2022年も残りあと3ヶ月ちょっと。2023年もいいスタートを切れるよう、やり残しのないようにしたいものですね(自戒の意味を込めて…)。
今年はお仕事にフォーカスした記事をたくさん発信してきましたが、ここにきて事業部ごとの特色や、今後の戦略についてあまりお伝えできていないかも…と気づき、各事業部長に話を聞いてみることにしました。
第1回目に登場していただくのは、社長室長の石川さんです。
会社から見える世界を変える
伊藤:
少し大げさな言い方なのですが、まずは事業部のミッションをお聞かせいただけますか?
石川さん(以下、石川):
会社として「応援し合う地球へ 〜chain of Yell〜」というビジョンを掲げていますよね。つまり、地球を変えようということ。ここから少し粒度を下げて「会社から見える世界を変える」ことが社長室のミッションになります。
伊藤:
世界を変える…すごいですね!
石川:
わかりやすくいうと、会社の未来が変わるような大きな契約を取るというイメージですね。
既存の事業部での営業は、「いえーる ダンドリ」をはじめとした既存サービスを効率よく、たくさん販売するのがミッションです。一方で社長室は、主にハウスメーカーやマンションデベロッパーといった大手住宅事業者さまとの事業提携や新規事業開発、M&Aなど1件数千万〜1億円規模のプロジェクトを手掛けています。これをきっかけにシステム開発の受注をいただいて、さらに既存サービスがレベルアップしていくという感じで、会社全体に与えるインパクトが大きいのが特徴です。
伊藤:
新規事業開発ともなると、金額だけじゃなく、世間へのアピールも大きくなりそうですね。でも、大きな仕事ほどむずかしいですよね?
石川:
そうですね。初回の商談からクロージングまで3ヶ月から半年かかるのはざらなので、だからこそ既存の事業部だと難しいんですよね。
伊藤:
半年!なぜそんなに時間がかかるんですか?
石川:
提案先が大手企業なので、意思決定までに関わるプロセスと人が多いのが大きな理由です。最初に話をした部門では好感触でも別部門ではネガティブな反応だったり、現場の人と話をする必要が出てきたり。こうなってくると口頭の説明だけでは上手く伝わらないので、稟議や決裁が取りやすくなるような情報や資料を提供することも多いんです。いろいろな役割、立場の人を口説くには、やはりそれなりの準備が必要ですから。
どんな課題やニーズにも答えを出す
伊藤:
社長室で対応するお客さまには、どんな課題やニーズが多いのですか?
石川:
顕在化しているケースだと、ややこしくて負担の大きい住宅ローン業務を営業担当者にやらせるのはもったいないので効率化したいという課題が多いですね。既存の事業部であれば「いえーる ダンドリ」の導入がメインになりますが、社長室では企業ごとに独自の機能を追加することもあります。
また、大手企業だと住宅ローンの専門部隊がいても効率が良くないというケースもありますね。Excelで管理をしているのでデータの共有がしづらかったり、電話でのやりとりで「言った、言わない」というトラブルが発生していたり。こういった場合は、業務効率化に向けたツールやシステム開発を提案します。月数千件の住宅ローン業務の実績により培ったノウハウがあるiYellだからこそ、こういう提案ができるわけですね。
伊藤:
なるほど!住宅ローン業務の効率化ならどこにも負けないノウハウがありますよ、と。
石川:
そのとおりです。もっとDX寄りの課題で、LTV(*)を高めたいというものもあります。たとえばマンションディベロッパーは、新築マンションをお客様に買っていただくところから顧客との関係が始まります。そこからリフォームや買い替えといったニーズが生まれるたびに、自社グループのリフォーム会社や不動産仲介会社でも継続的に収益を出すことができるんです。もし、これらのグループ会社同士で顧客の情報を適切に共有できていれば、顧客に対して的確なタイミングと内容で訴求することができ、LTVを向上させられるかもしれません。
しかし、このグループ会社同士での情報共有をやりたくてもできない会社が想像以上に多いんですよね。というのも、不動産取引では、法務局や役所等から取得する不動産に関する資料を紙やPDFでやりとりすることが多く、データとして活用できない状態なんです。もし顧客の様々な情報がデータとして管理されていれば、それを分析して”このグループに分類される顧客は今後〇年以内に住み替える可能性が高い”といったように、”住み替えの提案をピンポイントで送る、といったこともできるのに、もったいないですよね。
こんなふうに、そもそもの顧客情報をデータ化したり、グループ間で共有できれば、LTVを向上させるためのマーケティング活動ができるというわけです。iYellの立場で言うと、データ化などのシステム開発の提案ができる、と。
*LTV(顧客生涯価値):
1人または1社の顧客が自社との取引開始から終了までの期間に、どれだけ利益をもたらしてくれるのかを表す指標のこと
伊藤:
どんなことでも提案につなげられるんですね。
石川:
社長室は商材が限定されていないので、それこそ可能性は無限にあります。ただ、不動産業界のビジネスモデルや収益モデルの理解は必要ですね。基礎的な知識がないと、「こうすれば売上が上がる」といった提案はできないですから。そこでいうと、変化を楽しめる人が向いてますね。課題解決の方法に正解がない、かつ、なんでも提案できるという状態なので、自分で考えて、動ける人がいいと思います。
情報と企画力が命! 社長室所属・コンサルティング営業の戦い方
伊藤:
こういう人が向いてる、という話がありましたが、社長室での営業にはどんなスキルや能力が必要なんでしょうか?
