2020年8月、デザインカンパニー「グッドパッチ」が開催するワークショップに、インターゾーンの「システム開発部」「設計チーム」を中心としたメンバーが参加しました。そのテーマとは「デザインプロセス」。商品のデザイン戦略を定義して、プロトタイプを作成、分析、検証するという一連のプロセスのことです。
というのも、現在インターゾーンでは、同社が提供するSaaS「gNOTE」のリニューアルプロジェクトが始まっているから。現行の主力商品を一から設計し直して作り変え、自動車業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するビジネスモデルを生み出そうという全社一丸のプロジェクト。それに不可欠なのが、部門の垣根を超えた「連携力」なのです。
今回は、ワークショップを支えた主要メンバー3人を集めて、座談会形式で話を聞きました。インターゾーンではどんな考え方で研修を実施し、どのようにして個人と組織を成長させているのか。その裏側に迫ります!
※SaaS(サース) とは……「Software as a Service」の略語で、クラウドサービスの一種。ソフトウェアをサービスとして、インターネット経由でユーザーに提供する形態のこと。
<話を聞いたみなさん>
山口彩希さん(右)
システム開発部 リーダー。開発部門のプロジェクトマネジメント担当として、チーム全体をとりまとめる。
神田憲一さん(中央)
システム開発部 エンジニア兼プログラマー。20年以上のキャリアを持つベテランで、技術関連の責任者を務める。
宇津木南美さん(左奥)
設計チーム リーダー。セールスチームを通してクライアントの要望を聞きながら、サービスの全体構造を設計し、社内関連部署とのすりあわせなどの「社内ハブ」的な業務を行う。
聞き手:インターゾーン人材開発部部長 山田昌弘さん(手前左)
「デザインプロセス」のワークショップとは?
──まずは、今回の研修について教えてください。
山口:インターゾーンメンバー16名が集まって、グッドパッチが主催するワークショップに参加しました。16名というのは、システム開発部、設計チーム、あとはBPO事業部、事業開発部など。普段の仕事はさまざまですが、「新gNOTE」の開発プロジェクトにこれから深く関わっていくであろう人たちに対して参加を呼びかけました。内容は、デザインプロセスの実践的な研修を通して、新たなサービスを構築するのに必要な考え方や方法を学んでいくというものでした。
──具体的には、どんな風にワークショップが進んでいったのでしょうか。
山口:今回の研修でのトピックは「フードデリバリーサービス」。最初にグッドパッチの方が、フードデリバリーを使っているユーザーとして登場します。これがいわゆる「ペルソナ」ですね。私生活のどんな場面でサービスを利用していて、どんな時に不便さを感じているのか、こんなことができたらいいのにな、といった思いを聞いていきます。
次のステップとして、参加者がいくつかの班に分かれて、その話を整理していきます。今回のターゲットはどういった人たちで、彼らが感じている課題はどこにあるのか。それを解決するためにどんなサービスがあればいいのか? そういうことを順番に考えていって、スマホの操作画面までサービスを作り込みます。最後はユーザーにサービスを見せてプレゼンして、フィードバックを受けるというのを丸1日かけてやりました。
──ワークショップ開催はどんな風にして決まったのですか?
宇津木:もともとは、システム開発部のエンジニアのひとりである高橋勇多さんが「グッドパッチさんが無料相談会をやっている」という情報をシェアしてくれたのが始まりでした。
初めはワークショップのことなんて知らずに「無料で何でも聞けるみたいだし、とりあえず行ってみようか」くらいの軽い気持ちでした。ちょうど私たちは新しいサービスに取り組んでいるところで、こういうときに他の会社がどうやっているのかを聞いてみたかったんです。
山口:これから「新gNOTE」を中心としたサービスを展開していくうえでは、デザインプロセスの考え方は極めて重要です。つまり、機能そのものが優れていることはもちろん、デザインが良いとか、システムの応答速度が適切であるとか、それを動かすための社内オペレーションが適切であるかなど、すべてがちょうどいいバランスで整っていないと、クライアントにとって本当に良い体験は提供できません。
ただ当時の現状では、開発チームにも設計チームにも、デザインプロセスを専門とする人はいませんでした。社内にそのノウハウがないので、新たな知見を増やしたいと考えました。
神田:実際にシステムを開発する立場である私たちの視点からすると、具体的に「この部分がわからない!」という明確な思いはありませんでした。でもいざ相談会に行って話を聞いてみると、他の部署の人たちを含めて、今までみんなが苦労していたことの答えがここで見えそうだな、という感覚がありました。
楽観的に構想し、悲観的に計画する
──「苦労していたこと」とは何だったのでしょう?
