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社員が心を一つにして取り組んだ一年半にわたる一大プロジェクト

2022年6月にスタートした『トライオート』リニューアルプロジェクト。バックサイドのOMS(Order Management System)のキャパシティ不足に端を発し、大幅な処理能力アップ、機能改善などを伴う一大リニューアルとなりました。2023年12月17日にリリースを迎え、お客様からは使いやすくなったと好評です。プロジェクトには、社内各部署や外部ベンダーを含めてたくさんの人が関わりました。一大プロジェクトをとりまとめ、要件定義から開発、膨大なテストを経てリリースまで、1年半にわたってプロジェクトを率いた二人に話を聞きました。

システム管理部
宮澤 麻子(プロジェクト全体管理)
孫 鵬(フロント担当)

1年半にわたる一大プロジェクト。大幅にパワーアップした『トライオート』

―1年半にわたる大がかりなリニューアルでした。具体的にどのような点を改修、改善したのですか。

孫:フロント側では、画面のUI/UXをより使いやすくリニューアルするとともに、新機能や新ルールを追加しています。

主なポイントは、取引の状況を一画面で管理できるようにしたこと、画面内に自動売買ルールの特徴をわかりやすく表示したこと、日々の損益状況や月々の運用成績などをカレンダー形式で確認できるようにしたことなどです(運用成績カレンダー)。『トライオート』は、予め用意されている自動売買ルールを選んで取引をするのですが、今までは、詳しいルールの内容はブログやレポートなどで発信していました。画面上で特徴を可視化したことで一目瞭然となり、運用成績カレンダーとあわせて、ルールの定期的な見直しなどにも役立つようになりました。

機能面では、少し上級者向けに、テクニカル指標を売買判断に用いる新たなルール作成機能(テクニカルビルダー機能)を追加。この機能は、私が知る限り他社はどこもやっていない、とても斬新な機能だと思います。このほか取り扱い通貨ペアを3通貨追加し、17通貨から20通貨になったこと、スワップポイント(FX)と金利調整額(ETF)を、お客様ご自身の好きなタイミングで実現損益として振替できるようになったことなどです。

詳しくは、下記のページでご案内しています。

トライオート お知らせ| トライオートブログ|インヴァスト証券
トライオートに関するバージョンアップやキャンペーン、その他各種お知らせを掲載しています。
https://www.invast.jp/triauto/blogs/news/info_triauto2023renewal/

いずれも使いにくかった部分や「あったらいいな」と思っていた機能を、お客様の声を反映して改修したものです。お客様はとても使いやすくなったと思いますし、実際、好評です。

宮澤:バックサイドの話としては、OMS(Order Management System)と呼ぶ約定など大元の処理を行うシステムが性能不足になっていました。少し古いアーキテクチャでしたし、そもそもシステムの想定キャパシティが、現状の利用状況に追いついていませんでした。例えば口座数や1日あたりの取引数などが、想定キャパシティを越えている状態だったのです。そうなると性能問題が頻発しますし、システム障害につながる恐れもあります。早急にこの改善を行う必要があったということが今回のリニューアルプロジェクトの出発点です。

キャパシティの問題で、お客様の希望通りの処理ができなかったり、お客様の取引を推進するための施策を打つにも制限があったりしたので、網羅的に改修しようとなったのです。OMSの問題を解消することで、フロントも様々な改善が可能になるので、今回、一緒に改修することになりました。

※写真左がフロントを担当した孫、写真右がプロジェクト全体を管理した宮澤

―プロジェクトはどのように進めましたか。開発のポイントも教えてください。

宮澤:OMSのほうは、フロントとの連携はもちろんですが、社内業務で利用する管理ツールや帳票、OMS内部処理での重要機能にも変更点があったので、社内の各部署と協議しながら要件定義をしていきました。各部署とは、ディーリング、カスタマーサービス、マーケティング、経理、管理などほぼ全部署ですね。

