『結婚指輪物語VR』 好評配信中! | SQUARE ENIX
新技術『VR』でマンガ『結婚指輪物語』の世界に入り込み、世界観とストーリーを体験する最新のエンターテインメント!
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スクレポ
こんにちは、スクウェア・エニックス 人事部 採用担当 平山です。
新宿のイルミネーションが輝きはじめてきました。あっという間にクリスマスの時期ですね。みなさま2018年はどんな年でしたでしょうか。
さて、今回は、テクニカルアーティストとして働く社員の声をお届けします。
個人の研究をSNSにあげていたことがきっかけで入社に至っており、インタビューからも勉強熱心な姿がうかがえました。ぜひお読みください!
テクノロジー推進部 林雅人
前職はアニメ制作会社で3DCGアニメーターをやっていました。
2Dのアニメーターさんが描いた手描きの絵と並べても違和感が出ないような、セルアニメらしさを持った3DCG表現を追求する現場でした。職場でアニメ調の3DCG表現を身につけていく傍ら、プライベートな時間はVFXやスタイライズドなシェーディング、画像処理等について研究をしていました。
たまたま、SNSにアップした作品が、スクウェア・エニックスのVRプロジェクトのリーダーの目に留まり、声を掛けていただきました。
元々スクウェア・エニックスは憧れの会社であり、私が3DCGに関わる職業に就きたいと思った一番のきっかけは、ファイナルファンタジーシリーズでした。学生の頃はゲームのムービーを録画して何度も見返し、書籍等に掲載されたビジュアルを繰り返し見るほど大好きでした。
お声がけいただいた当時は、ちょうどリアルタイムCGやVR・AR等の先端的な表現も扱えるようにならなければと、個人的にリサーチを始めていたところでしたし、憧れの職場で、今興味のある分野に取り組めるという、またとないチャンスを頂き、業界をまたいでの転職を決意しました。
入社当初はVFXアーティストとして、『結婚指輪物語VR』の3Dエフェクトを作成していました。
マンガをVR化するプロジェクトですので、マンガ風かつ立体的なエフェクトが求められます。
私はプリレンダーでの実務経験しかありませんでしたので、まずはゲームエンジンの使い方と特性を学習し、アニメーター時代に培った手描き風エフェクトのノウハウをリアルタイムに落とし込む方法模索するところから始めました。
リアルタイムCGの描画の仕組みに慣れるに従って、VFXに限らずスタイライズドなCG表現やVRに必要な技術を開発するようになっていきました。
VRの魅力は、ユーザーが自由に動き回り従来とは違った体験を出来るところにあります。しかし同時に従来の2D画面向けの演出や技術がそのままでは使えなくなってしまうという側面もあります。
『結婚指輪物語VR』では3D空間を自由に鑑賞できるシーンがある一方、構図を重視したい箇所では、立体感がありながらも視点によって見え方が変化しすぎない仕組みを作り、それを用いた演出を一部に組み込みました。
強い光によってフレアが生じるシーンでもVRならではの工夫を入れました。通常のやり方でフレアを描画すると、VR上では平面的に見えてしまう事が分かっていた為、ユーザーの頭の座標を取得する処理とシェーダーによる形状変化を組み合わせて立体的なフレアを作りました。光学的な正しさを追求するのとは違ったアプローチで、強い光が出ているという印象を表現出来たのではないかと思います。
また、VRは高いフレームレートを維持しなければいけないので、処理負荷を下げる為にシェーダーによるアニメーションを多く取り入れています。風で木の葉や服が揺れる様子、VFXの細かな動き等はシェーダーでバーテックスの座標を操作することで実現しています。キャラクタから落ちる影も、光源の変化によって動きや表現を変えるようシェーダー内で独自に組み上げました。
今年の下半期からはARにも取り組み始めました。
自身でC#、HLSL等も書けるようになり、部署内外のプロジェクトで必要なシェーダーの作成やルックの開発、AR向けの演出の研究等を行っています。