宇津木:前提として、「新gNOTE」を開発するプロジェクトでは設計チームと開発部が一緒に動く必要がありました。そのためには、みんながひとつの「共通の認識」を持って、同じ方向を向いて進んでいかなければならない。
ただ、私たち設計チームには、システム開発そのものの知識がありません。そうなると開発サイドの視点を持つことが難しいんです。たとえば、これまでの制作業務では簡単なラフ画だけで進行できていたものが、開発となると工程がぐんと複雑になって、そうはいきません。そんなときにどういう動きをしていけばいいのか、何が正解なのかを具体的にイメージしにくいという状態でした。
──ゴールとしての「やりたいこと」は見えているのに、どうやって実現していくかという「How」の部分がわからなかったのですね。
山口:開発と設計で、元を正せば同じことを言っているのに、それが微妙にリンクしていないというか……、ずっとモヤモヤするような感じがありました。そんな時にワークショップの話を聞いて、これはまさに私たちが抱えている課題のヒントが得られる機会だと確信したんです。
──決め手は何だったのでしょう?
山口:この研修が「開発チーム」だけのためのものではなかったからです。ワークショップにはいろんなチームの人が参加できて、同じ目線、同じ条件でサービスの構築について考えて、デザインプロセスを学ぶことができる。この経験は、確実にこれからの業務に生かすことができると感じました。費用は正直、安くなかったのですが、社長に今の自分たちの思いを話し、「やってみたい」と直訴しました。
宇津木:社長はさくっとOKでしたが、その後、役員でもある事業開発部 部長の戸張さんからの投げかけがありましたね。「この数百万円の参加費用は、一体いくらの売上を上げるものか考えているか?」って。
山口:戸張さんは私たちの決断を責めたかったわけではなくて、「お前たちはどれだけ本気でこの研修に臨むんだ?」という覚悟を問いかけてくれたんです。
──インターゾーンが大切にしている考え方に「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」というものがあります。大きな課題に対して解決できる強いイメージは湧いたけれど、それを実行するステップでは「本当にいいのか?」と、とことん考える。ある意味、うちらしいエピソードですね。
山口:このやりとりの中で、ワークショップ後のアウトプットに真剣に取り組むことが、いかに重要であるかを再認識しました。私たち主要メンバーは、ただワークショップに参加するだけでなく、積極的に他のメンバーに働きかけて、研修の成功を支えていかなければと考えるようになりました。
固定観念を捨てることで「共創」が生まれる
──「研修の成功」とは、どんな状態だと思いますか。
宇津木:設計チームのみんなは、業務を進めながら「どうやったらもっと効率が良くなるか」とか「こうしたほうがいいよね」とか、個人が主体的に考えて動くことができるメンバーです。だから私個人としては、今回はそういった判断を行っていくための「考える材料」が増えればいいなと。このワークショップで聞いたこと、学んだことはあくまで「材料のひとつ」であって、絶対の正解ではないと思っています。
山口:ワークショップが終わった後に「楽しかったね」「良かったね」という満足した感想だけで終わったらダメなんですよね。もっと具体的に「明日からこれをやりたい」とか「こういうのを改善していきたい」と考えられる状態に組織を持っていけるかどうかが、最も重要なところ。
宇津木:本当にそう。終わった後にチームメンバーのひとりから「もっと深いところまで行きたかった」という意見が出たので、「よしよし、成功したな」と思いました(笑)。
神田:私がすごく印象に残ったのは、同じ班だったBPO事業部 部長の坂井さんが、「これを持ち帰って、部内で同じことをやろう」と言ったこと。今回のワークショップはひとつの例だから、自分たちの業務にあてはめたときにどうなるかっていうのを真剣に考えていかないといけないですよね。私たちシステム開発部のメンバーも、次に動く時の指針になるものを得ることができたと感じています。
──このワークショップを経験して、「考え方」の変化はありましたか?
山口:私としては「システム開発はエンジニアだけの仕事」という固定観念をいかに脱却できるかというのが、今回の大切なポイントだったと思います。たしかに、コードを書いて「gNOTE」のシステム自体を作っているのはシステム開発部です。でもだからといって、開発チームだけがシステムを作ることに向き合っていてはいけない。開発も設計も、オペレーションも、カスタマーサクセスも、セールスも、みんなが一体にならないと、いいサービスは作れないんです。
──「開発部がシステムをつくる」ではなく、「わたしたちがシステムをつくる」と主語が置き換わるような体験は得られた?
山口:今回の新しい発見として、情報を共有できる環境さえあれば、みんなが自分ごととして物事を深く考えてくれるのだとわかりました。ワークショップの中で、みんなフラットに同じ情報やプロセスを共有しながらやってみると、普段の自分の担当とは離れたところですごくいいアウトプットをする人がいるんです。やっぱり環境をつくることが大事で、それによって「共創」が生まれるのだと感じましたね。
──「共創」がイノベーションを起こす。インターゾーンが大事にしているものとかぶってきましたね。情報やプロセスを共有することで、100人いれば100通りの専門性を生かした気づきやアイデアが生まれる。「新gNOTE」開発の未来が楽しみになってきました!
目指すのは「チーム力」につながる個人の成長! インターゾーンで一緒に働きましょう!
個人の成長が組織としての成長につながるインターゾーンでは、リーダー層をはじめとした一人ひとりのメンバーが研修の意味を真剣に考え、チャレンジを続けています。少しでも興味を持ってくださった方、まずは一度気軽にお話ししましょう!