ポイントの一つが、どこまでの性能を出すべきか、ビジネスとシステムの両方の観点から決めていく必要があること。根本にはビジネスキャパシティという考え方があって、口座数や様々な取引の基本的な処理件数など、前提条件があるなかでどの程度の性能を出せるのか。たくさんある項目を一つ一つ詰めていきます。もちろん速ければ速いほど、多ければ多いほどいいわけですが、システム的に準備できるリソースとコストとの兼ね合いを探っていきました。

孫:フロントのほうは、カスタマーサポートがお客様にインタビューをして、お客様の生の声を聞きました。その声をプロダクト側と連携し、優先順位をつけて、お客様が望む機能をいつ、どのように実現するかを決めました。開発を担うのは外部ベンダーなので、我々システム管理部がプロダクト側の要望をとりまとめ、ベンダーへと橋渡しをしました。

お客様インタビューでは、いろいろな声をいただきました。『トライオート』のターゲットは初心の方から中級、上級の方まで幅広いので、インタビューも初心、中級、上級と分けてご意見を聞いて、プロダクト側と協議しながら要件定義を行い、プロダクトに反映していきました。

―宮澤さん、孫さんはどのような役割やミッションを担っていましたか。

宮澤:私はプロジェクト全体のマネージャーを務めました。今回、『トライオート』を取り巻く複数のシステムに対して大きな改修が入ったので、その全体(各システムに特化した変更内容およびシステム間の連携など)を把握・管理して進捗させます。プロジェクト進めるにあたって生じる様々な課題や問題を解決し、障壁となるものを取り除く、というのが私の役割でした。また、もう一つOMS側の担当という役割も担いました。

孫:システム別の担当としては、宮澤さんがOMS側、私がフロント側の担当となります。

それともう一つ、私の担当で大きなものがテストです。テスト体制の構築と実施、開発へのフィードバックを行いました。テストは本番と同じ環境で実施するので、まずは環境のすりあわせや実施端末の準備、それから、誰がどの項目のテストを行うか、担当の振り分けなどの体制構築。並行して膨大なテスト仕様書を作成し、レビューします。テスト仕様書、環境などの準備も整い、実施できるタイミングになったところでテストを実施します。テストが始まると、今度は進捗を管理し、テストで検知した不具合をベンダーと解決し、修正が終わればまた確認と、この一連の工程を担当していました。

今回のリリースは、『トライオート』で扱っているFXとETFの両方に関わり、またフロントもOMS側も変わるので、確認項目は山ほどあります。PC版とモバイル版もあり、テストケースは何千項目にも上りました。

スケジュール管理に苦労。最後は社員が一丸となって取り組んでリリースへ

―開発、テストといずれも大変なプロジェクトでしたね。特に苦労された点はどこでしょう。

宮澤:やはりスケジュールですね。想定通りに進まず、少しずつの遅れが積み重なりプロジェクトの終盤にまで響いてしまいました。複数のシステム開発が同時並行で進んでいるなかで、「ここはもうテストを完了させたい」というタイミングで想定外の挙動が出てきたり、なかなか予定通りに進みません。追加のテスト項目をつくり、不具合修正版のテストをすると今度は別の不具合を見つける、というテストを実施していく傍らで、性能テスト・運用準備・リリース準備も進める、といった形で、複数の必須工程が最後にかたまってしまいました。そのため、最後のほうは短期間でたくさんのことを進めないといけなくなり、大変でした。

テストの最終段階では、社内のメンバーを集めて「総力を結集してやりましょう」と鼓舞する場面もありました。残されたわずかな期間でリリースを実現するには、総力戦でテストを行わなければいけません。そう話して、「皆さんの力が本当に必要なんです。よいシステムを作るために頑張りましょう」と。あれで改めて気持ちが一つになったように思います。

その後、社員の皆さんは、日常業務があるなかで優先して取り組み、スピード感を持って対応してくれました。集中してテストをして、不具合を新たに発見し、修正することを繰り返したことで、リリース可能な品質にまでなんとかもっていけたと思います。

