こんにちは。松崎です。
今日はDevelopers Festa Sapporo 2016でCTOの伊藤が登壇した内容について記事にしました!
対象システムを Record (記録) が目的なのか、Engagement (エンゲージメント) が目的なのかで捉えてマネジメントする
CTO の伊藤です。
先週金曜日は 11/11 に北海道札幌で開催された Developers Festa Sapporo 2016 で講演しました。
資料は Speaker Deck に公開していますので、興味のある方はご参照ください。
タイトルは「System of Record と System of Engagment」です。
システム、とひとことにいってもその目的が、例えば業務システムにおける個人情報の保存や確かな請求処理のように「Record (記録)」を主目的にしているのか、「使い易いユーザーインタフェース」のようにユーザーとの「Engagement (エンゲージメント)」を目的にしているのかで、実はそれぞれに適した開発手法や要件定義の仕方、もっと言えば対象システムのマネジメントの仕方が違うのではないか ・・・ という議論があります。
System of Record (SoR) には、案外ウォーターフォール的なやり方に代表されるような、事前に要件をきちんと見積もる方法が適している場面は少なくありません。一方、System of Engagement (SoE) ではそもそも正解が何かがよく分からないことも多いため、さっさと作り始めて トライ & エラーを繰り返す方がいい場面もよくあります。(その逆もあって、SoR なシステムに SoE 的な手法を当てはめることがうまい場面というのも当然あります。)
そして多くの場合は一つのシステムの中に System of Record (SoR) と System of Engagement (SoE) に相当する部分は混在している。その特性の違う部品が一つの中で混在している以上、SoR に向いたやり方、SoE に向いたやり方どちらか一方だけで対応しようとすると困難に遭遇しやすいのではないか。自社のシステム特性に合わせて SoR と SoE それぞれに対応できる力をバランス良く、組織として獲得していくべきではないか、ということを主張しました。
主眼は「二つに分類すること」ではなく「違う二つの特性を認めながらそれをどう調和させていくか」である
嬉しいことに多数の方に資料を読んでいただいたようで、感想もいくつかいただきました。
対して自分が強調しておきたいのは SoE や SoR の議論 ・・・ 資料で述べている「バイモーダル戦略」の重要なポイントは決して「対象のシステムを SoR と SoE の二つに分けてマネジメントしろ」ということではなく、むしろ「対象のシステムには SoR と SoE という特性の異なる二つの顔があるが、その二つをどう調和させてマネジメントしていくかを考えたい」ということです。
数年前から "DevOps" という考え方が脚光を浴びています。放っておくと Dev と Ops に別れて対立しがちなこの両概念を「DevOps」と一つにまとめることで、両者が調和することを目指しましょう、そういう考え方です。SoR と SoE に対しても、同様にして、どのようにマネジメントしていけばこの性格の異なる二つの側面を一つのものとしてうまく扱っていくことができるのか・・・ということが言いたかったことです。
バイモーダル戦略については、併せて、セゾン情報システムズCTO の小野和俊さんのブログ記事 わたしのバイモーダル戦略 を読んでいただくと良いでしょう。小野さんもまた、SoR が得意な組織、SoE が得意な組織、文化の異なる二つの組織を融和させていくことが、どちらか一方だけの場合よりもずっと大きな力を生み出すことを、実体験を通じて感じているとおっしゃっています。
後日談 ・・・ Google 翻訳のはなし
Developers Festa では Google や AWS、Microsoft Azure のエバンジェリストの方々が、それぞれ自社のサービスの技術的ポイントを解説していてどれも聴き応えがあったのですが、中でも Google による Deep Learning の話が面白かったです。Google の Machine Learning API や TensorFlow の解説が主題だったのですが、その中で、間もなく Google 翻訳が、ニューラルネットワークをベースにした実装に切り替わる・・・という話しがありました。
翻訳エンジンがニューラルネットワークに切り替わると、翻訳精度が劇的に向上するからこその話なんですが、機会翻訳にありがちなぎくしゃくした訳文ではなく、ずっと自然な英訳、日本語訳の結果が得られるということで期待感が高まりました。
それで、講演では「日本語に関してはまだテスト中なのでリリースまではもう少し時間がかかるかもしれない」という話だったんですが、なんとその晩にはどうもニューラルネット版のものに背後のエンジンが切り替わったのではないか・・・と騒ぎになり始めたのは、ご存知の方も多いでしょう。
Google 翻訳の劇的な精度向上の結果は、AI の応用がいよいよ実用的な場面で垣間見られるようになってきたということで、否が応でも注目せざるを得ません。2005 年頃に Google Maps で Google が Ajax を使った大規模アプリケーションを披露して全世界の Web プログラマを驚かせましたが、Google 翻訳における AI の応用は 10年前の驚きを思い出すのに十分なインパクトでした。
我々もこの分野を積極的にキャッチアップし続けてうまい形で事業に応用していきたいと、改めて感じました。
編集後記
直也さん、ありがとうございました!そしてお疲れ様でした!
札幌は寒かったそうです!氷点下!
個人的にはお土産のバターサンドと白い恋人が嬉しかったです!笑
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