石川:
大きく3つあります。1つ目は、不動産業界や住宅販売、住宅ローンの知識はもちろん、提案先の会社の組織構成や意思決定のフロー、意思決定者のミッションなど、ありとあらゆる情報、いわば引き出しを持っておくこと。引き出しが多いほど、さまざまな角度から企画や提案ができます。業界紙などでトレンドをチェックしておくのも大事ですね。
2つ目は、自分たちの戦力を把握しておくこと。実際にサービスを提供する他部門のリソースや実現できることを把握せずに、軽率に「できる」と言ってしまえば、お客さまにも社内の仲間にも迷惑をかけてしまいます。この点でiYellはチームワークの意識が強くて情報共有がしやすいので、とてもいい環境だなと思います。
最後は、武器を増やすこと。さきほど「決裁が取りやすくなるような資料を作る場合もある」とお伝えしましたが、すべてゼロから作るわけではありません。型を作っておいて、一部分をカスタマイズするようにしておけば、資料作成を効率化できます。これも立派なスキル、武器になります。
社長室の役割は、新しいものを生み出し続けること
伊藤:
最後に、今後の戦略についても教えてください。
石川:
ひとつ言えるのは、事業部を大きくしていきたいとは思っていないということ。というのも、社長室の役割が0→1、1→10のフェーズを作ることだからなんです。
何かしら新しいビジネスチャンスがあって、新しいサービス・プロダクトを開発しましたと。次は営業をかけて拡販していくわけですが、戦略や提案方法みたいなものは、ある程度、数をこなせばバターンができてきますよね。ここまでが社長室の役割で、その後は、既存なり新規の事業部に引き継ぐのが理想です。
伊藤:
事業として大きくグロースさせるところは、社長室ではやらないんですね。
石川:
そうですね。そのためにも社長室では再現性のある仕組みづくりに注力しています。たまたまやってみたことが特定の会社だけにマッチするものだったのか、他の会社にもニーズがあるものなのかを見極めるのは、特に重要ですね。複数の会社でニーズがなければ、事業として大きくできませんから。
もうひとつ、自分や自部署以外でもできる仕組みになっているかどうかも強く意識しています。自分にできない仕事=自分の存在価値を発揮できているように感じて、なかなか手放したくなくなってしまうかもしれないのですが、それだと事業が大きくならないですよね。
伊藤:
属人化というやつですね。
石川:
そのとおりです。仕組みを作ったら、自分の手からどんどん離していくくらいの気持ちでいるのがちょうどいいと思います。
伊藤:
確かにおっしゃる通りだと思うのですが、石川さんのようにすっきりと割り切れない人も多いんじゃないでしょうか?
石川:
最初の頃はそうですね。ただ、仕組み化せざるを得ない仕事なので、経験を通してわかってくるはずです。サービスの提供は他部門が行うと話しましたが、他部門と連携するには正しい情報共有が必要になりますよね。となると、資料をまとめておいたり、提供までのフローを決めておいたりしなくてはならないので、そもそも属人化しにくいのかなと思います。
加えて、私からも常日頃から言い続けているので、知識と実体験がマッチしたときにちゃんと「仕組み化って大事だよね」と腑に落ちるんだと思います。
伊藤:
仕組み化することが、事業をグロースさせるための鍵になるんですね。私もこの機会に、仕組み化を考えてみようと思います! 今日はありがとうございました。