―皆さんが協力的なのは、「お客様のため」という気持ちを共有しているからでしょうか。

宮澤:そうだと思います。インヴァスト証券が掲げる五つのバリュー(情熱、責任、顧客第一、高い品質、挑戦)にも、「顧客第一」とあります。それがしっかりと根付いているのでしょう。

―丁寧にテストもして、リリース当日は安心して迎えられましたか。

宮澤:いえ、ものすごくドキドキしました。リリースがなければいいのにと思ったほど(笑)

実際、リリース日はまったくタイムスケジュール通りに行きませんでした。本来は日曜日の夕方がリリース予定でしたが、当日の動作確認の中で複数の問題が見つかって、それが夕方になってもまだ解決できません。最悪でも月曜日の朝の取引開始までにはお客様が使えるようにしておかないといけないので、その時間までに対応するか、あきらめて切り戻しをするか。このせめぎ合いを、明け方までしていた状況でした。

結論を言うと、ギリギリ間に合ったのですが、問題がすべて解決したわけではなく、最低限のところを解決してリリースする形にしました。リリースしたあとも直す点がいくつか出てきたので、そこも含めて今もブラッシュアップを続けています。

―当日までドラマがあったんですね。

孫:ありましたねー。

宮澤:本当に間に合うのかとずっと心配でした。ベンダーは土曜日の朝から、当社のメンバーは日曜日の朝8時前からリモートで出勤していて、結局、月曜日の朝までずっと対応することになりました。長時間の対応にはなりましたが、その間はまったく長いと感じることがなく、心配しつつも諸々の作業や確認・相談・検討を続けていたら、時間があっという間に過ぎ、気が付いたら24時間経っていました。リモートなのでみんな、それぞれの家からZoomルームに入ってやりとりをしていました。

月曜日の朝、家族が起きて来て「まだやっているの?」と驚いていましたが、みんなもそうだったと思います。

―ギリギリの攻防を超えてリリースしました。お客様の反応はいかがですか。

孫:カスタマーサポートからフィードバックをもらって、以前より使いやすくなったと好評だったことが何よりでした。私も、リリースの当日までドキドキしてしまって大変でした。テストして、直しての繰り返しですごく心配していたので。当日はいろいろと想定外のこともありましたが、できるところはクリアし、無事にリリースを迎えられました。

ただ、今回のリリースは全部ではありません。今回、長らく懸案だったOMS側の整備がされたことで、できることがグッと広がりました。これから取引ツールをさらに使いやすくするために、新しい機能を追加して、いろいろな改修、改善を重ねていきたいと考えています。そもそもユーザーニーズは常に進化するので、「完成形」はありません。いったんリリースは終わりましたが、さらに進化させるために、改修、改善の準備をしていかなければと思っています。

※今回リニューアルされたトライオートのホーム画面

ここからが新たなスタート。さらなるブラッシュアップへ。

―今後の改修について、具体的に何かプランはありますか。

孫:そうですね。今回、全部をやりきれたわけではないので、まずはリニューアルを継続してシステム安定稼働させるとともに、お客様のご意見、ご要望を随時取り入れながら、さらに改善していこうと思っています。新しいアセットクラスの追加や、新しい機能の追加も考えています。

今まではやりたいことがあっても、バックサイドの処理能力の問題でできないことがありました。今回の改修でキャパシティの問題を改善したので、そういう意味では、ここからが新たなスタートです。お客様の声を聞き、優先順位をつけてどんどん実現していこうと思います。

宮澤:今回、性能面は大幅に改善しましたが、改善すべき点、直すべき点はまだまだあります。粛々と改善・修正を続け、フロントの機能向上につなげたいと思います。

―プロジェクトを振り返って、お互いについて思うことはあります。

宮澤:孫さんは、フロント全般においてとても信頼して任せられる、責任感のかたまりのような人です。今回、フロント側は本当に機能数も多く、膨大な要件定義や検討課題、テストケースがありました。孫さんは手を抜かず不満も言わず、本当に長い時間をかけて一つずつ丁寧に対応してくれました。最後の数日は、ベンダーと一緒に徹夜も辞さず、残っていた不具合を気合で片づけてくれました。