具体的には、反射、屈折、アンビエントオクルージョンのような処理をどう実現するか、現実の光源の影響をARオブジェクトがどのように受け取るべきか、逆にARオブジェクトが現実の環境に影響を与えたように見せるにはどうしたら良いか、ユーザーの視線に対するインタラクション等々です。
直近では『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』の3周年記念ファン感謝祭の『AR撮影の間』で使われるアプリをテクノロジー推進部で開発し、研究成果の一部を取り入れました。今後も様々なARプロダクトの開発に関わっていきたいと考えています。
VRプロジェクトでは、個人的に作っていた表現をプロジェクトで使える技術にしてミーティングで発表するたびに、チームメンバーからポジティブなリアクションをもらえたのがとても嬉しかったです。 提案した技術は最終的にほとんど製品に組み込むことが出来ました。 将来的に役に立つだろうと思って研究していたものが、本当に役に立ったことは、自信に繋がりました。
テクノロジー推進部という技術開発部門に所属している事もあり、じっくり時間を取って研究が突き詰められるのがとてもありがたいです。
もちろん一定の期間で成果は出さなければいけませんが、目の前の課題をクリアする為に手持ちの技術で対処するだけでなく、他の方法をリサーチしたり新しいアプローチを検討する等、最も良い手段を選んで進んでいけます。周囲には論文を発表している方々、GDC、SIGGRAPH等に登壇するような方々が多く居て、常に刺激を受けています。自分の手に余る技術的課題に関しては助言を頂けたりもします。
こうした環境に身を置くことで、出来る事が急速に広がっていくのを実感しています。
オフィスの環境も非常に快適です。広くて集中しやすいデスク、栄養のバランスの考えられた社員食堂、低料金で使用できるマッサージルームまであります。
また裁量労働制なので仕事と家事・育児が両立しやすい時間帯で働けるのも非常に助かっています。
今までの仕事とは気を遣う個所が大きく異なる点です。
入社してすぐの頃、リアルタイムレンダリングの特性や最適化方法について十分に理解しておらず、無駄に重い処理を入れてしまう事もあり、チームのエンジニアさんに教えて頂き、手直しする事もありました。リアルタイムは奥が深く、勉強すべきことは膨大にあると痛感しました。
映像業界であれば結果として必要な映像が得られていれば良いので、選べる画作りの手段は非常に幅広いのですが、リアルタイムCGではそうはいきません。処理負荷は適切か、レンダリングパイプライン上で他の処理と競合しないか、やむを得ず仕様が変更された際に対応出来る余地は残してあるか、考える事が非常に多くあります。無数の条件をかいくぐって、自分の欲しい表現に到達するにはどうしたら良いか、いつも頭を悩ませています。
まだこの業界に移って2年弱なのでどこまで出来るかは分かりませんが、新しいCG表現を生み出せるようになりたいです。
今はまだ規模の小さめなプロダクトに組み込む実験的な表現として、風変わりなシェーダーやポスト処理等を制作できるようになった段階ですが、アーティスティックな表現と汎用性の高い技術を両立し、一目見て「他とは違う」と強く感じられるようなプロダクトを可能にする技術を作れるようになっていきたいです。
常に新しい技術に興味を持ち、その技術で何が出来るか考えられる方と是非一緒に働きたいです。業界を取り巻く状況が刻一刻と変化している中で、新しい技術を使って何が可能であるか示せる、即座にユニークな物が作れて提案出来る人はとても心強いです。
私自身もそうなれたらいいなと思っています(笑)
ハードやソフトが進化しプラットフォームが多様化することで、ゲーム業界で求められるスキルの幅も広がってきています。もしかすると従来とは違った切り口で活躍するチャンスもあるかもしれません。
弊社では常時様々な求人を募集していますし、職種を絞らないキャリア登録制度もあります。
ゲームやCGが大好きで常に研究している方、実現したい技術や表現がある方、業界は違えども活かせそうなスキルをお持ちの方は、ぜひご応募いただければと思います!