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【前編】人の知恵とシステムの合理性のハイブリッド。10周年を迎えた自動売買サービス『トライオート』の歩み

『トライオート』はお客様が注文のルールを設定すると、それに従って24時間システムが自動的に取引をおこなうサービスです。人間とシステムそれぞれの得意領域を融合した画期的なサービスで、変動する相場や感情に左右されずにFX取引で成果を出すにはどうしたらいいかと知恵を絞った末に誕生しました。10年間の歩みとお客様への想い、今後の展望についてプロダクトオーナーを務める執行役員の綿引に話を聞きました。前編・後編の2回にわたってお届けします。

執行役員・プロダクトオーナー
綿引 耕一郎

独立系証券会社の差別化戦略。FXで資産形成を目指したサービスとして誕生

―リリース当時の話を教えてください。当時のFX取引をめぐる環境はどのようなものだったのでしょうか。

当時は、FX業界全体が低スプレッドで取引量を追求する方向へと向かっていました。そうやって国内のFX市場は大きくなっていった経緯があります。大手ITなどの異業種から参入しても、大量の広告を投下して薄利多売でお客様を獲得していくことができました。大きな会社がさらに力をつけていくことで市場全体が膨らんでいった時期でした。一方で、インヴァスト証券は完全な独立系の企業。同じ土俵で規模の勝負をすることは難しい状況がありました。

実際インヴァスト証券も低スプレッドを提供していた時期はありますが、お客様の取引を検証してみると、低スプレッドにより取引コストが安くなってもお客様の収益は改善していない。むしろ投機的な取引が増え、資産を減らしてしまう結果になっていました。

FXで安定的に資産を増やしていただくにはどうしたら良いか。考え抜いた末に、自動売買に活路を見出しました。当時は自動売買という言葉もなく、システムトレードという呼び方が主流。投資のプロが考案したプログラムがFXの取引を自動で行うものです。最初はミラートレーダーという海外のシステムトレードを日本のお客様向けに提供するサービスを手がけています。このサービス『シストレ24』で一躍、インヴァスト証券は国内で有数の自動売買の提供会社としてポジションを確立し、沢山のお客様にご利用いただきました。

ただ、システムトレードはプログラムが相場とフィットしているときは大きな利益を上げる一方、相場が変わると成績が落ちて損をしてしまうという状況が見えてきました。各プログラムには得意な相場と不得意な相場があり、ひとつのプログラムが利益を出し続けるということはありませんでした。定期的にプログラムを入れ替える必要があるのですが、大半のお客様には難しく、結果的に継続的にお客様を勝たせていくことはできませんでした。とはいえ、裁量で取引するよりも断然、お客様の収益が上がることも確認できました。

―そのような環境下で新たなプロダクトとしてトライオートが誕生したのですね。

はい。トライオートは2年の歳月をかけて開発され、2014年3月にサービスを開始しました。変化する市場に対して、継続的に成績を生み出すためにユーザー自身が相場を予測し、売買ルールをつくれるサービスを出そうと考えました。トライオートのコンセプトは、相場予測や戦略立案など人間が得意な分野はユーザー自身が担当し、エントリーや決済の注文執行、リスク管理など人間が苦手な分野はシステムが担当するというものでした。

トライオートというサービス名の「トライ」には二つの意味が込められています。一つは自分でルールをつくって自動売買をしてみようという「トライ」ですね。もう一つは、「3」を意味するトライアングルのトライです。トライオートは、相場予想を“上昇”“下降”“レンジ”の3局面を予測し、設定に落とし込むことでシステムがその注文を自動で、つまり「オート」で繰り返すという仕組みです。

このように、人間の得意領域とシステムの得意領域の融合がサービスのコンセプトになっています。

トライオートTOP|インヴァスト証券
トライオートはFXとETFの取引を自動的にくり返す資産運用サービスです。遊んでいるときも、寝ているときも、働いているときも。あなたに代わって24時間、利益をねらいます。
https://www.invast.jp/triauto/

初心者でも使いやすい「セレクト」機能でお客様の裾野を拡大

―お客様は右肩上がりで増えていますか。10年間で打ち出し方も進化していますか。

はい。増えています。当初はお客様が自分で売買ルールをつくることのハードルが高いという側面がありました。元々ある程度FX取引を知っていて予測を立てることができる中級者向けのサービスとしてリリースしていましたが、一方でそれではなかなかご利用いただくお客様の裾野は広がりません。

そこでより初心者向けに提供をはじめたのが「セレクト」でした。「セレクト」は取引ルールを選んですぐに自動売買を始められる機能で、あらかじめ我々のほうで著名ストラテジスト、人気ブロガー、トライオートに精通した実際のユーザーなどがつくった取引ルールを用意しておきます。それらの取引ルールを収益性やリスクなどでわかりやすく表示して、そこからお客様に選んでいただくのです。新たにトライオートを始めるお客様は、ここからスタートされる方がほとんどです。

直近では「三大陸制覇」というキャッチコピーで、複数の通貨ペアを同時に稼働させる戦略を推奨しています。具体的には豪ドル/NZドル、ユーロ/英ポンド、米ドル/カナダドル、この三つの通貨ペアを同時に稼働いただく。経済環境が似ているそれぞれの組み合わせでレンジ戦略をつくり、ポートフォリオを組むというご提案です。目的は収益の安定化で、やはりトライオートを運用していると一時的に予想した値動きを外れたり、あるいは動きがなくてあまり収益が生まれないといったことが起こります。複数の通貨ペアの運用を同時に稼働させることで長期的に高いパフォーマンスを目指す戦略です。

トライオートの仕組みに慣れた方たちは、徐々にご自分の戦略をつくりはじめます。「セレクト」は、中長期で安定して運用いただけるものを中心に提供しているのですが、やはり、お客様はやっているうちに相場の状況を見ながら「利確幅を狭くしたら利益が上がるのではないか」、「この価格ではドル円を売りたい」などとアイデアがでてきます。そうして、ご自分で取引ルールをつくってみる。そのような形でお客様も自分にあった運用へとステップアップしていきます。

―それはやはり、お客様に勝ってほしいという姿勢の表れでしょうか。リリース時から変わらない、インヴァスト証券ならではの価値観でしょうか。

そうですね。自分は前職も同業でしたが、当時は低スプレッドで大量の取引を獲得することを目指していました。こうした会社と比べるとインヴァスト証券は特異かもしれません。

インヴァスト証券のプロダクトは、基本的にお客様とベクトルを同一にしています。我々の提案によってお客様が期待通りの収益を上げられれば、資産運用の選択肢としてインヴァスト証券を選び続けていただけるし、お客様が増えれば我々はさらに良いサービスがご提供できる。そのようなプロダクトを目指しています。

トライオートのリリース当時から、お客様にデリバティブ取引を“勝てる“戦略とセットで提供したいという思いは一貫しています。これは元々インヴァストに根付いている文化でもあります。そうなると、お客様起点にならざるを得ない。お客様目線でやっていかなくてはいけない。インヴァストは覚悟をもってその道を進んで来ています。

≪後編≫

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