普段はとてもホワイトな会社なのですが、どうしてもリリース前は立て込んでしまいます。孫さん、最後の数日間はほぼ寝ていなかったんじゃないですか。でも、疲れも見せず、自分のミッション、プロジェクトを完遂させるという気概を、すごく感じさせる働きぶりでした。本当に見習いたいと思います。

孫:ありがとうございます。宮澤さんには感謝の言葉しかありません。まずは本当に、無事にリリースできてお疲れさまでした。今回は特に、プロジェクト全体の管理がすごく大変で、それを宮澤さんがすべてやっていました。もちろん、システム管理部だけでは完遂できません。他部署とのコミュニケーションが不可欠ですが、そこもうまくやってくれて、各部署の協力を得たうえで、無事にリリースを迎えられました。

リリースの当日まで、「これは大丈夫?」「あれは大丈夫?」と全方位に目を配っていて、今、私のことを責任感が強いと言ってくれましたが、宮澤さんはもっと、私の倍は責任感があると思います。宮澤さんがいたから、今回のリリースが無事にできました。

宮澤:ありがとうございます。何か泣きそうです。でもそんなことはないです。プロジェクトを進めるにあたり、色々上手く捌けず皆さんにご迷惑かけることもあったり、反省点はたくさんありますし、勉強にもなったので、今後にいかしたいです。

孫:プロジェクト管理は、言うのは簡単ですが、実際、やるのはすごく大変です。他部署との連携、外部ベンダーとの連携、管理が大変で、それを一人で全部管理して、無事にリリースを迎えて。そしてどんな大変なときも、宮澤さんは前向きで、先頭に立ってやってくれて、頼もしかったです。宮澤さんと、そのほか協力してくれた他部署の皆さんには感謝しかありません。

宮澤:そうです。私たちだけではありません。環境を構築してくれたSREチーム(インフラチーム)も、本当に素晴らしい対応をしてくれました。インフラ側もとてもタスクが多く、傍から見ても大変そうに見えましたが、開発チームとコミュニケーションをとりながら、滞りなく対応してくれました。

また、ベンダーの皆さんも、これまでにない長い期間に渡り、血の滲むような努力を続けリリースに漕ぎつけていただき、ともに戦った同士のように感じています(私だけかもしれませんが)。

関係者の皆さま、本当に感謝しています。

―皆さんの頑張りがあってのリニューアルプロジェクトでした。改めてインヴァスト証券のよさを教えてください。

宮澤:皆さんの性格がすごくいい。目上の方たちも話しやすいです。誰とでもフランクに話ができる会社で、この風通しのよさは、プロジェクトを進めるうえでとても大事なこと。仕事がやりやすいです。

孫:勤務はリモートと出社のハイブリッドで、私はほぼリモートです。これもすごく働きやすいですね。会社の雰囲気としては、宮澤さんが言ったように、聞きにくいということはないですね。何かあったら周りの同僚や上司に聞けて、あたたかく回答してくれます。みんなで助け合うという精神が浸透していて、それが何よりいいところだと思います。

あとは、社員はみんな、顧客第一主義という価値観を持っています。今回のリリースでも存分に発揮されました。不具合もありましたが、みんなで「力を合わせて改修していこう」と一丸になってリリースを迎えられました。みんなが同じ価値観を共有して、いいサービスをお客様に提供したいと思っています。この同じ思いを持っている仲間たちは、かけがえのない存在です。

―ありがとうございます。皆さんの頑張り、リリース当日の緊迫が目に浮かびました。これからも『トライオート』がますますよいプロダクトになることを期待しています。

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