(神主・地域貢献)をしようと思うと、入社を断らなければいけないと思っていました」
橋本の想いを受けて、社長や役員が社内のリモートワーク環境を整備。前例のないフルリモートの勤務を実現するために、社内第1号の橋本は試行錯誤しました。
橋本 「フルリモートで仕事をしていると、コミュニケーションがほとんどなくても仕事が完結できることも多いのですが、それでは寂しいですよね(笑)。
フルリモートだからこそ、東京には無い宮崎の日常や季節感のある環境を発信したり、日々のトピックを伝えて存在感を出すようにしていました。そして、すぐに相談してもらえるように話しかけやすい雰囲気づくりを心がけています」
さらに、橋本は神主業とエンジニア業を両立し、本社勤務と変わらない成果を出すために新たな提案を行います。
橋本 「神主の仕事と地域貢献、エンジニアとしての仕事のどれも妥協しないためには、地元宮崎にシステム開発の外部パートナーが必要でした。
神主の仕事と地域貢献は、日中に行事や消防団の活動などがあり、東京にいたときの仕事量をそのまま両立するためには時間が足りませんでした。限られた時間の中でエンジニアとしても結果を出すために地元の開発チーム『チーム宮崎』の結成を会社に提案したところ、快諾してくれました」
システム開発の外部パートナー「チーム宮崎」が実現したことによって、橋本の「神主の仕事と地域貢献」「エンジニアの仕事」の2つが両立しただけでなく、会社としても増え続ける案件に対応が可能となりました。
2022年現在は、コロナ禍により週3回のリモートワークを会社としても推奨。橋本の事例を皮切りに、フルリモートでも活躍する社員が増えていきました。
社員の生き方を尊重して、楽しく働ける職場を目指す。それがジュニの強さ
▲カスタムオーダー式キャリアで一人ひとりが楽しく働き、成長するメンバーたち
社員がキャラクターを活かし、仕事もプライベートも充実するためのサポートは、フルリモート勤務、時短勤務など時間の配慮だけではありません。社員のキャラクターや、新しい挑戦、実現したいことを尊重し、個人に与えられる裁量を大きくし、きめ細かい対応をすることで、仕事とプライベート活動の両立が実現しています。
今回の取り組みの成果を確認するために、社員にアンケートを取得した結果、「働きやすい」「風通しが良い」「成長や興味のある仕事内容である」という回答を、ほぼ全社員から得ることができました。
関田 「カスタムオーダー式のキャリアへのサポートは当該社員の所属するチームリーダーなどのきめ細かい対応が必要になりますが、アンケート結果を見て、社員一人ひとりのキャラクターが活きる環境が整えられ、挑戦や成長の場を提供できている実感が持てました」
プライベートの活動を会社としてサポートすることで、橋本だけでなく「デザイナーと作家」「3DCG クリエーターとエンジニア」など、二刀流のキャリアを実現している社員も増えました。
今後も、仕事とプライベート活動の両立の方法を、カスタムオーダー式でデザインし、社員一人ひとりが持つキャラクターを、仕事でもプライベートでも最大限に活かし、楽しく働ける会社づくりをジュニは続けていきます。